Flash SSD
Flash SSD (フラッシュエスエスディー、Flash Solid State Drive)とは、半導体メモリであるフラッシュメモリを使用したソリッドステートドライブ(SSD)であり、補助記憶装置の一種である。
Flash SSDの普及により、単にSSDと略して呼ばれることも多いが、厳密にはFlash SSDという、SSD(ソリッドステートドライブ)の一分類である。
Flash SSDはハードディスクドライブ(HDD)の機能をエミュレートする仕様であり、HDDと同等のインターフェイス(パラレルATA / シリアルATA)を持つ。デバイス内には、フラッシュメモリの他、専用のコントローラーなどが組み込まれ、利用上はHDDと大差はない。
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[編集] 特徴
2011年現在HDDと比較して、容量単価は依然として高いが、ランダムアクセス時の読み出し性能に優れ、これを多用するOSやアプリケーションソフトウェアの起動や、データへのアクセスのスループット向上が期待できる。
RAMディスクなどのSSDでは、バックアップ電源を持たないと電源の切断によって記憶内容が消えてしまう事が多い揮発性メモリだが、Flash SSDはフラッシュメモリを使用する不揮発性メモリである。電源切断後も内容を長期にわたり保持できる。また既存のHDDに比べ消費電力が低く、発熱が少なく耐衝撃性に優れ、小型で、動作音も発生しないので、モバイル用途に向いており、デスクトップパソコンに先んじてノートパソコンでの採用例が多い。
高スループットと低消費電力という利点のため、データセンターではHDDに替わって、サーバ機に採用されつつある。また、デスクトップPCのシステムドライブへの利用も、エンスージアスト(要するにPCマニア)を中心に広まり、近年は一般への普及価格帯に迫りつつある。[1]
インターフェイスは、IDEやシリアルATAのほか、ZIF、LIF[2]、USB、PCI Expressに対応したものもある。
少数例ながら、カーナビやビデオカメラ、PNDでもFlash SSDが使われ始めている[出典 1]。
2010年2月、MarvellよりS-ATA 3.0(6.0Gbps)接続に対応したSSDコントローラーチップが公開され、同年3月マイクロン・テクノロジからCrucialブランド製品としてS-ATA 3.0(6.0Gbps)接続対応のRealSSD C300が発売された。シーケンシャルリード時に355MB/sec(公称値)を出し、S-ATA 2.0(3.0Gbps)の理論速度上限である300MB/secを超越している[出典 2]。
[編集] 構成
Flash SSDは以下の部品によって構成される。
- コントローラチップ
フラッシュメモリチップと接続端子の間で読み書きを制御する、Flash SSDの性能と寿命を左右する重要な集積回路。特にウェアレベリング(書き込み分散処理)と不良ブロック処理はFlash SSD用コントローラ特有の機能である。読み書き速度や書き換え回数の上限は、ファームウェアを含むコントローラチップの仕様で決まるため、チップベンダーやチップの型番が明記される事が多い。圧縮書き込み機能や暗号化機能を持つものもある。
- フラッシュメモリチップ
通常は複数個のメモリチップが使用され、データを記憶する。コントローラチップとフラッシュメモリチップのダイの仕様が同じであれば、他の要因でボトルネックに達するまでは、同時にアクセス出来るダイの実装数が多い大容量製品でより書き込み速度が高くなる。
- キャッシュメモリ
キャッシュメモリには128Mバイト程度のDRAMを使用することが多く、読み書きの高速化に寄与する。記憶素子は読み出し動作によって保持していた情報が消える破壊記憶であるため、部分的な書き込み時には対象となるブロック全体を一時的に保持するのに使用される。また、1つのブロックに対する複数の細かな書き込み要求ではフラッシュメモリに書き込まずにキャッシュメモリに蓄えておき、ある程度まとめてから1度に書き込むことで、書き込み可能回数の実質的な向上を行なうのにも使用される。
廉価帯の製品ではキャッシュメモリが省略されているものがある。
- 回路基板、接続端子、パッケージ
回路基板によって配線と部品の保持がなされ、外部とは接続端子によって電源を受けて情報信号をやり取りする。パッケージが全体を保護・支持するが内蔵型のものではパッケージを持たないものもある。Flash SSDを含めてSSDの大きさに関する標準規格はないが、1.8インチや2.5インチといった小型HDDの形状に対応したマウント部を持つパッケージが存在する[出典 1]。
[編集] 記憶素子による分類
2009年現在、SSD内部の記憶用半導体素子には大記憶容量が比較的容易に得られるNAND型フラッシュメモリが使用されており、この記憶素子は次の2種類に大別される。
- SLC型(Single Level Cell)
- MLC型(Multi Level Cell)多値 NAND
これらは記憶素子内の蓄積電荷量、つまり、電位の検出区分に違いがある。
[編集] SLC型
SLC型は1つの記録素子に1ビットのデータを保持する。
蓄積電荷量の検出を "Hi/Low" の2値で判断するため、記録素子の劣化やノイズといった多少の蓄積電荷量のバラツキは問題とならない。
- 書き換え可能な上限回数が多い
- データ保持期間が比較的長い
SLC型はその書き込み速度と書き換え可能な上限回数が大きいことにより、サーバ向け[出典 3][出典 4]や産業用の組み込み装置など、信頼性や保守頻度の低減を優先し、コスト高がある程度許容される用途で普及している。
[編集] MLC型
MLC型は1つの記録素子に2ビット以上のデータを保持する。多値 NAND という。
蓄積電荷量の検出を"Hi/Low"だけでなく、2つの間にいくつかの中間値を設定して、4値や8値、16値といった多値で判断する。記録素子の劣化やノイズによって少しでも蓄積電荷量に変動が生じると、保持していたデータは誤りとなる。その場合、フラッシュメモリ回路やコントローラ内の誤り検出訂正回路によって自動的に正しいデータに修正される(エラー訂正)。一般的にMLC型の記録素子は、エラー訂正機能との併用が必須となり、SLC型と比べ多くの冗長エリアが必要となる。またこれらのエラー状況を監視する事により、「メモリーブロック不良」が検出され、代替メモリーブロックに切り替えられる。
MLC型はSLC型と比べて書き換え可能な回数とデータ保持期間で劣るが、1セルあたりの記憶容量が倍増(4値の場合)する。同じセル数(体積)であれば大容量化が、同じ容量ならば低価格化(少セル化・小型化)が可能となり、大容量製品を安価に提供することが可能となる。長期間の使用や高信頼性を求めず、主に価格や小型化を重視する製品に用いられる。そのため、出荷数や採用数ではSLC型を上回っており、デジタルビデオカメラや個人用PCなどの民生用途では今後もMLC型が普及していくものと見込まれている。
[編集] その他の型
SLCとMLCを混用した製品も存在する。
[編集] SSDの用途
[編集] 適したもの
データの読み出しが中心で、書き込みをほとんど行わないものでは、フラッシュメモリの欠点である書き換え可能回数の少なさが緩和される。例えば、プログラムファイルは一度インストールされると、アップデート機能で新たなファイルが上書きされるまで、読み出しのみとなる。同様に、編集などによる再保存を行わないデータも、読み出しが中心となる。 小さなファイルの読み出し、たくさんのファイルの先頭部分の読み出し 小さなファイルの高速読み出しやインデックスなどの作成で、たくさんのファイルにアクセスするときにアクセス速度が重要になる場合もあるが、フラッシュメモリとHDDの比較では、フラッシュメモリにはシーク時間が存在しないことの速さ(HDDのシークの遅さ)が読み出し速度の遅さを相殺する。 身近な例 典型的なものでは、音楽データファイルを格納するデジタルオーディオプレーヤーのフラッシュストレージがある。データを一度保存すると、あとは読み出しが中心となり、再生には高速な読み出し速度を必要としない。またストレージ容量の大容量化が進むにつれて、繰り返し古いデータを削除して新しいデータを入れるといった操作の頻度も低下し、欠点(書き込み耐性の低さ)が現れにくくなる。
[編集] 適さないもの
上記とは反対の性質をもつものが適さない。読み書きの対称性では、例えば繰り返し更新を行うデータベースのデータファイルや、書き込みが繰り返し行われるキャッシュファイル、用途によっては大量に作成されるテンポラリファイルなどがある。キャッシュファイルやテンポラリファイルについては、これらを使用しないオンメモリのシステムやソフトを用いることで対処できる。
データの読み書き速度では、大容量のファイルの保存や読み出しを短時間あるいは頻繁に行う用途、例えば、100MB単位の大容量の音声データ(WAVなど)や映像・画像などのデータ編集には向いていない。
このように、データの再生や数MB程度の小規模なファイルの出し入れが中心の使い方か、データベースやワークステーション的な使い方が中心かによって向き不向きがある。
[編集] HDDとの比較
HDDに対する強みは、主にモーターやアームといった機構部品による可動部を持たないことにある。
SSDの短所は、HDDに比べて記憶容量あたりの単価が高く、記憶素子の書き換え回数に上限があることである。HDDと同様の使用方法のままでは、比較的早期に書き換え可能回数の上限を越えてしまい、やがては内部の記憶素子の劣化が進行することで記憶情報の保持が出来なくなる。
2009年秋現在、SSDは同サイズ・同容量のHDDと比較して数倍の価格で販売されているが、これらの差は徐々に縮まりつつある。
書き換え回数の制限も、特定の記憶素子に書き換えが集中しないように分散化させるウェアレベリングや、短時間での頻繁な書き換えを避けるためのキャッシュメモリの併用、既に不良回避のために存在する冗長記憶領域とは別に、書き換え回数制限の回避を目的とした広い冗長記憶領域の確保によって改善できる。
また、一般的にSSDで用いられるフラッシュメモリチップの転送速度はHDDよりも劣っている。ただしSSD内部には複数個のフラッシュメモリチップを搭載することができ、それらを専用IC等を用いて並列動作させることで、HDDと同等、あるいはそれ以上の性能が確保されている。転送速度は急速に高まりつつあり[3]、さらに、HDDとフラッシュメモリの双方の長所を取り入れようと、これらを組み合わせたハイブリッドHDDも開発され、実用化されている。
[編集] 利点・欠点
Flash SSDはHDDに比べ以下の利点・欠点がある。
- 利点
- 欠点
-
- 重量あたりの記憶容量が少ない。
- ハードディスクは、ドライブの故障時にデータを救出する方法が確立されており、コストを度外視すれば、完全にデータを失うような故障はまれであるのに対し、コントローラーチップによってデータの分散方法が異なるSSDは、故障時のデータ救出はまず不可能であるため、極めて重要なデータの保存には注意が必要である。
[編集] HDDとの棲み分け
同様にHDDにも用途により向き不向きがある。大きなサイズのファイルの連続読み書きにすぐれる大型の3.5インチ HDDはデスクトップパソコンなど据え置きの大型機器にしか搭載できず、近年広く普及しているノートパソコンに使用できない。小型HDDになると連続読み書きの性能は低下し、1.8インチHDDになるとフラッシュメモリが上回るようになる。また、放熱や消費電力の大きいHDDはノートパソコンやモバイルパソコンには適さない。このように、読み書き性能や大容量を重視するか、使い勝手やモバイル性能など他の要素を重視するかは、用途によって変わってくる。
[編集] ランダムライト性能
シーケンシャルリードの性能が広告用のベンチマーク結果としてよく出されるが、ランダムライトの性能にも注意を払う必要がある。HD Tune Proなどの、ベンチマークソフトのランダムアクセスのWriteの値でそれがわかる。種類によって極端な差が開いており、512バイト書き込みのIOPS(1秒あたりに処理できるリード/ライト命令数)でみて、1桁から、1万以上までと、数千倍の速度差が開いている。JMicronのJMF602を搭載した機種の性能が著しく悪い。
7200rpmのHDDは1秒間に120回転しており、ランダムアクセスは120 IOPSが限界となり、加えてヘッドの移動時間があるので、これよりも小さな数字になる。つまり、512バイトのランダムライトが100 IOPSを下回るSSDはハードディスクよりもランダムライトが遅い可能性がある。
フロッピーディスクは300 - 360rpmであり、1秒間に5、6回転している。ランダムライトのIOPSが一桁ということは、フロッピーディスク並みであることを意味している。
[編集] トラブル
[編集] プチフリーズ問題
ヘビーユーザーの間では、一般に「プチフリ」と言われているトラブル問題。2008年7月頃よりJMicron製コントローラーチップ「JMF602」を搭載したSSD製品においてWindowsの動作が一時的(プチ)に止まる(フリーズ)という問題がネットにおいて多数報告されるようになった。[10]当初はMLC-NANDのSSD全体の問題と考えられていたが他社コントローラICでは報告が上がっていないため、現在ではJMF602における不具合であり、製品レベルの問題と考えられている。ランダム書き込みのIOPS(1秒間に読み込み・書き込み処理できる回数)がフロッピーディスク並みに低く、このランダム書き込みの性能の悪さに原因がある。
発生時の共通項は
- JMicron製コントローラーチップ「JMF602」を使用している製品である(ただし他の製品がプチフリを起こさないというわけではない)
- 読み書きが混在して集中した場合
の2点である。原因は問題のコントローラICあるいはその制御ファームウェアであり、読み書きが混在して集中した場合、処理速度が極端に低下、あるいはICそのものが一時的に無反応に陥り、現象が発生すると推測されている。2008年10月現在、ユーザーレベルでの様々な回避方法は報告されているものの、製品レベルでの根本的な解決には至っていない。
更に、この問題は大量の読み書きが同時に発生した場合において特に表面化するという特性があり、その関係からかPC環境によっては発生しない(表面化しない)場合がある。
また、発売元が提供する各種ソフト(例えばバッファローのターボSSDやI-O DATAのマッハドライブなど)や、マイクロソフトが提供するEnhanced Write Filterなどを導入することにより、ある程度軽減することができる。
原因は、ランダム書き込みの性能にあり、HD Tune Pro などのベンチマークソフトのランダム書き込みのIOPS値を見ることでこの問題を抱えているかどうかがわかる。しかし、広く用いられている評価用の各種ベンチマークソフトでもこの問題が起こるかを把握することは難しい。これは純粋な性能評価を目的としているため、読み込みと書き込みを個別に測定するものが多いのが原因である。さらに、このような条件を測定できるベンチマークソフト自体の絶対数が少ないという実情がある。上記のような背景から、この問題が起こりうるかは十分把握されていないことが多い。
こうしたことから、SSD製造メーカーではプチフリーズが発生しないとされる SAMSUNG、SandForce、Marvell、INDILINX製SSDコントローラチップを採用して、この問題に対応している。また、JMicron製「JMF602」の後継製品である「JMF612」においては、プチフリーズ問題は改善されており発生しないとされる。
[編集] 長期使用に伴う性能低下の問題
現在、SSD長期使用者や多頻度利用者(容量一杯まで書き込みを行うなど)から、書き込み性能が購入時よりも低下したという報告が多数上がっている。
原因はまだはっきりとは分かっていないが、有力な説として以下がある。
「データを削除して空き領域となった所に再度書き込みが行われる際、データの消去処理などが追加で実行されている可能性が高い。」
SSDは購入当初は書き込みの際、消去済みの初期化ブロックに対して"書き込み"だけをするため処理は速い。 しかし、HDDを想定した一般的なファイルシステムにおいては、書き込まれたデータを削除して空き領域とする場合、ディスクの管理情報を書き換えることでデータをOSから見えなくするだけであって、実際にはデータそのものは消去されず、空き領域にそのまま残ることになる。 SSDを使用し続けることでこのような「データが残っている空き領域」が増加していくが、これらの領域はSSD側で一定の時点で消去されることはなく、そこへの新しいデータの書き込み命令があった時に初めて消去される。
つまり、只の書き込みの度に “古いデータの消去 + 新しいデータの書き込み” のような二つ以上の処理を必要とするため速度が低下する。ということである。(尚、消去処理は、書き込み処理より約100倍ほど時間がかかる。) さらに、"Flash"という名前の由来でもある「消去を一括に広範囲で行う」という特性上、本来消す必要の無い領域まで余計に消去してしまうため、その領域については元の値を書き戻すステップが必要となってしまう。NAND Flashの一般的な仕様の一つである「読み書きは2kB単位、消去は256kB単位」というシステムを例にとると、たった1ビットの値を書き換えるだけでも最悪のケースでは128回の読み込みと1回の消去、そして128回の書き戻し動作が行われる。
[編集] OS側からの扱いと対応
現在、一般的なOSからは「HDD」として扱われることが多い。OSがHDD用の処理をSSDに適用する結果、ハード特性の違いから寿命が短くなったり不都合を生じることがある[11]。逆に、SSD向けに望ましい機能がOSでサポートされていない場合がある[12]。
既にOpenSolarisなど一部のOSでは、SSDに対応したファイルシステムが提供されつつある。[出典 5]
Linuxカーネル2.6.28 からはウェアレベリングなどのサポートが改善され、素子の寿命をできるだけ延ばすなどの対策がとられている。[出典 6]
Windows 7からはHDDとは別種の記憶装置「SSD」として扱われ、デフラグメンテーションの除外とウエアレベリングをサポートしている[出典 7]。
[編集] 展望
[編集] コストと信頼性
Flash SSDは2009年現在では市場に受け入れられ、普及期に入っている。登場当初の性能や品質重視の製品ばかりでなく、今後は購入者の低価格志向に対応したコスト重視の製品販売が企画されており、一部では過度の品質低下を危ぶむ声がある。そういった製品が一般向け市場で販売されて今後問題となるか不明であるが、いずれにしてもFlash SSD製品は「コスト重視」のものと「品質・信頼性重視」のものとに2極化してゆくと予想されている[出典 1]。
- コスト重視型
Flash SSDのコストの約80%を占めるNAND型フラッシュメモリ半導体が安価に大容量化出来れば、販売価格は安く出来る。現状のSLC型を4値による2ビット/セルのMLC型にするだけでなく、既に8値による3ビット/セルのMLC型が検討されており、また、プロセスルールの微細化によって大容量化が図られている。多値化や微細化によって書き換え回数が減少するが、周辺技術でカバーし切れるのかという問題がある[13]また、フラッシュメモリ半導体が元々データ保持時間が有限であり、セルの微細化はそのままこの時間短縮となって現れる。HDDのように機構部品の寿命を除けば半永久的な情報保持原理のものと同じ感覚で扱うと、書き換え回数が少ない読み出し専用であっても2-3年程、早ければ1年も放置すればデータは失われてしまう[14]。 解決方法として通電時にコントローラで時間経過情報を参照し再書き込みを行うなどが考えられており、一部メーカで部分的に実装している。[出典 8] また、新しい低コスト化及び容量増加の手法としてとNAND素子の3次元セル積層技術が注目されている。[出典 9]
2009年現在、フラッシュメモリを使ったUSBメモリでは使い捨て的な製品が検討されている[15]。しかし、データが消えては困るユーザ向けや、安価ではない機器内に固定して使用されるFlash SSDでは、このような使い捨てを前提にはできない。逆に、安価な使い捨て型のUSBメモリ類と競合して行かねばならない[出典 1]。
- 品質・信頼性重視型
低廉化よりも品質や信頼性、そして長寿命化を重視する製品では、以下のような手法によってこれらの実現を求める。
- SLCの使用
- キャッシュメモリの併用とバックアップ用キャパシタの搭載、又はキャッシュ用にFeRAMやMRAM、PRAMを使用する
- フラッシュメモリの冗長領域の広いものを使用する、又は冗長領域用にフラッシュメモリを追加する
- 使用半導体に長時間のバーンインを行い、出荷前に特性の悪いものを排除する
- SSDの寿命をユーザーが見積もれるツールを提供する
- 誤り訂正(ECC)の多ビット化
- 書き込みと消去の電圧を下げる[16]ことでトンネル絶縁膜の劣化を抑え、1素子当り100万回の書き換え可能なNANDフラッシュメモリチップを使う[17][出典 1]
[編集] HDDの代替
HDDとの価格差は年々減少しており、100Gバイト程度のFlash SSDを搭載したノートパソコンも2009年現在いくつか販売されている。2009年3月時点ではHDDとFlash SSDの部品単価の差は4倍程度であるが[18]、2011年3月頃には200Gバイト製品で75米ドル程度まで価格低減出来る技術的なめどがついている。上手く行けばそれ以降もさらに価格が低下して、2012年3月頃には400Gバイトで75米ドル程度に出来る現実的な可能性があり、そうなればノートパソコンの多くがHDDの代わりにFlash SSDを搭載してもおかしくはない。
HDDメーカーもFlash SSDの登場に対応した動きを見せている。2008年11月には、日立グローバルストレージテクノロジーズ社(HGST)がフラッシュメモリのメーカーでもある米インテル社とサーバー機向けのFlash SSDの共同開発に関して提携した。また、HDD業界2位の米ウェスタン・デジタル社がSSDメーカーである米SilionSystems, Incを2009年3月に買収した[出典 1]。
マイクロソフト社がWindows 7を発売、更にBDレコーダーが急速に普及して以降、HDDは大容量にも対応するSATAインターフェース搭載の機種に収斂され、IDEインターフェース搭載の機種は姿を消しつつある。日本のバッファロー社は、こうした問題に対処するため独自に技術を開発、IDEインターフェース搭載の2.5インチHDDと同じサイズ・形状の容器に収めることに成功し、商品化している。[19]
[編集] 高集積化
HDDのような機構部品を持たず、半導体のみにより構成されるFlash SSDは、高集積化の技術的余地が大きく、今後の市場の要求次第では極めて高集積度の不揮発性の記憶装置が作られる可能性がある[20] 現在、3次元セル積層技術が有望な技術として注目されている。 [21][出典 1][出典 9]。
[編集] 標準化
上述の通り、Flash SSDはHDDとは明確に異なる動作原理を有し、その特性もHDDとは大きく異なる。このため、形状・耐久性から制御コマンドに至る広範な規格の標準化が求められている。
アメリカの工業化規格団体のひとつであるJEDECは、2007年より小委員会においてSSDの標準化作業を開始し、2010年9月に「SSDが要求される機能および耐久性試験の方法に関する規格」(JESD218)と「耐久性試験を行う際にかかる負荷に関する規格」(JESD219)を策定した。標準化作業は現在も進行中である。
また、OSとSSD間の通信に用いるコマンドセットなどのインターフェースに関しては、2008年4月にIntelがマイクロソフトやデルと共同で「不揮発性メモリ ホストコントローラインターフェース規格」(NVMHCI Spec. Rev 1.0)を発表している。
[編集] その他
連続読み書き速度の比較においては、SSDは最新型のHDDを大きく上回る速度を既に実現している[出典 10]。ランダム書込み(特に小ファイル)の速度については、2008年に広まりを見せたJMicron製コントローラチップ「JMF602」搭載のSSDはHDDよりも遅かった。しかしながら、2009年に発売されたIndilinxやIntel製のコントローラチップを搭載したSSDでは、内部に大容量のキャッシュメモリ(DRAM)を搭載することで、小ファイルの書き込み時の内部遅延を隠蔽しHDDよりもはるかにランダム書込みが高速な製品がある。
書き込み耐性が低いと見られることもあるが、ウェアレベリング(書き込み分散化技術)やキャッシュメモリの搭載などの緩和策によって、毎日50GBの書き込みを行った場合でSLC搭載製品では20年以上、MLC搭載製品で4年以上の寿命があるとメーカーは主張している[出典 11][出典 12]。
[編集] 脚注
[編集] 注釈
- ^ ただし、一般のメーカー製デスクトップPCへの採用はまだ少数である。
- ^ ZIF、LIFどちらも主に1.8インチHDDのリプレイス用
- ^ たとえば2009年の第二四半期の東芝製SSDでは、読み出しが200MB/s、書き込みが240MB/sで、HDDの約5倍となっており、初期の製品が発表されてからわずか半年あまりで、それぞれ2倍・3倍の性能向上を果たしている。
- ^ 振動については、1500Gまで対応している製品もある。
- ^ 産業用では動作温度-60℃〜95℃まで対応している製品もある。
- ^ コントローラチップでの誤り訂正(Wiki:誤り訂正)や予備領域の確保,ブロックの無効化などの技術でかなり改善されている。
- ^ 特にキャッシュを持たないもので顕著となり、従来のデフラグでは改善できないため、Windows 7の TrimやSSDメーカーのファームウェアで対応する
- ^ 2010年9月現在、市販されている2.5インチHDDの最大容量は1TB(12.5mm厚の場合。9.5mm厚なら750GB)で販売価格は9,000円以下であるのに対し、SSDの最大容量品は256GB(MLCタイプ)で価格は5-8万円程度である。
- ^ 近年対応が進んでいる。問題の詳細などはOS側からの扱いと対応の項目参照。
- ^ 最新SSD完全解説 | SSD完全攻略マニュアル | DOS/V POWER REPORT
- ^ Windows VistaではHDDのための自動デフラグメンテーション機能が働くため、使用には注意が必要である。放置すると無用な書き換え処理によって使用期間がかなり短くなる。
- ^ ウエアレベリングや不良ブロック処理のようなSSD特有の処理や、HDDでは当たり前の不良ブロックの排除のようなSSDでも有益なサービスもOSではサポートされず、SSD側でのコントローラ回路やキャッシュ回路、サポートドライバソフトウェアによって実現されているためにコスト高になり、また無用な書き換え動作が行なわれている可能性がある。ページサイズとブロックサイズの違いによる元々のフラッシュメモリの不便さに加えて、ページサイズ(4K-8Kバイトなど)とOSのセクタサイズ(512バイトなど)の違いによるムダも存在する。HDDに対するキャッシュ内データの書き込みを明示的に指示する"Flash Cash Commmand"も頻繁に出されるために書き込み回数をムダに消費する。
- ^ 例えば、90nmのSLC型では書き換え可能回数は10万回程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では2万回以下に、MLC型40nm世代や2009年-2010年から量産が始まる予定の30nm世代では1万回以下(3,000回という予測もある)にまでなる。
- ^ 例えば、90nmのSLC型ではデータ保持時間が10年弱程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では5年前後に、MLC型40nm世代では2年前後、MLC型30nm世代では1年程になる。
- ^ 安価な携帯型音楽プレーヤーやUSBメモリ、メモリカードにFlash SSDではない形態でNAND型フラッシュメモリを使う用途では、超多値品と呼ばれる3ビット/セル以上のMLC型の採用が予定されている。例えば2009年現在市販されている3ビット/セルのMLC型では書き換え回数の上限が数百回となる。これらのものは低価格でありさえすれば、書き換え上限を越えて使用出来なくなれば新たに買い換えれば済む使用法が考えられるからである。
- ^ 2009年現在、通常の書き込み電圧は18V程度である。これを下げるには書き込み時間を長くする必要があり、記憶素子としての性能が犠牲になる。
- ^ 今までのNANDフラッシュメモリ素子と異なり、強誘電体ゲート電界効果トランジスタ(FeFET)を使用したNANDフラッシュであるFe-NAND素子を使用することで1億回の書き換え回数を実現するという考えもある。
- ^ 例えば、2009年3月時点での2.5インチHDD(160GB品)とNAND型フラッシュメモリ(160GB)は1Gバイト当りそれぞれ約4.1米ドルと約1.25米ドルと3.3倍程度である。Flash SSDではこれに周辺回路等が必要となりほぼ4倍程度の価格差になる。
- ^ 参照外部リンク
- ^ Flash SSDだけに限らず、MRAMやFeRAM、ReRAMのような半導体型記憶装置すべてに今後の高集積度化の可能性があるが、NAND型フラッシュメモリは既に製品化されていて記憶容量の集積密度も遜色がないという点で他よりは比較的現実性が高いと考えられる。
- ^ 例えば東芝は実装面積が18mm×14mmの128GバイトFlash SSDを試作した。これを16個使用すれば1.8インチHDDのパッケージ内に2Tバイトの製品が作れることになる。この試作品では16個の容量32GビットのNANDフラッシュメモリチップと1個のコントローラオップを25μmまで薄く削り、17枚をeMMCパッケージに積層実装した。
[編集] 出典
- ^ a b c d e f g h 佐伯真也、大石墓之著 『どう付き合うかSSD』 「日経エレクトロニクス」 2009年4月20日号 日経BP社発行 p.29-p.51
- ^ Crucial「RealSSDC300」300MBsec超の速度を誇る超高速SSD PC Watch
- ^ ハイエンド・ストレージの世界もSSD、米EMCが大手ベンダー初の製品発表 マイコミジャーナル
- ^ SunもSSD製品投入へ、ハイエンドサーバの世界で急速に広がるSSD マイコミジャーナル
- ^ SPARC/Solarisへの投資継続を表明、オラクル「Solaris OSではSSDを統合してI/O性能を劇的に向上するファイルシステム「ZFS」を持つ。」
- ^ 進歩する Linux カーネル 2009年03月24日 IBM
- ^ Windows 7,SSD普及の起爆剤へ日経エレクトロニクス
- ^ 制御ICで決まるSSD、微細化進展で信頼性確保が課題に EE TIMES Japan
- ^ a b http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20090917/175437/?ST=print 3次元メモリ:TビットNANDフラッシュに道,チップ上でメモリ・セルを積層] 木村 雅秀=日経エレクトロニクス
- ^ Micron、読み込み/書き込み速度が250MB/secの高速SSD PC Watch
- ^ MtronとSuper Talentが高性能/高信頼性をアピール PC Watch
- ^ Super Talent's MasterDrive MX series Data Sheet
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 東芝 セミコンダクター社 SSD特設サイト
- YouTube>チャネルインテル>アドベンチャーズ ウィズ インテル ソリッドステートドライブ
- Holiday Fun 編 エピソード1/1
- Black Rock Desert 編 エピソード1/7(いずれの動画も英語)
計測機器を用いた厳密なテストではなく、マーケティング目的のいわゆるトーチャーデモであるが、SSDが持つ特徴の一端を伝えている。