柔道整復師養成施設
ナビゲーションに移動
検索に移動
柔道整復師養成施設(じゅうどうせいふくしようせいしせつ)とは、柔道整復師学校養成施設指定規則[1]に基づいて設立された柔道整復師を養成する施設のことであって、一般には柔道整復学校、「ほねつぎの学校」などと呼ばれる。
概要[編集]
- 3年制または4年制の専門学校、3年制短期大学、もしくは4年制大学である。
- 一部3年制の各種学校や、厚生労働省の認可を受けただけの3年制私設学校もある。
- 設置主体は大半が学校法人であるが、一部に財団法人、社団法人、医療法人などもある。
- 入所(入学)資格は高等学校卒業またはそれと同等以上の学校(旧制中学等)の修了者とされる。
- 学費は3年制の専門学校の場合、3年間で合計400万~500万円程度が一般的である。
- どの形態の施設でも、共通して柔道整復術と概括的な一般医学の修得を目的とした教育が行われる。
設備・教員・カリキュラム等[編集]
- 養成施設の設備やカリキュラムなどは、柔道整復師養成施設指定規則並びに柔道整復師養成施設指導要領[2]によって定められている。
- 大学および短期大学においては同指定規則・指導要領を参考に、大学設置基準に基づいて定められる。
- 養成施設における教員の資格についても同様である。別記柔道整復師教員の項目を参照
認定実技審査[編集]
- 養成施設で学ぶ学生は、修了(卒業)年次に認定実技審査の受審が義務づけられている。
- 認定実技審査は、国家試験における実技試験の廃止にともない、実技試験の代替措置として実施されるようになった。
- 認定実技審査は、財団法人柔道整復研修試験財団から派遣された認定実技審査員(学外審査員と自校審査員)によって審査される。
- 柔道整復実技と柔道実技の2科目について審査される。この審査は各養成施設の修了(卒業)判定に資するものとされており、不合格の場合、養成施設の卒業が留保されることがある。
臨床実習[編集]
- 臨床実習の実施が柔道整復師養成施設指導要領に定められているが、どの養成施設においても付属施術所に配当させる人員に乏しく満足のいく実習を実施するのに腐心しているとされる。
- 養成施設付属施術所以外の学外施設(教員資格を有する柔道整復師が営む接骨院や診療所、病院)などでの臨床実習は現時点では認められていない。
進路[編集]
- 資格取得後に接骨院勤務を経て8割は接骨院を自営するとされる。
- 接骨院以外の主な勤務先は、病院、整形外科医院、老人介護施設などである。介護保険の規定により、柔道整復師の資格で機能訓練指導員として働くことができる。また5年間の実務経験があれば、試験を受けて介護支援専門員となることができる。
- 民間スポーツ施設などに勤務する例もある。
養成施設の増加[編集]
- 従来、柔道整復師養成施設の新規開設は厚生省(当時、以下同)の行政指導により制限されていた。
- 平成10年8月福岡地裁において柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決[3]が下され、以後、厚生省は養成施設指定規則さえ満たせば設置を認める方針に転換した。
- これにより他分野の専門学校や異業態からの参入が相次ぎ、養成施設は1998年の14校から2011年には108校に急増した。これにともない、以前は1000人強であった養成数も増加、現在では医師の養成数に匹敵する毎年約7000人以上が卒業する事態となっている。近い将来、柔道整復師の過剰[注釈 1]が予想され、それに伴う教育内容の低下や、就職困難、接骨院の乱立による経営の悪化が懸念されている。
養成施設一覧[編集]
大学・短期大学[編集]
東京都
栃木県
千葉県
山梨県
静岡県
- 常葉大学
- 健康プロデュース学部 健康柔道整復学科
京都府
大阪府
兵庫県
岡山県
山口県
専門学校[編集]
「柔道整復専門学校」を参照
その他[編集]
北海道
岩手県
宮城県
福島県
群馬県
埼玉県
東京都
- アルファ医療福祉専門学校
- 関東柔道整復専門学校
- 北豊島医療専門学校
- 国際鍼灸柔整専門学校
- 新宿医療専門学校
- 大東医学技術専門学校
- 中央医療学園専門学校
- 帝京医学技術専門学校
- 東京医学柔整専門学校
- 東京医療専門学校
- 東京医療福祉専門学校
- 東京柔道整復専門学校
- 東京スポーツ・レクリエーション専門学校
- 日本医学柔整鍼灸専門学校
- 日本健康医療専門学校
- 日本健康ビジネス専門学校
- 日本工学院八王子専門学校
- 日本柔道整復専門学校
- 日体柔整専門学校
- 朋友柔道整復専門学校
- 山野医療専門学校
- 了徳寺学園医療専門学校
- 首都医校
- 臨床福祉専門学校
神奈川県
新潟県
長野県
石川県
岐阜県
静岡県
愛知県
滋賀県
京都府
大阪府
- 東洋医療専門学校
- アムス柔道整復師養成学院
- 大阪凰林医療学院
- 大阪府柔道整復師会専門学院
- 大阪ハイテクノロジー専門学校
- 関西医療学園専門学校
- 行岡整復専門学校
- 国際東洋医療柔整学院
- 西日本柔道整復専門学校
- 平成医療学園専門学校
- 明治東洋医学院専門学校
- 履正社医療スポーツ専門学校
- 森ノ宮医療学園専門学校
- 大阪医専
兵庫県
岡山県
広島県
香川県
愛媛県
福岡県
佐賀県
長崎県
大分県
鹿児島県
沖縄県
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 厚労省の「平成24年保健・衛生行政業務報告」によると、就業柔道整復師は58,573人、直近の増加数は年間4.073人であった。平成12年(2000年)から24年までに柔道整復師数は1.9倍に増加している。年間増加数は平成12年の5倍の水準で、柔道整復師養成校の定員削減がなければ、今後も毎年同程度の増加が見込まれる。 平成24年の接骨院(施術所)数は42,431で、平成12年の1.73倍である。接骨院数の増加は年間2217件と引き続き高水準ではあるものの、増加数は頭打ちの傾向がある。柔道整復師と接骨院数の比率である開業率は低下しており、平成24年には72.4と平成12年と比較して7ポイント低下した。接骨院の過剰が自営開業を困難にしている傾向が見て取れる。 直近の柔道整復師数・施術所数については外部リンク参照。
- ^ 宗教法人蓬莱山誠神教が2000年に開校したが2010年3月で閉校した。在校生64人は近隣の養成施設に転学する。
- ^ 学校法人京都衛生学園が2004年に柔整科・鍼灸科を開設。2009年に校舎の土地と建物が強制執行され校舎を失ったため事実上閉校した。学費の返済を巡って元学生から民事訴訟を起こされ係争中である。