FH70

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
陸上自衛隊の155mmりゅう弾砲FH70
射撃状態

FH70(Field Howitzer 1970s)は、西ドイツイギリスイタリアの3か国が共同開発した155mm榴弾砲

開発経緯[編集]

FH70は、1963年に合意されたNATO基本軍事要求39号によって「牽引・自走両用の近接支援用榴弾砲」として計画された。

要求仕様は、分離可能なAPU(Auxiliary Power Unit:補助エンジン)を有し、通常弾で24km、ロケット補助推進弾で30kmの射程、最大連射速度は15-20秒で3発、持続連射速度は毎分2発とされた。弾薬は、NATO標準の155mm砲弾に対応しつつ、新開発の長射程弾も計画された。

これに基づき西ドイツ(当時)とイギリスは協同して研究開発を行い、1968年に細部仕様が決定された。イタリア1970年から、この計画に参加した。

当初の研究開発イギリス王立兵器研究開発研究所英語版(RARDE)主導の下、イギリスのヴィッカーズと西ドイツのラインメタルによって行われ、後に参加したフォルクスワーゲンがAPU部分などを担当している。

1978年に製造が開始され、西ドイツ・イタリアの旧式榴弾砲とイギリスのBL 5.5インチ砲を更新していった。

特徴[編集]

砲身後端の下部に砲弾装填用トレイと半自動式装填補助装置を搭載している。このトレイに砲弾を乗せた状態で砲撃すると、砲身の前進運動と連動してトレイが持ち上がると共に尾栓が開き、素早い装填と高い連射速度を実現している。尾栓と装填補助装置は、砲撃と連動しない状態にしてすべて手動で操作することも可能である。(詳細は#外部リンクの画像リンクを参照)

砲架には1,800ccのフォルクスワーゲン製(日本のFH70は富士重工業製)水平対向型ガソリンエンジンと手動変速機を搭載しており、短距離であれば自走が可能であるため、発射位置までの牽引を要しない。このため、展開・撤収が従来の砲と比べて比較的早いという利点がある。ただし、速度は時速16km程度で、また、運転手以外の操作要員や砲弾を運搬することは出来ないため、長距離の移動には大型軍用トラックで牽引する必要がある。陸上自衛隊ではFH70の牽引に74式特大型トラックをベースとした中砲けん引車を使用している。

陸上自衛隊[編集]

運用、整備(メンテナンス)の容易さと価格の安さから陸上自衛隊でも155mm榴弾砲M1105mm榴弾砲M2A1の後継として155mmりゅう弾砲の名で制式採用されており、開発国での制式名FH70を略称としている。防衛庁(現在の防衛省)は愛称をサンダーストーンとしているが、この名は一般的に普及しているとは言い難く、FH70(えふえっちななまる)、または単にFH(えふえっち)の名で呼ばれるのが一般的である。

牽引車には7tトラックを改造した中砲けん引車を使用し、補助動力装置にはスバル製水平対向エンジン(1,800cc)を搭載している。

1983年以来、日本製鋼所によるライセンス生産によって配備され、現在の陸上自衛隊の主力火砲の位置に付いている。同火砲を採用した国の中でも陸上自衛隊は最も調達数が多く、平成20年度時点で422門を配備している[1]。しかし、導入開始から30年近く経過しており、旧式化しているため火砲定数削減と合わせて順次退役が進められている。これに伴い防衛省は2013年度から2016年度までFH70の後継となる装輪式の火力戦闘車の開発を行う[2]

諸元・性能[編集]

出典: Ichinohe_Takao (2001年5月12日). “FH-70 155mm榴弾砲”. 2011年8月17日閲覧。

諸元

  • 種別: 榴弾砲
  • 口径: 155mm
  • 砲身: 39口径長
  • 重量: 7,800-9,600kg
  • 全長: 9.8m(牽引状態)
    12.4m(射撃状態)
  • 全幅: 2.56m(牽引状態)
  • 全高: 2.56m(牽引状態)
  • 砲員数: 8名

作動機構

性能

  • 俯仰角: -100ミル-1,250ミル(-5.6°〜+70°)
  • 旋回角: 左右に500ミルずつ(56°)
  • 砲口初速: 827m/秒
  • 最大射程: 24km(通常弾), 30km(RAP弾)
  • 発射速度: 3発/15秒(最大)
    3-6発/分(持続射撃)

砲弾・装薬

運用史


ギャラリー[編集]

運用国[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

画像リンク