ホームオートメーション
ホームオートメーション(英: Home automation)とは、個人の住宅におけるオートメーション化のこと。英語ではDomotics(ドモティクス)とも呼ばれる。
概要
[編集]大規模工場やインテリジェントビルにおける各種自動化技法(照明や室温などの「室内環境」制御、扉や窓などの「開口部」制御、防犯防火のための「セキュリティシステム」など)を住宅に適用したモノを一般的に「ファクトリーオートメーション (FA)」や「オフィスオートメーション (OA)」になぞらえ『ホームオートメーション(略称 : HA)』と呼んできた。
照明や空調の一括管理、風呂の遠隔自動給湯、セキュリティの確認以外にも、宅内映画館と言えるホームシアターの制御、観葉植物への自動散水やペットへの自動給餌などもHAに含まれ、それらを制御するための「統合リモコン」などのハンドヘルドユニット、もしくはTVやパソコン上などから制御状況を確認・指示できるユーザフレンドリーな「ユーザインタフェース (UI)」持つモノを指す。
かつてはインテリジェントハウスあるいはIT住宅とも呼ばれていたが、近年インターネットとの連携を強調したネット住宅という呼称が生まれた。最近ではそれら全てをまとめた『スマートハウス(もしくは「スマート住宅」)』という名称に変わりつつある。
新築の住宅に建築時からホームオートメーションを採用する場合、制御用の配線が壁に埋め込まれ、配線は分電盤一体のコントローラに接続され、各種制御が行われる。
標準とブリッジ
[編集]ホームオートメーションで採用されることを意図した標準規格として、INSTEON、X10、EHS (European Home Systems Protocol)、BatiBUS、EIB (European Installation Bus)、KNX、LONWORKS、AMX、Crestron、C-Bus、UPB、UPnP、ZigBee、Z-Waveなどがあり、様々な制御に利用可能である。
制御ための配線としては電力線を用いる電力線搬送通信方式や、無線信号を用いるものもあり、いくつかの媒体を定義した標準もある。既存の住宅のホームオートメーション化にあたっては、配線をどうするかが最初の障害となる。
機器によっては、USBによる制御が可能なものもあり、それをホームオートメーションのネットワークに接続することになる。このような場合、なんらかのブリッジが必要となる。ブリッジは、例えば X10 から EIB (European Installation Bus) といった標準から標準への変換を行う。
効用
[編集]最新の実装では、部屋に人がいるかどうかだけでなく、その人が誰なのかまで推定し、その人の好みに合った照明、温度、BGM、映像などを設定することができる。また、同時に曜日や時刻やその他の要因も考慮される。
その他に、省エネルギーを考慮した空調の設定をしたりできる。さらに進んだシステムでは、様々な物にRFIDタグをつけておいて、それらの使用状況をホームオートメーションの一環として把握し、買い物リストを自動作成したり、場合によっては自動的にインターネット経由で注文したりできる。
実用的なホームオートメーションの使用法として、火災が発生したときに、家全体の照明を点滅させ警告する、消防署へ自動通報するなどという使い方が考えられる。例えば、ホームシアターがホームオートメーションのシステムと接続されていれば、火災発生時にホームシアターシステムを強制的に終了し、人間に火災を知らせるということも考えられる。
システム
[編集]ホームオートメーション・システムの構成要素は次の通りである。
アーキテクチャ
[編集]ホームオートメーションの知的制御をどこで行うかによって、アーキテクチャは以下の3種類に分類される。
- 集中型アーキテクチャ
- 中心となる1つのコントローラに複数のセンサから情報が送られ、処理され、アクチュエータへの指示が生成される。
- 分散型アーキテクチャ
- センサやアクチュエータも含め、システムの各部に知的制御機能が分散配置される。このときのネットワークのトポロジーはバス型となることが多い。
- 混合型アーキテクチャ
- 分散配置されたコントローラが階層化されており、あるコントローラはある範囲のセンサやアクチュエータを受け持つが、それ以外の部分とのやり取りは上位のコントローラを経由する。
配線/通信方法
[編集]- 有線
- xDSL
- 光ファイバー
- ケーブル(同軸ケーブルとツイストペアケーブル)
- 電力線
- Cresnet
- 無線
機能
[編集]- 空調
- 温度や湿度の制御を含む空調制御
- 照明
- 使っていない照明の自動消灯、人間の動きに合わせた自動点灯(消灯)、周囲の明るさにあわせた明るさの調節などを行う。
- 採光の調節
- カーテンなどの開閉を自動化し、外光を取り入れる量を調節する。
- オーディオ
- オーディオ機器制御。複数の部屋に同じ音楽を聞けるようにするなど。
- 映像
- 映像機器制御。複数の部屋に映像信号を配信するなど。カメラつきインターホンと各種映像機器の連携など。
- セキュリティ
- セキュリティシステムの統合的制御。監視カメラや各種センサによる侵入者検知、不在の場合にも誰かが中にいるように見せかける機能、火災やガス漏れの検知、健康管理システムで住人の健康状態の異常を検知するなど。
- インターホン
- インターホンの音声を複数の部屋に配信し、住宅内のどこからでも応答可能にする。さらに、これを応用してインターネットに接続するなど。
- ロボット
- 家庭用ロボットの制御。ロボット間の通信など。
- その他
- 各種家電機器の自動制御。車庫のシャッターの自動開閉など。
関連組織
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Home Automation Open Directory Project
- IT住宅 ホームオートメーションからネットワークサービスへ 岩下繁昭(リビングアメニティ協会、ALIA NEWS Vol.89、2005年)