ミンミンゼミ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Oncotympana maculaticollis Motschulsky, 1866 |
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| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| ミンミンゼミ |
ミンミンゼミ(ミンミン蝉) Oncotympana maculaticollis は、カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種。和名通りの「ミーンミンミンミンミンミー…」という鳴き声がよく知られている。
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[編集] 特徴
成虫の体長は33-36mmほど。幅が狭い頭部と太くて短い腹部をもち、太く短い卵型の体型をしている。ただし翅が体に対して大きく、翅を含めるとアブラゼミとほぼ同じ大きさになる。体色は胸部と腹部の境界付近が白いが、他は黒地の地に水色や緑色の斑紋があり、日本産のセミとしては比較的鮮やかな体色をしている。黒斑部がほとんどなく青緑色主体の個体もおり、これらはミカドミンミンと呼ばれる。また、元々このセミはアブラゼミやニイニイゼミなどとは異なり、ヒグラシやエゾハルゼミと同じく森林性である。東京23区や仙台市などでは例外的に街中でもミンミンゼミが数多く生息するが、その理由については後述する。
[編集] 弱い耐熱性
ミンミンゼミは、アブラゼミやクマゼミと比べると暑さに弱い。その証拠として、夏期の最高気温が高温となりやすい甲府盆地では、体の黒味がほとんどないミカドミンミンの発生確率がかなり高い。黒は熱や光を吸収する色であるが、その黒地がほとんどない甲府のミンミンゼミは、同盆地の夏の気温に対する耐性を身につけたタイプだということである。
逆に、夏でも涼しい北海道のミンミンゼミは、むしろ体の黒味が通常より強い個体がほとんどである。それはヒグラシも同様である。
このようにミンミンゼミは、生息する地域の夏の暑さによって自らの身体の色を調節している。甲府盆地のように暑さの厳しい地域では黒地のほとんどないミカドミンミン型、東京都心部や山形市のように暑さが中程度の地域では黒と緑が適度に混ざった標準型、そして北海道のように涼しい地域では黒地の部分の割合が高い黒化型が多く見られるが、こうした地域変異が起こる理由はこのように説明される。
[編集] 主な分布
日本国内では北海道南部から九州、対馬、甑島列島に分布する。このうち、北海道・屈斜路湖の和琴半島にあるミンミンゼミ生息地が分布北限とされ、1951年に国指定の天然記念物に指定された(「和琴ミンミンゼミ発生地」)。東日本では平地の森林に生息し、都市部の緑地などでも多いが、西日本では都市部にはほとんど生息しておらず、やや標高が高い山地を好んで生息している。成虫は7月-9月上旬頃に発生し、サクラ、ケヤキ、アオギリなどの木によく止まる。
大陸では、韓国や中国華北・東北部南部に生息し市街地にも生息する。鳴き声は、日本産のミンミンゼミとはやや異なり、冒頭の「ミーン」がなくいきなり「ミンミンミンミンミー」となる(セミの方言)。ツクツクボウシも、日本産と大陸産とでは少し鳴き声が異なる。韓国ではスジアカクマゼミと並んで普通のセミで、日本と比べると地域的な生息差は小さい。ソウル中心部でも、夏になるとこのセミの声がたくさん聞かれる。北京や大連でも多い。
[編集] 地域で異なる生息分布
[編集] 東日本太平洋側
このセミは森林性の昆虫なのだが、前述のように東京都心部や仙台市中心部ではオフィス街の街路樹でも普通にミンミンゼミの鳴き声が聞こえる。その理由は以下のとおりである。つまり、ミンミンゼミの幼虫は比較的乾燥した土中を好み、成虫はケヤキやサクラなどの樹木を好む。ヒートアイランド現象によって乾燥化が進んでいる東京都心部や仙台市中心部ではミンミンゼミの幼虫の成育に好ましく、またケヤキなどの街路樹も多いので成虫となったミンミンゼミにとっても生活しやすい環境である。さらに、北東気流(やませ)の影響で夏に曇りがちの涼しい天候となりやすい東京や仙台の気候も、暑さに比較的弱いこのセミの生息数増加に大きく影響している。なお、北東気流の影響を受けない長野市などでもミンミンゼミは多いが、長野のような比較的涼しい夏の気候が合っているためにミンミンゼミ生息域が多い。
ただし東日本太平洋側であっても生息状況・生息密度は異なっている。東京や横浜、湘南、埼玉県南部、仙台、山形市、長野、甲府、知多半島南部、渥美半島西部(特に伊良湖岬)、滋賀県北部など一部の地域では普通に生息している(特に東京都心部や長野市街地、山形市街地では近年激増している)が、名古屋市、浜松市、小田原市、東北北部(青森県や岩手県北中部)などではミンミンゼミがほとんど生息しておらず、関東地方においても北関東地域ではかなり少なめである。北関東平野部でミンミンゼミが少ない原因として、この地方では夏の猛暑日日数が東京や横浜と比較して多いことがあげられる。また、青森市や盛岡市のような北東北太平洋側でこのセミが少ないのは、北関東とは逆にこの地方の夏の気候がミンミンゼミにとって涼しすぎることがあげられる。なお、名古屋・浜松・小田原などクマゼミの多い地域でミンミンゼミがいない理由は、後のクマゼミとの特殊な関係を参照してほしい。
ところで、東京都内では毎年たくさんのミンミンゼミの声が聞こえるが、都心部を除くとアブラゼミもまだまだ生息数は多く、ミンミンゼミを凌駕する規模である。そのため、セミ全体に対するミンミンゼミの割合(ミンミンゼミ率)自体は都下全体では現在でも高くない。特に、東京都23区の東部では、アブラゼミが多く、都心から西部に比べミンミンゼミ率は低い。東京都葛飾区亀有在住の自然観察指導員鈴木康之氏によれば、いまから40年前ほど昔には、ミンミンゼミはほとんど生息せず、捕まえた子供はいなかったとしており、近年の東京東部における分布は、新しくできた公園や街路樹の植栽にまぎれて幼虫が移動してきた可能性が高いと示唆している。
とはいえ他の地方と比べても、南関東では昔から市街地でもミンミンゼミがある程度多く生息していたのは間違いない。これは、南関東の気候がミンミンゼミにとって非常に適合していることの証左に他ならない。
一方、長野市街地や仙台市街地、山形市街地では近年アブラゼミが激減しており、それと同時にミンミンゼミが急増しているためミンミンゼミ率が非常に高い。このことは、長野や仙台などと比べて東京都内の夏が厳しいことを意味する。アブラゼミはミンミンゼミと比べて夏の暑さを好むセミなので、夏でも涼しい地域でアブラゼミが減っているのである。
[編集] 東日本日本海側
日本海側のほとんどの市街地では冬でも湿度が高いため、ミンミンゼミの幼虫の生育に適しておらず生息域が非常に少ない。その生息地は山地や平地の森林地帯に限られており、街中ではこれに代わって幼虫・成虫ともに高湿度を好むアブラゼミの生息域が多い。そのため市街地においてアブラゼミの鳴き声は普通に聞かれるが、ミンミンゼミの声を聞くことはかなり珍しい。新潟市や金沢市などに生息するミンミンゼミは、乾燥化の著しい地域(公園や街路樹)を好む東京のミンミンゼミとは全く逆の立場にあるといえる。まるでミンミンゼミとアブラゼミの生息域は棲み分けられているようである。
また、東日本日本海側の市街地はこのようにアブラゼミの勢力がきわめて強く、そのためにミンミンゼミが市街地に進出することができず森林や山の中のみに生息するのだという説もある。
このように、ミンミンゼミとアブラゼミが同一環境下で共存共栄するのは基本的には困難なことなのである。
[編集] 西日本
西日本地域においても平地にはミンミンゼミがほとんどいない。その理由は東日本に比べ北東気流の影響を受けにくく、夏の気温が高くなるためである。西日本の主要都市(福岡や大阪など)の都市部にはミンミンゼミがほぼ生息しておらず、生息地は標高がやや高く自然が多く残されている場所、主にヤマザクラ・モミジ・ナラノキ・ハゼノキなどが自生する広葉樹林帯や照葉樹林帯に限られている。例外だが、京阪神地区や広島市街地では夏の終わりに緑地帯などで生息数は少ないが鳴き声が聞かれることもある。年にもよるが大体8月の終わりから9月初旬に発生のピークとなっているようである。つまり、暑さが少し収まる時期になって、ミンミンゼミが活発に活動し始めるというわけである。
近年では関西や広島に限らず、西日本平地の様々なところでミンミンゼミの鳴き声が記録されることが多くなっているが、ミンミンゼミだけでなくヒグラシについてもこのような報告がある。北日本ではエゾゼミやエゾハルゼミについても同じ傾向にある。このように、標高の高い場所で生息していたセミがより標高の低い場所へと降りてくる動きが全国的に見られるが、その理由はまだわかっていない。
[編集] 結論
このように日本のミンミンゼミは土地の気候条件によって分布する範囲が限定されやすい。そのため非常にいびつな分布をしている。もちろん他の原因(植生等)が絡むこともあるが、最終的な決定要因は、気候である。
[編集] 夏の風物詩として
ミンミンゼミの鳴き声は、ヒグラシと同様に日本のドラマ、アニメなどの効果音としても頻繁に使用されており、夏の風物詩として知られているが、その生息分布は東日本太平洋側が中心である。東日本日本海側や西日本のミンミンゼミは山地に生息しており、平地や人口の多い都市には基本的に生息しておらず、鳴き声を聞く機会は非常に少ないのである。これに代わって平地や都市部ではアブラゼミやクマゼミの生息数が多く、これらのセミの鳴き声が夏の風物詩となっている。なお、北海道や青森県の市街地では夏にセミ自体が極めて少ない(森や山の中にはある程度生息)ため、基本的にセミは夏の風物詩にはなっていない。
[編集] 鳴き声
オスは午前中によく鳴き、大きな声で「ミーン・ミンミンミンミンミー…」という鳴き声を繰り返す。東日本太平洋側では身近なセミなので、テレビ番組などでも「夏の日中」の効果音としてこの鳴き声がよく用いられる。しかし上述のように東日本日本海側や西日本の平野部にはミンミンゼミがほとんどいないので、安易なミンミンゼミの登場には違和感を覚える人もいる。
[編集] クマゼミとの特殊な関係
ミンミンゼミとクマゼミの鳴き声は、実際に人間の耳で聞く限りは全く違って聞こえる。しかし、この2種のセミの鳴き声のベースとなる音は全く同じであり、その音をゆっくりと再生すればミンミンゼミの鳴き声に、早く再生すればクマゼミの鳴き声となる。このように両種のセミの鳴き声には共通点があるため、クマゼミとミンミンゼミは互いに棲み分けをしていると言われる。それは、環境による棲み分けの場合もあるが、時期的な棲み分けのほうが主流である。つまり、クマゼミがほぼ終息した頃にミンミンゼミの発生が始まるということである。西日本の、両種が生息している地域ではおおむねそのような棲み分けが行われている。ところで、台湾や中国南部の低山帯に生息するタイワンクマゼミは、クマゼミとミンミンゼミのちょうど中間のような声で鳴く。このセミの鳴き声もまた、ベースとなる音はクマゼミ・ミンミンゼミと全く同じなのである。そしてタイワンクマゼミは、台湾ではタカサゴクマゼミと環境的な棲み分けをしている。タカサゴクマゼミは、日本のクマゼミとよく似た声で鳴くためである。石垣島・西表島でクマゼミとヤエヤマクマゼミが棲み分けをしているのと同じ原理である。
また、ミンミンゼミとクマゼミはともに午前中によく鳴く種類であるが、このことも両種のセミが時期的な棲み分けを行っている原因の1つである。例えば屋久島ではクマゼミとクロイワツクツクが市街地において完全な時期的棲み分けをしており、クマゼミがほぼいなくなってからクロイワツクツクが発生する傾向があるが、クロイワツクツクもまたクマゼミと同じく午前中によく鳴く種類である。クマゼミとアブラゼミ、もしくはミンミンゼミとアブラゼミの場合でも、クマゼミ・ミンミンゼミが午前中、アブラゼミが午後に鳴いており、棲み分けができている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 伊藤修四郎ほか 『学生版 日本昆虫図鑑』 北隆館、1979年、ISBN 4-8326-0040-0。
- 中尾舜一 『セミの自然誌 - 鳴き声に聞く種分化のドラマ』 中央公論社〈中公新書〉、1990年、ISBN 4-12-100979-7。
- 宮武頼夫・加納康嗣編著 『検索入門 セミ・バッタ』 保育社、1992年、ISBN 4-586-31038-3。
- 福田晴夫ほか 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』 南方新社、2005年、ISBN 4-86124-057-3。
[編集] 外部リンク
- 図鑑/ミンミンゼミ(セミの家)
- 国指定文化財 データベース(文化庁)
- 弟子屈町のお宝 : 7.和琴ミンミンゼミ(天然記念物)(弟子屈町)
- 街なかの生き物たち(鈴木康之) - 東京都葛飾区亀有における街なかの生き物たちの記述。

