神農生活

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神農市場有限公司
MAJI FOOD DELI
種類
股份有限公司
市場情報 非上場
業種 小売業
設立 2013年2月[1]
創業者 范姜群季
本社 中華民国の旗 台湾台北市中山区玉門街1号
事業地域
中華民国(台湾)、日本
主要人物
范姜群季(創業者)
製品 スーパーマーケット飲食店経営
売上高 新臺幣2500万元
従業員数
約20人
ウェブサイト 神農生活 MAJI TREATS
Footnotes / references
日本では株式会社近鉄百貨店がフランチャイズ展開している。

神農生活(しんのうせいかつ、シェンノンションフォ、英語:MAJI TREATS)は、台湾の食雑貨セレクトショップである[1]范姜群季中国語版2013年に創業し、台湾で2店舗を展開している。 日本では近鉄百貨店フランチャイズ事業を行い、台北の2店舗に続く3店舗目としてあべのハルカス近鉄本店2021年4月に開業した。

概要[編集]

台湾台北市中山区圓山で2013年(民国102年)に創業した[2]。「新しいライフ 神農へ」をキャッチフレーズに、健康的な食品、伝統的な市場、地域の風土や習慣を融合した店舗で[3]、決して決して広くない売場ながら、スローガン"L.E.S.S.is More"に基づいた商品を台湾各地から集めて販売している。

4つの原則[編集]

神農生活は「ほしいものだけをセレクトする」ことをモットーとしており、以下の4つの原則から成るスローガン"L.E.S.S.is More"を掲げている[2]Lは地域色(Local)を意味している。各地の名産で、小さな島である台湾の職人や信頼できるパートナーが手掛けた素晴らしい品である。 Eは必要性(Essensial)を意味しており、余計な加工や過剰包装なく、お客様の生活を支える。 1つ目のSは季節性(Seasonal) を意味しており、単純で多種多様に24節季に合う季節の品々がそろっている。 2つ目のSはふさわしさ(Suitable) を意味しており、適切な商品が適切な価格で提供され、より多くの選択肢から選ぶことが可能である。

日本への展開[編集]

開業まで[編集]

近鉄百貨店がグローバル展開を見据え、いくつか視察候補地を検討した。その中から秋田拓士専務(当時)[注 1]が2018年10月に台湾を訪問した。この際、秋田は誠品生活南西[注 2]で4階にあった「神農生活」に興味を持った。すでに日本でも旅行者などに人気で、テレビ番組や雑誌の取材を受けることもあったという。

台湾では台北で成功した店舗は台中高雄など台湾他都市に進出することが多いため、いきなりの日本進出に神農市場は戸惑った。しかし、阿倍野が好立地であること、運営は神農市場ではなく近鉄百貨店が行うことで理解を得られ、提携に向けて話が進んでいった[3]。「神農生活」には家庭料理や故郷の味を中心とする台湾料理のレストラン「食習」が併設され、旅行客に人気であることから、秋田は「食習」の誘致も求めた。一方、神農市場側も明確なブランドイメージや戦略があるため、店内の雰囲気にもこだわるなど、双方が高いレベルでのプロジェクト遂行で一致した。 2020年初頭に日本側が台北の「神農生活」を現地視察した直後、新型コロナウイルス感染症の流行が発生した。このため日台の行き来はできなくなり、以降の会議はすべてオンラインで開かれた。近鉄側はコスト削減志向になっていたものの、神農市場は可能な限りコスト削減をせずに妥協しない店づくりを求めて衝突した。しかし、これは実り多い結果になったという[3]。「食習」の料理も台湾のシェフによるオンライン指導で見た目の調整を行ったほか、台湾観光協会・大阪事務所のスタッフによる試食で台湾の味の再現を行った[3]

海外1号店開業直後[編集]

2021年(令和3年)4月9日あべのハルカス近鉄本店海外1号店がオープンした。しかし、開業直後は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて客足は伸びず、重症者増加による医療ひっ迫のため大阪府に緊急事態宣言が発令され、あべのハルカス近鉄本店を含む大型商業施設はデパ地下など一部を除いて休業を強いられた。再開後もしばらくは客が少なく、パイナップルケーキなど賞味期限の短い商品は廃棄処分に追い込まれた。ただし、秋以降は順調に業績が伸びている[3]。 日本において、台湾の食品では烏龍茶が定番だが、関西人のせっかちな気質と神農生活の商品の相性がいいこともあり、あべのハルカス近鉄本店では調味料インスタント食品もよく売れている[3]。 あべのハルカス近鉄本店独自の施策としては、全館における台湾フェアのほか[3]、同じ大阪市で「神農」を祀っていることで有名な少彦名神社で健康をテーマにして行われてきた「神農祭」を同神社と合同で行った[4]

多店舗化への取り組み[編集]

あべのハルカス近鉄本店以外への初の展開として、熊本県熊本市中央区の「蔦屋書店熊本三年坂」で2022年(令和4年)1月12日から1月30日までの間、ポップアップストアを開設した[5]。同年4月には神戸マルイにも出店し、6月から7月は北千住マルイ、7月から8月は大宮マルイ、8月から9月までは新宿マルイと首都圏への上陸も果たしている[6]

近鉄百貨店自身での展開は2023年現在、奈良店で行ったのにとどまっている。2022年8月17日(水)から8月21日(日)にかけて、かつて近鉄百貨店のライバルだったジェイアール京都伊勢丹の10階催事場で行われた「アジアンフード&餃子フェスティバル」への出店を行った[7][注 3]

2023年(令和5年)7月12日から18日までの間、川西阪急(阪急百貨店アステ川西)の催事「世界を旅する気分」にも出店している[8]。ほかは物販のみのポップアップだったが、川西阪急では「コトコトステージ」での教室や、かき氷・アイスティーのイートインも展開する。

店舗[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

台湾
日本

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2019年5月に代表取締役社長就任
  2. ^ 「誠品生活の南西」ではなく、「誠品生活南西」という商業施設である。誠品書店も日本に進出しており、神農生活海外1号店開業時点でCOREDO室町テラスに開設されている。
  3. ^ 同じ京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町の現・京都ヨドバシの位置に2007年まで近鉄百貨店京都店があった。近鉄百貨店の法人としての発祥の地でもある。詳細は丸物京都近鉄百貨店なども参考のこと。

出典[編集]

  1. ^ a b 『[https://www.d-kintetsu.co.jp/corporate/pdf/20200122000400.pdf 株式会社近鉄百貨店が 台湾の食雑貨セレクトショップ 「神農生活」を日本初でFC展開します]』(PDF)(プレスリリース)近鉄百貨店、2020年1月22日https://www.d-kintetsu.co.jp/corporate/pdf/20200122000400.pdf 
  2. ^ a b 范姜群季『台湾を日常に 「神農生活」のある暮らし』 グラフィック社、2021年4月25日 p.7
  3. ^ a b c d e f g “「神農生活」:メイド・イン・台湾のライフスタイルが関西に上陸”. nippon.com. (2021年12月12日). https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c09506/ 
  4. ^ “神農さん”でおなじみの少彦名神社と神農生活が初のコラボレーション 健康をテーマに合同で「神農祭」を開催します』(PDF)(プレスリリース)近鉄百貨店・少彦名神社、2021年11月11日https://www.d-kintetsu.co.jp/corporate/pdf/20211111000549.pdf 
  5. ^ 近鉄百貨店が運営する台湾発人気セレクトショップ「神農生活」、初のPOP-UP STOREを熊本県でオープン』(PDF)(プレスリリース)近鉄百貨店、2022年1月5日https://www.d-kintetsu.co.jp/corporate/pdf/20220105000563.pdf 
  6. ^ 台湾発の食・雑貨セレクトショップ「神農生活」 期間限定で関東初出店!』(PDF)(プレスリリース)近鉄百貨店、2022年6月8日https://www.d-kintetsu.co.jp/corporate/pdf/20220608000605.pdf 
  7. ^ お知らせ・ジェイアール京都伊勢丹POPUPショップ出店!
  8. ^ 『神農生活』期間限定ショップ~世界を旅する気分~』(WEB魚拓)(プレスリリース)阪急百貨店(阪急阪神百貨店)、2023年7月8日https://megalodon.jp/2023-0717-1052-24/https://www.hankyu-dept.co.jp:443/kawanishi/shopnews/detail/1218654_1847.html