アジ

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アジ亜科 Caranginae
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: アジ科 Carangidae
亜科 : アジ亜科 Caranginae
ロウニンアジ Caranx ignobilis
アジ(mackerel, Pacific and jack, mixed species, raw)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 661 kJ (158 kcal)
0 g
糖類 0 g
食物繊維 0 g
7.89 g
飽和脂肪酸 2.247 g
一価不飽和 2.629 g
多価不飽和 1.94 g
1.564 g
20.07 g
トリプトファン 0.225 g
トレオニン 0.88 g
イソロイシン 0.925 g
ロイシン 1.631 g
リシン 1.843 g
メチオニン 0.594 g
シスチン 0.215 g
フェニルアラニン 0.783 g
チロシン 0.678 g
バリン 1.034 g
アルギニン 1.201 g
ヒスチジン 0.591 g
アラニン 1.214 g
アスパラギン酸 2.055 g
グルタミン酸 2.996 g
グリシン 0.963 g
プロリン 0.71 g
セリン 0.819 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(2%)
19 µg
(0%)
0 µg
0 µg
チアミン (B1)
(10%)
0.111 mg
リボフラビン (B2)
(35%)
0.421 mg
ナイアシン (B3)
(55%)
8.32 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.316 mg
ビタミンB6
(25%)
0.33 mg
葉酸 (B9)
(1%)
2 µg
ビタミンB12
(183%)
4.4 µg
コリン
(14%)
66.9 mg
ビタミンC
(2%)
2 mg
ビタミンD
(61%)
366 IU
ビタミンE
(7%)
1 mg
ビタミンK
(0%)
0.1 µg
ミネラル
ナトリウム
(6%)
86 mg
カリウム
(9%)
406 mg
カルシウム
(2%)
23 mg
マグネシウム
(8%)
28 mg
リン
(18%)
125 mg
鉄分
(9%)
1.16 mg
亜鉛
(7%)
0.67 mg
マンガン
(1%)
0.015 mg
セレン
(52%)
36.5 µg
他の成分
水分 70.15 g
コレステロール 47 mg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

アジ(鯵・鰺)は、スズキ目アジ科アジ亜科 Caranginae に含まれる魚の総称。日本ではその中の一種マアジ Trachurus japonicus を指すことが多いが、他にも多くの種類がある。世界各地の熱帯・温帯域で食用に漁獲されている。

形態

体側の側線上に鋭い突起をもつ稜鱗(りょうりん: Scute)が発達することでアジ科の他の亜科と区別される。稜鱗は、日本では「ぜんご」「ぜいご」という俗称で呼ばれることが多く、学術的には楯状鱗と呼ばれることもある。種類によって稜鱗の並ぶ長さや幅は異なり、同定の手がかりになる[1][2][3][4]

全長は15cmほどのミヤカミヒラアジ Alepes kleinii から、150cm以上になるロウニンアジ Caranx ignobilis まで種類によって異なる。体は著しく側扁し広葉樹の葉のような形状のものが多いが、ムロアジ属のように断面が円に近く前後に細長い紡錘形のものもいる[5]。マアジ等では同種内で二通りの体型に分かれ、その中間の体型のものも存在する。体色は、背側は鳥類など上方からの捕食者を撹乱するために暗い色、腹側は大型肉食魚のような下方からの捕食者を撹乱するために明るい色になっている。しかし、瀬付きやあまり回遊しない個体には背側も明るい色になっている個体もいる。

生態

全世界の熱帯・温帯海域に多くの種類が知られ、日本でも南西諸島沿岸でインド太平洋産の種類が多く見られる。カッポレ Caranx lugubris は全世界の熱帯・亜熱帯海域に分布する汎世界種である。マアジは日本では馴染み深い魚種だが、その分布は北海道から南シナ海までとあまり広くない。

生息域は種類や地域個体群によって異なり、沿岸の岩礁・サンゴ礁域に居付くもの、砂泥底周辺に生息するもの、沖合いを回遊するもの等がいる。また幼魚期には汽水域や淡水域に入るものもいる。一般に遊泳力は高く、動きは素早い。食性は肉食性で、小魚・甲殻類・貝類・頭足類等の小動物を捕食する[3][5]。敵は人間の他にもサメ類、マグロ類、ブリ類、カジキ類等の大型肉食魚がいる。

利用

世界各地で釣り定置網底引き網等の沿岸漁業で漁獲され、食用に利用されている。身質はピンク色で脂も乗っており、赤身と白身の味を併せ持つ。ただしギンガメアジ属等でシガテラ中毒も報告されているので、サンゴ礁域で漁獲された大型個体は食べないように注意が呼びかけられている。

日本ではマアジが重要な食用魚となっており、様々な加工品や料理が作られる。日本の朝食にはアジの干物がつき物であるように、食生活に古くから深い関わりがある。その他にもムロアジは鯵節やくさやの原料となるし、関東地方以南の南日本ではカイワリギンガメアジ等扁平な体型をしたアジ類を「ヒラアジ」「メッキ」等と称して煮魚から揚げ等の総菜に用いている。またマアジの居付き型やシマアジは高級食材として利用される[1][6]

釣り方

アジ類の釣りは、日本では主にからにかけて行われる。マアジなどの小型種は釣りの入門魚としても親しまれ、胴突きのサビキを用いたファミリーフィッシングも盛んに行われている。防波堤釣りでも船釣りでも比較的釣りやすく、親しまれている対象魚の一つだが、大物に狙いをつけた釣りも行われる。外道にイワシサバカワハギブリサヨリ等が掛かることもある。また、ルアーフィッシングの対象魚にされることもある。なお、釣ったアジを餌にブリ類等の大型肉食魚を狙うこともある。

日本の2002年度アジ類陸揚量

第1位 - 境漁港鳥取県
第2位 - 長崎漁港長崎県
第3位 - 枕崎漁港鹿児島県
第4位 - 銚子漁港千葉県
第5位 - 浜田漁港島根県

語源

日本語の「アジ」は味が良いことに由来するといわれる[7]。「魚」に「参」と書く漢字が当てられるが、この由来は諸説あり、「ソウ(魚偏に「喿」)」の字の写し間違いであるとする説[7]、「おいしくて参ってしまう」の意であるとする説、最も美味の季節が旧暦の3月に当たるので旁に数字の「参」が使われたとする説などがある。

関連項目

参考文献

  1. ^ a b 蒲原稔治著・岡村収補訂『エコロン自然シリーズ 魚』1966年初版・1996年改訂 保育社 ISBN 4586321091
  2. ^ 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』1985年初版・1998年改訂版 旺文社 ISBN 4010724242
  3. ^ a b 岡村収・尼岡邦夫監修『山渓カラー名鑑 日本の海水魚』(アジ科解説 : 木村清志)1997年 ISBN 4635090272
  4. ^ 岩井保『魚学入門』2005年 恒星社厚生閣 ISBN 4769910126
  5. ^ a b FAMILY Details for Carangidae - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2009. FishBase. World Wide Web electronic publication. version (11/2009)
  6. ^ 石川皓章『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』2004年 永岡書店 ISBN 4522213727
  7. ^ a b フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.45 1988年 永岡書店
  • 江戸家魚八 『魚へん漢字講座』 新潮文庫 ISBN 4-10-116061-9 2004年刊行 p.35-p.37