ブルックス・コンラッド

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ブルックス・コンラッド
Brooks Conrad
阪神タイガース時代
(2013年3月6日、阪神甲子園球場にて)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州サンディエゴ
生年月日 (1980-01-16) 1980年1月16日(44歳)
身長
体重
180 cm
95 kg
選手情報
投球・打席 右投両打
ポジション 三塁手二塁手
プロ入り 2001年 ドラフト8巡目(全体236位)でヒューストン・アストロズから指名
初出場 MLB / 2008年7月21日
NPB / 2013年3月29日
最終出場 MLB / 2014年7月27日
NPB / 2013年5月28日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ブルックス・リッチフィールド・コンラッドBrooks Litchfield Conrad, 1980年1月16日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ出身の元プロ野球選手内野手)、野球指導者。右投両打。

ニックネームは、"Raw Dog"。「コンラド」と表記されることもある。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

13歳の時にカリフォルニア州のボーイズリーグの代表として初来日し、大阪長崎でプレーした経験を持つ[1]

もともと右打ちであったが、高校に入学する1年程前にスイッチヒッターに転向した[2]。モンテ・ビスタ高等学校[3]を経て、アリゾナ州立大学へ進学。

アストロズ時代[編集]

2001年MLBドラフトヒューストン・アストロズから8巡目(全体の236番目)で指名され、入団[4]。AAAのラウンドロック・エクスプレスなどでプレー。

2007年10月29日にFAとなる。

アスレチックス時代[編集]

2007年12月8日にオークランド・アスレチックスと契約。

2008年東京ドームでのメジャーリーグ開幕戦のためアスレチックスの一員として来日し、3月22・23日に開催された日米プレシーズンゲーム「読売ジャイアンツ(巨人)対アスレチックス」「阪神対アスレチックス」戦に出場。阪神戦では代打で出場し、藤川球児と対戦している[5]

同年7月21日の対タンパベイ・レイズ戦でメジャーデビューを果たす。のちに阪神でチームメイトとなるマット・マートンと同じチームでプレーした。メジャー出場は6試合に留まり、オフの10月8日にFAになった。

ブレーブス時代[編集]

2008年11月18日にアトランタ・ブレーブスとマイナー契約を結ぶ。

2009年7月3日、メジャーに再昇格した最初の打席でメジャー初本塁打となる代打3ランを放った。

2010年は開幕当初から代打中心で起用され、5月20日の対シンシナティ・レッズ戦では9回裏にチームが3対9から6対9と追い上げ、なおも1死満塁という場面で代打で出場し、レッズのクローザーフランシスコ・コルデロから代打逆転満塁サヨナラ本塁打を放った[6]。3点差の場面での代打逆転満塁サヨナラ本塁打は1950年7月8日のジャック・フィリップス以来メジャー史上2人目であった[7]。さらに、同年7月24日の対フロリダ・マーリンズ戦では、8回表に2対5から5対5と追いつき、なおも1死満塁の場面で代打満塁本塁打を放った[8]。8月10日の対ヒューストン・アストロズ戦では1対2とリードされた9回表にクローザーのマット・リンドストロムから逆転2ラン、8月13日の対ロサンゼルス・ドジャース戦では7回裏に黒田博樹から本塁打を打ち1対0の勝利に貢献した。

この年は103試合に出場、打率.250・8本塁打・33打点を記録した。同年のナショナル・リーグディビジョンシリーズでは第1戦から二塁手としてスタメン起用されたが、1勝1敗で迎えた第3戦でディビジョンシリーズタイ記録となる1試合3失策を記録、そのうち2つがタイムリーエラーとなり2対3で逆転負けする大きな原因となった[9]。第4戦ではスタメンを外され、サンフランシスコ・ジャイアンツに1勝3敗で敗退した[10]

2011年も代打中心で起用され、5月1日の対セントルイス・カージナルス戦では5対5で迎えた9回裏、1死1・2塁の場面で代打サヨナラヒット、5月25日の対ピッツバーグ・パイレーツ戦では2対2で迎えた延長11回表、1死1塁の場面で代打決勝2ランを放った。オフの12月12日にFAとなった。

ブルワーズ・レイズ時代[編集]

レイズ時代(2012年7月24日)

2012年1月7日にミルウォーキー・ブルワーズとマイナー契約を結んだ。5月3日にブルワーズとメジャー契約を結び[11]、25試合に出場するも、打率.075・2本塁打・6打点の成績に留まった。6月19日にDFAとなった。

2012年6月22日にウェーバーでレイズへ移籍[12]。レイズでは、24試合に出場したものの、打率.172・2本塁打・9打点の成績に留まり、8月7日にDFAとなり[13]、8月10日にAAA級ダーラム・ブルズへ降格した。この年はAAAクラスのマイナー2チーム合計で、46試合に出場し、打率.331・14本塁打・40打点を記録している。オフの10月10日にFAとなった。

阪神時代[編集]

2012年11月5日に阪神タイガースと契約した[14]。阪神は同年限りで退団したクレイグ・ブラゼルに代わる外国人野手を探していた[15]ところ、ゼネラルマネージャーの中村勝広による推薦で獲得を決定[1]。背番号は「42」に決まった[16]。阪神が外国人野手を獲得するのは、マット・マートン以来3年ぶりだった。なお、一部報道では「中村がビデオを2分間視聴しただけで獲得を決めた」と伝えられたが、中村自身は後に「短期間で獲得を決めたのは事実」としながらも「ビデオだけが決め手になった訳ではない」としている[17]

2013年の開幕前には、新井貴浩新井良太兄弟と一塁手三塁手のポジションを争うことが見込まれていた。しかし、貴浩が前年手術した右肩の回復が遅れていたことに加えて、コンラッド自らオープン戦でチームの第1号本塁打や満塁本塁打を放つなどの結果を残したことから、三塁手として開幕スタメンをつかんだ。東京ヤクルトスワローズとの開幕3連戦では二塁打3本を含む4安打と上々の滑り出しを見せたものの、4月17日の対巨人戦で開幕から58打席連続無打点(1972年レオン・マックファーデンを抜く1年目の外国人選手としての球団ワースト記録)[18]を記録するほど打撃が低迷。守備面でも送球や捕球のミスを繰り返したことから、本塁打・打点とも0のまま4月22日に登録を抹消された。

セ・パ交流戦に入った5月19日に一軍へ再登録。登録抹消中に新井貴浩が一塁、良太が三塁のレギュラーを確保していたため、コンラッドは指名打者や代打として起用されたが、7打数で5三振と浮上のきっかけをつかめなかった。さらに球団では、打撃陣の補強を目的に高山久埼玉西武ライオンズからトレードで[19]、中継ぎ投手の補強を目的にブレイン・ボイヤーをそれぞれ獲得[20]。自身の打撃不振に以上のチーム事情も相まって、5月30日に高山と入れ替わる格好で再び登録を抹消された[21]。結局、一軍への復帰を果たせないまま、公式戦終盤の9月24日に「今後の公式戦への出場予定がない」との理由でアメリカへ帰国[22]し、一軍の公式戦で打点を記録できないまま退団した[23]。阪神に支配下登録選手として在籍中に一軍公式戦での本塁打が0だった外国人野手は、1980年デーブ・ヒルトン1997年リード・シークリストマイク・グリーンウェル1998年デジ・ウィルソン2009年ケビン・メンチがいたが、打点も0だったのは、在籍中に投手から野手に転向し一軍出場なしで退団したマーク・ブラウンスタインを除けば、コンラッドが初であった。

パドレス時代[編集]

2014年1月4日にサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結んだ[24]。開幕後はAAA級エル・パソ・チワワズで77試合に出場し、7月2日にパドレスとメジャー契約を結んだ[25]。昇格後は13試合に出場したが、打率.100と結果を残せず、7月27日にAAA級へ降格した[26]。8月17日にDFAとなり[27]、21日に放出されている。

パドレス退団後[編集]

2015年は当初独立リーグ・アトランティックリーグシュガーランド・スキーターズと契約したが、4月25日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結ぶ。オフに自由契約となる。

2016年3月10日にシュガーランド・スキーターズと契約するが、6月23日に解雇となる。

現役引退後[編集]

2018年シーズンより、カンザスシティ・ロイヤルズの傘下Rookie+級バーリントン・ロイヤルズ英語版の監督に就任。2019年からは古巣である同A級レキシントン・レジェンズの監督に就任した[28]

2021年からは、この年からロイヤルズ傘下となったA-級コロンビア・ファイヤーフライズの監督に就任[29]2022年からはA+級クワッドシティ・リバー・バンディッツ英語版の監督を務める[30]

プレースタイル・人物[編集]

右打席ではパワーのある打撃、左打席がシュアな打撃であると評され、スイングの癖も少ない[2][31]。現役の選手では珍しく、打撃用の手袋を使用せず、土と松脂をつけ、素手でバットを振る[31]。また、左右の打席でそれぞれ形状の違うバットを使い分けており、左打席の方が右打席よりやや短くグリップが細い[32]

メジャーリーグでは三塁手としての出場が最多で、二塁手としての出場も多い。一方、マイナーリーグでは内野手のほか、外野手捕手として出場したこともある。

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2008 OAK 6 19 19 0 3 1 0 0 4 2 0 0 0 0 0 0 0 9 1 .158 .158 .211 .368
2009 ATL 30 58 54 7 11 1 2 2 22 8 0 0 0 0 3 1 1 14 1 .204 .259 .407 .666
2010 103 177 156 31 39 11 1 8 76 33 5 1 4 0 16 0 1 45 0 .250 .324 .487 .811
2011 92 122 103 11 23 5 0 4 40 13 2 0 2 1 15 2 1 41 0 .223 .325 .388 .713
2012 MIL 25 44 40 2 3 0 0 2 9 6 0 0 0 1 3 0 0 16 0 .075 .136 .225 .361
TB 24 61 58 4 10 5 0 2 21 9 0 0 0 0 3 0 0 27 2 .172 .213 .362 .575
'12計 49 105 98 6 13 5 0 4 30 15 0 0 0 1 6 0 0 43 2 .133 .181 .306 .487
2013 阪神 24 69 57 1 10 6 0 0 16 0 0 0 0 0 11 0 1 23 1 .175 .319 .281 .600
2014 SD 13 34 30 2 3 1 0 1 7 2 0 0 0 1 3 0 0 14 0 .100 .176 .233 .409
MLB:6年 293 515 460 57 92 24 3 19 179 73 7 1 6 3 43 3 3 166 4 .200 .271 .389 .660
NPB:1年 24 69 57 1 10 6 0 0 16 0 0 0 0 0 11 0 1 23 1 .175 .319 .281 .600
  • 2018年度シーズン終了時

記録[編集]

NPB

背番号[編集]

  • 49(2008年)
  • 62(2008年)
  • 26(2009年 - 2010年)
  • 7(2011年)
  • 14(2012年)
  • 36(2012年)
  • 42(2013年)
  • 11(2014年)

登場曲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 青木の元同僚コンラッド、阪神と契約”. 日刊スポーツ (2012年11月27日). 2013年1月28日閲覧。
  2. ^ a b “虎・コンラッド左右で9発!竜007ビビらせた”. サンケイスポーツ. (2012年2月3日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20130203/tig13020305030010-n2.html 2013年2月24日閲覧。 
  3. ^ http://www.baseballamerica.com/statistics/players/cards/54570
  4. ^ http://www.baseball-reference.com/draft/?query_type=year_round&year_ID=2001&draft_round=8
  5. ^ コンラッド初来日は13歳!運命の虎入り Daily Sports Online, 2012年11月27日、2013年7月21日閲覧。
  6. ^ http://www.baseball-reference.com/boxes/ATL/ATL201005200.shtml
  7. ^ http://atlanta.braves.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20100520&content_id=10236748&vkey=recap&fext=.jsp&c_id=mlb
  8. ^ http://www.baseball-reference.com/boxes/FLO/FLO201007240.shtml
  9. ^ 月刊スラッガー』No.153、2011年1月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-1、65頁、74頁
  10. ^ 『月刊スラッガー』No.153、2011年1月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-1、65頁
  11. ^ Adam McCalvy (2012年5月5日). “Brewers release Braddock amid roster moves”. MLB.com. 2014年7月5日閲覧。
  12. ^ Rays claim infielder Brooks Conrad off waivers”. MLB.com Rays Press Release (2012年6月22日). 2014年7月5日閲覧。
  13. ^ Greg Zeck (2012年8月7日). “Longoria feeling good after successful return”. MLB.com. 2014年7月5日閲覧。
  14. ^ 外国人選手との契約締結について”. 阪神タイガース公式サイト (2012年11月26日). 2012年11月26日閲覧。
  15. ^ 阪神4番候補にレイズの両打ちコンラッド”. 日刊スポーツ (2012年10月20日). 2013年5月25日閲覧。
  16. ^ 背番号について”. 阪神タイガース公式サイト (2013年1月5日). 2013年1月5日閲覧。
  17. ^ 2013年6月10日に『MBSタイガースライブ番外編』(中村がゼネラルマネジャーに就任するまで野球解説者を務めていたMBSラジオの特別番組)へ電話で出演した際の発言より。
  18. ^ 阪神・コンラッド&福留、ともに不振脱せず”. サンケイスポーツ (2013年4月18日). 2013年6月1日閲覧。
  19. ^ “阪神、川崎放出!西武“神主打法”高山を獲得”. サンケイスポーツ. (2013年5月22日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20130522/tig13052205020007-n1.html 2013年6月2日閲覧。 
  20. ^ “虎“新助っ投”ボイヤー「うさぎ狩り」誓った!”. サンケイスポーツ. (2013年5月28日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20130528/tig13052805040011-n1.html 2013年6月2日閲覧。 
  21. ^ 阪神・高山が1軍合流、コンラッドは2軍落ち”. サンケイスポーツ (2013年5月30日). 2013年5月31日閲覧。
  22. ^ 【阪神】4番候補だったコンラッドが帰国”. 日刊スポーツ (2013年9月24日). 2013年9月25日閲覧。
  23. ^ 日刊スポーツ』大阪本社発行版「ニッカン鳴尾浜支局」2013年9月22日付
  24. ^ 元阪神のコンラッドがパドレスとマイナー契約 スポーツニッポン 2014年1月5日配信、同日閲覧。
  25. ^ Corey Brock, Will Laws (2014年7月2日). “Cabrera placed on DL; Conrad called up”. MLB.com. 2014年7月5日閲覧。
  26. ^ Corey Brock (2014年7月27日). “Quentin heading to DL; Gyorko coming off”. MLB.com. 2014年7月29日閲覧。
  27. ^ Lin, Dennis (2014年8月19日). “Pregame: Hahn optioned, Garces up”. U-T San Diego. http://www.utsandiego.com/news/2014/aug/19/padres-option-jesse-hahn-select-frank-garces/ 2014年9月18日閲覧。 
  28. ^ 元阪神コンラッドがロイヤルズ1A監督に就任 球団社長も期待「ワクワクしている」 Full-count 2019年1月9日
  29. ^ Fireflies Announce New Manager and Field Staff”. MiLB.com (2021年2月19日). 2021年5月8日閲覧。
  30. ^ River Bandits Announce 2022 Coaching Staff”. MiLB.com (2022年1月14日). 2022年5月13日閲覧。
  31. ^ a b 13年虎宜野座1号はコンラッド!幕開け2発”. サンケイスポーツ (2013年2月3日). 2013年2月24日閲覧。
  32. ^ コンラッドはバットの二刀流 左右で使い分け、サク越え9発”. スポニチ Sponichi Annex (2013年2月3日). 2013年2月4日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]