三角江
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三角江(さんかくこう)は、河口付近に見られる地形である。英名の estuary (英語発音: [ˈɛsʧuˌɛri] エスチュエリ)をローマ字風に読んだエスチュアリーもしばしば使用されることがある。
概説
三角江は平野を流れる河川が沈水して出来た三角状の入り江である。入り江の最奥に河口が位置する形状となる。河川からの土砂供給量が少なく、河道勾配が緩やかなために、海進時に川谷の埋積が進まずに入り江が形成された。
水深が深いため天然の良港になりやすい。同様に水深の深い天然の良港が形成される例としてはリアス式海岸やフィヨルドがあるが、これらは後背地が山地であるため、多くの場合湾岸にできる集落は小規模な漁村で[1]、湾には漁港ができやすい。それに対し、三角江の場合は広大な平野が後背地となるため、大都市が形成され、湾奥や湾岸に規模の大きな貿易港が造られやすい。
三角江を形成する川の例
河口で三角江を形成している川には次のような例がある。湾岸・湾奥に大規模な港湾や都市が形成されているものに関しては、その都市名を括弧内に記す。
- 長江 (上海)
- オビ川
- ライン川 (ロッテルダム)
- テムズ川 (ロンドン)
- マージー川 (リバプール)
- エルベ川 (ハンブルク)
- セーヌ川 (ルアーブル)
- ロワール川 (ナント)
- ガロンヌ川、ジロンド川 (ボルドー)
- アマゾン川 (マカパ)
- ラプラタ川 (ブエノスアイレス・ラプラタ・モンテビデオ)
- オリノコ川
- セントローレンス川 (ケベック)
- 銭塘江 (杭州)
日本では堆積作用が強いため大規模なものはない。小規模なものとしては愛知県の境川河口部の衣浦港などがある。
脚注
関連項目