91式携帯地対空誘導弾

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91式携帯地対空誘導弾
Type 91 surface to air missile.jpg
91式携帯地対空誘導弾の原寸模型
種類 携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)
製造国 日本の旗 日本
設計 技術研究本部
製造 東芝[1]
性能諸元
ミサイル直径 80mm
ミサイル全長 1,430mm
ミサイル全幅 90mm
ミサイル重量 9kg(本体)
17kg(発射セット)
弾頭 指向性弾頭
信管 着発式
射程 5,000メートル (2.7 nmi)[2]
推進方式 固体燃料ロケット
誘導方式 -2:赤外線ホーミング(IRH)+可視光画像(TV)[1]
-2B:赤外線画像(IIR)
飛翔速度 マッハ1.9[2]
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91式携帯地対空誘導弾(きゅういちしきけいたいちたいくうゆうどうだん)は、日本技術研究本部東芝が開発した国産の携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)。略称は携SAM及びSAM-2、広報向け愛称はハンドアロー[3][2]で、部隊内ではスティンガーPSAMと呼称されている。自衛及び基地防空用として三自衛隊に配備されている[1]

概要[編集]

誘導弾先端のシーカー部
個人携帯地対空誘導弾(改)(SAM-2B)に装備されている、可視光イメージ誘導の際に使用する画像表示装置(写真の中央部分)

アメリカ合衆国製の携帯地対空誘導弾の後継として[1][4]1991年(平成3年)に制式採用された携帯式防空ミサイルシステムである。1979年より部内研究が行われていたが、1987年より試作に入っている[4]。派生型としてOH-1観測ヘリコプターに搭載する空対空ミサイル型や、高機動車に8連装発射機を搭載した93式近距離地対空誘導弾が存在する[2]

通常の赤外線パッシブ誘導と可視光イメージ誘導とを併用したハイブリッド型の誘導方式となっており[1]、後者はCCDカメラの画像認識により、人の目と同じように目標の可視光イメージを記憶してから誘導(画像認識誘導)ができる[4]。そのため、発射器本体には、ハンディタイプのVTRカメラに装着されているビューファインダーに似た可動式の画像表示装置が取付けられている。これにより赤外線低放出目標や目標機体正面方向からでも発射が可能になり、フレアなどの妨害装置にも強くなった[4]ミサイルの姿勢制御は、発射後に展開する前部の小型翼4枚と、ミサイル後部のくびれ部にある4枚の翼を用いて行っている[2]。推進機関は、2段式の固体燃料ロケットであり、発射ロケットにより、射手との距離を確保し、ブラストの影響範囲外に出たのちに飛翔用ロケットに点火される[2]

信管は設定秒時に作動する自爆機能を持つ。携行型は、発射筒に封入された誘導弾および発射器、外部電池、敵味方識別装置(IFF)によって構成される。発射器の形状は、スティンガーと似ているが、発射筒前上部のIFFアンテナの穴がSAM-2は2列、スティンガーは1列となっている[2]

主に陸上自衛隊普通科機甲科戦車)部隊や特科部隊の自衛防空用に配備されているが、航空自衛隊海上自衛隊でも1993年(平成5年)から基地防空用に配備されている[1]。空自では当初、操作要員に予備自衛官を充てることを想定していたが、操作法が難しく短期間の訓練で習熟することが不可能と判断され、現職の基地防空隊員と運用要員が扱っている。

2007年(平成19年)度からライフサイクルコストの低減や、低空目標への対処能力の改善、携行SAMとしては世界初の赤外線画像(IIR)誘導方式による夜間戦闘能力の向上、煙の少ない推進薬の使用などの改良を加えた個人携帯地対空誘導弾(改)SAM-2B)の調達が開始された[5][6][7][8]2002年度から開発が開始され、開発経費は約26億円。

調達数[編集]

SAM-2の調達数(陸上自衛隊分)[9]
調達年度
SAM-2
数量 調達年度
SAM-2
数量 調達年度
SAM-2B
数量
平成3年度(1991年) 13セット 平成11年度(1999年) 12セット 平成19年度(2007年) 23セット
平成4年度(1992年) 13セット 平成12年度(2000年) 11セット 平成20年度(2008年) 13セット
平成5年度(1993年) 13セット 平成13年度(2001年) 11セット 平成21年度(2009年) 19セット
平成6年度(1994年) 13セット 平成14年度(2002年) 39セット 平成22年度(2010年) 22セット
平成7年度(1995年) 18セット 平成15年度(2003年) 52セット 平成23年度(2011年) 0セット
平成8年度(1996年) 15セット 平成16年度(2004年) 23セット 平成24年度(2012年) 0セット
平成9年度(1997年) 18セット 平成17年度(2005年) 15セット 平成25年度(2013年) 0セット
平成10年度(1998年) 13セット 平成18年度(2006年) 0セット 平成26年度(2014年) 0セット
SAM-2共通の合計 356セット SAM-2の合計 279セット SAM-2Bの合計 77セット

画像[編集]

登場作品[編集]

UN-GO
11話に登場。
自衛隊三国志
三国時代タイムスリップした自衛隊国際連合平和維持活動(PKO)部隊の装備として、個人携帯地対空誘導弾(改)(SAM-2B)が、「11式携帯地対空誘導弾(SAM-3)」の名称で登場。襲い来る中国軍攻撃ヘリコプターに対して使用する。
続・戦国自衛隊
戦国時代にタイムスリップした自衛隊の装備として登場し、関ヶ原の戦いで、自衛隊員がアメリカ軍AH-64D 1機に対して使用する。
ジパング
「みらい」搭載のSH-60J哨戒ヘリコプター核爆弾を搭載した戦艦大和」を停船させるために煙突に向けて発射した。なお、実際の護衛艦に携帯地対空誘導弾は積まれていない。
『中国完全包囲作戦』
03式中距離地対空誘導弾81式短距離地対空誘導弾93式近距離地対空誘導弾と共に登場し、統一朝鮮空軍F-15KおよびKF-16を多数撃墜する。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞 P38,P449 ISBN 4-7509-1027-9
  2. ^ a b c d e f g 91式携帯地対空誘導弾,荒木雅也,スピアヘッド,No12,P66-70,アルゴノート社,2012年
  3. ^ 91式携帯地対空誘導弾発射装置 第2師団HP
  4. ^ a b c d 技術研究本部50年史 P167-169
  5. ^ 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 要旨
  6. ^ 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 本文
  7. ^ 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 参考
  8. ^ PANZER 臨時増刊 陸上自衛隊の車輌と装備2012-2013 2013年1月号,アルゴノート社,P90
  9. ^ 防衛白書の検索

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]