三陸鉄道36-100形気動車

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三陸鉄道36形100番台
南リアス線の36-100形(2009年)
南リアス線の36-100形(2009年)
基本情報
製造所 富士重工業・新潟鐵工所
主要諸元
最高速度 95km/h
車両定員 114人(座席57人・立席57人)
自重 31t
台車 新潟鐵工所NP-116D・NP-116T
機関 6L13ASエンジン・ DMF13HZ
変速機 TACN-22-1613A
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三陸鉄道36-100形気動車(さんりくてつどうさんりく100がたきどうしゃ)は、三陸鉄道普通列車気動車である。

本稿では同形の36-200形気動車ならびにこれらの改造車である36-1100形気動車36-1200形気動車36-2100形気動車についても記述する。

概要[編集]

1984年(昭和59年)の三陸鉄道(南リアス線北リアス線)開業時に導入された車両であり、開業時に16両が富士重工業および新潟鐵工所で新製され、翌1985年に3両が増備された。形式名称の「36」は、「さんりく」をもじって付けられたものである。

後続の第三セクター鉄道各社が低コストなレールバスタイプの軽快気動車を多く導入したのに対し、36-100形グループは全長以外の規格・接客設備等が日本国有鉄道(国鉄)形気動車に近い規格で製造された(国鉄の中古車購入も含めて検討された。レールバスはポイント通過速度が低いなどから除外[1])。機器構成面では直前の1983年に国鉄が試作していたキハ37形の影響を強く受けており、それは製造当初、垂直シリンダ式の新潟鐵工所6L13ASディーゼルエンジン国鉄DMF13Sと同系統)、国鉄気動車用DT22系と同型で1軸駆動のNP-116台車を装備するなどの構成に表れている。

車両データ[編集]

  • 車体長 - 18.5m
  • 最大高 - 3.967m
  • 最大幅 - 2.928m
  • 定員 - 114人(座席57人・立席57人)※36-100形・36-200形の場合
  • 自重 - 31t
  • 機関 - DMF13HZ(300PS/2000rpm)、リニューアル車は330PS 製造当初は6L13AS形(250PS)
  • 台車 - 新潟鐵工所NP-116D・NP-116T(国鉄DT22形・TR51形同型品)
  • 変速機 - TACN-22-1613A

36-100形[編集]

三陸鉄道開業の1984年に36-101 - 36-110の10両が製造された。両運転台・汚物処理装置付きトイレ(FRPユニット構造)を装備し、ワンマン運転対応の設備も有している。座席はセミクロスシートで車端部がロングシートとなっているが、クロスシート部分は左右の座席をずらした配置となっている。また、クロスシートはシートピッチ1520mmのボックス席である。前面は、貫通路を強調したデザインとなっており、ホロを格納した時にホロが目立たない構造となっている。車体の色は、アイボリー地に赤色で「三陸」の「三」を3本線で表し、アクセントカラーを青として、白(誠実)・赤(情熱)・青(海)の配色がなされている。

南リアス線所属で2011年3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)による津波の被害を免れた105は吉浜 - 唐丹間の鍬台トンネルで閉じこめられたが、警報を受信して緊急停止しなければトンネル出口側で発生した落橋によって乗務員・乗客もろとも転落するところであった。湿度が高いトンネル内での長期留置で車両の腐蝕が懸念されたため、線路修復が行われ同年6月24日に吉浜駅へ自力回送され、盛方の復旧まで留置されていた。同車は車両・人的被害も受けなかったので「奇跡の車両」と呼ばれることがある。南リアス線の運行再開後は36-700形とともに運用されている。

36-200形[編集]

36-201 - 36-209の9両が製造された。基本的には36-100形と同じ構造となっているが、車内に飲料水の自動販売機が設置されている[2]。また、このうち1985年に増備された3両には運転台付近にテレビデオが設置されている。

36-1100形[編集]

36-1100形

36-1200形の登場後[3]、2001年から2002年に36-100形の車内を改造した車両[4]で、座席は全てフリーストップの2人掛けリクライニングシート(JR485系の譲渡品)となっている。テレビビデオが設置されているほか、車椅子用のスペースが1台分設けられ、「リアス・シーライナー」運転時は、36-1200形とともに同列車に充当された。

3両が改造され、番号は原番号+1000番の36-1103(通常塗装)・36-1106(青色塗装)・36-1107(青色塗装)となった。 青色塗装の車両は、今までアイボリー地の部分が青色へ、青色の線の部分が白色へ変更されている。 36-1106は後述のように青色塗装のまま廃車。36-1107は下記「てをつな号」ラッピングを経て、通常塗装に戻っていた。

36-1106は2009年4月より使用停止(廃車)となり、残る36-1103、36-1107も2013年度に廃車された。

36-1200形[編集]

2000年と翌2001年に[5]、36-200形の車内を改造した車両で、座席は全てフリーストップの2人掛けリクライニングシートとなっている。2両が改造され、番号は原番号+1000番の36-1201・36-1206となった。外観塗装は、今までアイボリー地の部分が赤色へ、赤色の線の部分が白色へ変更されている。「リアス・シーライナー」運転時はこの車両が充当されていた。

2両とも2009年4月より使用停止(廃車)となり、上記の36-1106とともに、8月26日から29日にかけてミャンマーに送られた。ミャンマーでは、他の第三セクターから輸出された車両より豪華なリクライニングシート装備の内装を生かし、ミャンマー国鉄幹部の巡回視察用として使われている[6]

36-2100形[編集]

36-2100形(さんりくしおかぜ)

2002年に登場した36-100形の車内を改造した車両で、「さんりく・しおかぜ」の愛称が付けられている。36-110の1両のみ改造され、番号は原番号+2000番の36-2110となった。室内は、掘り炬燵タイプと全面畳敷タイプに転換でき、掘り炬燵タイプでは中央をはさんで両側に4人掛けのテーブルがつく。冬の間「こたつ列車」として北リアス線の土曜日・休日に運転される定期列車1往復にはこの車両が連結されている。貸切もでき、予約すれば特別料理を堪能することができる。

2013年度の例 お座敷列車は4月27日~29日、5月3日~6日、久慈-田野畑間で1日1往復運行[7]後、6月1日~9月23日の土休日(10月14日まで延長。NHKあまちゃん経済効果を参照)、7月27日~8月11日の毎日「お座敷列車北三陸号」として運転[8] こたつ列車として12月1日~2014年3月30日の土休日、1月1日~1月5日の毎日運転[9]

なお、2014年度からはお座敷列車として新型車両36-Z1形が運行を開始したことにより、「お座敷列車北三陸号」・「こたつ列車」から退き[10]、団体貸切や企画列車「しおさいのメモリーズ号」として運転。旧お座敷列車と案内されている[11]。2016年3月に引退し、新潟トランシスへ輸送された。

機器の改造[編集]

製造当初は非冷房であったが、1995年から1999年にかけて冷房が設置された。冷房設置によりエンジンの出力が不足するようになったので、従前の6L13AS形(250PS)からDMF13HZ形(300PS)に換装されている。なお、DMF13HZ形エンジンの定格出力は330PSであるが、動力台車が1軸駆動であるため加速時の空転を防ぐために300PSに出力を抑制して使用している。

さらに、車齢が25年に達し老朽化が見られるようになったので、2008年度から保安度向上を含んだリニューアル工事が開始されている。主な内容としては自動列車停止装置(ATS)の変更(ATS-SN形→ATS-PS形)、保安ブレーキの二重系化、コイルばね台車(NP116D、NP116T)から空気ばねボルスタレス台車(NF01GD、NF01GT)への交換である。台車の交換により応答性の良いユニットブレーキ化がされ、動力台車が2軸駆動となったのでエンジンの出力が本来の定格出力である330PSに引き上げられた。

ラッピング車両[編集]

てをつな号[編集]

合田経郎が提唱し、様々なキャラクターが手をつないだ「てをつなごう だいさくせん」が子供にも好評であることから、36-102と36-1107に特別ラッピングを施して2012年4月から1年間運行された[12]

キット、ずっと号[編集]

36-105 「キット、ずっと2号」
(奇跡の車両)

ネスレ日本が中心となり三陸鉄道を応援する「キット、ずっとプロジェクト」により、2012年3月から2013年6月まで[13]、36-101にのラッピングを施し、「キット、ずっと号」として運行していた。同車のラッピング終了後は、2013年4月より前述する36-105に類似のラッピングを施し、「キット、ずっと2号」として運行している。[14]。2号は、2014年6月22日にラストランと参加者募集のもとラッピング剥がしが行われる予定[15]

2013年12月24日から北リアス線宮古―小本間で「キット、ずっと 3号」が運転開始した。こちらはもともとの塗装を生かしたラッピングである[16]

廃車[編集]

1994年に強風による転覆事故で2両(108・204)、2009年3月のダイヤ改正で余剰となった3両(1106・1201・1206)が使用停止(廃車)となり、2009年時点で14両が稼働していた。 (一覧101・102・104・105・109・1103・1107・2110、及び、202・203・205・207・208・209)

2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による津波で南リアス線所属の4両のうち3両(104・203・205。残りの105については上述)が盛駅車両基地で冠水し使用不能となった。同年10月5日より「ふれあい待合室」として車内でイベントなどを行っていた(特に104はカラオケ装置搭載車であったためこれも活用された)が、車両の修理に多額の費用が必要なことから2012年11月で閉鎖となり同年11月14日より解体作業が行われた[17][18]。代替としてクウェート政府の援助により36-700形が同数導入された。

2013年度には36-1103、36-1107が廃車されている。なお、2015年3月にミャンマーに譲渡される[19]

その他[編集]

2013年度前期(4月 - 9月)放送のNHK連続テレビ小説あまちゃん』で、北リアス線をモデルとした「北三陸鉄道リアス線」の車両として、主に207・208の2両が撮影に使われ、そのままの姿でオープニングテーマや劇中に登場する[20]。最終話など、一部の放送回で、36-2100形が撮影に使われている。また、劇中では100形の塗色を模した軽ワンボックス車が北三陸鉄道の社用車として登場する[21]

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 三陸鉄道開業25周年記念誌