アセテート盤

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アセテート盤(Acetate disc)は、(アナログ式の)円盤録音において、レコードの生産の前段階に使用された参照用のオーディオディスクである。

アセテート盤は、録音された音が最終的にどのようにレコードに移されるかを決定する際に重要である。例えば低音のボリュームを変更するなどして、マスターディスク(金型)を作るひとつ手前の段階で参照するために作られる。

また、安価で素早く、高音質で制作できるため、プロモーション用の盤として宣伝目的のためにも利用された。アセテート盤は、後に全盛となる塩化ビニール製のレコードよりも強度が弱く、湿度や経年変化により表面剥離などが起きやすい。また再生回数にも制限があった。後の主流となるビニール盤が登場するのは終戦後暫く経つ1950年代のことである。

アセテート盤は現在でも、DJやプロデューサー、コレクターのためにダブ・プレートとして制作されている。実際には、アセテート盤はニトロセルロースでコーティングされたアルミニウム盤であり、多くはアセテートを含んでいない。

テープレコーダーが戦後に普及するまでは、大掛かりな光学録音(映画のトーキー)や開発途上だった磁気録音と比べると(テープレコーダー#歴史)、日本では容易に使用できる唯一の音声記録媒体であり、二・二六事件での電話会話や終戦時の玉音放送など、有事の音源もアセテート盤での録音が残されている。