うわじま型掃海艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
うわじま型掃海艇
JMSDF MSC-677 MAKISHIMA.jpg6番艇の「まきしま」(MSC-677)
基本情報
艦種 中型掃海艇(MSC)[1]
運用者  海上自衛隊
就役期間 1990年 -
同型艦 9隻[1]
前級 はつしま型掃海艇
次級 すがしま型掃海艇
要目
排水量 基準: 490トン
満載: 570トン
全長 58.0 メートル (190.3 ft)
最大幅 9.4メートル (31 ft)
深さ 4.2メートル (14 ft)
吃水 2.9メートル (9.5 ft)
機関方式 三菱6NM-TA(B)Iディーゼルエンジン×2基
スクリュープロペラ×2軸
出力 1,800馬力
速力 14 ノット (26 km/h)
乗員 45人
兵装 JM61-M 20mm機銃×1門
搭載艇4.9m型複合作業艇×1隻
ジェミニ・ディンギー処分艇×1隻
レーダー OPS-39-Y 対水上捜索用
ソナー ZQS-3-1 機雷探知機
特殊装備機雷処分具S-7 1形
・53式普通掃海具(O型)改6
・85式磁気掃海具S-6
・71式音響掃海具S-2改1
テンプレートを表示

うわじま型掃海艇(うわじまがたそうかいてい、英語: Uwajima-class minesweepers)は、海上自衛隊の中型掃海艇Mine Sweeper Coastal, MSC)の艦級。

従来の掃海艇よりも深い中深度域に敷設された機雷への対処能力が付与されており[1]61中期防および03中期防において計9隻が建造された。

来歴[編集]

1970年代初期、優勢なアメリカ海軍原子力潜水艦に対抗して、ソビエト連邦軍は機雷の高性能化・深深度化を進めており、アンテナ機雷や短係止上昇式機雷のなかには水深2,000メートルまで敷設可能なものも出現してきた。このような深深度に敷設された機雷には、従来の掃海艇では対処困難であり、海中を航行する潜水艦にとって大きな脅威となった[2][3]

海上自衛隊においては、特に豊後水道浦賀水道の2つのチョークポイントに機雷を設置された場合、それぞれ呉基地第1潜水隊群横須賀基地第2潜水隊群の活動が大きく掣肘されることから、深深度の対潜機雷への対処能力の整備は非常に切迫したものとなった。このことから、61中期防においては、中深度域での機雷対処能力を備えた掃海艇(MSC)と、深深度機雷に対処するための1,000トン型掃海艦を整備することとされた。後者として整備されたのがやえやま型(01MSO)であり、前者として整備されたのが本型である[4]

設計[編集]

設計は、おおむね先行するはつしま型最終型(62MSC)を踏襲している[5]。使用樹種は下記のとおりで、キール摩材がケヤキとされた以外はおおむね62MSCと同一である[6]

  • ベイマツ - キール・スケグ、船底縦通材、チャイン材、フレーム、外板・甲板
  • ケヤキ - キール摩材
  • タモ - 合板

主機関は、62MSCと同系列で出力を増強した6NMU-TA(B)Iに更新された。これは三菱重工業のSU系列ディーゼル(S6U)を非磁性化して技術研究本部が開発した4サイクル6気筒ディーゼルエンジンである[5]。また感応掃海具の電力を賄うための掃海発電機は、62MSCと同じく6NMU-TK-II型1基を搭載する[6]

装備[編集]

センサ[編集]

機雷探知機としては、62MSCで搭載されたZQS-2をもとに中深度海域に対応して発展させたZQS-3-1 機雷探知機が搭載された[7]。原型となったZQS-2は、イギリス・プレッシー社のASDIC 193型を参考に技術研究本部が開発したもので、機雷探知用として100キロヘルツ、機雷類別用として300キロヘルツを使用することで、目標を探知すると共に確実に機雷と類別できるようになっていた[8]

また、対水上捜索レーダーも、62MSCで搭載されたOPS-9の改良型であるOPS-39-Yとされている[6]

機雷掃討[編集]

機雷処分具S-7 1形

本型では、機雷処分具は中深度に対応したS-7 1形に更新された[1]。これは有線式の遠隔操作無人探査機(ROV)で、円筒形の機体の後方には可動式のスラスターが、前方には上下動用のスラスターがトンネルを設けて設置されている。先端には精密走査用のイメージング・ソナー(超音波水中映像装置)、低光量ビデオカメラおよびサーチライトが装備されている。

機雷処分用として胴体下に処分爆雷1発を搭載しており、海底の機雷に向けて投下して破壊する[9]

機雷掃海[編集]

係維掃海具
係維機雷に対しては、28MSC以来装備化されたオロペサ型係維掃海具である53式普通掃海具(O型)をもとに、対艇掃海によって中深度域の掃海に対応した53式普通掃海具(O型)改6が搭載された[6]。オロペサ型係維掃海具は、展開器と呼ばれる水中凧によって掃海索を左右数百メートルに展開するとともに沈降器によって一定深度に沈下させて曳航し、機雷の係維索を引っ掛けて、掃海索の数カ所に装備した切断器によってこれを切断していくものである[10]
感応掃海具
磁気機雷に対しては、62MSCと同じく85式磁気掃海具S-6が搭載された。一方、音響機雷に対しては、62MSCの搭載機を発展させた71式音響掃海具S-2改1が搭載された。これは1個の発音体で低周波と中周波を同時発生することができた[6][11]

配備[編集]

2010年平成22年)には2番艇の「いえしま」がいえしま型掃海管制艇の1番艇として掃海管制艇に種別変更されている。

同型艦一覧
計画年度 # 艦名 建造 起工 進水 竣工 掃海管制艇への
艦籍変更
除籍
現役艦は所属
昭和63年 MSC-672 うわじま 日本鋼管
鶴見造船所
1989年
(平成元年)
5月18日
1990年
(平成2年)
5月23日
1990年
(平成2年)
12月19日
-------
2010年
(平成22年)
6月24日
MSC-673
→ MCL-728
いえしま 日立造船
神奈川工場
1989年
(平成元年)
5月12日
1990年
(平成2年)
6月12日
2010年
(平成22年)
2月26日
2014年
(平成26年)
5月16日
平成2年 MSC-674 つきしま 1991年
(平成3年)
5月27日
1992年
(平成4年)
7月23日
1993年
(平成5年)
7月23日
-------
2012年
(平成24年)
3月21日
平成3年 MSC-675
→ MCL-729
まえじま 1992年
(平成4年)
6月1日
1993年
(平成4年)
6月10日
1993年
(平成5年)
12月15日
2013年
(平成25年)
3月21日
2017年
(平成29年)
3月27日
平成4年 MSC-676
→ MCL-730
くめじま 日本鋼管
鶴見造船所
1993年
(平成5年)
2月17日
1993年
(平成5年)
12月9日
1994年
(平成6年)
12月12日
2014年
(平成26年)
5月16日
2018年
(平成30年)
3月27日
MSC-677 まきしま 日立造船
神奈川工場
1993年
(平成5年)
5月12日
1993年
(平成5年)
5月26日
1994年
(平成6年)
12月12日
-------
2014年
(平成26年)
4月2日
MSC-678 とびしま 日本鋼管
鶴見造船所
1993年
(平成5年)
6月22日
1994年
(平成6年)
8月30日
1995年
(平成7年)
3月10日
-------
2014年
(平成26年)
5月12日
平成6年 MSC-679
→ MCL-731
ゆげしま 日立造船
神奈川工場
1995年
(平成7年)
4月10日
1995年
(平成7年)
5月24日
1996年
(平成8年)
12月11日
2017年
(平成29年)
3月27日
掃海隊群
第101掃海隊
呉基地
MSC-680
→ MCL-732
ながしま 日本鋼管
鶴見造船所
1995年
(平成7年)
4月14日
1996年
(平成8年)
5月30日
1996年
(平成8年)
12月25日
2018年
(平成30年)
3月27日

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞社 P248-249 ISBN 4-7509-1027-9
  2. ^ 井川宏「掃海艦艇の特質と種類 (掃海艦艇のメカニズム)」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 69-73頁。
  3. ^ 大平忠「機雷処分具 (現代の掃海艦艇を解剖する)」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 96-99頁。
  4. ^ 稲山克己「海上自衛隊の1,000トン型掃海艦 (掃海艦艇のメカニズム)」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 104-105頁。
  5. ^ a b 「海上自衛隊全艦艇史」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 1-261頁、 NAID 40006330308
  6. ^ a b c d e 廣郡洋祐「海上自衛隊 木造掃海艇建造史」、『世界の艦船』第725号、海人社、2010年6月、 155-161頁、 NAID 40017088939
  7. ^ 「3.水雷兵器 (海上自衛隊の艦載兵器1952-2010)」、『世界の艦船』第721号、海人社、2010年3月、 94-99頁、 NAID 40016963808
  8. ^ 黒川武彦「センサー (現代の掃海艦艇を解剖する)」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 88-91頁。
  9. ^ 岡部いさく「海上自衛隊の新型掃海/掃討システム (特集 新しい対機雷戦)」、『世界の艦船』第631号、海人社、2004年9月、 90-93頁、 NAID 40006349317
  10. ^ 梅垣宏史「掃海具 (現代の掃海艦艇を解剖する)」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 92-95頁。
  11. ^ 森恒英「図と写真で見る「はつしま」型掃海艇の明細」、『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 106-111頁。

外部リンク[編集]