安西祐一郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
安西 祐一郎
文化功労者顕彰に際して
公表された肖像写真
生誕 (1946-08-29) 1946年8月29日(77歳)
国籍 日本の旗 日本
教育 慶應義塾大学工学部卒業
慶應義塾大学大学院工学研究科修了
業績
所属機関 慶應義塾大学(1971年 - 1985年、1988年 - 2011年)
カーネギーメロン大学
(1976年 - 1978年)
北海道大学
(1985年 - 1988年)
受賞歴 フランス教育功労章コマンドゥール
紫綬褒章
文化功労者

安西 祐一郎(あんざい ゆういちろう、1946年(昭和21年)8月29日 - )は、日本工学者情報科学認知科学)。学位工学博士慶應義塾大学1974年)。慶應義塾大学名誉教授新型コロナウイルス感染症対策・AIシミュレーション検討会議委員。

慶應義塾大学理工学部長、慶應義塾大学大学院理工学研究科委員長、慶應義塾長などを経て、独立行政法人日本学術振興会理事長、中央教育審議会(中教審)会長、慶應義塾学事顧問、新日本製鐵株式会社社外監査役。

人物[編集]

2008年5月26日総理大臣官邸にて内閣総理大臣福田康夫(左)と

慶應義塾大学理工学部名誉教授の安西修一郎は親族である。池田彌三郎とは遠戚関係にある。

慶應義塾大学理工学部体育会ラグビー部(KER)27期でOB会会長である。宇宙飛行士の星出彰彦とは、慶應義塾大学理工学部体育会ラグビー部(KER)の同窓である。幼稚舎出身の塾長としては、潮田江次に次ぐ二人目である。

教育再生懇談会(2009年11月に廃止)で座長を務めた。文部科学省学校教育の情報化懇談会座長も務め、小中学生が携帯やネットのリテラシーを学ぶことを奨励している。2009年4月末の慶應義塾長の選挙に三選目を目指して臨んだものの、当時商学部長を務めていた清家篤が次期塾長に選出されたため、2009年5月27日を以って塾長の座を退いた。

趣味はスポーツで特にラグビースキーテニスを嗜んでいた、読書、クラシック音楽鑑賞。座右の銘は「一期一会」。子息は慶應義塾大学病院の医師。

NHK会長人事[編集]

NHKでは、19年ぶりに民間から起用された会長の福地茂雄が、高齢も一つの理由として2011年1月24日の任期満了後は再任を望まない意向を示していた。このためNHK経営委員会は後任の人選を進め、その過程で安西に次期会長就任を打診、安西はこれに内諾したことが2010年12月29日明らかになった。NHK経営委員会において承認が得られれば[注釈 1]、NHKでは2代続く民間出身の会長に就任することになっていた[1]

しかし、安西が 1.都心に居宅を用意できるか 2.副会長は自分が連れて来られるか 3.会長の交際費はあるのか[2] を質問したことに、経営委員会内部で安西に対する不信が生じ、2011年1月には経営委員会が打診を撤回[3]。安西はこれについて「単に説明を求めただけ」と釈明した上で、経営委員会に対する不信感をあらわにし「このような状況では会長職を受けてもNHKを良くすることは困難」として、1月11日に就任を拒絶することを表明した[4]

日本学術振興会理事長・中央教育審議会会長 文科省専門家会議の座長[編集]

2011年9月16日、独立行政法人日本学術振興会理事長に内定。任期は、2011年10月1日から4年間。2014年、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)会長に就任。

大学入試共通テストに記述式問題を導入する案をまとめた安西は「採点の公平性が保たれるのか」という問題に次のように語った。「トップレベルの大学の入学者には高所得層の家庭の子どもが多いという状況もあります。そうした中で、新テストの記述式問題の採点部分だけを取り出して公平性を問うのは違和感を覚えます」[5]。また、安西は、共通テストへの英語民間試験導入を推進したが、民間試験の有力候補であったGTEC主催団体の評議員を務めていた[6]

なお、安西本人は慶應義塾幼稚舎から大学まで、外部受験を経験していない。

経歴[編集]

2009年6月18日世界経済フォーラム東アジア会議にて

受賞・受章[編集]

社会的活動・主な役職[編集]

学会[編集]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『問題解決の心理学――人間の時代への発想』(中公新書、1985年)
  • 『知識と表象――人工知能と認知心理学への序説』(産業図書、1986年)
  • 『認知科学と人工知能』(計算機科学/ソフトウェア技術講座第17巻、共立出版、1987年11月)
  • 『認識と学習』(岩波講座ソフトウェア科学 第16巻、 岩波書店、1989年2月)
  • 『未来を先導する大学――慶應義塾長、世界の学長と語る』(慶應義塾大学出版会、2004年)
  • 『教育が日本をひらく――グローバル世紀への提言』(慶應義塾大学出版会 2008年9月)
  • 『心と脳――認知科学入門』(岩波新書、2011年)

共編著[編集]

  • 『機械の知 人間の知』(辻井潤一共著、認知科学選書、東京大学出版会、1988年)
  • 『定性推論 ― 知識情報処理シリーズ)(溝口文雄・古川康一共編、共立出版、1989年)
  • 『ニューラルネットワークシミュレータSONNET』(若松真共著、岩波書店、1990年7月)
  • 『認知科学ハンドブック』(波多野誼余夫ほか編、共立出版、1992年)
  • 『情報の表現と論理』(開一夫・石崎雅人共著、岩波書店、2003年12月)

翻訳[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 会長選びにあたっては「NHK以外のマスメディアで仕事をしたことがないこと」など種々の制約があり、それらをクリアした上で経営委員会における承認議決が必要となる。

出典[編集]

  1. ^ NHK会長に安西前慶応塾長 時事通信 2010年12月29日
  2. ^ 「安西氏に異論 受諾時 交際費は? 不信呼び経営委が二分」『産経新聞』2011年1月7日
  3. ^ 安西氏への会長就任要請を撤回 NHK経営委 産経新聞 2011年1月11日
  4. ^ NHK会長就任を「拒絶」と安西氏 局内で「経営委員会への不信頂点に」怒りの会見 産経新聞 2011年1月11日
  5. ^ 『毎日新聞』2016年3月16日
  6. ^ https://www.news-postseven.com/archives/20190122_851428.html/3
  7. ^ 春の叙勲・褒章”. 日本私立大学協会 (2008年5月7日). 2023年6月13日閲覧。
  8. ^ 文化勲章、ノーベル賞2氏や仲代達矢さんら7人”. YOMIURI ONLINE (2015年10月30日). 2015年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月25日閲覧。
  9. ^ このタイトルが誤訳であることはよく知られている。渡部昇一(注:別の人だったかもしれません)の著書を参照

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

先代
三村明夫
中央教育審議会会長
2014年 - 2015年
次代
北山禎介