森のくまさん (曲)

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森のくまさん
楽曲
作詞者 アメリカ民謡
作曲者 アメリカ民謡

森のくまさん」(もりのくまさん、森の熊さん)は、アメリカ民謡を原曲とする童謡。また曲のメロディーは異なる歌詞で複数の曲に使用されている。

概要[編集]

原曲は「The Other Day, I Met a Bear[1]あるいは「I Met a Bear」「The Bear in the Forest」「Bear in Tennis Shoes」「(The) Bear Song」などのタイトルで歌われてきたアメリカのスカウトソングである。主唱者が歌った節を伴唱者達が繰り返す「エコーソング」の典型である。スカウトのリーダーが発声者(エールマスター)となり、他のスカウトメンバーが掛け合うという形で歌われる。

日本での受容[編集]

日本では、1972年8月-9月にNHKの音楽番組『みんなのうた』で紹介され広く知られるようになった。これはNHKの番組プロデューサー(当時)の後藤田純生がこの曲を見つけて玉木宏樹が編曲したものである[2]。当時、日本語作詞者は不詳とされていたため、テロップでは作詞者の記載がなく、「アメリカ民謡」と編曲者の表記のみである。

その後、同じくNHKの『おかあさんといっしょ』『ワンツー・どん』『ドレミノテレビ』などでも歌われた。

日本ではスカウトソングとして歌われることはほとんどないが、教師がエールマスターとなり児童がそれに続くという形で歌わせやすいため、幼児教育の現場では重宝されている。

歌詞[編集]

原詞[編集]

作者不詳で、細部が異なる多くのバリエーションがあるが、左は古いタイプのその一例[3]。(echo) は、直前にリーダーが歌ったフレーズの追唱。Altogether: は、リーダーと追唱グループの全員で唱和する部分で、詞はその直前と同じなので2番以降では省略した。右は子供向けによく歌われている英語歌詞。

The Other Day, I Met a Bear

The other day (echo), I met a bear (echo)
Out in the woods (echo), A-way out there(echo)
Altogether: The other day I met a bear
out in the woods a-way out there.

He said to me (echo), “Why don’t you run? (echo)
I see you ain’t (echo), Got any gun” (echo)

And so I ran (echo), Away from there (echo)
But right behind (echo), Me was that bear (echo)

Ahead of me (echo), I saw a tree (echo)
A great big tree (echo), Oh glory be (echo)

The nearest branch (echo), Was 10 feet up (echo)
I’d have to jump (echo), And trust my luck (echo)

And so I jumped (echo), Into the air (echo)
But I missed that branch (echo), Away up there (echo)

Now don’t you fret (echo), Now don’t you frown (echo)
’Cause I caught that branch (echo), On the way back down (echo)

The moral of (echo), This story is (echo)
Don’t talk to bears (echo), In tennis shoes (echo)

That’s all there is (echo), There ain’t no more (echo)
So what the heck (echo), You singing for (echo)

The Bear

The other day (echo), I met a bear (echo),
A way up there (echo), A great big bear (echo).
(Altogether) : The other day, I met a bear, a great big bear, a way up there.

He looked at me (echo), I looked at him (echo),
He sized up me (echo), I sized up him (echo).
(Altogether) : (again)

He said to me (echo), "Why don't you run? (echo)
I see you don't (echo), Have any gun (echo)."
(Altogether) : (again)

And so I ran (echo), Away from there (echo),
And right behind (echo), me Was that bear (echo).
(Altogether) : (again)

Ahead of me (echo), I saw a tree (echo),
A great big tree (echo), Oh, golly gee (echo).
(Altogether) :Ahead of me there was a tree, a great big tree, Oh, golly gee.

The lowest branch (echo), Was ten feet up (echo),
I had to jump (echo), And trust my luck (echo).
(Altogether) : (again)

And so I jumped (echo), Into the air (echo),
And I missed that branch (echo), Away up there (echo).
(Altogether) : (again)

Now don't you fret (echo), And don't you frown (echo),
I Caught that branch (echo), On the way back down (echo).
(Altogether) : (again)

That's all there is (echo), There is no more (echo),
Until I meet (echo), That bear once more (echo).
(Altogether) : (again)

The end, the end (echo), the end, the end (echo),
The end, the end (echo), the end, the end (echo).
(Altogether) :The end, the end, the end, the end, this time it really is the end.

主人公が森を出る途中にばったりと熊に出会い、(お互いに見合ってという部分がある歌詞もある)君は逃げないのか? 銃を持っていないようだけどと熊から言われて、主人公が走り出して熊が追いかけてくる。主人公は樹に飛び移って難を逃れるという話である。運動靴(テニスシューズ)を履いている熊には話しかけるなというオチ(教訓)もついている小咄のような内容である。

熊にあって逃げるという骨子は日本語詞に似ているが、日本語詞と異なり、主人公の性別は不明で、熊も友好的ではない。主人公が銃を持っていたならば、逃げるのは熊の方であったという状況からすると主人公は猟師のようでもある。日本語詞で印象的なアイテムである貝殻のイヤリング、あるいはそれに相当する品物も全く登場しない。

日本語詞[編集]

日本語の歌詞はストーリー仕立てとなっている。各番の後半の、全員で唱和する部分は、原詞のように前半の繰り返しではなく、前半の続きの話になっている。

  1. ある日女性が森を歩いていると熊に出会った。
  2. 熊は女性に「お逃げなさい」と言ったので、女性は逃げた。
  3. 女性が走って逃げていると、熊が追いかけてきた。
  4. 追いついた熊は忘れ物だといって、貝殻でできたイヤリングを女性に渡した。
  5. 女性は熊に礼をいい、お礼に歌いだす。

日本語詞の作者[編集]

諸般の事情により著作者表記が変遷している。

『みんなのうた』で紹介された当時は、日本語作詞者は不詳とされていたため、「作詞・作曲:不明(アメリカ民謡)、編曲:玉木宏樹」とされていた。その後、馬場祥弘による「『森のくまさん』は自身が作詞・作曲した作品である」という主張が認められ、一時期は「作詞・作曲:馬場祥弘」としてJASRACに登録されたが、その後の調査で原曲となるアメリカ民謡の存在が判明し、「作詞・作曲:不明(アメリカ民謡)、日本語訳詞:馬場祥弘、編曲:玉木宏樹」となった。その一方で、『みんなのうた』編曲者の玉木宏樹は、日本語作詞者は不明であると最後まで主張し続けていた[2]。原曲がスカウトソングであることから、世界的なスカウト交流の大会である第12回世界ジャンボリー(1967年にアメリカで開催)か第13回世界ジャンボリー(1971年に日本で開催)のいずれかの世界ジャンボリーのキャンプ地にて日本のスカウト経由で訳されて伝播した説がある。

熊はなぜ逃げろと言うのか[編集]

クマが逃げろと言っているのに、追いかけてくるのはおかしいのではないかと考える人は多い。これには2つの説がある[4]。日本語作詞者が不明とすれば、口承によって伝わって変遷したものと考えられる。1975年全音楽譜出版社から発行された楽譜では、2番でクマではなく「小鳥さん」が逃げろと忠告している。これだとストーリーに不自然な部分はなくなる。1985年発行の『季刊どうよう』第3号(チャイルド本社)において、「1970年頃、小鳥だった」と証言する人もいた[5]

もう一つの説では、このクマは争いを好まない性格なので、暗い森から逃げたほうがいいよと忠告しているからである。この説は2005年12月16日テレビ東京系列で放送されたテレビ番組『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』において日本語作詞者の馬場祥弘が説明している。

メロディー[編集]

この曲の作曲者は不明であるが、このメロディーを使用した曲は北米に複数ある。小さな虫(The littlest worm)とサイダーを飲む( Sippin Cider,The Prettiest Girl)が有名である。どちらにもサイダーとストローという単語が歌詞に含まれる。サイダーを飲むの歌詞はアメリカで1894年にSucking cider thro' a strawとして発表され、少しずつ改変されており、現在ではサイダーを飲む人が女の子ではなく男の子のバージョンもある。サイダーを飲むは1919年に別のメロディーで発表されているが、森のくまさんのメロディーで歌われるようになった時期は不明である。 他には、カナダ軍の行進曲として使用されたPrincess Patがある。

みんなのうた[編集]

みんなのうた
森の熊さん
歌手 ダークダックス
作詞者 馬場祥弘(訳詞)
作曲者 アメリカ民謡
編曲者 玉木宏樹
映像 アニメーション
映像制作者 久里洋二
初放送月 1972年8月-9月
再放送月 1973年6月-7月
2005年10月-11月
2008年10月-11月
2012年6月-7月
2015年6月-7月(ラジオのみ)
その他 1974年12月31日に『特集』で再放送。
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前述の通り、『みんなのうた』では1972年8月-9月に『森のさん』というタイトルで紹介。編曲は玉木宏樹で、ディキシーランド・ジャズ風なアレンジになっている。歌はダークダックス。映像は常連・久里洋二製作のアニメでクマが逆立ちしたり前転したりして女の子を追いかけてくる内容。放送では1番と2番・2番と3番の間に間奏、3番と4番の間にインストゥルメンタルを流し、5番はラストがアレンジされた。

1973年6月-7月に再放送された後は、1974年12月31日に『特集みんなのうた』で再放送されたのみで、定時番組では長期に渡って再放送されなかったが、2005年10月-11月に32年3ヶ月ぶりに再放送。ただしタイトル画面と音声を除いて、映像は家庭用VTRと推測される解像度の低いもので、かなり画面は荒れていた。そして2012年6月-7月にも再放送となった、テロップは上から新しいものをかぶせている。

2015年6月-7月にも再放送されるが、初めてラジオのみの再放送となる。

録音した歌手[編集]

使用[編集]

替え歌[編集]

  • 『帰ってきた替え唄メドレー4』にて、嘉門達夫が1番をTHE ALFEEのメンバー(の姓)に置き換えた替え歌を披露。
  • 2012年から2013年、競艇がCMで替え歌を使用。
  • お笑い芸人のパーマ大佐が、馬場祥弘の日本語訳詞に新たな歌詞を追加し、2016年12月7日にシングルCDとして発売。一時は馬場祥弘より著作権侵害を主張されていた[6]が、新たに歌詞の改変者としてパーマ大佐の名前を記載する等を条件に円満解決で合意したと発表された[7]

曲のみ[編集]

詞のみ[編集]

脚注[編集]

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外部リンク[編集]