新潟鐵工所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。えいち・おおつか (会話 | 投稿記録) による 2020年12月19日 (土) 21:41個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目: 新潟原動機→IHI原動機)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

株式会社新潟鐵工所
NIIGATA ENGINEERING CO., LTD.


紀州鉄道キハ600形と同系統の車内銘板


横浜新都市交通1000形と同系統の車内銘板
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
144-0053
東京都大田区蒲田本町一丁目10番1号
設立 1910年(明治43年)6月17日
業種 製造業
事業内容 医薬や産業プラント、石油や石化プラントのタンク、造船、変速機、原動機、新交通システム、鉄道車両、除雪機械、産業用車両製造、流体荷役運搬機器などの製造
関係する人物 笹村吉郎(元社長)
特記事項:すでに経営破綻し解散済み
テンプレートを表示

株式会社新潟鐵工所(にいがたてっこうしょ、 NIIGATA ENGINEERING CO., LTD.)は、東京都大田区蒲田本町に本社を置いていた総合重機の中堅メーカー。「新潟鉄工」また新潟県内では単に「鉄工」とも通称され、生産拠点のある新潟県では有力企業の代表格であった。

経営破綻後、主要事業は他社に譲渡され(譲渡先は後述)、2007年夏に清算業務を完了して解散した。

沿革

初代社長 - 山口達太郎
  • 1895年 - 前身となる日本石油付属新潟鉄工所が開設され、日本石油(現・ENEOS)の関連事業部門として、新潟県新潟市で石油事業関連の機械製造を開始した。
  • 1910年 - 分離・独立して設立。初代社長には日本石油創始者山口権三郎の長男・山口達太郎が就任した。
  • 1917年 - 本社を東京に移転した。
  • 1918年 - 国内初のガソリン製造プラントとなる分解蒸留装置を日本石油に納入した。
  • 1919年 - 国内初となる舶用ディーゼルエンジンを開発。
  • 1928年 - ディーゼル機関用気筒の製造に対し商工省より第四回工業奨励金交付指令出る[1]
  • 1949年 - 東京証券取引所一部に上場した(証券コード:6011)。エンジンやガスタービン、石油化学プラントの開発等を主力に、総合機械メーカーに成長。出身地である新潟県内に主力工場を展開し、関連会社も含め、造船や鉄道車両、各種産業機械の製造などを行った。
  • 1995年7月17日 - 本店を東京都千代田区霞が関一丁目4番1号から東京都大田区蒲田本町一丁目10番1号に移転。
  • 2000年 - 海外エンジニアリング部門の業績が急激に悪化し、資金不足が深刻化。3月期には債務超過に陥り、工場の再編や人員削減、不動産売却などで財務体質の改善を目指した。しかし、その後も事業中断や支払いが滞ったことに加え、アメリカ同時多発テロ事件の影響で受注が大幅に減少。
  • 2001年11月27日 - 更に株価も低迷するなど状況は好転せず、自力再建を断念し、東京地方裁判所会社更生法の適用を申請、受理され、経営が破綻した。負債総額は約2270億円だった。

その後、新潟鉄工の各事業は他社に譲渡された。新潟鉄工は第一勧銀グループに属していたため、譲渡先も第一勧銀系企業(特にIHI)の出資・支援により設立された企業が多い。主なものは事業譲渡先に挙げる。

事業分野

原動機カンパニー

関連工場:大形地区(新潟内燃機工場・新潟鋳造工場)、ガスタービン工場、太田工場

エンジニアリングカンパニー

- 環境プラント

- 石油石化プラント

- 医薬・産業プラント

- 交通システム

機械カンパニー

- チクサン・ウェルセンター

関連工場:長岡工場、大形地区精機工場

造船カンパニー

関連工場:新潟造船工場、三崎工場

構機システムカンパニー

関連工場:新潟構機工場(聖籠町・大山工場を移転)

製造車両

電車

気動車

客車

機関車

貨車

事業譲渡先

プラントエンジニアリング関連事業部門

日立造船
  • 環境関連事業は、下水・排水処理、リサイクル設備などの設計、機器調達、建設を手掛けていたが、日立造船に営業譲渡。
IHIプラント
  • 医薬・産業プラント関連事業は、石川島播磨重工業(現・IHI)が支援企業となり、同社グループの石川島プラントエンジニアリング(現・IHIプラントエンジニアリング)の一部門として再出発。2019年4月、IHIプラント建設、IHIプロセスプラントSBUと合併し、IHIプラントとなる。
レイズネクスト
  • 石油・石化プラントのタンク事業を新興プランテックに営業譲渡。前身会社が元新潟鉄工子会社の新潟工事(新潟地盤のプラント工事会社)を吸収合併し「新興プランテック」へ社名変更。その後2019年JXエンジニアリングを吸収合併し現在の社名に変更された。このため、現在もJXTGエネルギーが主要株主に名を連ねている。

造船関連事業部門

新潟造船

変速機関連事業部門

日立ニコトランスミッション

原動機関連事業部門

IHI原動機(旧・新潟原動機)
  • 石川島播磨重工業(現・IHI)の出資により、2003年2月3日、新潟原動機を設立。2019年7月に同じくIHI子会社のディーゼルユナイテッドと、IHI本体の航空機転用型ガスタービンを主機とする発電プラント事業を吸収し、社名をIHI原動機に変更。

新交通システム・鉄道車両・除雪機械・産業用車両部門

新潟トランシス
  • 石川島播磨重工業(現・IHI)の出資により、2003年2月3日設立。更に富士重工業(現・SUBARU)の鉄道車両製造部門の事業も承継され、国内のディーゼルカーのシェアの約8割を占める企業となる。

機械関連事業

ニイガタマシンテクノ
  • 工作機械、成形機を製造している。新日本工機株式会社グループの全額出資。

流体荷役運搬関連事業

東京貿易エンジニアリング(旧:ニイガタ・ローディング・システムズ)
  • LNGや原油を船からタンクまでつなぐ流体荷役運搬のトップシェアを持つ。国内ではほぼ独占する。東京貿易日本車輌製造の合弁会社を設立。後に東京貿易の完全子会社となる。

新潟鐵工所を題材にした著作物

  • 兄が残した日記 学徒動員・新潟鐵工所での日々(近代文藝社刊) - 1995年。著者・上林眞弓。著者の兄、廣瀬昭悟が学徒動員により新潟鐵工所山ノ下工場で働いていた際につけていた日記を編集したもの。旧制・相川中等学校(新制・新潟県立相川高等学校)3年生の廣瀬昭悟が動員を受け、佐渡から新潟市に渡った1945年4月21日から、敗戦前日の8月14日までの日記が収められている。ISBN 4773345950

その他

ジャカルタ事務所駐在員・殉職

関連項目

脚注

  1. ^ 工業奨励金交付決定す国民新聞 1928.1.12 (昭和3)

外部リンク