キム・スタンリー・ロビンソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

キム・スタンリー・ロビンソン
Kim Stanley Robinson
第63回ワールドコン(グラスゴー)にて撮影, 2005年8月
誕生 1952年3月23日
イリノイ州ウォーキーガン
職業 SF作家
ジャンル SF
ウィキポータル 文学
  
文学
File:Lit.jpg
ポータル
各国の文学
記事総覧
出版社文芸雑誌
文学賞
作家
詩人小説家
その他作家
お知らせ
このテンプレート解説ページができました。使用されるべき記事が決まりましたので一度ご確認ください。

キム・スタンリー・ロビンソン(Kim Stanley Robinson1952年3月23日 - )は、アメリカ合衆国SF作家であり、多くの賞を受賞した《火星三部作》で最もよく知られている。 彼はデビュー以来ずっと著名人や評論家に広く賞賛されていて、サイエンス・フィクションだけでなく全てのジャンルの中で現存する最高の小説家のひとりと言われることが多い。

彼の作品は通常、生態学的で社会学的なテーマを掘り下げる。彼の小説の多くは自身の科学的興味の直接的結果のように思われる。彼の最も有名な作品も、15年にわたる研究と子供の頃からの火星に対する興味の結果と言えよう。

ロビンソンの作品を評論家は「文学的なSF小説」と分類する。しかし、彼はいつもそのようなラベルを拒絶して、自身の作品を単なるサイエンス・フィクションと呼んでいる。ロビンソンは情熱的に支持しているジャンルを誇りを持って防御する。(SFでは一般に失敗していることが多い)登場人物の性格付けはロビンソンの得意とするところであり、SFファン以外からも幅広く認知されるという結果を生んでいる。

目次

[編集] 経歴

キム・スタンリー・ロビンソンはイリノイ州ウォーキーガンで生まれ、カリフォルニアで学んだ。1974年、彼は文学士としてカリフォルニア大学サンディエゴ校を卒業、1975年にボストン大学で英文学の修士号を得た。1982年にはカリフォルニア大学サンディエゴ校で英文学の博士号を得た。そのときの博士論文 The Novels of Philip K. Dick(フィリップ・K・ディックの小説)は1984年に出版された。

ロビンソンは熱狂的な登山家であり、これははっきりと彼の作品に強い影響を与えている。これは特に『南極大陸』、《火星三部作》(およびその元となった短編小説 Green Mars)、Forty Signs of Rain で顕著である。

1982年、彼は環境化学者の Lisa Howland Nowell と結婚し、2人の息子を育てている。ロビンソンはかつてカリフォルニア州ワシントンD.C.スイス(1980年代)に住んでいた。現在はカリフォルニア州デイビスに住んでいる。

[編集] 主要なテーマ

[編集] 生態学的な持続可能性

事実上ロビンソンの小説は全て生態学的な側面を持っており、それは疑いもなく彼の主要なテーマである。《オレンジカウンティ三部作》では技術と自然の交叉のあり方、特にその二つのバランスの保ち方が主題である。《火星三部作》では、テラフォーミングについての考え方の違いから人々がグループに分かれていく様を描く。特に作中で議論されているのは一見して不毛な火星の荒野を地球のように改造することの是非である。Forty Signs of Rain では生態学がテーマであり、地球温暖化問題を扱っている。

[編集] 経済的、社会的正義

ロビンソンの作品はしばしば現代の資本主義社会への代案を提示する。《火星三部作》では、資本主義を封建主義の成長したものと捉え、未来ではもっと民主主義的な経済システムに置き換えられるという考えが出てくる。『グリーン・マーズ』と Red Mars では、企業を代替するものとして「労働者による所有(Worker-ownership)」や生活協同組合を描いている。<<オレンジカウンティ三部作>>でも同様で、Pacific Edge では社会的な平等主義を促進するために企業の支配の背景となっている法律的枠組みを攻撃するアイデアが出てくる。

ロビンソンの作品における環境的・経済的・社会的テーマは、かつてSF作家に多かったリバタリアニズムと対比される(例えば、ロバート・A・ハインラインポール・アンダースンラリー・ニーヴンジェリー・パーネルなど)。彼の作品は「アーシュラ・K・ル=グウィンの『所有せざる人々』(1974年)以来の反資本主義によるユートピアを描いて成功した作品」といわれている。[1] そういった意味でロビンソンはグリーン・ポリティクスの方法論を実践していると言えるだろう。

[編集] 評論

ロビンソンの作品は、様々な生活形態(一夫一妻制でない形態が一般的な社会など)だけでなく社会主義グリーン・ポリティクスの多くの要素を含んだ政治的なアイデアなどにも検討を加えている。何人かの評者(例えばAmazon.comの何人かの評者)は、マルクス主義やグリーン・ポリティクスのプロパガンダであるとしてロビンソンの本を批判している。

しかし、《火星三部作》がSFの普遍的テーマである「もし~だったら?」を含んでいることも指摘される。それは多くの異なった文化と信念を1つの荒々しい世界に入れて、それらが互いにどう反応するかや環境や新しい技術に対してどう反応するかを観察する。この作品は火星の植民化には様々なテーマやイデオロギーや信条や文化がありうることを示唆していて、最終的に火星に人間が住むにはそれら全ての融合が必要であるという結論をも示唆している。

[編集] 受賞

ロビンソンは、『グリーン・マーズ』と Blue Marsヒューゴー賞を受賞し、『レッド・マーズ』と The Blind Geometer(1986年)でネビュラ賞を受賞、Black Air(1983年)で世界幻想文学大賞Pacific Edgeジョン・W・キャンベル記念賞、『永遠なる天空の調』でローカス賞を受賞した。

[編集] 作品リスト

[編集] 長編

  • オレンジカウンティ三部作
    • 『荒れた岸辺』The Wild Shore (1984年)
    • 『ゴールド・コースト』 The Gold Coast (1988年)
    • Pacific Edge (1990年)
  • 火星三部作
    • 『レッド・マーズ』 Red Mars (1992年)
    • 『グリーン・マーズ』 Green Mars (1993年)
    • Blue Mars (1996年)
  • Science in the Capital シリーズ
    • Forty Signs of Rain (2004年)
    • Fifty Degrees Below (2005年)
  • Icehenge(1984年)
  • 『永遠なる天空の調』 The Memory of Whiteness (1985年)
  • Escape from Kathmandu (1988年)
  • A Short Sharp Shock (1990年)
  • Black Air (1991年)
  • 『南極大陸』 Antarctica (1998年)
  • The Years of Rice and Salt (2002年)

[編集] 短編集

  • The Blind Geometer (1986年)
  • The Planet on the Table (1986年)
  • A Sensitive Dependence on Initial Conditions (1990年)
  • Remaking History (1991年)
  • The Martians (1999年)

[編集] 中短編

  • 「石の卵」 Stone Eggs (1983年)
  • 「ラッキー・ストライク」 The Lucky Strike (1984年)
  • 「三十三枚目のルーアン大聖堂事件」 Mercurial (1985年)
  • 「カトマンドゥからの脱出」 Escape from Kathmandu (1986年)
  • 「歴史のリメイク」 Remaking History (1989年)
  • 「目覚めのまえに」 Before I Wake (1990年)

[編集] 評論

  • The Novels of Philip K. Dick (1984年)
ウィキメディア・コモンズ