BM-30

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BM-30「スメーチ」ロケットランチャー

BM-30「スメルチ」ロシア語:БМ-30 «Смерч»ベーエーム・トリーッツァチ・スミェールチ)は、ソ連ロシア製の多連装ロケット砲である。ロシア軍制式コードでは9K589К58)と呼ばれる。愛称の「スメルチ」はロシア語で「竜巻」のことである[注 1]

概要[編集]

BM-30は、MAZ-543M/MAZ-7910大型8輪トラックに300mmロケット弾12連発発射器9A52-2を装備し、さらに間接照準の際に弾道を計算するための射撃統制装置を装備する。ロケット弾を発射する際には、車体の4箇所にあるアウトリガーを下ろして横転しないように車体を固定しなければならない。BM-30は70 - 90kmもの長射程を活かして、敵軍の砲兵陣地や野戦司令部、燃料や弾薬などの物資集積所、部隊集結地域の装甲目標及び非装甲目標を攻撃対象とする。射撃には12発を38秒で撃ち切るが、再装填に20分かかる。

BM-30は1987年に導入され、旧ソ連諸国以外ではアルジェリアインドクウェートに輸出されている。中華人民共和国は少数を参考用に購入した後、03式300mm12連装自走ロケット砲(PHL-03)を開発し、中国人民解放軍陸軍が制式採用した。03式は車体にMAZ-543リバースエンジニアリングして開発したWS2400英語版 8輪重トラックを使用している。

ロケット弾[編集]

重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
子弾重量:1.75kg
子弾の破片の重量:96(破片1つあたりの重量を4.5gとした場合)
自爆時間:110秒
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
  • 9M55K1:対装甲クラスター弾頭(自己誘導式子弾を装備)
重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
子弾数:5
子弾重量:15kg
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
  • 9M55K4:クラスター弾頭(対戦車地雷散布)
重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
地雷内蔵数:25
地雷重量:5kg
自爆時間:24時間
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
破片数:646
地雷重量:0.25kg
装甲貫徹力(均質圧延装甲換算):120mm
自爆時間:260秒
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
  • 9M55F:破砕性榴弾
重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:258kg
自爆時間:24時間
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
重量:800kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
最小射程:20,000m
最大射程:70,000m
  • 9M528:破砕性弾頭
重量:815kg
全長:7.6m
弾頭重量:243kg
最小射程:25,000m
最大射程:90,000m

採用国[編集]

BM-30の採用国

登場作品[編集]

ガーディアンズ
ロシア陸軍のBM-30がクラトフの送信設備と化したモスクワ・シティを攻撃する。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 日本語文献にはしばしば誤って「スメル」と表記しているものがある。また、意味は「死」であると書かれることもあるがこれも誤りで、ロシア語で「死」を意味する単語は「смерть」(片仮名表記では同じ「スメルチ」と書くこともできるが)である。よりロシア語に近い表記を用いれば日本語でも区別は容易で、「Смерч」は「スメールチュ」と表記できるが、「Смерть」は「スメール」であって「チュ」とは書けない。ラテン文字表記にはいくつか表記方法があるので一概には言えないが、一例としてはそれぞれ「Smerch」、「Smert'」と表記することができる。[独自研究?]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]