中期防衛力整備計画 (1991)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中期防衛力整備計画(ちゅうきぼうえいりょくせいびけいかく)は、日本国自衛隊の軍備計画。本記事では平成3年度(1991年4月)~平成7年度(1996年3月)における中期防衛力整備計画(03中期防)について解説する。

方針[編集]

平成3年度よりスタートした中期防は、いわゆる「防衛計画の大綱(51大綱)昭和51年10月29日閣議決定)」に基づく5ヶ年計画である。本計画は、以下の方針に基づき立案された。

  1. 「防衛計画の大綱」に定める水準がおおむね達成される状況等を踏まえて更新・近代化を基本とし、隊員の生活環境や各種支援機能、技術研究開発等広報分野の充実をさせる。
  2. 組織、編成及び装備の各分野にわたって、一層の効率化や合理化の徹底を図りながら、防衛力の円滑な整備及び運用に努める。将来の若年人口の低下を見越しての自衛官定数などの結論を得る。
  3. 日米安全保障体制の信頼性の維持向上を図るための各種施策を講ずる。
  4. 諸経費の抑制と3年後の計画修正。

概要[編集]

本計画は22兆7,500億円程度(平成2年度価格換算)を目途に編成される。なお、3年目に当たる1993年度には計画の見直しを行い22兆1,700億円(平成2年度価格換算)に下方修正され、残り2ケ年の計画に反映させた。

航空自衛隊ペトリオットミサイルへの更新と基地防空装備の整備、陸上自衛隊ホーク地対空ミサイルの改善等をもって防空力の充実を図る。また、着上陸対処能力の向上に努めるが、F-1の減勢にともない既存のF-4EJ改の一部を対艦任務に転用する。

海上自衛隊は引き続いて艦船の更新と近代を図り、航空機装備も新型機への更新をすすめ、あわせて技術の進歩を見越して既存のP-3C哨戒機の改修も視野に入れる。

陸上自衛隊は地対艦ミサイルの整備を進めるとともに老朽装備の更新・近代化を進める。


組織改編[編集]

陸上自衛隊
  • 師団の後方支援部隊を集約し3個後方支援連隊を新規編成[1]し、3個地対艦ミサイル連隊の新規編成[2]も進める。----

主要装備調達計画[編集]

陸上自衛隊
装備 計画調達量 計画調達数
(見直し後)
実績
戦車 132両 108両 106両
火砲(迫撃砲を除く) 616門/両 536門/両 532門/両
新多連装ロケットシステム 36両 36両 36両
装甲車 218両 193両 177両
地対艦誘導弾 40基 40基 40基
対戦車ヘリコプター 12機 18機 16機
輸送ヘリコプター
(CH-47J)
14機 12機 12機
地対空誘導弾改善用装備 2個群および教育所要 2個群および教育所要 2個群および教育所要
海上自衛隊
装備 計画調達量 計画調達数
(見直し後)
実績
護衛艦 10隻 8隻 8隻
潜水艦 5隻 5隻 5隻
その他 20隻 15隻
固定翼哨戒機 8機 5機 5機
哨戒ヘリコプター 36機 31機 27機
掃海ヘリコプター 1機 1機 1機
航空自衛隊
装備 計画調達量 計画調達数
(見直し後)
実績
戦闘機 42機 29機 28機
輸送機 3機 1機 1機
輸送ヘリコプター 2機 2機 2機
早期警戒管制機 4機 4機 4機
中等練習機 90機 68機 67機
地対空誘導弾 1個群および教育所要等 1個群および教育所要等 1個群および教育所要等

装備調達実績[編集]

陸上自衛隊
装備 H3 H4 H5 H6 H7 内容
小銃 4,418丁 4,508丁 3,390丁 3,393丁 3,356丁 89式5.56mm小銃
機関銃 - - 96丁 145丁 192丁 5.56mm機関銃ミニミ
対戦車誘導弾 30セット 24セット 24セット 24セット セット 87式対戦車誘導弾発射装置
対戦車誘導弾 5セット 14セット 12セット 12セット セット 79式対舟艇対戦車誘導弾発射装置
迫撃砲 - 56門 48門 44門 81mm迫撃砲 L16
迫撃砲 - 46門 55門 53門 120mm迫撃砲 RT
榴弾砲 33門 26門 26門 24門 FH70
新多連装ロケットシステム - 9両 9両 9両 9両 MLRS
自走高射機関砲 6両 3両 2両 2両 2両 87式自走高射機関砲
戦車 26両 20両 20両 20両 20両 90式戦車
装甲戦闘車 9両 6両 7両 6両 7両 89式装甲戦闘車
装甲車 9両 13両 13両 13両 73式装甲車
指揮通信車 16両 11両 10両 10両 82式指揮通信車
偵察警戒車 8両 4両 4両 4両 4両 87式偵察警戒車
弾薬給弾車 8両 6両 4両 4両 87式砲側弾薬車
戦車回収車 3両 1両 1両 1両 90式戦車回収車
戦車橋 2両 1両 1両 1両 91式戦車橋
化学防護車 1両 1両 1両 1両 化学防護車
対戦車ヘリコプター 6機 4機 2機 2機 2機 AH-1J
観測ヘリコプター 14機 13機 9機 10機 OH-6D
多用途ヘリコプター 12機 13機 13機 13機 13機 UH-1H改
輸送ヘリコプター 3機 3機 2機 2機 2機 CH-47JA
練習ヘリコプター - - 4機 5機 OH-6D
地対空誘導弾 0.5個群 0.5個群 0.5個群 0.5個群 0.5個群 改良ホーク
携帯地対空誘導弾 - - 16セット 10セット セット 93式近距離地対空誘導弾
携帯地対空誘導弾 13セット 13セット 13セット 13セット セット 91式携帯地対空誘導弾
地対艦誘導弾 8基 8基 8基 8基 8基 88式地対艦誘導弾
海上自衛隊
装備 H3 H4 H5 H6 H7 内容
護衛艦(DDG) 1隻 - 1隻 - - 7,200トン型
護衛艦(DD) 1隻 1隻 - 2 2 4,400トン型
潜水艦 1隻 1隻 - - - 2,400トン型
潜水艦 - - 1隻 1隻 1隻 2,700トン型
掃海艇 1隻 3隻 - 2隻 490トン型
ミサイル艇 - 1隻 - - - 50トン型
練習艦 - 1隻 - - - 4,000トン型
試験艦 - 1隻 - - - 4,200トン型
掃海母艦 - - - 1隻 1隻 5,600トン型
輸送艦 - - 1隻 - - 8,900トン型
固定翼哨戒機 2機 前年度引継ぎ 1機 1機 1機 P-3C
哨戒ヘリコプター 5機 7機 4機 5機 6機 SH-60J
掃海ヘリコプター 1機 - - - - MH-53E
救難飛行艇 1機 - 1機 - US-1A
訓練支援機 - 1機 - - U-36A
電子戦データ収集機 - 1機 1機 - EP-3
電子戦訓練支援機 - - - 1機 UP-3D
初等練習操縦機 9機 5機 3機 - T-5
計器飛行操縦機 - 5機 - - TC-50
救難ヘリコプター 9機 5機 2機 1機 1機 UH-60J
初級練習操縦ヘリコプター - 1機 - - OH-6D
航空自衛隊
装備 H3 H4 H5 H6 H7 内容
戦闘機 8機 7機 4機 4機 5機 F-15J
早期警戒管制機 - - 2機 2機 - E-767
輸送機 - - - - 1機 C-130H
中等練習機 21機 19機 9機 9機 9機 T-4
輸送機・救難機等基本操縦練習機 - 3機 3機 2機 T-400
新救難捜索機 - 3機 1機 1機 U-125A
飛行点検機 1機 1機 - - - U-125
輸送ヘリコプター 1機 - - - 1機 CH-47J
救難ヘリコプター 4機 2機 1機 2機 2機 UH-60J
地対空誘導弾 1個群[3] 1個群+0.5個群[4] 1セット 1セット 0.25個群 パトリオット
近距離地対空誘導弾 2セット 2セット - - - 81式短距離地対空誘導弾
携帯地対空誘導弾 - 12セット 12セット 6セット セット 91式携帯地対空誘導弾

脚注[編集]

  1. ^ 第1後方支援連隊第3後方支援連隊第12後方支援連隊を1992年3月に新編
  2. ^ 本中期防においては4個連隊(第1地対艦ミサイル連隊第4地対艦ミサイル連隊)を新編
  3. ^ 3個高射隊分
  4. ^ 教育所要分等

外部リンク[編集]