三体

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三体
著者 劉慈欣
原題 三体
中国
言語 中国語簡体字
シリーズ 中国SF基石叢書
ジャンル SF小説
出版社 重慶出版社
出版日 2008年
出版形式 単行本(ソフトカバー、約195mm×135mm)
ページ数 302
ISBN 9787536692930
次作 三体II:黒暗森林

三体』(さんたい)は、中華人民共和国のSF作家劉慈欣の長編SF小説2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界』(中国語)で連載された。2007年に、この小説の単行本は重慶出版社によって出版された。本小説は、「地球往事三部作シリーズの第一弾であり、第二弾である『三体II:黒暗森林』は2008年5月に出版され、第三弾である『三体III:死神永生』は2010年11月に出版された。

また、2014年11月11日に劉宇昆による英訳が出版される予定である。

世界観設定[編集]

小説の基本設定には、ニュートン力学にある古典的な三体問題を取り込んだものがある。とある三重星系には、生きと滅びを繰り返す三体星人があり、その中の最も新しい世代の三体星人は、地球文明の科学技術より数倍先端なものを有している。

あらすじ[編集]

文化大革命の時、中国共産党中央委員会に直属する「紅岸基地」という、異星人を探すために作られた極秘基地があった。清華大学の物理学教授である父親が紅衛兵の批判を受け、死を強いられたのを目にした天体物理学専攻の女子大生葉文潔は、色々な事情でこの極秘基地に入った。彼女はそこで偶然に太陽の増幅反射機制を究明した。その後、彼女はこの機制を駆使して、密かに地球文明の情報が入った電波を宇宙に送り出し始めた。地球と最も近い恒星系の惑星に生きている異星人——三体星人がこの情報を受け取った。それから、三体の世界と地球の世界は、関わりを持ち始めた。

三体星人たちの世界は、地球人が想像しがたい、冷酷極まりない世界である。その世界は3つの質量がほぼ一致な恒星からなるため、解析的に解くことはできないとされる(多体問題)。三体星人たちが住む惑星は、この三つの恒星の引力で乱れた軌道を取る。もし一つの恒星が惑星を捕まえて、それをその恒星に回らせたら、三体星人はしばらく穏やかな発展期を迎える。この時期を「恒紀元」と呼ぶ。もしそうでなかったら、日の昇りと暮れは一定の決まりでなくなる。この時期を「乱紀元」と呼ぶ。彼らは「乱紀元」に備えて臨時脱水機能を進化し、危機に応対したが、それはいつでも有効ではない。なぜなら、恒星の運動が乱れるせいで、時には惑星を近寄らせすぎたり、時には惑星を遠ざからせすぎたりして、それに伴って惑星の地表は数千度にまで熱され暑すぎる気候になったり、液体窒素の温度にまで達する寒すぎる気候になったりする。より恐ろしいことに、もし惑星が複数の恒星に同時に近づけば、惑星は複数の引力を受けて裂けてしまう。以上により、三体星人の文明は数百回の滅びを迎えざるを得なかった。しかし更に最も恐ろしいことがある。彼らの住む惑星は、恒星に対して質量が小さいので、いつかは軌道の乱れで、恒星に落ちる可能性がある。そうなれば、三体星人とその文明は永遠に滅亡する。だから彼らにとって残った選択は、宇宙に移民するのみである。三体人はいつも天災に脅かされているため、ナチスドイツのような社会体制と地球人の道徳を無視する価値観を取らざるを得なかった。そうしないと生き延びることができないからである。

三体の世界と地球の世界が関わりを持ち始めた後、自然破壊に不満を抱いて人類文明に絶望した人たちは、「地球三体組織」という組織を作り上げて,地球の文明を滅ぼし、三体の文明を取り入れようとした。葉文潔はこの組織の精神的なリーダーであった。それと同時に、三体星人は地球に順調に移民することを確実にするために、地球社会と人類を抹殺することに決めた。

しかし、艦隊出発から地球到着まではおよそ450年かかるから、その時の地球の科学技術が三体と同じレベルになるかもしれないと危惧した三体星人は、「智子」プロジェクトを開始した(「智子」とは“智恵のある粒子”のこと。三体星人の科学者は先ず、陽子を11次元から2次元に展開させ、その2次元表面で強い相互作用を使って集積回路を作り込む。これでその陽子を計算機にする。複数の「智子」があれば、「智子」同士の遠隔作用は利用可能。これを利用し、半分の「智子」を三体の世界に残してコントロール用とし、もう半分の「智子」を地球に送り込んで、高エネルギー加速器の研究結果を乱して、物質構造研究を邪魔し、地球人の科学の発展に桎梏を掛ける。これで地球人に科学技術が追い付かれることはなかろう)。それと相俟って、「地球三体組織」も全地球の科学者を暗殺し始めた。

同志を見つけるために、「地球三体組織」が「三体」オンラインゲームを開発した。それと同時に、多国政府も一つになって危機に応対し始めた。本作の主人公である汪淼もこのゲームのプレイヤーになって、漸く「地球三体組織」に潜入することに成功した。史警官と連携して、多国籍軍の協力をも受けた汪淼らは、パナマ運河にてナノ材料でできたワイヤーで「地球三体組織」の中枢である船——『審判の日(The Judgement)』を切り刻んで、他の「地球三体組織」の残党をも無事に鎮圧。その後、葉文潔らを虜にした多国政府は尋問と船にあるコンピュータに内蔵されたデータで、初めて三体の文明に関する詳細資料を手に入れた。しかし、三体文明の侵略者が450年後に地球に来ることにかわりはない。科学の発展がすでに「智子」によって桎梏を掛けられた人類は、来たるべき戦いを準備せねばならない。

改変[編集]

初めて『科幻世界』(zh)で連載された本小説の第一章「疯狂年代」(風狂年代)には、文化大革命を描く一区切りがあり、それは清華大学の紅衛兵及び百日大武闘(ゲバルト)を下敷きにする。2007年に発行された単行本では、この部分は第七章に移された。

受賞歴[編集]

参考項目[編集]