喫茶店

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喫茶店(きっさてん)は、「喫茶を提供する店」という意味で、主に店内でコーヒー紅茶など、酒類を除く飲み物を飲ませたり、茶菓を提供する飲食店茶房(さぼう)。

概要

独立店舗型喫茶店の例(名古屋市昭和区の「喫茶マウンテン」)

食品衛生法施行令第35条は、喫茶店営業を、「喫茶店、サロンその他設備を設けて類以外の飲み物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。」と明示している。

日本語の「喫茶」とは、もともと鎌倉時代源実朝の時代)に中国から伝わったを飲用し効用を嗜む習慣や作法をさす言葉である。しかし、現在では、茶に限らず、コーヒーなど、他の湯で成分を抽出する飲み物や、さらには各種果汁や清涼飲料水なども含めて、これらを飲むことや、飲みながら菓子を食べたり、談笑することも「お茶する」などといい、「喫茶」の概念に含めることが多い。

喫茶店は、俗に略して「茶店」(さてん)とも呼ばれる。特にコーヒーを主力商品とする場合は「コーヒーショップ」、紅茶を主力商品とする場合は「ティーハウス」、「ティールーム」などとも呼ばれる。

また、本来の「茶」である日本茶中国茶なども出される場合があるが、これらの提供が主となる場合は、喫茶店と呼ぶよりも「茶店」(ちゃみせ)、「茶屋」(ちゃや)、「茶館」(ちゃかん)などと、別の名で呼ばれる事が多い。

喫茶という言葉は「茶を喫む(のむ)」という意味であり、喫煙とは関係がない。なお、「喫煙」とは「煙草(たばこ)を喫む」という行為を指す。多くの人々に喫煙の習慣があった時代に、喫茶店でコーヒーとともにタバコを一服する人が多かったこと、また「喫む」という動詞を使う機会が少ないことから、「喫煙+お茶」という意味に誤解されることがある。喫茶店における喫煙について、現在でも喫煙を前提とした店舗は存在するが、喫煙率の低下や健康増進法の施行などに伴い、多くの喫茶店で分煙や禁煙等の措置が進められている。

日本の喫茶店

メニュー、ケーキと紅茶

食品衛生法施行令が定める喫茶店営業では茶菓を提供できる。しかし、実際には、日本で喫茶店と言われる店には、ケーキホットケーキパフェなどの菓子だけでなく、サンドイッチスパゲティなどの軽食モーニングセット・ランチセットなどの独自のメニューがある場合も多く、都市部では、サラリーマン、学生等が朝食に利用する事が多い。また、昼食時(ランチ)限定で提供される店が多いカレーライス定食類を求めて入る場合も多い。この様な店の場合、飲食店営業の許可を取った上で、主に飲み物や茶菓を提供している。

日本では、若者および女性向けに内装や食器、雰囲気などを重視した店舗を中心に「カフェ」と呼ばれることも多くなってきた。また、見晴らしの良いテラスにて「カフェテラス」を行っているところもある。ヨーロッパ風の店をヨーロピアン・カフェ、イタリア風の店をイタリアン・カフェと呼ぶ事もある。 また、店内に設置されていることが多い、新聞雑誌を目当てに入る人もいる。

世界の喫茶店

  • ヨーロッパの都市には、店頭の路上にテーブル席を並べたカフェ(Cafe)があり、社交の場にもなっている。
  • バール - イタリアの軽食喫茶
  • 茶餐廳(ちゃさんちょう) - 香港の軽食喫茶店

喫茶店の歴史

コーヒーハウスは新聞を読んだり、政治を論じたりといった男社会の交流の場でもあった(ロンドン、ギャラウェイが特に有名)。

喫茶店数の地域による違い

平成18年事業所・企業統計調査結果に基づく県別の喫茶店事業所数は、大阪府が全国1位(約12,000店)となっており、以下愛知県(約11,000店)、東京都(約8,000店)、兵庫県(約6,000店)と続く。 人口1万人当たりには全国平均で6.34店の喫茶店が存在し、1番多い高知県は17.7店、2番目の岐阜県は 16.0店、3番目の愛知県は14.7店、4番目は大阪府で13.5店である。なお、最も少ないのは秋田県で2.3店である。 喫茶店の密度(面積1平方キロメートル当たり事業所数)に着目すると、全国平均では0.2店であるが、1番多い大阪府は6.3店、2番目の東京都は3.6店、3番目の愛知県は2.1店、4番目は神奈川県で1.0店となっている。また、これについても最も少ないのは秋田県で0.02店である[1]。 また、市町村レベルの人口1万人あたりの店舗数では、大阪市が24.1軒で全国1位であり、以下、高知市名古屋市岐阜市の順となっている。

一方消費者(二人以上世帯)の側に着目すると、都市別の年間支出喫茶代が岐阜市(13,360円)、名古屋市(13,240円)、東京区部(8,385円)、神戸市(7,514円)などの都市において全国平均(5,128円)より特に大きい[2][3]

地方のサービス

愛知県岐阜県では、飲食店の内でも喫茶店の占める割合が高い。特にこの中京2県の場合、1999年の総務省統計局発表データによれば、全飲食店のうち喫茶店の占める割合が、全国平均は24.3%、東京都は17.7%、喫茶店の店舗数が全国1位の大阪府でも36.1%に対し、愛知県は41.5%、岐阜県は40.4%となっており、喫茶に対する支出も愛知県は全国平均の約2倍、岐阜県は約2.5倍となっている。当然ながら数が多い分だけ競争も激しく、それらの地域ではコーヒーを頼めば菓子やピーナッツがついてくるのが半ば常識化している。常連客が多い店ではレジの近くにコーヒーチケットを保管しておくポケットが壁に設置されている。また1960年頃から豊橋市豊田市一宮市などで「モーニングサービス」と称し、コーヒー1杯分の値段で、朝の開店時刻から10時ごろまで、トーストゆで卵をつけるサービスもはじめられ、中京圏域に広まっている。

愛知や岐阜などの飲食店ではパトライトを取り付けている事があり、これは競合他店より少しでも目立たせるためだと言われている[4]

また、スターバックスドトールコーヒーといった全国規模で展開しているセルフサービスのコーヒーショップも同地域に昨今進出しているが、前述の通り、喫茶店の利用率の高さとサービス競争の熾烈さにはさすがに追随できず[5]シェアの獲得も中々ままならない状況が見られ、中には駅前の一等地に出店したはずが2年程度で撤退を余儀なくされるケースも見られる。[要出典]一方では、名古屋から全国展開を始めるチェーン店[6]もある。

関連業種

歌声喫茶ノーパン喫茶カラオケ喫茶、メイド喫茶執事喫茶漫画喫茶インターネット喫茶猫喫茶スポーツ喫茶(主に公営競技投票券ノミ行為を行う)、ポーカーゲーム喫茶ゴーゴー喫茶等は「喫茶」という言葉を含んでいるものの、「喫茶」の前に冠しているサービスが主目的であるため、それぞれの独立項目で扱う[7]

許可制度

日本において喫茶店を営業するためには、食品衛生法第51条の規定に基づき、喫茶店営業としての建物や調理場、衛生設備を含む各施設の基準を満たした上で、都道府県知事の許可(同法第52条)を得る必要がある。 ただし、食品衛生法が規定する喫茶店営業は基本的には店内で飲料以外の調理や製造をしない営業と解釈されており、百貨店などにあるジューススタンドやケーキ販売店に付随した喫茶コーナーがこれに当たる(しかし、酒類を提供する場合は調理を行わなくても飲食店営業の許可が必要である)。従って、食事類を提供する喫茶店を営業する場合は飲食店営業の許可が必要である。さらに、食品衛生法施行令第35条によって、菓子製造業(パンもここに含まれる)、乳類販売業、とは別の業種としているため、営業者は注意が必要である。また、風俗営業法に規定される風俗営業など(第1号)喫茶店(第2号)に該当する場合は警察署の許可が別に必要である(例えば、ゲーム喫茶では風俗営業8号営業の許可を必要とする)。 許可を得た施設は、食品衛生法と食品衛生法施行令により、保健所の監視または指導を受けることが定められている。

事業例

脚注

  1. ^ 総務省統計局 平成18年事業所・企業統計調査、またそれに基づくなるほど!経済センサスクイズ、及びWebm旅 47都道府県ランキング 人口1000人当りの喫茶店数 2010年8月23日閲覧
  2. ^ 平成19~21年平均の家計調査品目別データ
  3. ^ “地元喫茶店ならモーニング目当て 岐阜、愛知の利用実態”. 岐阜新聞. (2012年5月27日). http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20120527/201205270930_17141.shtml 2012年5月31日閲覧。 
  4. ^ 看板にパトライトを取り付けた喫茶店の一例(ページの中ごろの写真)
  5. ^ 喫茶店のみならず全国チェーンで展開している店舗では、他地域の系列店とのかねあいもあり、特定地域のみで地域特性を理由にサービス増加を図るのは困難であることが多い。[要出典]
  6. ^ コメダ珈琲店
  7. ^ また知的障害者施設や精神障害者施設の中でも通所型施設に喫茶を設けているところがある。しかし、これらは働くことの模擬体験や、社会復帰へのプログラムという点に重きを置いている為、あくまでも利益や利潤ではなく、利用者側の成長などに主点を置いている。よって、利用する際にも一般的には施設利用者やその家族、及び同じ法人内の関係者など、内部の人のみに開放していたり、利用の際には喫茶の趣旨を理解の上でというような但し書きがあったりなど一般の喫茶店とは一線を画して扱われることもある。

関連項目