SU-122-54 (自走砲)

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SU-122-54
Музей военной техники Оружие Победы, Краснодар (60).jpg
性能諸元
全長 9.97 m
車体長=6.45 m
全幅 3.27 m
全高 2.06 m
重量 36.0 t
懸架方式 トーションバー
速度 48 km/h
行動距離 400 km
主砲 122mm戦車砲M-49S × 1
副武装 14.5mm重機関銃KPVT × 2
装甲 30 ~ 100 mm
エンジン V-54
4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル
520 hp
乗員 5名
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SU-122-54(Samokhodnaya Ustanovka -122-54ロシア語: СУ-122-54(Самоходно-артиллерийская Установка -122-54)はソビエト連邦自走砲である。

概要[編集]

ソビエト連邦軍SU-100の後継として開発した対戦車自走砲で、西側諸国ではかつてIT-122[注釈 1]と呼称されていた。第二次世界大戦時のT-34/85中戦車に対するSU-100と同様のコンセプトで、大戦後主力戦車となったT-54の車体をベースに固定式戦闘室を設け、より大口径な主砲を搭載したものである。

1954年より少数が生産されて配備されたが、配備部隊と運用状況については資料が少なく、現在でも不明点が多い。遅くとも1970年代前半には退役し、大半は戦車回収車に改造されて支援車両として運用された。それらのうち、戦闘工兵車に転用された車両は2000年代でも少数が使用されている。

開発・運用[編集]

1949年より「オブイェークト600(ロシア語: Объект 600)」の名称で開発され、途中で仕様の変更や開発/生産工場の選定などの混乱もあったものの、1950年には試作車が完成、1951年6月から8月にかけて試験が行われた。この際に発覚した問題点は1951年中に解決され、翌1952年6-7月には量産仕様の最終試作車が完成・納入され、1954年3月15日には大規模生産の開始が決定された。

しかし、主砲となる122mm M-49(D-49)の生産が遅延したために供給が遅れたこと、まずは戦車型であるT-54の生産を再優先とする、と決定されたことから生産がはかどらず、1954年から1956年にかけて小規模に生産されたのみで、最終的に完成した車両は約77両[注釈 2]に留まった。

1954年から1956年にかけて少数が生産されて戦車駆逐連隊や旅団に配備されたとされるが、実際の配備部隊や運用状況は定かではない。その後、1960年代後半から1970年代前半かけて前線部隊から引き揚げられたと見られ、大多数は武装を撤去して戦車回収車に改造されたのち、親衛戦車師団に再配備されて支援車両として運用された。

主砲をT-10重戦車と同じ122mm M-62戦車砲、及びオブイェークト279重戦車他に搭載されていた130mm M-65戦車砲に換装する計画があったとされているが、実際に搭載された車両が製作されたかについては不明である。

構成[編集]

戦闘室はISU-152ISU-122に類似した六角形のもので、前面と側面前半部には大きな傾斜が付けられた避弾経始の高いものとなっている。車体前面および側面の装甲厚はそれぞれ100mm/80mmである。ソビエト軍の戦闘車両では通常操縦席は左側か中央にあるが、本車では操縦席は右側に配置されている。車体は基本的にT-54と同一だが、各転輪の間隔はT-54とは異なっている。

主砲はペトロフ砲兵設計局で新規開発された122mm戦車砲 M-49S(D-49S)で、搭載砲弾数は35発、戦闘室正面中央の半球状砲架に装備され、上下方向の他、左右方向にも限定的ながら指向することができた。副武装には、防楯右側に主砲同軸1挺、戦闘室上部左側の装填手ハッチにある電動式機銃架に1挺の計2挺のKPVT 14.5mm重機関銃を装備し、搭載弾薬は600発であった。

また、車長用キューポラにはソビエトの自走砲では初めてステレオ・レンジファインダー式の測照儀を装備し、ソビエト軍車両としては異例の長距離高精度射撃能力を備えている。

派生型[編集]

APBNP(ロシア語: АПБНП«Буйвол»(Объект 610)
装甲砲兵観測車型。各種射撃観測器材と無線機を増設している。主砲を搭載せず14.5mm機関銃のみを装備し、機銃は短いダミー砲身で覆われている。
1955年に2両の試作車が完成し実用試験を受けたが、量産はなされなかった。
BTS-600(ロシア語: БТС-600)
戦車回収車型。武装を撤去し、ウインチや吊り上げ能力3トンの小型ブーム式クレーン、牽引具等各種の回収機材を搭載したもの。潜水渡河能力を持ち、車体上面には塔状の折り畳み式シュノーケル(カニングタワー)を備える。
1971年に試作車1両が既存のSU-122-54より改装されて製作され、1971年11月から1972年まで実用試験が行われたが、能力不足であるとして採用はなされず、量産も行われなかった。
MTP-3(ロシア語: МТП-3)
戦車回収車型。武装を撤去し、各種の回収機材と発電機を搭載したもの。BTS-600とは異なり潜水渡河能力はなく、カニングタワーを装備していない。クレーンは組み立て式のものが装備されている。
前線部隊から引き揚げられたSU-122-54を改装したもので、T-54/55、及びT-62を装備する部隊に支援車両として装備され、後にはT-64を装備する部隊でも支援車両として用いられた。戦車部隊の他、装甲工兵部隊でも装甲工兵支援車として用いられている。
BMR-1(ロシア語: БМР-1)
1986年にアフガニスタン紛争の戦訓により開発された戦闘工兵車(地雷処理車)。車体前方に地雷処理装置を装着する。MTP-3を改装したもので、車体上面にはBTR-60装輪装甲車の銃塔が搭載されている。

登場作品[編集]

WarThunder』 

ランク5、ソ連駆逐戦車ツリーにて開発可能。

World of Tanks
ソビエト連邦軍駆逐戦車SU-122-54として開発可能。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ Istrjebitjel' Tankov-122:駆逐戦車122(mm砲搭載型) の意
  2. ^ 正確な生産数は不明だが、主砲の生産数から最低でも77両が完成していると推計されている。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 高田裕久:著 モデルアート1995年12月号臨時増刊『クビンカ戦車博物館コレクション ロシア戦車編』 モデルアート社 1995年
  • グランドパワー2月号別冊 世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946~2000』 デルタ出版 2000年
  • 斎木伸生:著『ビジュアル戦車発達史 異形戦車 ものしり大百科』(ISBN 978-4769808435(新装版:ISBN 978-4769814993) 光人社 1998/2011年
  • PANZER臨時増刊 WAR MACHINE REPORT No.27 第二次世界大戦後のソ連軍戦車』(ASIN B00GMPEW1U)アルゴノート社 2013年

関連項目[編集]