マイ・ジェネレーション (アルバム)

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マイ・ジェネレーション
ザ・フースタジオ・アルバム
リリース 1965年12月3日
録音 1965年4月10月
ジャンル ロック
時間 36分13秒
レーベル ブランズウィック・レコード
プロデュース シェル・タルミー英語版
専門評論家によるレビュー
ザ・フー 年表
マイ・ジェネレーション
(1965年)
ア・クイック・ワン
(1966年)
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マイ・ジェネレーション(My Generation)は、1965年12月にリリースされたイギリスロック・バンドザ・フーのファースト・アルバム。発売元はブランズウィック・レコード。プロデューサーは、キンクスなどをてがけたシェル・タルミー

アメリカでは『The Who Sings My Generation』のタイトルで、収録曲を変えて1966年4月にリリースされた(発売元は米デッカ・レコード)。

ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・ベスト・アルバム500」と「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」に於いて、それぞれ237位[1]と94位[2]にランクイン。

解説[3][編集]

ザ・フー名義でのデビュー・シングル「アイ・キャント・エクスプレイン」を1965年1月にリリースしたバンドは、同年3月19日と4月12日~14日、IBCスタジオにて、デビュー・アルバムのレコーディングを行った。本来の予定では7月のリリースで、アセテート盤まで製作されたが、これが月刊誌「ビート・インストゥルメンタル」のレビューで酷評を受けたため一度棚上げし、同年10月13日から14日にかけて再レコーディングされ、さらに全英2位の大ヒットとなった3枚目のシングル「マイ・ジェネレーション」も収録し、12月3日にリリースされた。当時のバンド内では常に喧嘩が絶えず、レコーディングは非常にとげとげしい雰囲気の中で行われていたという[4]。実際に、同年9月にはロジャー・ダルトリーが他のメンバー3人と衝突し、あわや脱退というところまで来ていた[5]

全12曲中9曲がオリジナル曲であり、残る3曲はメジャー・デビュー前より彼らが演奏していたR&Bや初期モータウンのナンバーのカバーである。ザ・フーのオリジナル・アルバムの中では最もカバー曲の占める割合が高いが、ローリング・ストーンズやキンクスといった同年代のロック・バンドのデビュー・アルバムと比較すれば少ない方である。これは前述の「ビート・インストゥルメンタル」のレビューが、オリジナル曲が少ない事がマイナス評価された事が要因と見られる。本作は全英チャートの5位につけるヒットとなったが、メンバーからの自己評価は低く、ピート・タウンゼントにいたっては「あんなのは最悪だ、ゴミ同然だよ」と散々にけなしている[5]

1966年、バンドはプロデューサーのシェル・タルミーと印税の取り分をめぐって対立し、タルミーとの契約を破棄するが、タルミーは「自分のプロデュース作品は自分に著作権がある」と主張し、本作の版権とマスターテープを握っていた。1967年になるとブランズウィックが閉鎖し、本作は廃盤となってしまう[6]。以降、長きに渡り本作がザ・フーのカタログから姿を消す事になった。

アメリカではザ・フーとタルミーが決別した1966年4月になってからリリースされている。米国盤ではジャケットをビッグ・ベンを背景にした4人のメンバーを写した写真に差し替え、収録曲についても若干変更した。また、英国盤ではモノラル・ミックスのみでのリリースだったが、米国盤ではモノラルと擬似ステレオの2バージョンでリリースした[6]

日本でもテイチク・レコードから1966年にリリースしたが[7]、収録曲が英国、米国両盤とも異なっている[8]。またジャケットも独自のものとなっており、中央に立つ女性の右脇にメンバー4人の顔をはめ込んだデザインとなっているが、このジャケットは既存のものを使いまわしており、脇のアーティスト写真だけを挿げ替えた全く別のレコードも存在する[9]

リイシュー[6][10][編集]

本国イギリスでは、初回版の廃盤以降1980年に一度だけヴァージン・レコードから再発売されたものがあるだけで、以降はずっと廃盤状態が続いた。アメリカでは1974年に編集版アルバム『マジック・バス』とのカップリングで、2枚組LP盤をリリース、また1980年代にはCD化もされている。1995年より、ザ・フーの全カタログの整理・統括プロジェクトが始まり、これまでのアルバムが新たにリミックスされて続々再発売されたが、本作の再発売だけは実現せず、本格的な復刻は2002年まで待たなければならなかった。日本では初回版が廃盤になってから2002年まで、一度も再発売されなかった[7]

2002年、シェル・タルミーとの関係が改善し、版権に関する諸問題が解決した事から、ついに本作が復刻される事になった。2002年8月にリリースされたデラックス・エディションは、タルミーが保管していたオリジナル・マスターテープから新たにリマスタリングされ、また、今回初めてリアル・ステレオでのリミキシングが行われ、さらにオリジナル版には収録されなかったシングル曲や未発表曲・未発表バージョンが追加収録された。リミックスにはタルミー自身が立ち会っている。ジャケットも英国盤のものを再現し、またブックレットの表紙には米国盤のジャケットを再現した。なお、奇しくもこのデラックス・エディションがリリースされる3ヶ月ほど前にジョン・エントウィッスルが急逝しており、日本版のライナー・ノーツを担当した保科好宏がその事についてふれている。

2005年、UK初回版モノラル・ミックスがLP盤で再発、2008年にはモノラル・ミックスとステレオ・ミックスをカップリングしたボックス・セットが日本のみでリリースされた。2012年にはイギリス、ヨーロッパでもリリースされる[11]

収録曲[編集]

特記なき限り、ピート・タウンゼント作詞・作曲。

UKオリジナル版[編集]

  • A面
  1. アウト・イン・ザ・ストリート - Out in the Street
  2. アイ・ドント・マインド - I Don't Mind (James Brown)
  3. グッズ・ゴーン - The Good's Gone
  4. ラ・ラ・ラ・ライズ - La-La-La Lies
  5. マッチ・トゥー・マッチ - Much Too Much
  6. マイ・ジェネレーション - My Generation
  • B面
  1. キッズ・アー・オールライト - The Kids are Alright
  2. プリーズ・プリーズ・プリーズ - Please, Please, Please (James Brown/John Terry)
  3. イッツ・ノット・トゥルー - It's Not True
  4. アイム・ア・マン - I'm a Man (McDaniel)
  5. リーガル・マター - A Legal Matter
  6. ジ・オックス - The Ox (Townshend/Moon/Entwistle/Hopkins)

US版(The Who Sings My Generation)[編集]

  • A面
  1. アウト・イン・ザ・ストリート - Out in the Street
  2. アイ・ドント・マインド - I Don't Mind (James Brown)
  3. グッズ・ゴーン - The Good's Gone
  4. ラ・ラ・ラ・ライズ - La-La-La Lies
  5. マッチ・トゥー・マッチ - Much Too Much
  6. マイ・ジェネレーション - My Generation
  • B面
  1. キッズ・アー・オールライト - The Kids are Alright
  2. プリーズ・プリーズ・プリーズ - Please, Please, Please (James Brown/John Terry)
  3. イッツ・ノット・トゥルー - It's Not True
  4. ジ・オックス - The Ox (Townshend/Moon/Entwistle/Hopkins)
  5. リーガル・マター - A Legal Matter
  6. インスタント・パーティ - Instant Party

デラックス・エディション(2002年版)[編集]

☆は未発表、★はフランス以外では未発表。

  • ディスク1
  1. アウト・イン・ザ・ストリート - Out in the Street
  2. アイ・ドント・マインド - I Don't Mind (Brown)
  3. グッズ・ゴーン - The Good's Gone
  4. ラ・ラ・ラ・ライズ - La-La-La Lies
  5. マッチ・トゥー・マッチ - Much Too Much
  6. マイ・ジェネレーション - My Generation
  7. キッズ・アー・オールライト - The Kids are Alright
  8. プリーズ・プリーズ・プリーズ - Please, Please, Please (Brown/Terry)
  9. イッツ・ノット・トゥルー - It's Not True
  10. アイム・ア・マン - I'm a Man (McDaniel)
  11. リーガル・マター - A Legal Matter
  12. ジ・オックス - The Ox (Townshend/Moon/Entwistle/Hopkins)
  13. サークルズ - Circles
  14. アイ・キャント・エクスプレイン - I Can't Explain [12]
  15. ボールド・へッデド・ウーマン - Bald Headed Woman (Shel Talmy) [13]
  16. ダディ・ローリング・ストーン - Daddy Rolling Stone [14]
  • ディスク2
  1. リヴィング・ヒア(オルタネイト・ヴァージョン) - Leaving Her (alternate) (Holland-Dozier-Holland) ☆ [15]
  2. ルビー(カム・バック・ホーム) - Lubie (Come Back Home) (Paul Revere, Mark Lindsay) [15]
  3. シャウト・アンド・シミー - Shout and Shimmy (Brown) [16]
  4. ヒート・ウェイヴ - (Love Is Like A) Heat Wave (Holland-Dozier-Holland) [17]
  5. モータリング - Motoring (Ivy Jo Hunter/Phil Jones/William "Mickey" Stevenson) [18]
  6. エニタイム・ユー・ウォント・ミー - Anytime You Want Me (Garnet Mimms) [19]
  7. エニウェイ・エニハウ・エニホエア(オルタネイト・ヴァージョン) - Anyway, Anyhow, Anywhere (alternate)
  8. インスタント・パーティ・ミクスチャー - Instant Party Mixture
  9. アイ・ドント・マインド(フル・レングス・ヴァージョン) - I Don't Mind (full length version) (Brown) ☆
  10. グッズ・ゴーン(フル・レングス・ヴァージョン) - The Good's Gone (full length version)
  11. マイ・ジェネレーション(インストゥルメンタル・ヴァージョン) - My Generation (instrumental version)
  12. エニタイム・ユー・ウォント・ミー(アカペラ・ヴァージョン) - Anytime You Want Me (a cappella version) (Mimms) ☆
  13. リーガル・マター(モノ・ヴァージョン) - A Legal Matter (mono version with guitar overdub)
  14. マイ・ジェネレーション(モノ・ヴァージョン) - My Generation (mono version with guitar overdub)

収録曲について[編集]

  • US版の最終曲「インスタント・パーティ」は、正しくは「サークルズ」という曲だが、これには複雑な事情がある。「サークルズ」および「インスタント・パーティ」はタルミープロデュースの下で録音され、「マイ・ジェネレーション」に続く4枚目のシングルとして予定されていたが、すでにタルミーと決別していたザ・フーは、「恋のピンチ・ヒッター」をA面に、「サークルズ」をB面にしてリリースしようとした。これを受け、タルミーは著作権侵害を裁判所に訴え、「恋のピンチ・ヒッター」は発売差し止めとなってしまう[3]。ザ・フーはこれを見越して、B面を「インスタント・パーティ」(音源は「サークルズ」と同じ)としたバージョンもリリースしていたが無駄に終わった[20]。販売中止を受けて、ザ・フーはさらにタルミーを揶揄した「ワルツ・フォー・ザ・ピッグ」という曲をB面にしたバージョンもリリースしている[21]。このため、「恋のピンチ・ヒッター」には3つのシングル・バージョンが存在する事になる。その後、「恋のピンチ・ヒッター」の発売停止は解除されたものの[22]、これに対抗する形で、米デッカがシングル・カットしたのが皮肉にも「リーガル・マター」(法的な問題)で、そのB面に実際の「インスタント・パーティ」が収録された[3]。「インスタント・パーティ」はその後、どの編集アルバムにも収録されず、2002年のデラックス・エディションで「インスタント・パーティ・ミクスチャー」と改題されて初アルバム収録となった[7]
  • 米デッカが本作からカットしたシングルには、他に「キッズ・アー・オールライト/ジ・オックス」、「ラ・ラ・ラ・ライズ/グッズ・ゴーン」がある[23]。ちなみに日本では「キッズ・アー・オールライト」の邦題が「キッヅ・ア・オーライト」となっていた[24]
  • デラックス・エディションの「マイ・ジェネレーション」と「リーガル・マター」は、モノラル版ではオーバーダブされていたギターの音が失われている。これは、当時使用されたトラックレコーダーが3チャンネルしかなかったことに加え、製作時に音質劣化の原因となるテープ・リダクションを避けるため、ミキシング時にオーバーダブを行ったために起きたものだが、これは当時ステレオ・ミックスを全く想定せずに製作していた事を意味している[25]。この2曲については、特別にモノラル・バージョンも収録された。

参加ミュージシャン[編集]

ザ・フー

ゲスト・ミュージシャン

脚注[編集]

  1. ^ 500 Greatest Albums of All Time: The Who, 'The Who Sings My Generation' | Rolling Stone
  2. ^ The 100 Best Debut Albums of All Time: 'The Who Sings My Generation' | Rolling Stone
  3. ^ a b c 2002年版デラックス・エディション付属のアンディ・ニールによる解説より
  4. ^ シンコーミュージック刊『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』(アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、2008年)、74頁
  5. ^ a b 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』75頁
  6. ^ a b c レコード・コレクターズ増刊『ザ・フー アルティミット・ガイド』(2004年)62頁
  7. ^ a b c 2002年版デラックス・エディション(日本版)付属の保科好宏によるライナー・ノーツより
  8. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』91頁
  9. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』12頁
  10. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』63頁
  11. ^ Who, The - My Generation at Discogs:
  12. ^ ザ・フー名義での1stシングル
  13. ^ 「アイ・キャント・エクスプレイン」のB面曲
  14. ^ 2ndシングル「エニウェイ・エニハウ・エニホエア」(UK版)のB面曲
  15. ^ a b 初出は1984年の編集アルバム「Who's Missing」
  16. ^ 3rdシングル「マイ・ジェネレーション」(UK版)のB面曲
  17. ^ 2ndアルバム「クイック・ワン」収録。
  18. ^ 初出は1985年の編集アルバム「Two's Missing」
  19. ^ 2ndシングル「エニウェイ・エニハウ・エニホエア」(US版)のB面曲
  20. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』108頁
  21. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』102頁
  22. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』111頁
  23. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』125頁
  24. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』128頁
  25. ^ 『ザ・フー アルティミット・ガイド』64頁

外部リンク[編集]