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青木ヶ原

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青木が原から転送)
青木ヶ原
青木ヶ原と富士山
地理
所在地日本の旗 日本 山梨県南都留郡
富士河口湖町鳴沢村
座標北緯35度28分12秒 東経138度37分11秒 / 北緯35.47000度 東経138.61972度 / 35.47000; 138.61972座標: 北緯35度28分12秒 東経138度37分11秒 / 北緯35.47000度 東経138.61972度 / 35.47000; 138.61972
標高920 - 1300 m
面積約30 km2
ウェブサイトwww.pref.yamanashi.jp/kankou-sk/210324aokigahara_jukai.html

青木ヶ原(あおきがはら)は、山梨県富士河口湖町鳴沢村にまたがって広がる森で、富士山の北西に位置する[1][2]

青木ヶ原樹海[2]、あるいは富士の樹海とも呼ばれ、山頂から眺めると木々が風になびく様子が海原でうねる波のように見えることから「樹海」と名付けられたという説もある[3]。樹海の歴史は約1200年とまだ浅く、若い森である[3]

富士箱根伊豆国立公園に属し、富士山原始林及び青木ヶ原樹海という名称で、国の天然記念物に指定されている[4][5]。このほか、国立公園の特別保護地区に指定されており[6][7]世界文化遺産富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の富士山域に含まれる。

地理

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竜ヶ岳から望む青木ヶ原、右に西湖
青木ヶ原の位置(100x100内)
青木ヶ原
青木ヶ原
富士山
富士山とおおよその青木ヶ原樹海の位置関係
青木ヶ原の原生林。昼間でも奥に入ると薄暗い。

富士山麓の北西、標高920 - 1300メートル付近に広がる。面積はおよそ30平方キロメートルである。貞観6年(864年)に、富士山の北西山麓で大規模な噴火活動(貞観大噴火)が発生した[1][2]。流れ出た膨大な量の溶岩大室山を迂回して流れ、森林地帯を焼き払った末に、北麓にあった広大な湖・剗の海(せのうみ)に達し、大半を埋没させた[1][2]。やがて溶岩地帯には、1200年の時を経てツガヒノキを中心にハリモミヒメコマツアカマツなどの針葉樹ミズナラなどの広葉樹混合林である原始林が形成された[8][9][2]。植物の垂直分布では落葉広葉樹が発達する山地帯にあたるが、水分や養分の少ない溶岩質の土壌であることから針葉樹が発達している[2]。人為的攪乱の加わっていない原生林であると考えられているが、伐採が行われていた可能性が指摘され、石塁も発見されている。周辺には溶岩洞が数多くあり、富岳風穴鳴沢氷穴西湖蝙蝠穴はその大きなもので公開されている[10][11][12]

溶岩流の端には西湖精進湖本栖湖がある[13][14][15]。864年の噴火以前には現在の青木ヶ原の地に剗の海という大きながあったが、溶岩流でその大部分が埋め立てられた末に西湖と精進湖とが残った[2][8]。このいきさつは日本三代実録に記されている(→剗の海および富士山の噴火史#略年表を参照)。また紀元前4,000年紀に起きた噴火以前には、剗の海と本栖湖とを隔てる溶岩塊も存在せず、両者はひとつの大きな湖であったとされる。

樹海の中には国道139号などが通っている[16]。樹海そばにある三湖台を登ると、頂上からは樹海が見渡せる[8]

生物

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富士山周辺は日本有数の鳥の繁殖地であり哺乳類の宝庫である[17]。確認された哺乳類の種類は42種に及ぶ[17]

青木ヶ原から山地帯にかけての一帯は特にツキノワグマの生息密度が高い[17]。その他生息する大型哺乳類は、ニホンザルニホンカモシカニホンジカニホンイノシシなどである[17][8]

観光

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近くにキャンプ場公園があり、青木ヶ原を通り抜けられる遊歩道も整備されており、森林浴には最適なところである[18]。青木ヶ原と湖と富士山からなる景観も美しい[18][16]。東京圏から容易に行けることもあり、人気の高い観光地である[19]。青木ヶ原内のコウモリ穴にある西湖ネイチャーセンターでは富士河口湖町公認ガイドによる青木ヶ原散策も行われている[2]

反面、樹木が多く深い森であるため、少し道を外れると元の場所に戻ることが難しい[3]。道を外れた場所の地面はむき出しの溶岩で出来ているために、大小さまざまの凹凸があるので、足をとられるなどして怪我をする可能性がある[2][3]。俗説にあるような「一度入ったら出られない」ような恐ろしい場所ではないのだが、これらの危険を防ぐためには、何よりも遊歩道からそれないように心がけるなど、他の山々の森を訪れる時と同様に、ある程度は心得て行くことが必要とされる場所である[3]。また、樹海一帯が文化財保護法における天然記念物、自然公園法における特別保護地区に指定されており、不用意に林内に立ち入り樹木等を損傷させた場合はそれぞれの法律に違反することになるため、法的な観点からも注意が必要である[20][3]

近年は、観光者によるゴミのポイ捨てに加え、外部から持ち込まれた粗大ゴミや産業廃棄物不法投棄も多く、問題となっている[21][22][23]。また、樹海の中でのキャンプの残骸など、冷やかしで訪れる人々によるゴミが増えている[24]。これらのゴミは地元住民が定期的に始末しているとはいえ、他の観光地同様に、観光客のマナーが問われる問題である[24]。さらに、溶岩を持ち帰り(自然公園法、森林法の違反行為である)オークションなどへ転売する行為も行われており、2009年には溶岩を盗んだとして森林窃盗などの容疑で逮捕者も出ている[25]。なお、全国の有志による清掃活動や不審者に対する見回りなどのボランティア活動も強化されている[26][27][28]

俗説

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樹海内の様子
青木ヶ原を横断する国道139号

樹海からは抜け出せない

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「青木ヶ原樹海は一歩入ると出られない」という俗説があるが、先にも述べているように遊歩道もあり、案内看板も多く、近くにはキャンプ場や公園、樹海を一望できる展望台、風穴、氷穴などがある観光地であり、さらに富士河口湖町公認のネイチャーガイド付きのツアーもあるなど、ピクニック等を楽しむこともできる場所である[29]

問題なのは遊歩道を外れて森に入った場合で、遊歩道より200 - 300メートル以上離れた地点で遊歩道や案内看板が見えない場合は、360度どこを見ても木しかなく、高低差に乏しい特徴のない似たような風景が続いており、また足場が悪くまっすぐ進めないため迷って遭難する危険がある[29]。もっとも、これは青木ヶ原樹海に限ったことではなく、深い森ならどこでも同じである。

「青木ヶ原樹海は自殺の名所[29]とされ、松本清張の『波の塔』で取り上げられたため有名になった[2]。遺体が遊歩道からそう遠くない所で見つかることもある[30][31]。そして自殺の名所の影響からか相談の看板が立てられている[31][32]

なお陸上自衛隊富士学校レンジャー課程の大部分は青木ヶ原で行われる。コース創設当初、「二度と生きては帰れない」という噂から、誰も現地調査に行きたがらなかったのに対し、アメリカ陸軍レンジャー課程を修了した二人の幹部自衛官があっさりと目標地点まで踏破してみせて、訓練場として選定された[33]

方位磁針が使えない、電子機器が狂う

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方位磁針が使えないというのは俗説である[2]溶岩の上にできたので地中に磁鉄鉱を多く含み、方位磁針に1・2度程度の若干の狂いは生じるが、俗に言われているように「方位が分からなくなる」ほど大きく狂うものではない[2]。実際に陸上自衛隊は、上記の経緯もあり、地図と方位磁針で樹海を踏破する訓練を行っている[34]

また、派生形として「樹海の中ではデジタル時計の表示が狂う」「車の計器や放送機器に異常が発生する」等とも言われているが、科学的根拠のないデマである[3]。同様に「GPSも使えない」という俗説もあるが、これは比較的低性能の機器を使用した際に、密生した樹木にGPS衛星電波が遮られるためであり、高性能のGPSやQZSSの機器は正しく機能する[3]携帯電話がつながらないというのも、樹木で電波が遮られるためであり、近年は移動体通信事業者基地局が設置されて、つながりやすくなっている。

飛行機が上空を通過すると計器が乱れるため、飛行禁止とされている」という俗説もあるが、民間機の飛行が制限されるのは、自衛隊在日米軍の基地が近く、横田ラプコンのエリアとして指定されているという軍事上の理由と、山岳波という特殊な乱気流からであり(1966年にはこれが原因で英国海外航空機空中分解事故が発生している)、樹海の存在とは関係がない。

作品

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映画

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テレビ

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漫画

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脚注

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  1. 1 2 3 朝日新聞』2014年10月30日 朝刊 山梨全県・2地方24頁「(ジャンボ渡辺の富士山学)御嶽山噴火の教訓 美しい景観、火山だからこそ /山梨県」(朝日新聞東京本社
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 読売新聞』2022年10月5日 全国版 東京夕刊 若W1 6頁「[民ゾクッ学] 負のイメージ 歩けば変わる 青木ヶ原樹海」(読売新聞東京本社
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 『朝日新聞』2016年2月20日 朝刊 週末be・e01 13頁「(みちものがたり)青木ヶ原樹海の遊歩道 山梨県富士河口湖町、鳴沢村 千年の森、生命の不思議」(朝日新聞東京本社)
  4. 毎日新聞』2009年11月21日 地方版/山梨 22頁「文化審答申:青木ヶ原樹海、天然記念物に追加指定を /山梨」(毎日新聞東京本社
  5. 平成22年(2010年)3月8日文部科学省告示第41号による地域の追加指定及び名称変更。変更前は「富士山原始林」。
  6. 『毎日新聞』1996年8月10日 地方版/福井「[ネットワーク] 富士山頂部、青木ヶ原樹海などを特別保護地区に指定--環境庁」(毎日新聞大阪本社
  7. 平成12年(2000年)1月、当時の環境庁が策定した富士箱根伊豆国立公園富士山地域管理計画書より。
  8. 1 2 3 4 『朝日新聞』2020年11月7日 朝刊 静岡全県・2地方26頁「(富士山:15)西湖、貞観大噴火が生んだ地形 /静岡県」(朝日新聞東京本社)
  9. 『読売新聞』2021年2月5日 山梨 東京朝刊 山梨21頁「樹海動画 魅力が山盛り 県、映画とタイアップ=山梨」(読売新聞東京本社)
  10. 『読売新聞』2002年8月25日 山梨 東京朝刊 山梨2 33頁「足和田などでコウモリフェスティバル開催 樹海洞くつでは観察会=山梨」(読売新聞東京本社)
  11. 『読売新聞』2018年7月15日 山梨 東京朝刊 山梨27頁「涼求め 富丘風穴に アジアからも観光客=山梨」(読売新聞東京本社)
  12. 『読売新聞』2025年8月7日 全国版 東京夕刊 夕社会9頁「天然の冷蔵庫 山梨・鳴沢氷穴」(読売新聞東京本社)
  13. 『読売新聞』2006年8月4日 山梨 東京朝刊 山梨35頁「[北ろく夏百景] 精進湖 カヌーの聖地=山梨」(読売新聞東京本社)
  14. 『読売新聞』2012年9月23日 山梨 東京朝刊 山梨29頁「西湖 湖底調査始まる クニマス生態解明へ=山梨」(読売新聞東京本社)
  15. 『読売新聞』2022年10月20日 全国版 東京夕刊 夕特C 3頁「[水中点描] 悠久の湖底 沈木の舞 山梨県・本栖湖」(読売新聞東京本社)
  16. 1 2 『朝日新聞』2014年11月12日 朝刊 山梨全県・2地方24頁「ひろば お気に入りの場所 /山梨県」(朝日新聞東京本社)
  17. 1 2 3 4 鎌田浩毅『まるごと観察 富士山』誠文堂新光社、2013年、72頁。
  18. 1 2 『読売新聞』2000年9月10日 全国版 東京朝刊 健康37頁「"森林浴"で体と心を癒す 「仮想現実」にも応用 乳がん患者ら効果」(読売新聞東京本社)
  19. 『読売新聞』2004年5月21日 山梨 東京朝刊 山梨28頁「河口湖での宿泊、東アジアで人気 「富士山に近く安価」 昨年より倍増=山梨」(読売新聞東京本社)
  20. 『読売新聞』2006年1月13日 山梨 東京朝刊 山梨31頁「精進口登山道などエリア拡大 県、素案提示 富士山世界遺産登録推進協=山梨」(読売新聞東京本社)
  21. 『読売新聞』2003年7月13日 山梨 東京朝刊 山梨32頁「不法投棄実態に驚き NPO「富士山クラブ」が調査開始=山梨」(読売新聞東京本社)
  22. 『読売新聞』2008年1月11日 山梨 東京朝刊 山梨33頁「不法投棄を今年初の警戒 富士吉田署=山梨」(読売新聞東京本社)
  23. 『読売新聞』2010年5月31日 山梨 東京朝刊 山梨25頁「河口湖・西湖 ごみ回収500キロ 富士山麓 投棄減少手応え=山梨」(読売新聞東京本社)
  24. 1 2 『読売新聞』2003年10月5日 山梨 東京朝刊 山梨28頁「富士山シンポジウム 世界遺産へ挑戦続く 官民連携の取り組みを=山梨」(読売新聞東京本社)
  25. 『読売新聞』2009年7月3日 山梨 東京朝刊 山梨29頁「樹海溶岩持ち去った疑い 逮捕の男「庭に飾りたかった」=山梨」(読売新聞東京本社)
  26. 『読売新聞』2003年8月4日 山梨 東京朝刊 山梨26頁「不法投棄に負けない!! 登山家・野口健さんが青木ヶ原樹海を清掃=山梨」(読売新聞東京本社)
  27. 『読売新聞』2020年10月4日 山梨 東京朝刊 山梨2 24頁「[ただいま活動中] 認定NPO法人 富士山クラブ=山梨」(読売新聞東京本社)
  28. 『読売新聞』2009年11月27日 山梨 東京朝刊 山梨33頁「[深層追跡] 自殺防げ水際作戦 青木ヶ原樹海パトロール=山梨」(読売新聞東京本社)
  29. 1 2 3 ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 105.
  30. 『朝日新聞』1999年10月21日 朝刊 山梨35頁「青木ヶ原の遺体、6割が身元不明 今年も過去最多ペース /山梨」(朝日新聞東京本社)
  31. 1 2 『読売新聞』2007年7月25日 山梨 東京朝刊 山梨33頁「青木ヶ原樹海で自殺、考え直して 市民団体が看板 相談電話番号も記載=山梨」(読売新聞東京本社)
  32. 『読売新聞』2008年2月23日 全国版 東京夕刊 夕一面1頁「借金で死んじゃだめ 樹海の看板、29人救う 24時間電話相談も」(読売新聞東京本社)
  33. 谷 1988, pp. 47–48.
  34. 谷 1988, pp. 124–153.

参考文献

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  • 中込, 司郎「青木が原樹海は原生林か?」『甲斐路』第97号、山梨郷土研究会、2000年、NCID AN00035829 
  • 栗原, 亨『樹海の歩き方』イーストプレス、2005年。ISBN 978-4872574371 
  • 栗原, 亨『ウソかマコトか!?恐怖の樹海都市伝説』秋田書店、2008年。ISBN 978-4253110150 
  • 谷, 三郎『レインジャー―陸上自衛隊最強の戦闘員』扶桑社〈世界大戦文庫スペシャル〉、1988年。ISBN 978-4594002350 
  • ロム・インターナショナル(編)『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。ISBN 4-309-49566-4 

関連項目

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外部リンク

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