センサネットワーク

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センサネットワーク概念図

センサネットワーク(Wireless Sensor Networks, WSN)とは、複数のセンサ付無線端末を空間に散在させ、それらが協調して環境や物理的状況を採取することを可能とする無線ネットワークのこと。M2M/IoTで使用するコア技術である。

概要[編集]

センサネットワークの構想は戦闘地域の監視など軍事目的に端を発するが、現在は民生用途、特に省エネルギー管理、工業計装、居住環境、自然保護、健康管理、交通状況などのモニタを目的とするものが多い。搭載するセンサの種類および入力形式は電力温度湿度ガス照度、アナログ・EIA-485Modbusなど種類、形式を問わない。

センサネットワークの無線端末はノードと呼ばれ、通常1個以上のセンサ、無線チップ、マイクロプロセッサ、電源(電池など)により構成される。当初構想では粒のように小さく作り、意識されずして遍在する、というユビキタス構想を目標としていたため「モート(Mote、塵)」や「スマートダスト(賢い埃)」などの呼称で研究開発が進んだ。しかし実際には電池の容積に依存すること、塵ほど小さくする必要がない、などの理由で大きさより機能重視で開発されるものが大半となった。

センサネットワークは通常、アドホック(ad hoc)機能と、各ノードから中枢ノードへデータを送るためのルーティング機能(routing algorithm)を持つ。つまり、ノード間の通信に障害がでると別の通信経路を自律的に再構築する機能がある。ノードがグループとして連携するため分散処理の要素もある。加えて、外部から電力供給を受けずに長期間動作する機能もあり、そのために省電力機能または自己発電機能を持つ。

上記を達成するための技術として、無線、ネットワーク、MEMSセンサ、センサインターフェース、電池(または自己発電)、およびそれらの信頼性を損なわずに実働温度範囲で長期間動作させる方法など、広い裾野分野の連携が必要とされる。

用途[編集]

センサネットワークの用途は多岐にわたるが、主に監視、追跡、そして制御に集約することができる。具体例では電力や温度などのモニタ、赤外線や慣性センサによる行動モニタ、GPS/電波/音波/慣性などによる追跡などが挙げられる。多点を同時計測できるため、物理現象の分布変化を把握するのに有効である。また、屋内配線において電気機器のスイッチをセンサ・制御と見立てると、センサネットワークの使用で大幅な配線削減が可能となる。

標準プラットフォーム[編集]

研究用も含めると非常に多くのプラットフォームが存在するが、産業用としてはおよそ次に集約される。

  • TinyOS :元々米国のDARPAが主催したスマートダストプロジェクトの一つで、カリフォルニア大学バークレー校が主体となり開発したセンサネットワーク専用OS。限られたリソースで軽く動作するのが特徴で、C++に近いnesCで書かれたオープンソースである。 ハードウェアの種類は、主に大学との共同研究目的で開発されたMICA、DOT、TELOSB、IRISImote2などが、農業などの屋外監視用ではeKoが、エネルギー監視用, Modbus無線化用ではNeoMoteがある。ノード数では運用実績が多いとされ、これを理由に実運用における耐性が優れているという。また、有線シリアル通信(RS485)の無線化において、有線接続先のアドレスを読み取り、効率の良い無線通信化を行うプロトコルが開発されており、無作為なブロードキャストによる無線化と差別化している。なお2010年IBMが発表したMoteRunnerにてJAVAやC#もIRIS上で使用できるとされる。
  • ZigBee (ジグビー):家電製品や工業計装への応用を目的に ZigBee Allianceという団体が規格化するプロトコル。この規格の製品間では通信互換性を持つことを目標とするが、2008年現在、異メーカー間で通信できるZigBee量産品は殆どない。またZigBeeのバージョン間でも互換性が無い場合がある。当初ZigBeeの物理層として規格化されたIEEE802.15.4はリモコンなど他のプラットフォームにも利用されている。
  • HART :米国のHART Communication Foundationによる計装通信プロトコルで、無線通信用の規格はWireless-HARTと通称する。通信環境に応じて無線チャンネルを自動切換するので妨害電波が強い場合には有効という。
  • SP100 :ISAの無線版として同委員会が規格化を進めているデータバスプロトコル。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]