95式自動歩槍

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95式自動歩槍
95式自動歩槍
95式自動歩槍
種類 小銃
製造国 中華人民共和国の旗 中国
設計・製造 第208研究所(設計)
重慶建設工業有限責任公司(設計・製造)
年代 現役
仕様
種別 ブルパップ・アサルトライフル
口径 5.8mm
銃身長 369mm(QBZ-95B)
463mm(QBZ-95)
490mm(QBZ-97, QBZ-97A)
600mm(QBB-95)
ライフリング 6条右回り
使用弾薬 5.8x42mm弾(QBZ-95)
5.56mm NATO弾(QBZ-97)
装弾数 30発(箱型弾倉
75発円形回転式弾倉
作動方式 ガス圧利用(ショートストロークピストン式)、ロータリングボルト
全長 609mm(QBZ-95B)
745mm(QBZ-95)
758mm(QBZ-97, QBZ-97A)
840mm(QBB-95)
重量 2.9kg(QBZ-95B)
3.25kg(QBZ-95)
3.35kg(QBZ-97)
3.9kg(QBB-95)
発射速度 650発/分(QBZ-95)
800発/分(QBZ-95B)
銃口初速 930m/s(3,050ft/s)(QBZ-95)
970m/s(3,181ft/s)(QBB-95)
790m/s(2,581ft/s)(QBZ-95B)
有効射程 自動小銃型:400m(定点目標)
軽機関銃型:550m(定点目標)
カービン型:300m(定点目標)
歴史 
設計年 1995年
製造期間 1995年-現在
配備期間 1997年-現在
配備先 中国人民解放軍
バリエーション QBZ-95
QBZ-95B
QBB-95
QBZ-95-1
QBZ-95B-1
QJB-95-1
QBZ-97
QBZ-97A
QBZ-97B
QBZ-97NSR
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95式自動歩槍95式自动步枪: QBZ-95もしくはType 95 Assault Rifle[1][2])は、中国1995年に制式採用したブルパップ型のアサルトライフルである。自動歩槍とは自動歩兵銃の意。

同銃を示す表記として、上記以外で95式自動小銃95式5.8mm小銃95式アサルトライフル[3]95式歩槍95式小銃("自動"を省略)[4]95型アサルトライフル[5]など複数あり、中国語でも95式突击步枪(95式突撃歩槍、突撃歩槍=突撃銃の意)[6]95式5.8毫米突击步枪[7]95式步枪[8][9]などと表記する場合もある。

概要

中国人民解放軍は、それまで制式アサルトライフルとして運用していた81式自動歩槍の後継として1981年以降、新型アサルトライフル開発計画をスタートさせた。

この計画では、命中精度向上を目的とした世界的な小銃小口径化に合わせ、新型実包である5.8×42mm弾もあわせて開発された。それまでの小銃では、一世代前のAK-47と共通の56式7.62mm弾を使用している。

その過程で開発された87式自動歩槍(81式自動歩槍の新型5.8mm口径弾仕様と言えるもの)を、さらにブルパップ方式に再設計し樹脂材料を大々的に採用した改良型が、95式自動歩槍である[3]。この開発計画は、香港イギリスからの返還に合わせて進められた[3]

なお、開発にあたってはシュタイアー社製アサルトライフル、ステアーAUGを参考にしたという意見が存在する[4]。同様に、ブルバップ方式のFA-MASの影響を受けている可能性があるとされる[4]。それゆえ、一部では通称「チャイナトランペット」と呼ばれている。しかし、ピストンやボルトなどの内部構造は81式の影響が強い。

構造

作動メカニズムは、現代小銃として一般に採用されているガス圧利用ショートストロークピストン式)、ロータリング・ボルト方式を採用。バレル上部に設定されたガス・シリンダーに発射ガスの一部を導くことにより、ピストンにガス圧を与えてボルト・キャリアーを後退させる。コッキング・ハンドルは機関部のグリップ上方にキャリング・ハンドル内側に装備されていて、射撃に伴って前後動する。撃発機構には回転式ハンマーではなく、前後に動くストライカーが採用されている。

セレクターレバーは銃床左側側面、床尾板に近い後方にあり、銃のハンドガードを支えている手で操作するようになっている。形状は、指かけの突起が設けられた丸いダイヤル状のものである。

  • セレクターレバー表示
    • 0 安全装置
    • 2 フル・オートマチック(連射)
    • 1 セミ・オートマチック(単射)

ハンドルの上部には、各種スコープナイトビジョンが装備できる。ハンドガードの下にグレネードランチャーも装備可能。

バリエーション

95B式自動歩槍
95式班用機槍

8種の派生型と民間向けモデルが存在する。

95式自動歩槍 QBZ-95
通常型。自動小銃運用が主目的。5.8x42mm弾を使用。操作性や信頼性に欠陥が有るため95-1式自動歩槍への更新が行われている。
95B式自動歩槍 QBZ-95B
通常型を短くしたカービンモデル。
95式班用機槍 QBB-95
分隊支援火器モデル。通常型よりも銃身が長く、75発ドラムマガジンを装着する。
95-1式自動歩槍 QBZ-95-1
2010年から採用された95式自動歩槍の改良型。新型弾薬であるDBP10の採用や、照準器やセレクターレバーの配置など構造的な改良に本体素材の変更など多岐に渡り大きく改良されたモデル。
95B-1式自動歩槍 QBZ-95B-1
95-1式を短くしたカービンモデル。
95-1式班用機槍 QJB-95-1
95-1式の分隊支援火器モデル。
97式自動歩槍 QBZ-97
輸出用。西側諸国5.56mm NATO弾が使用できる様、変更されている。その他マガジンが素早く外せる様に改良されている。民間向けでは無く他国軍隊などへ輸出される。カンボジア軍ミャンマー軍にて採用。
97A式自動歩槍 QBZ-97A
上記輸出モデルに3点バースト機構が組み込まれた物。5.56mm NATO弾を使用。カンボジア軍にて採用。
97B式自動歩槍 QBZ-97B
通常型を短くしたカービンモデル。5.56mm NATO弾を使用。
QBZ-97A
2008年からカナダなど北米にて販売されていた。.223 レミントン弾を使用。セミ・オートモデルのみ。現地販売名はType 97 rifle。フルオート射撃を可能にする改造が容易だったためカナダでは販売禁止となり、所持者の銃所持ライセンスの種別に関わらず全数が回収された。
ノリンコブランドで輸出販売されていた。
QBZ-97NSR
QBZ-97Aがカナダで販売禁止となったため、フルオート改造対策を行ったモデル。こちらは現在も販売されている。
製造元である重慶建設工業有限責任公司の海外向け民間銃器ブランドのEMEIブランドで輸出販売されている。
SDM M77コマンドー
イタリアなど欧州にて販売されている。.223 レミントン弾を使用。セミ・オートモデルのみ。 95B式を原型としているが、現地法に合わせて銃身が延長されている。
中国の海外向け民間銃器ブランドのSDMブランドで輸出販売されている。
LA-K12
QBZ-97をベースにカナダのLEVERARMS社が製造販売しているセミオート式ショットガン[10]

運用国

登場作品

95式自動歩槍の登場作品を表示するには右の [表示] をクリックしてください。

映画

ザ・ラストシップ
シーズン3にて、中国軍兵士が使用。
沈黙の鉄拳

漫画・アニメ

CANAAN
中国公安警察が使用。
海竿

小説

生存者ゼロ
「九五式小銃」の名称で登場。連絡が途絶した根室半島沖の石油掘削プラットフォーム「TR102」に派遣された西部方面普通科連隊所属の陸上自衛官らが、なぜか装備している[注 1]
『ゼロの迎撃』
上記『生存者ゼロ』と同じ安生正の小説。『生存者ゼロ』と同じく「九五式小銃」の名称で登場し、なぜか陸上自衛官が装備している[注 2]
『ブラッドバス』
深見真の小説。中国雲南省の街、深紅馬鎮の武装警察隊員らが作中随所で使用。深紅馬鎮での陰謀に巻き込まれた日本人の元自衛官と元ヤクザの主人公らも鹵獲したものを使用するが、途中からは売人から購入した密輸品のM4A1カービンなど別の銃が使用されるようになる。

ゲーム

Operation Flashpoint: Dragon Rising
キャンペーン、マルチプレイの両モードで中国人民解放軍がQBZ-95・QBB-95 LSW・QBU-88を使用する。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
ジャングルマップ「Sanhok」にてSCAR-Lの代わりとしてQBZ-95-1が「QBZ」の名称で登場するほか、Mini14の代わりとしてQBU-88が「QBU」の名称で登場する。
カウンターストライク
QBB-97 LSWをゲーム内ポイントで購入可能。両陣営で使用できる。また、隠し武器でEXバージョンなるものがある。
グランド・セフト・オートV
「ブルパップ・ライフル」の名称でQBZ-95が登場する。
クロスファイア
QBZ-95が登場。
コール オブ デューティシリーズ
CoD:MW3
マルチプレイのアサルトライフルとして「Type 95」の名称でQBZ-95が登場。
CoD:BO2
アサルトライフルとして近代化改修が施されたQBZ-95が「Type 25」の名称で登場する。また、ライトマシンガンとしてQBB-95 LSWが「QBB LSW」の名称で登場する。
CoDモバイル
過去作のCoD:BO2からアサルトライフルの「type25」として登場。
荒野行動
QBZ-95が登場。また、救援物資の中に「95式軽機関銃」という名称でQBB-95 LSWが入っていることがある。
スプリンターセル
ミャンマー中国大使館にいる人民解放軍兵士がQBZ-95を使用する。
スペシャルフォース
QBZ-97が登場。ゲーム内通貨で購入可。
バトルフィールドシリーズ
BF2
CHINA特殊兵がQBZ-97、援護兵がQBB-95 LSWを使用。
Project Reality
中華人民解放軍が標準装備としてQBZ-95のスコープ付きを使用する。選択装備としてスコープ無しのQBZ-95も使用する。
オートマチックライフルマンが軽機関銃としてQBB-95 LSWを装備し、戦車搭乗員が自衛武装としてカービンタイプのQBZ-95Bを使用している。また、マークスマンの装備としてQBU-88が登場する。
BF2MC
CHINA突撃兵でQBZ-95、狙撃兵でQBU-88を使用可能。QBZ-95にはスコープとグレネードランチャー、QBU-88にはスコープとバイポッドが装着されている。
BF3
マルチプレイのDLCにてQBZ-95B・QBB-95 LSW・QBU-88がアンロック武器として登場。米露両陣営で使用が可能。
BF4
QBZ-95-1・QBZ-95B・QBB-95-1・QBU-88が登場。キャンペーンでは中国軍の兵士が携行している。
マーセナリーズ2 ワールド イン フレームス
「ブルパップライフル」の名称でQBZ-95が、「スナイパーライフル」の名称でQBU-88が登場し、両者とも中国軍(アジアン軍)が使用する。

脚注

注釈

  1. ^ 漫画版では89式5.56mm小銃に変更されていることから、作者が89式と95式を間違えたか、あるいは「九五式小銃」が95式自動歩槍とは完全に別の架空の銃器だった可能性もある。
  2. ^ ただし作中には架空の自衛隊装備(一式指揮通信車など)が登場しているため、「九五式小銃」も95式自動歩槍とは完全に別の架空の銃器という可能性もある。

出典

  1. ^ http://world.guns.ru/assault/as39-e.htm
  2. ^ http://www.enemyforces.net/firearms/qbz95.htm
  3. ^ a b c 床井雅美『軍用銃事典 改訂版』並木書房 ISBN 9784890632138 p114
  4. ^ a b c 月刊『軍事研究』誌 2009年5月号(第44巻) ジャパン・ミリタリー・レビュー pp212~213
  5. ^ 坂本明『世界の軍用銃』文林堂 ISBN 4893191403 p117
  6. ^ http://www.key28.cn/Article/2009-8-17/8102.html
  7. ^ http://www.chinabaike.com/article/96/jszs/2007/20071011574231.html
  8. ^ http://news.xinhuanet.com/mil/2005-06/20/content_3108685.htm
  9. ^ http://data.tiexue.net/mil/95sbq4794/
  10. ^ http://www.huntinggearguy.com/news/la-k12-puma-semi-automatic-bullpup-magazine-fed-shotgun-now-canada/
  11. ^ QBZ97自动步枪”. 2007年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月29日閲覧。
  12. ^ https://www.files.ethz.ch/isn/171425/SIPRIPP38.pdf
  13. ^ Sudanese Future Soldier System – Thefirearmblog.com, 24 March 2014
  14. ^ Sudanese army has selected Chinese-made QBZ-97 assault rifle for its Kombo Future Soldier System – Armyrecognition.com, 22 November 2014
  15. ^ “Pakistan police storm hospital, ending standoff”. Yahoo! News. (2013年6月15日). https://news.yahoo.com/pakistan-police-storm-hospital-ending-standoff-161641306.html 2019年5月29日閲覧。 
  16. ^ https://item.btime.com/30njpcbms8m8osq2b99ekutvtmk
  17. ^ “China Exports Its Radical New Assault Rifle”. Strategy Page. (2009年2月28日). http://www.strategypage.com/htmw/htweap/articles/20090228.aspx?comments=Y 2010年5月1日閲覧。 
  18. ^ Lao People’s Army celebrates 70th founding anniversary”. 2020年1月12日閲覧。
  19. ^ Lao People's Armed Forces”. 2020年1月12日閲覧。

関連項目

外部リンク