2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲
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(2017年、モスクワ) | |
| 性能諸元 | |
|---|---|
| 全長 | 11.9m |
| 車体長 | 6.95m |
| 全幅 | 3.58m |
| 全高 | 2.98m |
| 重量 | 48~55t |
| 懸架方式 | トーションバー方式 |
| 速度 | 67 km/h |
| 行動距離 | 500 km |
| 主砲 | 2A88 152mm榴弾砲 |
| 最大射程 | 70 km |
| 発射速度 | 16~20発/分 |
| 副武装 | 12.7mmKord重機関銃RWS |
| 乗員 | 3名 |
2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲(露: 2С35 Коалиция-СВ)は、ロシア連邦軍の自走榴弾砲。
概要
[編集]NATO軍の自走榴弾砲に比べて陳腐化していた2S19 ムスタ-Sの更新のため、コアリツィヤ-SVの開発は2006年に始まった。T-80およびT-72を改造した車体に152mm榴弾砲を縦に2門連装したムスタ-Sの派生型が計画されたものの、高コストと信頼性の低さから2010年に開発は中止された[1]。
再設計を経て2014年11月より新型の試験が開始され、2015年のアラビノ演習場におけるモスクワ戦勝パレードの訓練で初公開された。このとき他の新型車両と同様に砲塔はカバーで覆われていた。2020年1月には、陸軍での試験に先立ち、企業内での予備試験を完了したと報じられた[2]。
当初T-14と車体を共有していると伝えられていたが、転輪が6個になっており(T-14は7個)、実際はT-90ないしムスタ-Sの改良型とみられている。ムスタ-Sと異なり砲塔天板に乗員用ハッチはなく、車体前部右側の車長用、中央の操縦士用、左側の砲手用とみられる3か所にハッチが存在する。これは装填を完全自動化した無人砲塔であると推測されており、将来的にこの砲塔をT-14の車体に搭載することも考慮されているとみられる。乗員区画は装甲カプセルで覆われ生存性を高めているほか、CBRNE防護機能や自動消火装置も備える[3]。
砲塔は360°全周回転が可能で、搭載される2A88 152mm榴弾砲の最大射程は精密誘導砲弾で70km、通常弾でも40kmとムスタ-Sの29kmから延長されており、自動装填装置の採用により16~20発/分の速射が可能とされる。これはPzH2000自走榴弾砲などNATO軍の自走砲と比較しても優位にある。このほかにも輸出用としてNATO規格の155mm砲弾に対応したモデルも計画されている。また、自衛用装備として12.7mmKord重機関銃RWS、81mm発煙弾発射機を装備している。
パーンツィリ-S1などに使用されているKAMAZ-6560トラックをベースに開発した2F66-1弾薬給弾車(Транспортно-загрузочная машина 2Ф66-1)は92発の砲弾を輸送でき、コアリツィヤの砲塔後部に連結することで15分以内の補給が可能である。
比較
[編集]※改修型は52口径[4]
※輸出仕様は54口径
30 km(RAP弾)
40 km(M982誘導弾)
24.7 km(M107弾)[4]
30 km(RAP弾)[4]
改修型
30 km(M107弾)[4]
40 km以上(RAP弾)[4]
47 km (M1711弾)
67 km (M2005 V-LAP弾)
40 km(BB弾)
30 km(RAP弾)
36 km(K310弾)
40 km(K307弾)
53 km(XM1113)
54 km(K315弾)
60 km(K315 ERM)
39 km (ERFB-BB)
50 km (ERFB-BB-RA)
100 km (WS-35)
8発/分 (PLZ-52)
65 km/h(PLZ-52)
ギャラリー
[編集]-
コアリツィヤ-SV(手前)とムスタ-S
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砲塔上部
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砲塔後部
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初公開された頃(2015年)
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2F66-1弾薬給弾車
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2F66-1弾薬給弾車
派生型
[編集]採用国
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b [1] ВПК.name
- ^ Samuel Cranny-Evans (2020年1月10日). “Russia's 2S35 Koalitsiya-SV SPH completes preliminary trials”. janes.com. 2024年12月3日閲覧。
- ^ [2] army.lv
- ^ a b c d e “AS90 Braveheart 155mm Self-Propelled Howitzer” (英語). 2019年10月18日閲覧。
- ^ [3] Military Today
- ^ “Russian army receives first 2S35 Koalitsiya-SV SPH, begins trials of wheeled version”. janes.com (2020年5月29日). 2025年1月19日閲覧。