「いすゞ・ジェミニ」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
初代は、提携先の[[ゼネラルモーターズ|GM]]の「グローバルカー([[世界戦略車]])構想」に基づき、[[オペル・カデット]]({{仮リンク|GM・Tプラットフォーム (1973)|en|GM T platform (1973)}})をベースに発売された<ref name="名前なし">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第84号23ページより。</ref>。この当時、世界各国でカデットをベースに開発された[[姉妹車]]たちが生産されていた。販売面では、多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得た<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
初代は、提携先の[[ゼネラルモーターズ|GM]]の「グローバルカー([[世界戦略車]])構想」に基づき、[[オペル・カデット]]({{仮リンク|GM・Tプラットフォーム (1973)|en|GM T platform (1973)}})をベースに発売された<ref name="日本の車84-23">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第84号23ページより。</ref>。この当時、世界各国でカデットをベースに開発された[[姉妹車]]たちが生産されていた。販売面では、多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得た<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。


一転して独自開発となった特に2代目は、豊富なバリエーションや巧みなCM戦略などで人気を博し、いすゞの乗用車史上最大のヒットを記録した<ref name="名前なし" />が、3代目はバブル崩壊などの影響から販売不振に陥り、4代目以降は遂に自社開発をあきらめて[[本田技研工業]]からのOEM供給を受けることとなった<ref name="名前なし" />。
一転して独自開発となった特に2代目は、豊富なバリエーションや巧みなCM戦略などで人気を博し、いすゞの乗用車史上最大のヒットを記録した<ref name="名前なし" />が、3代目はバブル崩壊などの影響から販売不振に陥り、4代目以降は遂に自社開発をあきらめて[[本田技研工業]]からのOEM供給を受けることとなった<ref name="日本の車84-23" />。


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== 歴史(自社生産時代) ==
== 歴史(自社生産時代) ==
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[[1974年]]11月登場。形式名は1974年に登場した1.6 Lガソリン車がPF50型、[[1977年]]に登場した1.8 Lガソリン車がPF60型。そして[[1979年]]に登場した1.8 Lディーゼル車がPFD60型となっている。


初代は、いすゞ自動車の提携先だったGMが提唱する「グローバルカー」構想の一環として開発されたコンパクトセダン/クーペである<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。いすゞはこのジェミニをベレットの後継車と位置付け、販売当初のネーミングは「ベレット・ジェミニ」としていた<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
いすゞではこの時期まで、基本設計が10年以上前に遡り、陳腐化した[[いすゞ・ベレット|ベレット]]の生産が続いていた。GMが引き続きベレットの生産継続を主張したのに対し、いすゞは市場性の見地より[[モデルチェンジ (自動車)|モデルチェンジ]]を要望、その結果、GMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に基づきオペル・カデット(GM「Tカー」)をベースに新型車を開発する事が決定した。


開発に当たっては、同じくGM傘下にあったドイツの[[オペル・カデット]]をベースとしており、各部品や装置はオペルとの互換性を考慮しつつ、内外装は日本向けに手が加えられている<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
「Tカー」はオペル・カデットのほか、<br>
*米国:シボレー・シェベット、ポンティアック・1000
*韓国:セハン・ジェミニ、セハン・マックス(※[[ピックアップトラック]])→セハン・メプシ/大宇・メプシーナ
など世界中で[[姉妹車]]が生産されていた。オーストラリアのGM系メーカーである[[ホールデン (自動車)|ホールデン]]は「[[ホールデン・ジェミナイ]]("Gemini"の[[オーストラリア英語]]発音)」として日本からいすゞ製ジェミニを輸入した。


ボディは2ドアクーペと4ドアセダンの2種類が用意されており、全長4135mm、全幅1570mmは共通で、全高はクーペが1335㎜、セダンが1360㎜と、国産車の1600㏄モデルとしてはオーソドックスなサイズだった<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
車名の「ジェミニ」は英語で「ふたご座」の意味。ベレットの後継車としての位置を明確とするため[[1975年]]までは「ベレットジェミニ」と名乗っていた。


当時の欧州車の傾向に沿ったエクステリアは、ガラスエリアを広くとられ、ウェストラインは低く固定されていて、良好な視野が確保された<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。インテリアで目を引くのはステアリングで、安全性を重視し、パッドが最大限に広げられていた<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
ボディタイプは4ドア[[セダン]]と2ドア[[クーペ]]の2種類。当初は1.6 Lシングルキャブの[[SOHC]]エンジンを搭載したPF50型のみのラインナップであったが、ベース車両となったオペル・カデットそのままに逆スラントノーズを採用し、直線を基調にした欧州風のボディデザインで、ドアまわりは当時としては珍しく丸みを帯びているのが特徴である。


ライフスパンは、12年以上の長きにわたるが、その中でも白眉と言えるのは、[[1979年]]登場のDOHCエンジンを搭載したホットモデル「ZZ」で、ラリーベース車としても人気を博し、いすゞではラリーストのために、エンジンのバランス調整を手作業で行った車を提供<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。このエンジンは、通常は青色だったカムシャフトカバーが黒色だったため、ブラックカバーと呼ばれた<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。ブラックカバーは、限定車とはいえ「誰にでも手に入れられる準ワークスカー」ともなり、国内のラリーシーンを席巻した<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
先代モデルたるベレットは基本設計の古さもあり、{{要出典|範囲=開発当初の本来の車格はともかく、ボディサイズは1970年代中期では廉価な「[[大衆車]]」クラスに位置していたが、ジェミニは開発年次の新しいカデットをベースとしたため、ボディサイズが大幅に拡大されていた。|date=2019年1月}}このため、日本の大衆車の代表的車種である[[トヨタ・カローラ|カローラ]]、[[日産・サニー|サニー]]の当時(1974年)のモデルよりもエンジン、ボディとも一回り大きく、やや上位クラスにあった。ベースのカデット譲りの堅実な設計に、実績のあるいすゞ製エンジンを組み合わせたスペックは一定の商品性があり、ジェミニはすぐにいすゞの主力車種となった。


多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得て、生産終了から30年近く経過した後も、中古車市場で流通しているほどで、その作りの良さがうかがえる一台である<ref name="週刊日本の名車27号p17">デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。</ref>。
同じいすゞ製乗用車でも上級車種[[いすゞ・フローリアン|フローリアン]]とは明確な差があったが、[[1977年]]、ジェミニに1.8 Lエンジン搭載モデルが追加され、クラス的にオーバーラップするようになった。しかしこの頃には、旧弊化したフローリアンを購入する一般ユーザーはほとんどおらず、両車のスタイル、性格の差もあり、元々不人気車種になっていたフローリアンの販売に特に影響は無かったようである。


==== 機構 ====
[[前照灯|ヘッドランプ]]は、オリジナルは丸目2灯であったが[[1977年]]6月に角目2灯に変更。1979年6月にジェミニ独自の[[モデルチェンジ (自動車)|フェイスリフト]]が行われスラントノーズ形状に変更<ref>『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26 p115』</ref>、ヘッドランプもスポーティー系グレードに限り丸目2灯に戻った。[[1981年]]に異型角目2灯に変更される。
登場時に搭載されたエンジンは、1600cc直列4気筒SOHCのG161Z型で、ベレットに搭載されていたG161型をベースにしつつ、昭和50年排出ガス規制をクリアするため、基本レイアウトから細部機構に至るまで全面的に刷新され、これに4速MTが組み合わされていた<ref name="日本の名車27-18"/>。


サスペンションは、フロントが当時のいすゞ車に採用されていたダブルウィッシュボーンで、リアは操縦安定性を重視して3リンク式リジッドとなっている<ref name="日本の名車27-18"/>。
1979年11月には[[ディーゼルエンジン]]搭載車と1.8 L [[DOHC]][[ガソリンエンジン]]搭載のホットモデル「'''ZZ'''」(ダブルズィー)シリーズが追加された。また車名表記も大文字&小文字の「'''Gemini'''」から大文字の「'''GEMINI'''」と変更されている。「ZZ」シリーズには「ZZ/L」「ZZ/T」に加え極めてハードなサスペンションセッティングが施され走りに特化したモデルとして「ZZ/R」というスポーツモデルも存在した<ref>『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26』</ref>。


ブレーキは全車フロントディスクブレーキを採用<ref name="日本の名車27-18"/>。
このディーゼルエンジンモデルは「第二次[[オイルショック]]」の時期と重なったことで、低燃費車として脚光を浴び、[[1982年]]には世界初の電子制御式ディーゼルエンジンモデルも登場した。このため、後期型の初代ジェミニは「'''80年代のディーゼル車'''」とも言われるように、ディーゼル乗用車の代表として広く認知される。


ステアリングは、ベレットが日本車としていち早く採用していたラック&ピニオン式を踏襲しつつ、欠点だったハンドルショックを防止し、シャープなステアリング感覚を発揮するなど、熟成度を高めた<ref name="日本の名車27-18"/>。
もっともその後は、従前のいすゞ乗用車の多くと同じく、1980年代に入っても基本設計の変わらないままにフェイスリフトやマイナーチェンジを施されての長期生産が続くことになった。


==== 年表 ====
その後[[1985年]]にのちの2代目となる「'''FFジェミニ'''」が登場したものの、当初は1.5 Lガソリンエンジンのみでグレード展開も小規模であったため、ディーゼルエンジン搭載モデルを中心に初代ジェミニも継続生産され、FFと併売された{{Efn|name=FF|当時いすゞが得意とし、販売上も大きな比率を占めていたディーゼルエンジン搭載車やスポーツモデルが設定されておらず、それらの領域をカバーするため後輪駆動の初代(PF60型)も併売されていた。そのため、当初2代目については「FF」を冠して初代と区別していた。}}。バリエーションは整理され、クーペは廃止されたものの、スポーツモデル「'''ZZ/R'''」や1.6 L、1.8 Lのガソリン (SOHC) エンジン搭載モデルも残された。その後2代目ジェミニのバリエーションが充実したのを受け、1.6 L DOHC車が追加される1年前にの[[1987年]]2月に生産・販売終了。

初代ジェミニの総生産台数は76万8,537台(いすゞHPより)。

;機構
駆動方式は[[後輪駆動]]。エンジンは当初1.6 L SOHCの「G161型」のみであったが、[[1977年]]6月より1.8 L SOHCの「G180型」が追加。さらに、[[1979年]]のビッグマイナーチェンジ時に1.8 L DOHCエンジンと1.8 Lディーゼルエンジンが追加された。

組み合わされるトランスミッションは当初4速[[マニュアルトランスミッション|MT]]のみでスタートするが、[[1975年]]に3速[[オートマチックトランスミッション|AT]]、[[1976年]]に5速MTが追加された。

[[サスペンション]]は前輪が[[ダブルウィッシュボーン式サスペンション|ダブルウィッシュボーン]]式、後輪が3リンク・コイルスプリング式リジッドで、[[ステアリング]]は[[ラック・アンド・ピニオン]]式を採用していた。

;歴史
*[[1974年]]
*[[1974年]]
**1月<ref>{{cite web|url=https://gazoo.com/catalog/maker/ISUZU/GEMINI/197401|title=ジェミニ(1974年1月~1985年1月)|トヨタ自動車のクルマ情報サイト-GAZOO|publisher=トヨタ自動車株式会社|accessdate=2023-7-1}}</ref> - 生産開始。
**5月 前年(1973年)10月に生産が終了した[[いすゞ・ベレット|ベレット]]の後継車として「'''ベレットジェミニ'''」(PF50型)が発表。
**11月 - 発売。
**11月 1.6 Lガソリン車(PF50型)登場。クーペ、セダン共に「'''LD'''」、「'''LT'''」、「'''LS'''」の3グレードを用意していた。全車4速MT車。
*[[1975年]][[10月]] - 下級グレードに3速AT者が追加される<ref name="日本の車27-18"/>。
*[[1975年]]
*[[1976年]][[5月]] - スポーティ系グレード 「'''LS'''」に5速MT車を採用<ref name="日本の名車27-18"/>。
**4月 安全対策向上のために改良実施。また、これに合わせて車名からベレットの後継車という位置付けを明確にするために付けていた「ベレット」という冠が取れ、単に「'''ジェミニ'''」となった。
**10月 下級グレードに3速AT者が追加される<ref name="名前なし-2"/>。
**12月 昭和50年排ガス規制に適合。「'''LD'''」、「'''LT'''」に3速AT車を追加。
*[[1976年]]
**5月 「'''LS'''」に5速MT車をオプション設定化。
**11月 昭和51年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。内、外装をやや豪華に設えた「'''LTミンクス'''」を追加。「ミンクス」の名は、かつていすゞがライセンス生産していた「[[ヒルマン・ミンクス]]」から取られた。
*[[1977年]]
*[[1977年]]
**6月 1.8 Lガソリン車(PF60型)登場。同時ヘッドランプのデザイン丸目2灯か角目2灯に変更された<ref name="名前なし-2"/>
**[[6月]] - 1800ccエジン搭載車登場。この1800ccモデルは角型ヘッドランプが与えられた<ref name="日本の車27-18"/>
**11月 1.6 Lガソリン車が昭和53年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施し、ヘッドランプも角型なった<ref name="名前なし-2"/>。
**[[11月]] - 1600ccも角型ヘッドランプに変更<ref name="日本の車27-18"/>。
*[[1978年]]
**11月 1.8 Lガソリン車が昭和53年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。1.8 Lガソリン車セダンに「'''ミンクス'''」クーペにスポーティグレードのLS/G「'''ブラックジェミニ'''」を追加。同時に、1.6 Lガソリン車も一部改良を実施した。
*[[1979年]]
*[[1979年]]
**6月 - ジェミニ独自の[[モデルチェンジ (自動車)|フェイスリフト]]が行われスラントノーズ形状に変更<ref>『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26 p115』</ref>、それまでの逆スラントノーズから一転してスラントノーズとなり、ファミリー向けの「LD」「LT」系グレードは角型ヘッドランプ、「LS」系は丸型ヘッドランプとなった<ref name="日本の名車27-18"/>。同時にリアサスペンションも大幅に改良され、後輪にトルクが十分にかからないという弱点が解消されている<ref name="日本の名車27-18"/>。
**6月 ビッグマイナーチェンジを受け、フロント部分は通称「逆スラ」からサイドマーカー付きのスラントノーズに変更され、ヘッドランプは銀縁の付いた角目2灯へと変更。スポーティモデルのLS系のみ丸目2灯とされ、テールライトは大型化された。1.8 Lガソリン車クーペに「'''ミンクス'''」を追加。またチルト機構付[[サンルーフ]]を国産車で初めて設定した(オプション)。
**11月 - 1800cc[[ディーゼルエンジン]]モデル追加投入<ref name="日本の名車27-18"/>超低温時でも即座に始動できるシステムをはじめ、様々な新機軸が盛り込同時に「'''ZZ'''」も追加され。「ZZ」シリーズには「ZZ/L」「ZZ/T」に加え極めてハードなサスペンションセッティングが施され走りに特化したモデルとして「ZZ/R」というスポーツモデルも存在した<ref>『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26』</ref>。この頃から「ジェミニと言えばディーゼル」「ジェミニと言えばZZ」と評価されるようになる<ref name="日本の名車27-18"/>
***このスラントしたノーズのデザインは[[ホールデン・ジェミニ]]、[[セハン・メプシ]](後の[[大宇・メプシーナ]])が採用。しかし、ジェミニ系車種のベースとなった姉妹車[[オペル・カデット]]はこの年フルモデルチェンジした([[前輪駆動]]化した)ため、このデザインは採用しなかった。
*[[1980]] - ディーゼル車の国内販売台数ナンバーワンを達成<ref name="日本の車27-18"/>。
**11月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「'''ZZ'''」を追加。1.8 Lディーゼル車(PFD60型)登場し、この頃から「ジェミニと言えばディーゼル」「ジェミニと言えばZZ」と評価されるようになる<ref name="名前なし-2"/>。
*[[1980年]]
**3月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「'''ZZ-L'''」を追加。
**6月 LS相当のスポーティーなディーゼル車の「ゴールドディーゼル」とエアコンとステレオ標準装備の1800「クリーンLT」(ガソリンとディーゼルに設定)
**9月 ジェミニのディーゼル車が「ディーゼル乗用車クラス」での販売台数1位になった事を記念して、「いすゞジェミニディーゼル感謝祭」を開催。合わせて[[特別仕様車]]を限定発売した。
:同にはディーゼル車の酷な販売台数ナンバーワンを記録<ref name="名前なし-2"/>。
*[[1981年]]
**1月 1.8 Lディーゼル車に998,000円の「'''LDスペシャル'''」を追加。
**4月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「'''ZZ-R'''」を限定発売。当時参戦していた国内ラリーを意識したモデルだった。
**10月 マイナーチェンジでインパネのデザインが大幅に変更される。ヘッドランプが近代的な異型2灯に変更。リアは変更なし。1.8 L車に「'''LG'''」、1.8 Lディーゼル車に「'''LJ'''」(クリーンLTの改称)「'''LS'''」(ゴールドの改称)を追加。
*[[1982年]]
*[[1982年]]
**9月 - 世界初の電子制御ディーゼルエンジン搭載モデルを発売<ref name="日本の名車27-18"/>。
**9月 1.8 Lディーゼル車に初の[[燃料噴射装置|電子制御燃料噴射装置]]を内蔵して66馬力にパワーアップした「'''LT-E'''」「'''LJ-E'''」を追加。
**10月 一部改良。73馬力までパワーを上げた1,800 cc ディーゼルターボ車(PFD60型)登場。世界初の電子制御式のターボチャージャー搭載ディーゼルエンジンであった。ここから「ディーゼルのジェミニ」はバリエーションを広げていった<ref name="名前なし-2"/>
**10月 - ディーゼルターボ車が追加され、ここから「ディーゼルのジェミニ」はを広げていった<ref name="日本の車27-18"/>
**[[1985年]]5 - 2代目「'''FF'''ジェミニ」が登場するが、初代も継続生産され、2代目と併売された{{Efn|name=FF}}。
*[[1983年]]
**10月 一部改良でドアミラーを採用。車種整理でカスタムシリーズを追加。
*[[1984年]]
**12月 特別仕様車「エクストラシリーズ」を追加。
*[[1985年]]
**3月 1.8 Lガソリン車の「'''ZZ'''」を改良。
**5 2代目「'''FF'''ジェミニ」が登場するが、初代も継続生産され、2代目と併売された{{Efn|name=FF}}。
*[[1987年]]
*[[1987年]]
**2月 生産・販売終了。同時に2代目は'''FF'''という冠が取れ、単に「ジェミニ」となる。
**2月 生産・販売終了。同時に2代目は'''FF'''という冠が取れ、単に「ジェミニ」となる。

2023年7月1日 (土) 09:37時点における版

いすゞ・ジェミニ
5代目
概要
別名
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1974年-2000年
ボディ
ボディタイプ
駆動方式
  • FR(初代)
  • FF(2代目-5代目)
  • 4WD(3代目-5代目)
系譜
先代 いすゞ・ベレット
後継 2002年いすゞ自動車乗用車部門からの完全撤退に伴い、なし
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いすゞ・ジェミニ(ISUZU Gemini)は、1974年から2000年までいすゞ自動車が製造(3代目まで)・販売していた小型乗用車1993年からはOEM供給による販売となっていた。

概要

初代は、提携先のGMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に基づき、オペル・カデットGM・Tプラットフォーム (1973)英語版)をベースに発売された[1]。この当時、世界各国でカデットをベースに開発された姉妹車たちが生産されていた。販売面では、多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得た[2]

一転して独自開発となった特に2代目は、豊富なバリエーションや巧みなCM戦略などで人気を博し、いすゞの乗用車史上最大のヒットを記録した[3]が、3代目はバブル崩壊などの影響から販売不振に陥り、4代目以降は遂に自社開発をあきらめて本田技研工業からのOEM供給を受けることとなった[1]

歴史(自社生産時代)

初代(1974年-1987年)PF50/PF60/PFD60型

いすゞ・ベレットジェミニ
いすゞ・ジェミニ(初代)
PF50/PF60/PFD60型
セダン LD 1974年11月発売型
セダン ZZ-R 1981年10月改良型
概要
販売期間 1974年11月 - 1987年2月[2]
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 2ドアクーペ[4]
4ドアセダン[5]
駆動方式 FR[6]
パワートレイン
エンジン G180型 キャブレター直列4気筒SOHC
最高出力 100 ps/6,000 rpm
変速機 3速AT/4速MT/5速MT
前:ダブルウィッシュボーン[5]
後:3リンク式[5]
前:ダブルウィッシュボーン[5]
後:3リンク式[5]
車両寸法
ホイールベース 2,405 mm[7]
全長 4,135 mm
全幅 1,570 mm[7][7]
全高 1,365 mm
車両重量 930 kg
その他
タンク容量 52 L
生産台数 76万8537台(いすゞHPより)
系譜
先代 いすゞ・ベレット
テンプレートを表示

初代は、いすゞ自動車の提携先だったGMが提唱する「グローバルカー」構想の一環として開発されたコンパクトセダン/クーペである[2]。いすゞはこのジェミニをベレットの後継車と位置付け、販売当初のネーミングは「ベレット・ジェミニ」としていた[2]

開発に当たっては、同じくGM傘下にあったドイツのオペル・カデットをベースとしており、各部品や装置はオペルとの互換性を考慮しつつ、内外装は日本向けに手が加えられている[2]

ボディは2ドアクーペと4ドアセダンの2種類が用意されており、全長4135mm、全幅1570mmは共通で、全高はクーペが1335㎜、セダンが1360㎜と、国産車の1600㏄モデルとしてはオーソドックスなサイズだった[2]

当時の欧州車の傾向に沿ったエクステリアは、ガラスエリアを広くとられ、ウェストラインは低く固定されていて、良好な視野が確保された[2]。インテリアで目を引くのはステアリングで、安全性を重視し、パッドが最大限に広げられていた[2]

ライフスパンは、12年以上の長きにわたるが、その中でも白眉と言えるのは、1979年登場のDOHCエンジンを搭載したホットモデル「ZZ」で、ラリーベース車としても人気を博し、いすゞではラリーストのために、エンジンのバランス調整を手作業で行った車を提供[2]。このエンジンは、通常は青色だったカムシャフトカバーが黒色だったため、ブラックカバーと呼ばれた[2]。ブラックカバーは、限定車とはいえ「誰にでも手に入れられる準ワークスカー」ともなり、国内のラリーシーンを席巻した[2]

多彩なボディカラーやチェック柄のシート、さらにはジウジアーロデザインのアルミホイールなど、ディティールにおいても訴求力を有し、若者から大いに支持を得て、生産終了から30年近く経過した後も、中古車市場で流通しているほどで、その作りの良さがうかがえる一台である[2]

機構

登場時に搭載されたエンジンは、1600cc直列4気筒SOHCのG161Z型で、ベレットに搭載されていたG161型をベースにしつつ、昭和50年排出ガス規制をクリアするため、基本レイアウトから細部機構に至るまで全面的に刷新され、これに4速MTが組み合わされていた[7]

サスペンションは、フロントが当時のいすゞ車に採用されていたダブルウィッシュボーンで、リアは操縦安定性を重視して3リンク式リジッドとなっている[7]

ブレーキは全車フロントディスクブレーキを採用[7]

ステアリングは、ベレットが日本車としていち早く採用していたラック&ピニオン式を踏襲しつつ、欠点だったハンドルショックを防止し、シャープなステアリング感覚を発揮するなど、熟成度を高めた[7]

年表

  • 1974年
    • 1月[8] - 生産開始。
    • 11月 - 発売。
  • 1975年10月 - 下級グレードに3速AT者が追加される[7]
  • 1976年5月 - スポーティ系グレード 「LS」に5速MT車を採用[7]
  • 1977年
    • 6月 - 1800ccエンジン搭載車登場。この1800ccモデルには角型ヘッドランプが与えられた[7]
    • 11月 - 1600ccも角型ヘッドランプに変更[7]
  • 1979年
    • 6月 - ジェミニ独自のフェイスリフトが行われスラントノーズ形状に変更[9]、それまでの逆スラントノーズから一転してスラントノーズとなり、ファミリー向けの「LD」「LT」系グレードは角型ヘッドランプ、「LS」系は丸型ヘッドランプとなった[7]。同時にリアサスペンションも大幅に改良され、後輪にトルクが十分にかからないという弱点が解消されている[7]
    • 11月 - 1800ccディーゼルエンジンモデルを追加投入[7]。超低温時でも即座に始動できるシステムをはじめ、様々な新機軸が盛り込まれた同時に「ZZ」も追加された。「ZZ」シリーズには「ZZ/L」「ZZ/T」に加え極めてハードなサスペンションセッティングが施され走りに特化したモデルとして「ZZ/R」というスポーツモデルも存在した[10]。この頃から「ジェミニと言えばディーゼル」「ジェミニと言えばZZ」と評価されるようになる[7]
  • 1980年 - ディーゼル車の国内販売台数ナンバーワンを達成[7]
  • 1982年
    • 9月 - 世界初の電子制御ディーゼルエンジン搭載モデルを発売[7]
    • 10月 - ディーゼルターボ車が追加され、ここから「ディーゼルのジェミニ」は幅を広げていった[7]
    • 1985年5 - 2代目「FFジェミニ」が登場するが、初代も継続生産され、2代目と併売された[注釈 1]
  • 1987年
    • 2月 生産・販売終了。同時に2代目はFFという冠が取れ、単に「ジェミニ」となる。

2代目(1985年-1990年)JT150/190/600型

いすゞ・FFジェミニ
いすゞ・ジェミニ(2代目)
JT150/190/600型
セダンC/C FFジェミニ
1985年5月 - 1987年2月
ハッチバックC/C
セダン 1987年改良型
1987年2月 - 1989年2月
概要
製造国 日本
販売期間 FFジェミニ:1985年5月 - 1987年2月(製造終了)
ジェミニ:1987年2月 - 1990年3月
(合計1985年5月~1990年3月[6])
デザイン イタルデザイン・ジウジアーロ
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3ドアハッチバック[11]
4ドアセダン[11]
駆動方式 FF[6]
パワートレイン
エンジン 4XC1型 1.471 L
キャブレター直列4気筒SOHC
4EC1-T型 1.487 L
分配型燃料噴射ポンプ式直列4気筒SOHCディーゼルターボ
変速機 NAVi5/3速AT/5速MT
前:マクファーソンストラット式[11]
後:コンパウンドクランク式[11]
前:マクファーソンストラット式[11]
後:コンパウンドクランク式[11]
車両寸法
ホイールベース 2,400 mm[11]
全長 3,995 - 4,070 mm
全幅 1,615 mm
全高 1,370 - 1,405 mm
車両重量 880 - 980 kg
その他
最低回転半径 4.8 m
新車登録台数 20万6459台[12]
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FFジェミニ(1985年-1987年)

2代目は1985年5月、「FFジェミニ」(以下この項にて「FF」)[注釈 1]として発売された。型式名は1985年に登場した1.5 Lガソリン車がJT150型、1988年に登場した1.6 L DOHCガソリン車がJT190型。そして1.5 Lディーゼルと1.5 Lディーゼルターボ車はJT600型。燃費は10モードで13.8 - 16.0 km/L。

初代のベースとなったオペル・カデットは1979年にフルモデルチェンジし、前輪駆動化されたが、FFはそれとは直接関係なく、「クオリティ・コンパクト」というコンセプトで、いすゞが独自開発したものである。だが、一方では、GMの世界戦略に組み込まれ「Rカー」として1984年11月よりGM向けに供給(輸出)もされた。駆動方式は前輪駆動を採用。初代ジェミニは大衆車クラスのやや上に位置していたが、FFはボディ・エンジンとも小型化し、大衆車クラスに位置することとなった。

117クーペ以来17年ぶりのいすゞオリジナル設計の乗用車で、モデルチェンジにあたり、アスカとの競合を避け、なおかつ米国市場をも意識して初代より一回り小型のクラス(現在のCセグメント)をターゲットとし、居住性と取り回しの良さを得るためにFF化、パワーステアリングサーボブレーキなど特に操縦性を重視した設計とされた。このコンセプト内容は、かつてベレット後継車の構想時にも検討されていた。そして、一般的なテストコースだけでなく、一般道を中心とした走り込みを敢行し、走りを磨き込んだ。それ故、正式発表前に、自動車雑誌にデモンストレーション同然にスクープ写真が掲載された。

ボディデザインは、117クーペピアッツァなどでいすゞとの関係が深かったジウジアーロが手掛けた。しかし、いすゞ社内によるリデザインにジウジアーロが難色を示したため、発表時には彼のデザインであることは伏せられた[注釈 2]。ボディタイプは4ドアセダンと、先代の2ドアクーペに代わって3ドアハッチバックが設定された。

1986年には専用の電子制御式ターボ付き1.5 Lの2バルブSOHCガソリンエンジン「4XC1-T型」を搭載し、足回りを旧・西ドイツイルムシャー社がチューニングしたスポーツモデルの「1.5 イルムシャー」が登場している。

FFは大衆車クラスに変更された関係で当初は販売面が憂慮されたが、後述するテレビCMが大きな反響を呼んだことと、カラーバリエーションが豊富なことで人気を集めた。

歴史
  • 1985年
    • 5月 フルモデルチェンジで「FFジェミニ」が登場。1.5 Lガソリン車(JT150型)のセダンハッチバックが登場。先代ジェミニ(PF型)の一部モデルが継続販売であったため、この名称で販売が開始された。
    • 11月 1.5 Lディーゼルターボ車、1.5 Lディーゼル車(共にJT600型)のセダン/ハッチバックが登場。ガソリンエンジンにも迫る動力性能を持つディーゼルとして高評価を得た[11]
    • 12月 セダン及びハッチバックの「C/C」が、日本産業デザイン振興会主催の1985年度グッドデザイン賞商品に選出された。
  • 1986年
    • 1月 特別仕様車「ホワイト・ジェミニ」を限定発売
    • 2月 特別仕様車「ブラック・ジェミニ」を限定発売。
    • 3月 特別仕様車「ブライトスプリング・ジェミニ」を限定発売。
    • 4月 一部改良で同時に1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに、コンピュータ制御の5速オートマチック「NAVi5」搭載モデルが追加[11][注釈 3]
    • 6月 1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに、インタークーラー付きターボエンジンを搭載した「イルムシャー」(JT150型)を追加[11]
    • 7月 「C/C」ベースの特別仕様車「サマー・ジェミニ」を限定販売。
    • 9月 特別仕様車「ホワイト・ジェミニ」を限定発売。
    • 12月 「C/C」ベースの特別仕様車「ウインター・ジェミニ」を限定販売。

ジェミニ(1987年-1990年)

1987年2月に1回目のマイナーチェンジ。特に大きな変更を受けたのはフロントマスクで、サイドマーカーをサイドに回りこませた、通称「つり目」といわれるフォグランプ一体の異型ヘッドランプを採用、同時にグリル形状も変更された。室内も見直しが行われ、インパネやクラスタースイッチの形状変更などが行なわれた。

また、これと同時に先代ジェミニ(PF60型)の製造・販売が終了。差別化のためについていた「FF」というサブネームが取れ、単に「ジェミニ」(以下「2代目」)となった。

2代目ジェミニJT190に搭載の4XE1エンジン

1988年 には、1.6 Lの4バルブDOHCエンジン「4XE1型)を搭載し、足回りを英国ロータス社がチューニングしてBBSホイールをオプション設定(ZZ-SEのみ標準装備)した「ZZハンドリング・バイ・ロータス」仕様が追加された。のちに同じエンジンを搭載した「1.6 イルムシャー」も追加される。

イルムシャー」は高い走行性能を有するヨーロピアン・スポーツ車として、「ZZハンドリング・バイ・ロータス」は高性能ながらも落ち着いた操縦性を有するラグジュアリ・アダルトスポーツ車としての性格付けがなされていた。また、いずれも前席にレカロ社製のセミバケットシートを標準装備していた。

そして1989年2月に2度目のマイナーチェンジ。サイドマーカー(ターンシグナルレンズ)の位置がフェンダー部分に変更され、セダンのみリヤナンバープレートの位置が、トランクリッド部分からバンパー中央部分に移動されている[注釈 4]

2代目の総生産台数は 74万8,216台(いすゞHPより))、米国販売数はいすゞ名義で150,873台、GM名義で363,171台(Ward's Automotive Yearbook[要文献特定詳細情報]より)。

グレード

グレード展開は当初「C/C」を基本グレードとして、実用仕様の4ドア「T/T」とビジネスユースに徹した3ドア「D/D」の実質3種類だった[注釈 5]。その後、スポーツモデルの「イルムシャー」、「ZZハンドリング・バイ・ロータス」を追加。また、1988年には「C/C」の上級モデルである「G/G」が追加された。

他にも「パティオ」、屋根がキャンバストップになった「C/Cユーロルーフ」、レカロシート装備のターボディーゼル「S/S」(中期のみ)、ガソリン・ディーゼル共にNAVi5モデルなどが設定されていた。

機構

基本的なコンセプトは、当時いすゞが生産していたアスカと共通しており、それをサイズダウンしたもの。

エンジンは1.5 L SOHCの4XC1型および同ターボ付の4XC1-T型、1.6 L DOHCの4XE1型、1.5 Lディーゼルの4EC1型および同ターボ付の4EC1-T型。組み合わされるトランスミッションは当初、5速MTと3速ATでスタートしたが、1986年にコンピュータ制御の5速オートマチックであるドライビングロボットこと「NAVi5」を搭載したモデルが登場した。

サスペンションは前輪にマクファーソンストラットコイル式、後輪にコンパウンドクランクコイル(トーションビーム)を採用。また、スポーツモデルの「イルムシャー」仕様にはメーカーオプション扱いでビスカス式LSDの装備も可能だった。

ステアリングはラック・アンド・ピニオン式。パワーステアリング仕様も選べた。また、ブレーキには全車サーボが標準装備されたのも特徴の一つである。

歴史
  • 1987年
    • 2月 マイナーチェンジ[11]。ヘッドランプの形状が変更され、同時にグリル形状やテールレンズも変更。室内もインパネやクラスタースイッチの形状やシート表皮、内装色などが変更された。また初代製造・販売終了に伴い、名称は単に「ジェミニ」となる。
    • 3月 いすゞ自動車創立50周年特別記念車として特別仕様の「C/C」を限定発売。
    • 4月 セダンの1.5 Lガソリン/ディーゼル車に「パティオ」を追加。通販会社ディノスと提携した専用モデルの「ディノス」を限定発売。グレード名は「E/E」(セダン「T/T」とほぼ同仕様)。
    • 5月 1.5 Lガソリン車のセダン/ハッチバックに「ユーロルーフ」モデルを追加[11]。1.5 Lガソリンターボ車に特別仕様車として「イルムシャーRS」を台数限定発売。
    • 6月
      • 1.5 Lガソリンターボ車のセダン/ハッチバックに、競技用ベース車両で時計、オーディオ、ホイールキャップ等の装備が省略された「イルムシャーR」を追加設定。
      • いすゞ自動車創立50周年特別記念車の第2弾として特別仕様の「C/C」と「イルムシャー」を限定発売。
    • 7月 「イルムシャーR」を追加[11]
    • 8月 「C/C」ベースの特別仕様車「サマー・ジェミニ」を限定発売。
    • 9月 1.5 Lガソリンターボ車に特別仕様車として「イルムシャーRS」を200台の台数限定発売。
    • 11月 特別仕様車「ハイクオリティ・ジェミニ」を限定発売。
  • 1988年
    • 2月 「NAVi5」を一部改良(「D4」レンジの追加)。
    • 3月
      • 1.6 L DOHCガソリンエンジン搭載車「ZZハンドリング・バイ・ロータス」(JT190型)を追加[11]
      • 1.5 Lガソリン車のセダンに「C/C」の上級グレードとして「G/G」を追加。イルムシャー専用色だった「トルーパーブルー」「ファントムグレー」を設定。
    • 4月 「C/Cユーロルーフ」ベースでバンパーやサイドプロテクターなどがシルバー(ベース車は素材色)に塗り分けられた2トーンカラーの特別仕様車「C/C-SE・スプリングキュート」を限定発売。
    • 5月 前年に限定発売した「ディノス」が、通販会社「ディノス」でのカタログ販売専用モデルとして追加。
    • 6月
      • 1.6 Lガソリン車に「イルムシャー」と受注生産の「イルムシャーR」を追加(いずれも1.6 L DOHC16バルブ)。
      • 特別仕様車「クールサマー・ジェミニ」を限定発売。
    • 9月 特別仕様車「オータムエレガント・ジェミニ」を限定発売。
  • 1989年
    • 2月
      • マイナーチェンジ[11]。内外装の変更を行う。フロントウインカーのフロントフェンダー部分への移設に伴い、フロントマーカーランプのクリアレンズ化、リアコンビランプの意匠変更、リアナンバープレートをトランク部分からバンパーへ移設しリアコンビランプ間のブラック塗装を廃して車体と同色に変更(ハッチバック車とイルムシャーを除く)、ステアリングパッドのデザイン変更、オーデイオスペースの拡大(2.5→3DIN)等。
      • 特別仕様車「スプリングフィット・ジェミニ」を限定発売。
    • 6月 1.5 Lガソリン車のセダンに「G/Gリミテッド」を追加。
    • 7月 1.6 Lガソリン車のセダンに「ZZ-SEハンドリング・バイ・ロータス」を追加。
    • 9月 特別仕様車「オータムフィット・ジェミニ」を限定発売。
    • 11月
      • 特別仕様車「ウインターフィット・ジェミニ」を限定発売。
      • イルムシャーRS」を台数限定発売。
  • 1990年
    • 1月 C/Cベースの特別仕様車「ウインター・ジェミニ」を限定発売。その後、同月内に生産を終了し、在庫販売体制に入る[13]
    • 3月 3代目にバトンタッチして販売終了。

3代目(1990年-1993年)JT151/191/641型

いすゞ・ジェミニ(3代目)
JT151/191/641型
セダン イルムシャーR フロント
セダン 1.5C/C リア
概要
別名 いすゞ・スタイラス (北米向けセダン)
販売期間 1990年3月 - 1993年9月[14]
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 2ドアクーペ[15]
3ドアハッチバック[15]
4ドアセダン[15]
駆動方式 FF[14] / フルタイム4WD[14]
パワートレイン
エンジン 4XC1型 1.471 L
電子制御燃料噴射式 ECGI
直列4気筒SOHC12バルブ
変速機 4速AT/5速MT
前後ともストラット式4輪独立懸架[15]
前後ともストラット式4輪独立懸架[15]
車両寸法
ホイールベース 2,450 mm[15]
全長 4,185 - 4,195 mm
全幅 1,680 mm(セダン)
1,695 mm(セダン以外)
全高 1,325 - 1,390 mm
車両重量 970 - 1,030 kg
その他
最低回転半径 4.8 m
販売終了前月までの新車登録台数の累計 7万579台[16]
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3代目は1990年3月登場。ボディサイズは2代目よりも拡大された。燃費は10モードで13.6 - 14.8 km/L。

形式名は、1,500 cc ガソリン車がJT151F型、1,600 cc DOHCガソリン車がJT191F型、1,600 cc DOHCガソリンインタークーラー付きターボ4WD車がJT191S型、1,700 cc ディーゼルターボ車がJT641F型、同4WD車がJT641S型。

これらにホットモデルとして「イルムシャー」仕様および「ZZハンドリング・バイ・ロータス」仕様がラインナップされている点は先代と変わらない。その中でもハイパワーエンジン+フルタイム4WDを搭載したJT191S型は「イルムシャーR」を名乗る最上位ホットモデルである。

デビュー当初4ドアセダンのみの設定だったが、1990年9月にクーペが、翌1991年3月に3ドアハッチバックが追加されている。

セダンは北米市場において「いすゞ・スタイラス (STYLUS)」の名称で1990年12月より販売が開始された。

また、派生車種として、米GM社のGEOブランド向けに、フロントフェイスが異なる2ドアクーペ「ジオ・ストーム(日本ではヤナセで販売されていたPAネロと同デザイン)が販売されていた。クーペ、ハッチバックはこの「ジオ・ストーム」をフェイスリフトしたモデルとなっている。またストームはその後、2代目ピアッツァのベースになっている。

3代目は技術的に特徴が多く、販売当時ジェミニシリーズが使われたラリーフィールドを意識した設計が施されている。1,500 cc ガソリン車の動力性能は著しく向上し、「カプセルシェイプ」と銘打った一体型ボディ構造を持ち、強度重視で厚い鉄板を使用したため、当時の1,600 ccクラス車としては車重は重い部類に入る。

足回りでは「ニシボリック・サスペンション」の採用が挙げられる。多くの評論家が酷評したニシボリック・サスペンションであったが、国内ラリーシーンにおいては"FF車ベースなのにFR車的なドリフトが出来る"という好評もあった。1991-92年の全日本ラリー選手権では連続でクラス優勝に輝いている。

デザインは中村史郎を中心に(チーフデザイナー本多卓夫、セダンエクステリア中村史郎、クーペエクステリア前田克紀、中村がブラッセル駐在となった為セダンも前田が引継ぐ)いすゞ社内でまとめられたものであるが、GMの意向が強く影響した点は否めず、欧州車の味わいが売りであったいすゞ車では異例の、アメリカンなデザインとなった。4ドアセダンにはリアのドアフレームがCピラーを覆い隠すように閉じるなど、他に例を見ない斬新なデザイン手法も使われていた。

販売面では、フルモデルチェンジ後、旧型モデルからの買い替えが順調に進んだことやCM効果によって、日本国内月販目標5千台に対し1990年4月21日時点における受注台数が6,602台と目標を超えて達成したものの販売可能台数が4,300台と品不足状態になったり、重視した米国市場で月間販売台数が一万台を超える販売好調状態であるなど、新車効果が大きく作用した出足であった[17]が長くは続かず、バブル景気終焉もあいまって、1991年4月には「乗用車販売の不振に苦しむいすゞ」[18]と伝えられるなど、世界的な自動車不況などの影響によってジェミニは極度の販売不振に陥った[19]

この事実は1991年10月期決算におけるいすゞの大幅な経常赤字の要因となっており[19][20]、次期ジェミニの開発延期を決定するなどの再建計画を実施したが、1992年10月期決算においても再び大幅な経常赤字を記録したことによって、資金回収の目処が立たない乗用車生産から撤退し得意分野の商用車事業とSUVに経営資源を集中化させる等の内容が1992年度中期経営計画にて決定[19]したことに伴い、ジェミニの自社生産も1993年7月限りで終了し、日本国内では9月までに販売終了となった。

3代目の総生産台数は 40万6,625台(いすゞHPより)、米国販売数は17,754台(Ward's Automotive Yearbook[要文献特定詳細情報]より)。

機構

駆動方式は前輪駆動を基本とし、イルムシャーRと一部のターボディーゼル車には四輪駆動(4WD)仕様も設定される。

また、イルムシャーRの4WDにはLSDが組み込まれ、前後トルク配分可変機構が備わっている。

エンジンは1,500 cc SOHC 12バルブの4XC1型、1,600 cc DOHC 16バルブの4XE1型、同インタークーラーターボ付の4XE1-T型、1,700 cc ディーゼルインタークーラーターボ付の4EE1-T型[注釈 6]の4種類が搭載された。

特に4XE1-T型 (180 PS) は、ホンダ・シビックタイプRB16Bエンジン (185 PS) が登場するまで1,600 ccクラス最強のエンジンであった。

組み合わされるトランスミッションは5速MTと電子制御式4速AT。

サスペンションは四輪独立操架で、前輪がマクファーソンストラットコイル、後輪にはパラレルリンク・ロアアームのストラット形式をベースにナチュラル4WSと称したトーコントロール機構の一種であるニシボリック・サスペンションを装備する。

ステアリングパワーステアリングラック・アンド・ピニオン式。ブレーキにサーボが標準装備されている点は先代と同様だが、本車はこのクラスではめずらしく全グレード前後輪ともディスクブレーキとなっている。

そのほか、ガソリン車の排気系パイプ類にステンレス材を採用したり、「C/C-X」以上のグレードにヒーター付きドアミラーを標準装備するなどコストを掛けたつくりとなっている。シートは先代のJT0型を踏襲した「ファニチャーシート」と呼ばれるヨーロピアンテイストのデザインだが、クッション硬度を上げたり、前後部別のハイトアジャスターを装備するなどより人間工学に配慮したものとなっていた(「C/C」シリーズのみ)。スポーツ系グレードの前席には先代同様、レカロ社製のセミバケットシートを標準装備していた。

歴史
  • 1990年
    • 3月 フルモデルチェンジで3代目が登場。当初はセダンの1,500 cc ガソリン車(JT151F型)、1,600 cc ガソリン車(JT191F型)、1,700 cc ディーゼル車(JT641F型)がラインナップされた。グレード名は1,500 cc ガソリン車と1,700 cc ディーゼル車が「C/C」、「C/C-L」、「C/C-X」。1,600 cc ガソリン車が「ZZハンドリング・バイ・ロータス」。
    • 5月 1,600 cc ガソリン車に「イルムシャー」とフルタイム4WD(JT191S型)の「イルムシャーR」が追加。イルムシャーRには、インタークーラー付きターボ仕様のエンジンが搭載され、クラス最強となる180psを発生した[15]
    • 9月 2ドアクーペの1,600 cc ガソリン車(JT191F型)が追加登場。グレードは「OZ」、「OZ-G」。
  • 1991年
    • 3月
      • 3ドアハッチバックの1,500 cc ガソリン車(JT151F型)、1,600 cc ガソリン車(JT191F型)が追加登場。グレードは「OZ」、「OZ-G」。
      • 1,600 cc ガソリン車のクーペにフルタイム4WD(JT191S型)の「イルムシャーR
      • 1,700 cc ディーゼル車のセダンに「T/T」が追加。
    • 5月 1,600 cc ガソリン車のハッチバックにフルタイム4WD(JT191S型)の「イルムシャーR」が追加。
    • 6月
      • 特別仕様車「ジョイフルサマー・ジェミニ」を限定発売。
      • 特別仕様車「イルムシャーRS」(車体色はミスティックブルーマイカのみ)を100台限定で発売。
    • 9月 特別仕様車「ジョイフルオータム・ジェミニ」を限定発売。
    • 10月 セダンの1,700 cc ディーゼルターボ車にフルタイム4WD(JT641S型)を追加。
  • 1992年
    • 1月 初売りの特別仕様車として「初売り仕様車」(一部地域では「初売り・ジェミニ」や「お年玉・ジェミニ」等の名称)を限定発売。
    • 2月
      • 特別仕様車「エンジョイスプリング・ジェミニ」を限定発売。
      • 特別仕様車「イルムシャーDSP」(車体色はトーチレッドとエボニーブラック)を135台限定で発売。
    • 3月 マイナーチェンジ。
    • 6月 特別仕様車「エンジョイサマー・ジェミニ」を限定発売。手組エンジンでバランス取りされ,各部にオプションパーツを装備した,特別仕様車「イルムシャー・タイプコンペティション」(車体色はトーチレッドのみ)を50台限定で発売。内訳は,4WDが30台,FFは20台。助手席側ダッシュボードにシリアルナンバープレートがリベット留めされているほか,各部にType Competitionの刻印やロゴが入っている。
    • 9月 特別仕様車「ジョイフルオータム・ジェミニ」を限定発売。
    • 11月 マイナーチェンジ。フロントグリルの追加とテールレンズのデザインを変更。同時にクーペとハッチバックの「イルムシャーR」を廃止。
    • 12月 いすゞ自動車がワンボックス[注釈 7]およびSUV[注釈 8]以外の乗用車の自社開発・生産から撤退を表明し生産打ち切りが決定。この報道により、在庫車もほとんどが即完売状態になった。
  • 1993年
    • 4月 量販グレード以外は全て受注生産へ。
    • 8月[21] 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
    • 9月末 初代ホンダ・ドマーニOEMとなった4代目モデルの登場に伴い販売終了。そのため、この3代目が、最後のいすゞオリジナルジェミニとなる。自社開発のジェミニは3代19年の歴史に幕を下ろした。また、1962年(昭和37年)4月登場のベレルから始まったいすゞの自社開発乗用車も31年4か月の歴史に幕を下ろした。

歴史(ホンダOEMモデル)

ホンダ・ドマーニ > いすゞ・ジェミニ

4代目(1993年-1997年)MJ1/2/3型

いすゞ・ジェミニ(4代目)
MJ1/2/3型
フロント
リア
概要
販売期間 1993年9月 - 1997年2月[22]
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
パワートレイン
エンジン D15B型:1.5 L SOHC
ZC型:1.6 L SOHC
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,620 mm
全長 4,415 mm
全幅 1,695 mm
全高 1,390 mm
その他
製造メーカー 本田技研工業
新車登録台数 9054台[23]
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4代目は、いすゞ自動車が乗用車の自社生産から撤退したため、ホンダ・ドマーニOEMモデルとなった。ドマーニに設定されていた1,800 cc・DOHCエンジンは設定されず、1,500 cc・SOHC1,600 cc・SOHCの2本立て[注釈 9]となる。先代よりラインナップが縮小され、ボディタイプは4ドアセダンのみとなり、ジェミニの売りだったホットモデル(イルムシャー/ハンドリング・バイ・ロータス)やディーゼル車は廃止された。

不評だった3代目と比較して「デザインは先代よりもジェミニらしい」「運転ポジションが悪かった先代より前が見やすい」という意見もあった。

販売先は、ほとんどがいすゞ固定客の業務用車の代替などであり、一般ユーザー向けの広告展開は殆どされず、更にはこの頃にはミニバンステーションワゴンが全盛となっており、セダン型車の人気が著しく低下していたこともあり、このモデル以降、地味な存在の車となった。だがドマーニ自体も兄弟車であるシビックフェリオの影に隠れたモデルであったため、OEM車両としてはそこそこ売れた口でもある。

ドマーニとの違いは、フロントグリルと樹脂製ホイールキャップのデザインと専用のボディカラーが追加されていた事である[23]

型式名はE-MJ1[注釈 10]とE-MJ2[注釈 11]の2種類。

グレードは「1600G/G[注釈 12]、「1600C/C[注釈 13]、「1600C/C 4WD[注釈 14]

「H」マーク、「VTEC」等が入るエンジンヘッドカバーも含め、仕様はドマーニと殆ど同じだが、若干の違いがあった。ドマーニの「1600Ri」「1600Ri-F」は175/70R13が標準だったが、ジェミニの「1600C/C」「1600C/C 4WD」は175/65R14が標準とされた[注釈 15]等。

ボディカラーはフロストホワイト、ボーグシルバー・メタリック、ハーバードブルー・パール、ローザンヌグリーン・パールの4色[注釈 16]

歴史
  • 1993年8月30日発表、同年9月3日発売。
  • 1994年5月24日 一部変更。
    • ベース車のドマーニと同じデュアルポンプ式4WDを採用。「1600G/G」にオートアンテナが標準装備。「1600C/C」のAT車に「助手席エアバッグ+ABS」をオプション設定。
  • 1995年1月31日
    • VTEC-Eリーンバーン)エンジン搭載の「1500C/C」(型式・E-MJ3)を発表(発売は2月3日)[注釈 17]。旧ジェミニ保有の約半数を占めるディーゼル車ユーザーの代替ニーズへの対応車種として設定された。
  • 1995年10月13日
    • マイナーチェンジ(発売は10月21日)。リヤの「ISUZU」と「GEMINI」のマークデザインを変更。フロントドアの「GEMINI」のステッカーは樹脂製のエンブレムに変更。14インチホイールカバーのデザイン変更(13インチは従来どおり)。「1500C/C」はベースモデルの「ドマーニVi-Eフォンテーヌ」と同様に、CDチェンジャーコントロール機能内蔵AM/FM電子チューナー付カセットステレオが標準装備となり、ドアミラーとドアハンドルがボディ同色となった。

ボディカラーはハーバードブルー・パール、ローザンヌグリーン・パールが廃止され、ファントムグレー・パール、サイプレスグリーン・パール、ダークアメジスト・パールを設定、等。

  • 1997年1月[24]
    • 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
  • 1997年2月
    • 5代目にバトンタッチして販売終了。

5代目(1997年-2000年)MJ4/5/6型

いすゞ・ジェミニ(5代目)
MJ4/5/6型
フロント
リア
概要
販売期間 1997年2月 - 2000年10月
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
パワートレイン
エンジン D15B型:1.5 L SOHC
D16A型:1.6 L SOHC
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
前:ダブルウィッシュボーン
後:ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,620 mm
全長 4,480 mm
全幅 1,695 mm
全高 1,390 mm
その他
製造メーカー 本田技研工業
新車登録台数 5689台[25]
系譜
後継 2002年いすゞ自動車乗用車部門からの完全撤退に伴い、なし
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5代目も、ボディは先代から引き続き、ドマーニと共通するが、バッジ以外でもフロントグリルのデザインや、ヘッドライトリフレクター・ガーニッシュの色合いなどによって両車を見分けられる[25]。前後ウインカーの色がアンバーであることや、フロントグリルの形状は、ドマーニよりもカナダで製造・販売されていたアキュラ・EL(初代)の前期型に近い外観である。

歴史
  • 2000年9月[26]
    • シビックのフルモデルチェンジに伴いOEM供給終了。在庫対応分のみの販売となる。
  • 2000年10月[27]
    • 販売終了。そのままモデル廃止となり、ジェミニは5代26年の歴史に幕を降ろした。OEM元のドマーニも同時期に生産終了したが、こちらは翌2001年6月まで在庫販売が継続された。

グレード構成

初代

出典:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第27号18ページ。

1974年11月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ LS PF50ZC 4MT 4135x1570x1335mm 2405mm 885kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 91万9000円
2ドアクーペ LT PF50ZHD 4MT 4135x1570x1335mm 2405mm 885kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 85万9000円
2ドアクーペ LD PF50ZD 4MT 4135x1570x1335mm 2405mm 880kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 82万円
4ドアセダン LS PF50C 4MT 4135x1570x1360mm 2405mm 905kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 87万2000円
4ドアセダン LT PF50HD 4MT 4135x1570x1360mm 2405mm 905kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 82万9000円
4ドアセダン LD PF50D 4MT 4135x1570x1360mm 2405mm 900kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 79万円

1975年10月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ LT PF50ZHD 3AT 4135x1570x1340mm 2405mm 935kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 101万3000円
4ドアセダン LD PF50D 3AT 4135x1570x1365mm 2405mm 950kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 94万4000円

1976年5月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ LS PF50ZC 5MT 4135x1570x1340mm 2405mm 915kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 104万3000円
4ドアセダン LS PF50C 5MT 4135x1570x1365mm 2405mm 935kg G161Z 1584cc 100ps/6000rpm 14.0kg-m/4000rpm 98万1000円

1977年6月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ LS/G PF60ZS 5MT 4210x1570x1340mm 2405mm 935kg G180 1817cc 110ps/5600rpm 15.5kg-m/4000rpm 116万8000円
2ドアクーペ LS PF60ZTC 3AT 4210x1570x1340mm 2405mm 955kg G180 1817cc 110ps/5600rpm 15.0kg-m/4000rpm 112万1000円
4ドアセダン LT PF60THD 3AT 4210x1570x1365mm 2405mm 975kg G180 1817cc 110ps/5600rpm 15.0kg-m/4000rpm 103万3000円

1979年6月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ LS/G PF60ZS 5MT 4235x1570x1340mm 2405mm 945kg G180 1817cc 110ps/5600rpm 15.5kg-m/4000rpm 121万1000円
4ドアセダン LT PF50HD 4MT 4215x1570x1365mm 2405mm 945kg G180 1817cc 105ps/5400rpm 14.0kg-m/4000rpm 96万8000円

1979年11月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ ZZ/T PF60ZTEGTX 5MT 4235x1570x1340mm 2405mm 990kg G180 1817cc 130ps/6400rpm 16.5kg-m/5000rpm 165万2000円
2ドアクーペ ZZ/R PF60ZEGTS 5MT 4235x1570x1340mm 2405mm 975kg G180 1817cc 130ps/6400rpm 16.5kg/5000rpm 151万2000円
2ドアクーペ LT PFD60ZHD 5MT 4215x1570x1340mm 2405mm 980kg 4FBI 1817cc 61ps/5000rpm 11.2kg-m/2000rpm 115万9000円
4ドアセダン ZZ/T PF60EGTX 5MT 4235x1570x1365mm 2405mm 1005kg G180 1817cc 130ps/6400rpm 16.5kg-m/5000rpm 161万2000円
4ドアセダン ZZ/R PF60GTS 5MT 4235x1570x1365mm 2405mm 995kg G180 1817cc 130ps/6400rpm 16.5kg-m/5000rpm 148万2000円
4ドアセダン LT PFD60HD 3AT 4215x1570x1365mm 2405mm 1010kg 4FBI 1817cc 61ps/5000rpm 11.2kg-m/2000rpm 115万7000円
4ドアセダン LD PFD60D 4MT 4215x1570x1365mm 2405mm 990kg 4FBI 1817cc 66ps/5000rpm 11.2kg-m/2000rpm 104万5000円

1982年9月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン LJ/E PF60QHD-L 5MT 4235x1570x1365mm 2405mm 1000kg 4FBI 1817cc 66ps/5000rpm 11.2kg/2000rpm 154万5000円

1982年10月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン ターボスペシャル PFD60JD 5MT 4245x1570x1365mm 2405mm 1000kg 4FBI 1817㏄ 73ps/5000rpm 16.0kg/2500rpm 114万9000円

2代目

出典:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第84号4ページ。

1985年5月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
C/C JT150 3AT 3960x1615x1380mm 2400mm 850kg 4XC1 1471cc 86ps/5800rpm 12.5kg-m/3600rpm 107万9000円
4ドアセダン C/C JT150 5MT 4035x1615x1380mm 2400mm 850kg 4XC1 1471cc 86ps/5800rpm 12.5kg-m/3600rpm 109万8000円
4ドアセダン T/T JT150 3AT 4035x1615x1380mm 2400mm 840kg 4XC1 1471cc 86ps/5800rpm 12.5kg-m/3600rpm 98万4000円

1985年11月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
D/D(ディーゼル) JT600 5MT 3960x1615x1380mm 2400mm 860kg 4EC1 1487cc 55ps/5400rpm 9.7kg-m/2600rpm 89万
5000円
4ドア
セダン
C/C
(ディーゼルターボ)
JT600 3AT 4035x1615x1380mm 2400mm 940kg 4EC1 1487cc 70ps/5000rpm 13.8kg-m/2500rpm 129万
7000円
4ドア
セダン
T/T(ディーゼル) JT600 5MT 4035x1615x1380mm 2400mm 880kg 4EC1 1487cc 55ps/5400rpm 9.7kg-m/2600rpm 102万円

1986年4月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
C/C NAVI-5 JT150 5AT 3960x1615x1380mm 2400mm 880kg 4XC1 1471cc 86ps/5800rpm 12.5kg-m/3600rpm 117万4000円
4ドアセダン C/C NAVI-5 JT150 5AT 4035x1615x1380mm 2400mm 890kg 4XC1 1471cc 86ps/5800rpm 12.5kg-m/3600rpm 123万3000円

1986年6月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
イルムシャー JT150 3AT 3960x1615x1380mm 2400mm 930kg 4XC1 1471cc 120ps/5800rpm 18.5kg-m/3400rpm 153万5000円
4ドアセダン イルムシャー JT150 5MT 4035x1615x1380mm 2400mm 930kg 4XC1 1471cc 120ps/5800rpm 18.5kg-m/3400rpm 154万9000円


1987年5月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
C/C
ユーロルーフ
JT150 5MT 3995x1615x1405mm 2400mm 890kg 4XC1 1471cc 73ps/5600rpm 11.8kg-m/3600rpm 130万2000円
4ドアセダン C/C
ユーロルーフ
JT150 3AT 4070x1615x1405mm 2400mm 910kg 4XC1 1471cc 73ps/5600rpm 11.8kg-m/3600rpm 141万6000円

1987年7月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチバック
イルムシャーR JT150 5MT 3995x1615x1405mm 2400mm 930kg 4XC1 1471cc 120ps/5800rpm 18.5kg-m/3400rpm 140万5000円

1988年3月発売

ボディ
タイプ
仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイール
ベース
車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドア
ハッチ
バック
ZZハンドリング・バイ・ロータス JT190 3AT 3995x1615x1405mm 2400mm 960kg 4XE1 1588cc 135ps/7200rpm 14.3kg-m/5400rpm 159万
6000円
4ドア
セダン
ZZハンドリング・バイ・ロータス JT190 5MT 4070x1615x1405mm 2400mm 960kg 4XE1 1588cc 135ps/7200rpm 14.3kg-m/5400rpm 161
万円

3代目

出典:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第77号18ページより。

1990年3月発売

ボディ
タイプ
仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
4ドア
セダン
ZZ
ハンドリング
・バイ・ロータス
JT195F 4AT 4195x1680x1390mm 2450mm 1050kg 4XE1 1588cc 140ps/7200rpm 14.5kg-m/5600rpm 170万
5000円
4ドア
セダン
C/C JT195F 5MT 4195x1680x1390mm 2450mm 970kg 4XC1 1471cc 100ps/6000rpm 13.3kg-m/4400rpm 111万
2000円

1990年5月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン イルムシャーR JT191S 5MT 4195x1680x1390mm 2450mm 1150kg 4XE1 1588cc 180ps/6600rpm 21.2kg-m/4800rpm 193万7000円

1990年9月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
2ドアクーペ OZ-G JT191F 4AT 4185x1695x1315mm 2450mm 1090kg 4XE1 1588cc 140ps/7200rpm 14.5kg-m/5600rpm 157万5000円

1991年3月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 ホイールベース 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
3ドアハッチバック OZ JT151F 5MT 4185x1695x1325mm 2450mm 1030kg 4XC1 1471cc 100ps/6000rpm 13.3kg-m/4400rpm 116万8000円

4代目

出典:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第58号10ページより。ホイールベースはドマーニと同一[23]のため省略。

1993年9月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 車両重量 エンジン名 排気量 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン G/G MJ1 5MT 4415x1695x1390mm 1050kg ZC 1590cc 130ps/5200rpm 14.8kg-m/5200rpm 164万3000円
4ドアセダン C/C MJ1 5MT 4415x1695x1390mm 1030kg ZC 1590cc 120ps/6300rpm 14.5kg-m/3000rpm 154万9000円

5代目

出典:デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第49号12ページより。ホイールベースと排気量はドマーニと同一[25]のため、省略。

1997年2月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 車両重量 エンジン名 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン 1600C/C(4WD) MJ6 4AT 4480x1695x1405mm 1150kg D16A 120ps/6400rpm 14.7kg-m/5000rpm 172万5000円
4ドアセダン 1500C/C MJ4 5MT 4480x1695x1390mm 1010kg D15B 105ps/6400rpm 13.6kg-m/4500rpm 138万8000円

1998年2月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 車両重量 エンジン名 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン 1600G/G MJ5 CVT 4480x1695x1390mm 1100kg D16A 120ps/6400rpm 14.7kg-m/5000rpm 169万8000円

1999年1月発売

ボディタイプ 仕様 車両型式 ミッション 全長×全幅×全高 車両重量 エンジン名 最高出力 最大トルク 価格
4ドアセダン 1500C/C(LEV) MJ4 5MT 4480x1695x1390mm 1020kg D15B 105ps/6400rpm 13.6kg-m/4500rpm 141万8000円

モータースポーツ

ジェミニは、全日本ラリー選手権へ参戦し1980年、1981年、1990年、1991年、1992年のBクラスにおいて優勝している。

街の遊撃手

ジェミニを語る上で欠かせないのが、2代目および3代目におけるカースタントを使ったテレビCMである。映画「007シリーズ」のカースタントで名を知られ、当時世界最高レベルのカースタント技術を持つレミー・ジュリアンが監修を務め、キャッチコピーである「街の遊撃手」を視覚表現した、ジェミニがクラシック音楽シャンソンなどに乗せてパリの街並みを踊るように駆け抜けていく映像が大きな反響を呼んだ[28][29]。広告代理店はマッキャンエリクソン博報堂。

これらの映像には合成やCGを一切使っていないことで有名だが、撮影用の車体には細工を施している場合がある。2台並んでのドリフト走行や、4台が同一の動きをしているシーンでは、ほぼすべてにおいて相互の車体の下部をジョイントでつないでいる。当時CM撮影に携わったスタッフはジョイント部分が見えないように、カメラアングルひとつにも綿密な計算をし膨大な時間を費やしたという。それでもジョイント部分の映り込みが避けられない場合はテロップで隠すといった手法も使われていた。なお、CMは世界各国での放映を想定して制作されたため、撮影には海外輸出仕様の左ハンドル車が用いられていた。日本国内および東南アジアではいすゞ・ジェミニとして、中南米ではシボレー・ジェミニ(CHEVORET GEMINI)として放映されていた。

2台で並走している車が異なる動きをするシーンでは、ジョイントでつながっていないシーンとつながっているシーンを別撮りした上で組み合わせることでひとつのシーンを作っている。CMのメイキング映像では、川を飛び越えるシーンや車2台が橋の上で交互にジャンプを繰り返すシーン、また片輪走行で階段を下っているシーンが有名だが、これらは車体に一切の細工をしていない。そのため、これらのCMメイキング映像では車体[注釈 18]や映像[注釈 19]を一切加工していないことが有名となったため、全てが実際の車の挙動だと思い込む視聴者も多かったという。

3代目のCMは車体そのものが意思を持って自律で動いているという設定のため、スタントドライバーが一切車内に映りこまないようにする必要があり、トランク部にドライバーが隠れて運転できるよう改造を施している。

2017年に開業したいすゞプラザ内のジオラマ「いすゞミニチュアワールド」では、公園内を走行するジェミニのスタントが再現されている[30]

車名の由来

英語でふたご座を表し、いすゞとGMの協力で誕生したことから、両者のパートナーシップをふたご座に例えて命名。

ちなみにGM「Tカー」オペル・カデット(後輪駆動モデル)をベースにした車種は、アジア・オセアニア地域においては、Geminiの名称でいすゞの他に、韓国・セハン自動車(当時、現在の韓国GM[注釈 20]、豪・ホールデンでも販売された。

脚注

注釈

  1. ^ a b 当時いすゞが得意とし、販売上も大きな比率を占めていたディーゼルエンジン搭載車やスポーツモデルが設定されておらず、それらの領域をカバーするため後輪駆動の初代(PF60型)も併売されていた。そのため、当初2代目については「FF」を冠して初代と区別していた。
  2. ^ ジウジアーロが関わったことが公になったのは、1987年にイタリアのアウトモビリア社が出版したジウジアーロの作品集に、写真が掲載されたためである。
  3. ^ この当時はまだ「D4」レンジがなかった。
  4. ^ トランクそのものは同じものを使用しているが、もともとプレートがあった部分にはカバーがかぶせられている。なお、このナンバー位置は3代目のセダンにも引き継がれている
  5. ^ 前期の「D/D」に至ってはビニールレザーシートのみならず、規格型の角型シールドビーム、専用グリルを採用するほど徹底的に簡素化されていた。
  6. ^ このエンジンは後にマツダにもOEM供給され、8代目ファミリアセダン4代目フォードレーザーセダンに搭載されている。
  7. ^ ワンボックスに当たるのは、ファーゴである。しかし、同車1995年の秋にOEMモデルに移行した
  8. ^ SUVに当たるのは、ビッグホーンミューである。
  9. ^ 1,600 cc・SOHCには、FF用のVTEC4WD用の非VTECの2種類があるので、実質的には3本立てとなる。
  10. ^ 1600 FF・ドマーニ「E-MA4」に相当
  11. ^ 1600 4WD・ドマーニ「E-MA6」に相当
  12. ^ ドマーニ「1600Vi」に相当
  13. ^ ドマーニ「1600Ri」に相当
  14. ^ ドマーニ「1600Ri-F」に相当
  15. ^ ドマーニもABSを装備した場合には175/65R14
  16. ^ 白とシルバーはドマーニと共通だが、紺と緑はドマーニに設定されていた色ではなく、シビックフェリオに設定されていた色である
  17. ^ 本家のホンダ・ドマーニに前年(1994年)2月追加されたVi-Eフォンテーヌ(型式・E-MA7)に相当
  18. ^ 最終作となる「片輪走行篇」の新年ver時のジェミニのみ、上半分を切断し、前後を逆にしてバック走行をしているように見せかけている。
  19. ^ 「遊園地篇」のみ、ジェミニ2台(ホップステップジャンプと同一カラー)が大観覧車を飛び越える部分のみ、映像を加工している。
  20. ^ 後に車名はセハン/デーウ・メプシ(Maepsy)を経てデーウ・メプシーナ(Maepsy-Na)に改名。

出典

  1. ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第84号23ページより。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号17ページより。
  3. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「名前なし」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  4. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第27号18ページより。
  5. ^ a b c 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「名前なし-2」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  6. ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第84号3ページより。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「日本の名車27-18」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  8. ^ ジェミニ(1974年1月~1985年1月)”. トヨタ自動車株式会社. 2023年7月1日閲覧。
  9. ^ 『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26 p115』
  10. ^ 『自動車ガイドブック 1979→80 VOL.26』
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第84号4ページより。
  12. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第84号3ページより。
  13. ^ ジェミニ(1985年1月~1990年1月)”. 2023年3月2日閲覧。
  14. ^ a b c デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第77号17ページより。
  15. ^ a b c d e f デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第77号18ページより。
  16. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第77号17ページより。
  17. ^ 「いすゞ、ジェミニ受注好調--6千台突破、品不足も」日経産業新聞 1990年4月25日
  18. ^ 日刊工業新聞 1991年4月19日
  19. ^ a b c 自動車業界における組織構造の変革 SFC 慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 1995年度 組織行動論 OB68班
  20. ^ 「いすゞ乗用車事業を再編、モデル数を減らす--ジェミニ、米で自社販売停止」日本経済新聞朝刊 1991年10月18日
  21. ^ いすゞ ジェミニ 1990年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ”. 2023年3月5日閲覧。
  22. ^ いすゞ ジェミニ 1993年式モデルの価格・カタログ情報|自動車カタログ”. 2023年3月18日閲覧。
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  24. ^ ジェミニ(いすゞ)1993年8月~1997年1月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年2月2日). 2020年2月2日閲覧。
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  26. ^ ジェミニ(いすゞ)のカタログ” (2021年10月23日). 2021年10月23日閲覧。
  27. ^ いすゞ ジェミニ 1997年式モデルの価格・カタログ情報” (2021年10月23日). 2021年10月23日閲覧。
  28. ^ 「いすゞ ジェミニの軌跡」 辻村百樹 (PDF) MotorRing No.15社団法人 自動車技術会)2002年10月25日発行
  29. ^ Gemini いすゞ公式
  30. ^ 新オープンのミュージアム「いすゞプラザ」を見学してきた gazoo 2017年4月26日

姉妹車

初代
2代目
3代目
4代目
5代目

関連項目

外部リンク