クライムカイザー

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クライムカイザー
欧字表記 Climb Kaiser[1]
品種 サラブレッド
性別
毛色 黒鹿毛
生誕 1973年5月22日
死没 2000年9月27日(28歳没・旧表記)
ヴェンチア
クインアズマ
母の父 シーフュリュー
生国 日本の旗 日本北海道浦河町
生産者 田中牧場
馬主 (有)三登
調教師 佐藤嘉秋中山
競走成績
生涯成績 21戦5勝
獲得賞金 1億5632万2500円
勝ち鞍
八大競走 東京優駿 1976年
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クライムカイザーは、日本競走馬種牡馬。主な勝ち鞍に1976年東京優駿(日本ダービー)弥生賞京成杯

TTG3強世代の一頭で、トウショウボーイテンポイントグリーングラスの同期であった。

馬名の由来は、「Climb(上り詰める)」+「Kaiser(ドイツ皇帝の称号)」であるが、後に「犯罪皇帝 (Crime Kaiser) 」とも呼ばれるようになった。

戦績[編集]

  • 当項目内の年齢は旧表記に統一する。

3歳時[編集]

1975年6月28日佐藤嘉秋厩舎所属馬としてデビューしたクライムカイザーは3歳時は7戦2勝、条件特別戦のライラック賞でのレコード勝ちがあるものの、朝日杯3歳ステークス4着を含む重賞3連敗と不本意な成績に終わっている。

4歳時[編集]

4歳になると力をつけ、初戦の京成杯で念願の重賞初制覇を果たす。次走の東京4歳ステークスではテンポイントに半馬身遅れの2着に敗れたものの、続く弥生賞では朝日杯3歳ステークス優勝馬のボールドシンボリに2馬身差を付けて勝利した。こうして皐月賞ではテンポイント・トウショウボーイに続く3番人気での挑戦となったが、5着に終わった。日本ダービーでは、直線入口で、池上昌弘が掛ったトウショウボーイを必死に抑えるスキを突いて、一気にトウショウボーイを交わしてそのまま1馬身1/2差で下し、見事ダービー馬の栄冠に輝いた。長らく池上昌弘の失言により明かされた「寄られると怯む」というトウショウボーイの弱点を加賀武見が突いたと言われてきたが、加賀は「馬の方が『行く』って気持ちを出したから自分もその気持ちに乗って行った。(意識的には)仕掛けてない」また斜行、走路妨害と言われているのも「だって出し抜いたんだから。あのときトウショウボーイが外によれたからそう見えるだけ」と語っており、従来の定説を否定している[2]。しかし、この時の一見、強引に見えた騎乗によるダービー制覇ゆえに「犯罪皇帝」のあだ名が付いた。なお、この件は審議の対象にはならず、制裁も受けなかった。

こうしてダービー馬になったクライムカイザーであったが、以降は善戦するものの勝てなくなってしまう。ダービーから1ヶ月半後に出走した札幌記念ではグレートセイカンとトウショウボーイに続く3着、神戸新聞杯ではトウショウボーイに5馬身も差を付けられる2着に敗れ、京都新聞杯では半馬身差まで詰め寄ったものの、再びトウショウボーイの2着に敗れた。そして菊花賞ではトウショウボーイ(3枠7番)とともに単枠指定(4枠8番)となったが、グリーングラスの大駆けの前に5着に敗れた。

5歳時[編集]

5歳になってからもクライムカイザーは出走を続け、アメリカジョッキークラブカップ5着、目黒記念4着、鳴尾記念4着、天皇賞・春5着と、入着はするものの勝てなかった。そして、宝塚記念では、この年は出走馬6頭すべてが八大競走勝利馬[3]というハイレベルなメンバーが集まっていた。レースは先頭に立ったトウショウボーイに「前半超スロー・後半超ハイ」の追い込み馬には不利な展開に持ち込まれ、クライムカイザーは全くいいところなく最下位の6着と生涯初めて掲示板を外した。この後、故障を発症し、このレースを最後に引退している。

全成績は21戦5勝。生涯を通じて1度も1番人気になる事は無かったが、5番人気以下になる事もなく着順もラストランの6着以外は全て掲示板に載り「犯罪皇帝」と揶揄された割には安定した人気と戦績であった。

引退後[編集]

1979年より種牡馬として光伸牧場で供用された。毎年数頭に種付けする程度で共同通信杯4歳ステークス勝ち馬マイネルブレーブ以外には全く活躍馬を出せず、1994年に種牡馬を引退し光伸牧場の功労馬として余生を送っていた。

グリーングラスが死亡した3か月後の2000年9月、TTG全頭の死を看取る様に心臓麻痺で死亡した。享年28歳だった。

競走成績[編集]

年月日 競馬場 競走名

人気 着順 距離 タイム 騎手 着差 勝ち馬 / (2着馬)
1975 6. 28 札幌 3歳新馬 9 9 4人 3着 ダ1000m(良) 1.03.5 加賀武見 -0.5秒 キタノカイウン
7. 12 札幌 3歳新馬 5 2 2人 1着 ダ1000m(不) 1.00.0 加賀武見 1 1/4馬身 (スギノバンダ)
8. 1 札幌 ライラック賞 5 1 4人 1着 ダ1200m(良) R1.12.8 加賀武見 3/4馬身 (イナリニウドー)
8. 16 函館 オープン 8 7 2人 3着 芝1200m(良) 1.12.2 加賀武見 -0.1秒 キタノカイウン
8. 31 函館 函館3歳S 10 5 2人 4着 芝1200m(良) 1.13.2 加賀武見 -0.5秒 イナリニウドー
10. 19 東京 京成杯3歳S 7 7 4人 2着 芝1400m(不) 1.25.6 加賀武見 -0.4秒 フェアスポート
12. 7 中山 朝日杯3歳S 8 6 3人 4着 芝1600m(不) 1.39.0 加賀武見 -0.4秒 ボールドシンボリ
1976 1. 11 東京 京成杯 11 11 2人 1着 芝1600m(良) 1.36.4 加賀武見 1 1/4馬身 (クリアロハ)
2. 15 東京 東京4歳S 6 4 2人 2着 芝1800m(良) 1.49.7 加賀武見 -0.1秒 テンポイント
3. 7 中山 弥生賞 7 2 2人 1着 芝1800m(良) 1.51.2 加賀武見 2馬身 (ボールドシンボリ)
4. 25 東京 皐月賞 15 11 3人 5着 芝2000m(良) 2.02.4 加賀武見 -0.8秒 トウショウボーイ
5. 30 東京 東京優駿 27 20 4人 1着 芝2400m(良) 2.27.6 加賀武見 1 1/2馬身 (トウショウボーイ)
7. 11 札幌 札幌記念 10 5 3人 3着 ダ2000m(良) 2.04.8 加賀武見 -1.4秒 グレートセイカン
10. 3 阪神 神戸新聞杯 9 7 2人 2着 芝2000m(良) 1.59.7 加賀武見 -0.8秒 トウショウボーイ
10. 24 阪神 京都新聞杯 8 7 2人 2着 芝2000m(重) 2.02.3 加賀武見 -0.1秒 トウショウボーイ
11. 14 京都 菊花賞 21 8 2人 5着 芝3000m(重) 3.10.8 加賀武見 -0.9秒 グリーングラス
1977 1. 23 東京 AJCC 13 1 5人 5着 芝2400m(良) 2.27.4 柴田政人 -1.1秒 グリーングラス
2. 20 東京 目黒記念(春) 13 11 2人 4着 芝2500m(良) 2.34.8 柴田政人 -0.6秒 カシュウチカラ
3. 27 阪神 鳴尾記念 9 2 3人 4着 芝2400m(重) 2.33.5 橋口満朗 -0.9秒 テンポイント
4. 29 京都 天皇賞(春) 14 11 5人 5着 芝3200m(稍) 3.22.2 橋口満朗 -0.5秒 テンポイント
6. 5 阪神 宝塚記念 6 5 5人 6着 芝2200m(良) 2.15.2 橋口満朗 -2.2秒 トウショウボーイ
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。
  • 太字の競走は八大競走

血統表[編集]

クライムカイザー血統(*印は海外産の日本輸入馬) (血統表の出典)[§ 1]
父系 マンノウォー系レリック系
[§ 2]

*ヴェンチア
Venture
1957 黒鹿毛
父の父
Relic
1945 青毛
War Relic Man o'War
Friar's Carse
Bridal Colors Black Toney
Vaila
父の母
Rose o'Lynn
1944 鹿毛
Pherozshah Pharos
Mah Mahal
Rocklyn Easton
Rock Forrard

クインアズマ
1968 青毛
*シーフュリュー
Si Furieux
1957 青毛
Sicambre Prince Bio
Sif
Hell's Fury Dante
Sister Sarah
母の母
カツラアズマ
1961 黒鹿毛
Premonition Precipitation
Trial Ground
*ルーミナスサイト
Luminous Sight
Big Game
Incandescent
母系(F-No.) ルーミナスサイト(GB)系(FN:7) [§ 3]
5代内の近親交配 5代までアウトブリード [§ 4]
出典
  1. ^ [4]
  2. ^ [5]
  3. ^ [4]
  4. ^ [5]


脚注[編集]

  1. ^ クライムカイザー|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年3月19日閲覧。
  2. ^ 現役関係者コラム | 元JRA騎手・谷中公一のオフレコ厩舎日記withトークダイナマイト | 加賀武見調教師×谷中公一”. 競馬ラボ (2006年6月1日). 2014年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月14日閲覧。
  3. ^ 厳密にはこの当時は唯一無冠だった、ホクトボーイも、この年の天皇賞・秋で八大競走勝利馬の仲間入りを果たす。
  4. ^ a b 血統情報:5代血統表|クライムカイザー|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年3月19日閲覧。
  5. ^ a b クライムカイザーの血統表 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2022年3月19日閲覧。

外部リンク[編集]