ピーマン

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ピーマン
ピーマン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナス目 Solanales
: ナス科 Solanaceae
: トウガラシ属 Capsicum
: トウガラシ C. annuum
栽培品種 : ピーマン C. annuum var. 'grossum'
学名
Capsicum annuum L. var. 'grossum'
和名
ピーマン
英名
bell pepper
ピーマンの花
さまざまな色のカラーピーマン
さまざまな色のカラーピーマン
ピーマン(Peppers, sweet, green, raw)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 84 kJ (20 kcal)
4.64 g
糖類 2.4 g
食物繊維 1.7 g
0.17 g
飽和脂肪酸 0.058 g
一価不飽和 0.008 g
多価不飽和 0.062 g
0.86 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(2%)
18 µg
(2%)
208 µg
341 µg
チアミン (B1)
(5%)
0.057 mg
リボフラビン (B2)
(2%)
0.028 mg
ナイアシン (B3)
(3%)
0.48 mg
パントテン酸 (B5)
(2%)
0.099 mg
ビタミンB6
(17%)
0.224 mg
葉酸 (B9)
(3%)
10 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(1%)
5.5 mg
ビタミンC
(97%)
80.4 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(2%)
0.37 mg
ビタミンK
(7%)
7.4 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
3 mg
カリウム
(4%)
175 mg
カルシウム
(1%)
10 mg
マグネシウム
(3%)
10 mg
リン
(3%)
20 mg
鉄分
(3%)
0.34 mg
亜鉛
(1%)
0.13 mg
マンガン
(6%)
0.122 mg
セレン
(0%)
0 µg
他の成分
水分 93.89 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ピーマンナス科一年草、およびその果実。学名はCapsicum annuum L. 'grossum' であり、トウガラシ栽培品種に分類される(' 'は栽培品種を表す)。果肉は種子以外ほとんど空洞である。

日本の店頭で食用として販売されるものは、明治初頭にアメリカから伝わったイスパニア種を品種改良した中形で緑色のものが多いが、近年はカラーピーマンも出回っている。緑色は未成熟の果実のためであり、成熟すると一般的なものは赤色のほか黄色橙色に変わるものもある。北米では大形の成熟した様々な色のものが流通する。その他に、未成熟で白色や、黒色(濃い紫色)、紫色のものもある。加熱すると緑色に変化し、熟すると橙色、赤色に変わる。英語では「Green pepper」、「Red pepper」、「Yellow pepper」などと呼ばれる。

日本語における「ピーマン」の由来は、ピメント(フランス語の「piment」あるいはスペイン語の「pimiento」(いずれも広義のトウガラシを指す)とされる。明治期では西洋とうがらし、甘とうがらしとも。英語では「Green pepper」、「Bell pepper」、「Sweet pepper」など。[1][2][3]

栽培

ピーマン自体はトウガラシの品種の一つであり、果実は肉厚でカプサイシンを含まない。カラーピーマンも未熟果では緑色などであるが、成熟すると赤色、橙色、黄色などに変化する。

ピーマンの一種アナスタシア(フルーツピーマン)の販売されているものにも緑色のほかに、赤色、黄色、橙色、黒色(紫色)など様々な色のものが存在する。

日本でパプリカと呼ばれる品種は、肉厚で果実の部屋数が3-4に分かれた綺麗なベル形の品種である。

高温を好み、多湿と乾燥には弱い。このため日本では冬から春にかけての時期はハウス栽培が行われている。これらの栽培は日本でも温暖な気候となっている宮崎県と高知県で特に盛んに行われ、日本国内で冬から春に出回るピーマンは両県産のものが多い。

日本では5月頃に植え付けされ7月から10月頃にかけて収穫されるのが一般的である。生産量の日本一は茨城県(2006年)。他に宮崎県高知県鹿児島県岩手県福島県などが主な産地として知られる。

日本で栽培される品種

大型
カルフォルニアワンダー, ラージベル
中型
獅子, 京波, ちぐさ

食材

種以外の周りの果肉を食する。カラーピーマンの様に、成熟した果肉には甘みがある一方、未成熟の果肉には、独特の青臭い風味と苦味がある。特に子供はこの味を好まないことが多く、ニンジングリーンピースなどと共に子供が嫌いな食材の筆頭に挙げられることも多い。1970年代後半には、1960年代に子供が好きだった物を並べた「巨人・大鵬・卵焼き」をもじって、嫌われ者の代表として「江川・ピーマン・北の湖」という言葉が生まれたほどである[4]。この青臭さは、火を加えることにより軽減される。また苦味は、味覚の敏感な幼少期に大人よりも強く感受されるため、成長するにつれ食べられるようになる子供は多い。2012年3月、タキイ種苗お茶の水女子大学との共同研究により、クェルシトリンがピーマンの苦味成分であることが解明された[5]。苦味を嫌う子供に対しては、1990年代のパプリカの普及から応用がなされるようになったほか、ハラペーニョに改良を加え辛味と苦味を和らげた「こどもピーマン」の開発がなされている[6]

ビタミンCを多く含む。ビタミン成分は緑色のときよりも熟して赤や黄色になったときの方が増加する。また、フラボノイドが含まれており、これがビタミンCの熱による破壊を軽減していると考えられている。このため、レモンよりも遥かに多くのビタミンCの摂取が可能である。家庭で保存するときには、密閉を避けて7–8°C程度の場所に置くのがよい。それよりも低温の場所に長時間置くといわゆる低温障害を起こし、果肉の張りが失われる。

日本の一般家庭で広く普及したのは、第二次世界大戦後の1950年代以降である。

代表的な料理

芸術

『ごめんねピーマン』
作詞:井出隆夫、作曲:越部信義
ピーマンが嫌いな子供を主人公にした童謡。『おかあさんといっしょ』で使われているタンゴ調の楽曲。

その他

1970年代後半、「頭がピーマン」という流行語があった。ピーマンの中身が空洞であることを元に、「頭が悪い」という意味で使われた。
英語の俗語でも「bubble brain」、「bubblehead」などと呼ばれる。[7]

脚注

  1. ^ 広辞苑第5版
  2. ^ リーダーズ英和辞典第2版
  3. ^ 『旬の食材 春・夏の野菜』講談社 ISBN 4-06-270135-9
  4. ^ 「江川ピーマン北の湖」強すぎで揶揄 - 日刊スポーツ2015年11月21日
  5. ^ 「ピーマンの苦味成分」を解明”. タキイ種苗インフォメーション. 2012年5月16日閲覧。
  6. ^ こどもピーマンのひみつタキイ種苗
  7. ^ リーダーズ英和辞典第2版

外部リンク