オープンイノベーション

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オープンイノベーション: open innovation)とは、自社技術だけでなく他社や大学などが持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや革新的な研究成果、製品開発につなげる方法である。

概要[編集]

ハーバード・ビジネス・スクールヘンリー・チェスブロウ英語版助教授によって提案された。従来、企業は自社の中だけで研究者を囲い込み研究開発を行う、クローズトイノベーションの研究開発の手法を取ってきたが、環境変化への対応や、人件費の関係からクローズトイノベーションモデルが成立しなくなってきた。そのため、自社の特許を他社にライセンスすることで、他社にイノベーションを起こしたりまた、産学連携などで大学との連携を増やすことで研究開発費の削減につなげるという効果も期待している。

日本企業における例 [編集]

日本企業においては、ナインシグマなどの仲介業者などが積極的にオープンイノベーションの仲介をしており、企業同士のオープンイノベーションをコーディネートしている[1]。その例としては、クリーニングの際のシワができる問題が繊維の水素結合が問題であったが、その要素技術を半導体メーカーから取り入れることで解決した[2]

企業同士のオープンイノベーションでは新エネルギー・産業技術総合開発機構がその役割を担っており[3]、企業同士の連携開発のサポートと開発金の助成を行っている。

また、東レ日産自動車など多くの企業がオープンイノベーションへの取り組みを増やしている。日産自動車では社外との連携だけではなく、日常的に事業部同士の連携や合同会議、さらには社内と社外でフューチャーセッションを行うことで革新的な製品開発につなげている[4][5]。また、東レでは個別の技術情報を交換するオープンイノベーションサイト、NANOTECH SNeeedSを設けている[6]

ベンチャー企業との連携で注目すべき事例としては、雲プロジェクトがあり、ダイキン工業が雲の発生装置を開発し、チームラボがプロジェクタと映像を開発することで雲に映像を描くという革新的なプロジェクトを成功させた[7]。そのほかの例としては日清食品安藤百福瞬間油熱乾燥法を公開することで業界を広げた。

産学連携における事例[編集]

産学連携の分野では科学技術振興機構が積極的に産学連携に取り組んでいる[8]。その例として、科学技術振興機構では、大学、公的研究機関および科学技術振興機構の各種事業により生まれた、研究成果の実用化を促進するため、「新技術説明会」を開催を開催している[9]。これには革新性の高い産学連携に助成金を出すといった制度もある。また、科学技術振興機構ではイノベーション・ジャパンとよばれる展示会を毎年夏に開催している[10]

他の事例としては東京大学が創薬オープンイノベーションセンターを開設したり[11]電気通信大学関係者が設けたオープンイノベーション推進ポータル、キャンパスクリエイト[12]など大学ごとに独自の取り組みは多い。

IT企業、IT技術における事例[編集]

IT企業にはIT勉強会とよばれる、他社同士で勉強会を開く文化があるほか、現在では一般的となっているオープンソースや、官庁などに眠っているデータをビジネスに活用していく、オープンデータといった取り組みもあり、オープン化についてはIT分野が先行している。富士通はオープンイノベーションの一環として、ハッカソンを開催したほか[13]富士通エフサスはオープンイノベーションの一環として、フューチャーセンターを開設した[14]

新しいオープンイノベーション[編集]

日本だけに特有に見られるオープンイノベーションとしては、IT企業同士が互いに勉強会を開くIT勉強会などがある[15]

また、企業にこだわらず多様な人を呼びイノベーションにつなげるフューチャーセンターといった活動もある[16]

クリス・アンダーソンにより、定義されたメイカーズムーブメントもオープンイノベーションとされている[17]

脚注[編集]

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参考書籍[編集]

  • オープンイノベーション 組織を越えたネットワークが成長を加速する ISBN-10: 4862760465
  • OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて (Harvard business school press) ISBN-10: 4382055431
  • 一橋ビジネスレビュー 60巻2号(2012 AUT.―日本発の本格的経営誌 オープン・イノベーションの衝撃 ISBN-10: 4492820558

関連項目[編集]