日本鬼子

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日本鬼子
2012 Anti-Japan demonstrations7.jpg
鬼子、小日本など侮蔑用語を記載したプラカードを掲げるデモ隊(2012年)
各種表記
繁体字 日本鬼子
簡体字 日本鬼子
拼音 rìběn guǐzi
発音: リーベングイズ
日本語読み: にっぽんおにこ/にほんきし
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日本鬼子中国語読み; リーベングイズ、拼音: rìběn guǐzi)は、主に中国語圏中国台湾シンガポール)で使われる、日本人を差す最大級の蔑称である。東洋鬼(トンヤンクイ)[1]とは、ほぼ同義[2]。侮蔑語であるが、同じ漢字文化圏ながら当の日本人に対しては、その侮蔑の意図がストレートに伝わりづらい語である。

語義・類語[編集]

「鬼子」とは、もともと『聊斎志異』の画皮で記されている道士魔物に対して使う蔑称であった。端的には魔物(悪魔)の意味であるが、現代日本語の語感とはやや異なり、邪悪なものは忌むべきものであるという思想があることから嫌悪されるべき存在である。当初は中国を侵略する西洋人に対して「鬼子」を用いていた。これはモンゴロイドと大きく異なるコーカソイドの顔立ちを忌み嫌って魔物として表現したものであった。

日清戦争以降、王朝を敗って近代化し西洋化した大日本帝国(日本)を、中華思想に基づく格下の存在である「倭奴」と表現しづらくなった。このため、西洋からの侵略者の意味である「洋鬼(ヤンクイ)」に次ぐ存在となった日本人を「東洋鬼」[2]と表現するようになったが、残忍な存在としての「鬼子」もこれに倣って、もっぱら日本人(しばしば日本兵)を指す言葉となった。

これには、恐怖と憎悪の両方の感情が込められていたが[3]、2010年現在では、元々西洋人の呼称であったという歴史的経緯などは、中華人民共和国ではあまり知られておらず、主として単なる日本人への罵り言葉として使われる。「鬼子」のみでも大抵は日本人を指すが、より明確にするために「日本鬼子」を使う。また小日本も、日本を侮蔑する言葉であるため、併せて「小日本鬼子(シャオリーペンクイズ、拼音: xiǎo rìběn guǐzi)」も使われる。

なお、前述の「洋鬼子」や「西洋鬼子」といえば西洋人を指すが、「仮鬼子」は魯迅短編小説阿Q正伝』の中で使われた言葉である。最初は外国人を装う中国人を形容したものだったが、途中から外国人に媚びる中国人を形容する言葉となった。また朝鮮人を蔑称で二鬼子というのは、鬼子の子分という意味である。

日本での認知[編集]

この「鬼子」という言葉は、2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件を受けて、中華人民共和国で発生した抗議デモにおいて「日本鬼子」のような形で頻繁に用いられ、多くの日本人が字句を目にした。

中国において「」は幽霊など忌み嫌われ恐れられる存在であるが、日本人にとって「悪鬼」や「鬼畜」といった一種の強調を伴わない、日本語の「」は、必ずしも否定的な意味でのみ用いられる字句ではない。

そのため、「鬼子」の語に込められた侮蔑の意図は、必ずしも直接的には受け止められてはいないのが、日本人側の実情である。ただし、大和言葉の「鬼子おにご」は、意味合いは異なるものの、否定的な意味を有する語である。

上述のような経緯を背景に、インターネット上で、「鬼子」を日本人女性の名前とあえて曲解した上で萌えキャラとして扱うという動きが広まり、「日本鬼子ひのもと おにこ」というキャラクターが作られた。

脚注[編集]

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  1. ^ 王世民、国立国会図書館デジタルコレクション 「ヨボとチャンコロ」 『一支那青年より日本帝国の青年に与ふ : 日支親善の根本解決は何か』 隣人之友社、1935年http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1268533/57 国立国会図書館デジタルコレクション 
  2. ^ a b 東洋鬼の方がやや古い言い回しである。しばしば誤解されるが、東洋の鬼の意味ではなく、東の「洋鬼」の意味である。
  3. ^ 王世民 1935, p.101

参考文献[編集]

関連項目[編集]