阿佐海岸鉄道ASA-300形気動車

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阿佐海岸鉄道ASA-300形気動車
ASA-301
2010年5月海部駅にて
塗装変更後の姿
基本情報
運用者 阿佐海岸鉄道
製造所 新潟鐵工所[1]
種車 高千穂鉄道TR-201[2]
製造初年 1989年[1]
改造所 西日本テクノサービス[4]
導入年 2009年[3]
総数 1両[3]
運用開始 2009年8月30日[2]
運用終了 2020年11月30日[5]
主要諸元
軌間 1,067[6] mm
車両定員 100名
(座席52名)[7]
自重 26.2 t[7]
全長 16,300[6] mm
車体長 15,800[6] mm
全幅 2,998[6] mm
車体幅 2,700[6] mm
全高 3,890[6] mm
車体高 3,665[6] mm
床面高さ 1,220 mm[6]
車体 普通鋼
台車 枕ばね:上枕空気ばね
軸箱支持:軸ばね式
NP120D/T[7][8]
車輪径 762 mm[9]
固定軸距 1,800 mm[6]
台車中心間距離 10,800 mm[6]
機関 新潟鐵工所製DMF13HSディーゼルエンジン[7][9]
機関出力 183 kW (250 PS) / 1,900 rpm[7][9]
変速機 新潟コンバーター製液体式(TACN-22-1100) [7][9]
変速段 変速2段・直結1段[10][9]
歯車比 2.73[7]
制動装置 機関排気ブレーキ併用DE1A[6][7][11]
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阿佐海岸鉄道ASA-300形気動車 (あさかいがんてつどうASA-300がたきどうしゃ)は、1989年平成元年)に高千穂鉄道TR-201として製造され、2005年(平成17年)の同鉄道営業休止まで使用された[12][13]のち、2009年(平成21年)に阿佐海岸鉄道に譲渡された気動車である[2]

概要[編集]

阿佐海岸鉄道では、2008年(平成20年)6月30日宍喰駅で発生した脱線事故で保有車両2両のうち1両が廃車となり、予備車がない状況となっていた。

時を同じくして、宮崎県を走る第三セクター鉄道高千穂鉄道高千穂線は2008年(平成20年)12月28日限りで全線が廃止となり、同線で運用されていた気動車も全車両が用途廃止となっていた[13]

その中でも観光用の内装を有するTR-200形に白羽の矢が立ち、阿佐海岸鉄道に1両(TR-201)が無償譲渡される事が決定した[2][4]。同車は2009年(平成21年)2月に留置されていた高千穂駅から搬出され、西日本テクノサービスで整備を受けた[4]のち、同年7月31日に阿佐海岸鉄道に向け発送[14]、8月10日よりASA-300形301号車として運用を開始した。

車体[編集]

車体・走行装置ともに高千穂鉄道時代から大きな変更点はない。

外板塗装も高千穂鉄道時代のものを継承したが、2010年(平成22年)3月以降はをベースに徳島県のスダチをあしらった『すだちくん』、及び高知県東洋町のポンカンをあしらった『ぽんかんくん』を配したデザインに変更された[2]

海部寄りの貫通扉下部には、「みなでのらんけ(“みんなで乗ろう”の意)阿佐東線」と描かれた丸形の『すだちくん』仕様のヘッドマーク、甲浦寄りの貫通扉下部には同じく『ぽんかんくん』仕様のヘッドマークが掲げられた。

車歴[編集]

ASA-300形車歴
高千穂形式 高千穂車両番号[15] 高千穂愛称[11] 製造[1] 高千穂廃車[16] 阿佐形式 阿佐車両番号[15] 阿佐入籍[3] 阿佐愛称[17] 廃車
TR-200 TR-201 かぐら 1989年4月 2008年12月 ASA-300 ASA-301 2009年8月 たかちほ -

運用[編集]

阿佐海岸鉄道導入時の姿。当初は高千穂鉄道時代の塗装のまま運用された。
2010年3月からの姿。2020年11月中旬から最終日まで、運用終了記念の特製ヘッドマークが付けられていた。
ASA-301乗降口横の運用終了記念サインボード。2020年11月中旬から最終日まで取り付けられていた(2020年11月15日撮影)。

阿佐海岸鉄道阿佐東線海部駅 - 甲浦駅間でASA-100形と共通で運用された[18]

「たかちほ」の愛称がつけられ、前述の通り当初は高千穂鉄道時代のままの仕様で「高千穂復刻列車」として運用されたが、2010年(平成22年)3月に『すだちくん』と『ぽんかんくん』のデザインに変更された[2]

2009年(平成21年)12月からは四国旅客鉄道(JR四国)牟岐線牟岐駅への乗り入れ運用にも充当された[19]が、2019年3月16日ダイヤ改正でこの運用は廃止となった。

阿佐東線へのDMV導入に伴い、2020年(令和2年)11月30日をもって営業運転を終了した[5]。DMV営業運転開始の時点では、宍喰駅南方の車両基地(阿佐海岸鉄道本社脇)に置かれている[20]

出典[編集]

参考文献[編集]

書籍[編集]

  • 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5 

雑誌記事[編集]

  • 『鉄道ピクトリアル』通巻534号「新車年鑑1990年版」(1990年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫・大幡 哲海・岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 180-197
    • 高千穂鉄道(株)鉄道部長 久保田 敏之「高千穂鉄道TR-100・200形」 pp. 241
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 284-287
    • 「1990年度車両動向」 pp. 287-302
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻658号「<特集> レールバス」(1998年9月・電気車研究会)
    • 「第三セクター・私鉄向け 軽快気動車の発達 新潟鉄工所 NDC」 pp. 32-35
    • 高嶋修一「第三セクター・私鉄向け軽快気動車の系譜」 pp. 42-55
  • 『レイルマガジン』通巻250号(2004年7月・ネコ・パブリッシング)
    • 寺田 祐一「私鉄・三セク気動車 141形式・585輌の今!」 pp. 4-50
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻795号「鉄道車両年鑑2007年版」(2007年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2006年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
  • 鉄道ファン』通巻577号(2009年5月・交友社
    • 斎藤 幹雄「高千穂鉄道 車両搬出作業実施」 pp. 149-151
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻825号「鉄道車両年鑑2009年版」(2009年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2008年度民鉄車両動向」 pp. 108-134
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻840号「鉄道車両年鑑2010年版」(2010年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2009年度民鉄車両動向」 pp. 116-142
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 212-225
  • 『私鉄車両編成表 2017』(2017年7月・交通新聞社
    • 「土佐くろしお鉄道」 pp. 182

Web資料[編集]