液冷

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液冷(えきれい)とはエンジン(発動機)などの発熱する物体を冷却する場合に液体を用いて熱を移動させる方式である。対義語は空冷[1]。液体としてを用いる場合が多いが、(環境温度にもよるが)凍結によるトラブルの防止や冷却用の液体や部品の劣化防止および沸点上昇の目的で何らかの物質を加え水溶液として用いる場合が多い。しかしそういった添加剤がある場合を含め、水が主成分のことが特に多いこともあり、一般的な呼称としても、総称である液冷・液冷エンジンよりも、水冷水冷エンジン等と呼ばれることのほうが多い。エンジンでは通常は潤滑が主目的であるエンジンオイルを冷却にも利用する油冷エンジンもある。また油冷は導電性のある水を嫌う電力機器などでも常用されている(電気機器の冷却方式を参照)。

液体に熱を吸収させて別の場所で放熱させることができるため、結果として放熱する面積を増加させることが容易であり、周囲の空気を用いて冷却する空冷よりも効果が高くできる。またコジェネレーションによる排熱利用に向いている。しかし水冷では冷却用の液体が必要になること、液体が漏れてしまった場合に他の部品を損傷させたり放熱できなくなる場合があること、ポンプなどの部品が必要になるなどの短所がある。

1960年ころまでは自動車エンジンには空冷が用いられることもあったが、1970年ころからほぼすべての自動車で水冷が採用されている。オートバイではエンジンのシリンダーシリンダーヘッドを覆い隠す必要がない場合などでは2012年現在でも空冷が採用されることがある。

1964年にCDC社が出願した特許(U.S.Pat. 3,334,684[2])に見られるように、コンピュータの冷却に液冷が用いられることが増えたのも50年以上も前からのことである。パーソナルコンピュータ等では、発熱の大きいプロセッサに対応できる放熱用のヒートシンクを大きくすることを嫌う場合、あるいは嫌う嫌わない以前にヒートパイプによるその場での熱の汲み上げと空冷では追っつかないシステムの場合、ファンが出す騒音を嫌う場合、などといった場合に液冷が用いられている。

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  1. ^ 宇宙空間での、固体内の熱移動と放射冷却のみを利用した冷却システムなどといったものもあるので、液冷と空冷は厳密には2項対立ではないが、一般にはほぼ2項対立扱いされている。
  2. ^ https://www.google.com/patents/US3334684