酸化カリウム

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酸化カリウム
識別情報
CAS登録番号 12136-45-7
特性
化学式 K2O
モル質量 94.196 g/mol
外観 無色結晶または灰色固体
密度 2.35 g/cm3
融点

>490 ℃(350℃で過酸化カリウムとカリウムに分解)

沸点

分解

への溶解度 水と反応して水酸化カリウムになる
構造
結晶構造 立方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −361.5 kJ mol−1[1]
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陽イオン 酸化セシウム;酸化ルビジウム;酸化ナトリウム;酸化リチウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化カリウム(さんかカリウム、potassium oxide)はカリウム酸化物で、化学式 K2O化合物

生成[編集]

  1. 硝酸カリウムと金属カリウムを熱することで得られる[2]
  2. 金属カリウムを少量の空気と反応させ、過剰の未反応の金属カリウムを蒸留により除いて合成する[3]

化学的性質[編集]

結晶固体は立方晶系に属し、逆蛍石型構造をとり、フッ化カルシウムカルシウムイオンの位置に酸化物イオン、フッ化物イオンの位置にカリウムイオンが配置する。その格子定数はa = 6.436Åである[4]。室温では白色固体であるが、加熱時は黄色を呈する[3]

に入れると高熱を発して水酸化カリウムとなって溶ける。空気中の水にも反応するので危険である。ΔH = −317.4 kJ mol−1[1].

岩石の組成表示[編集]

岩石の組成は一般的に酸化物の形で表示されるが、K2Oと表示されていても酸化カリウムとして含まれるわけではなく、正長石 KAlSi3O8などケイ酸塩として含まれる。例えば花崗岩の組成としてK2O 4.5%と表示されていれば[5]、これは約26.6%の正長石成分を含んでいると計算される。

カリ肥料の成分表示も同様で、成分が炭酸カリウムあるいは硫酸カリウムであってもカリウム分をK2Oに換算して表示する。

参考文献[編集]

  1. ^ a b D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  3. ^ a b 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1976年
  4. ^ 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年
  5. ^ J. Phillips et al.,1981.