ドランクモンキー 酔拳
ドランクモンキー 酔拳 | |
---|---|
醉拳 Drunken Master | |
監督 | ユエン・ウーピン |
脚本 |
ウー・シーユエン 蕭龍 |
製作 | ウー・シーユエン |
製作総指揮 | ウー・シーユエン |
出演者 |
ジャッキー・チェン ユエン・シャオティエン |
音楽 | 周福良 |
撮影 | チャン・ハイ |
製作会社 | 思遠影業 |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 111分 |
製作国 |
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言語 | 広東語 |
興行収入 |
6,763,793香港ドル ![]() 1億9000万円 ![]() |
次作 | 酔拳2 |
『ドランクモンキー 酔拳』(ドランクモンキー "Drunk monkey" すいけん、中国語: 醉拳; 拼音: Zuì Quán; 粤拼: Zeoi3 Kyun4,英: Drunken Master,Drunk Monkey In The Tiger's Eyes)は1978年製作の香港の映画作品。思遠影業公司(シーゾナル・フィルム社)製作。1978年香港興行収入は第2位[※ 1]。
概要[編集]
1977年、ロー・ウェイの個人プロダクションに所属していたジャッキー・チェンが、新興のシーゾナル・フィルム社に2本契約でレンタル出向して製作されたうちの1本。先行の『スネーキーモンキー 蛇拳』の姉妹編という位置づけ。撮影時の初期タイトルは「蛇形刁手續集」、「蛇形刁手下集」で香港の広告媒体では「蛇形刁手第二集」となっている。
基本的な構成は主人公の成長譚であり、加えてコメディやいわゆるスポ根の要素が含まれており、内容は続編ではなく完全に独立した単体の作品となっている[※ 2]。
ジャッキー扮する主人公黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)は清朝末期に実在した洪家拳の達人。彼の若かりし日の物語という設定のフィクションである。内容は完全なオリジナルである。
『スネーキーモンキー 蛇拳』とほぼ同一のスタッフが起用され、キャスティングもユエン・シャオティエン扮する老師匠と、ホアン・チェンリー演じる仇敵の配置は同じである。『スネーキーモンキー 蛇拳』ではまだまだ顕著だったシリアスな内容を完全にコミカル調に砕き、往時の香港クンフー映画の十八番だった「仇討ち」から外れた、明るく楽しい活劇に仕上がっているのが特徴。
ストーリー[編集]
武芸百般、一八拳の一流拳士で、先祖代々から続く墓所の所有者であり、地元名士の黄麒英が運営する名門道場の子息、黄飛鴻は、カンフーの腕はそこそこの見栄っ張り、弱きを助ける正義感はあるが、道場門下の悪友と共に怠惰で毎日を自堕落に過ごすチンピラ崩れの若造。
師範代に逆らって父の怒りを買ってしまった飛鴻は虫の好かない相手と往来で喧嘩をして憂さ晴らしを行っていた当日、久々に黄家に来訪した黄麒英の実妹(と娘)が、たまたまその場に居合わせた飛鴻の通りでの乱行を兄と甥の目の前で暴露。顔に泥を塗られ、息子の放蕩ぶりに手を焼いた父は、酔拳の名手“蘇化子”[※ 3]に彼の奥義を伝授してもらうよう息子を託す。親友らの風聞で蘇に弟子として預けられたら最期、不具者にされると戦慄して逐電する。あてなく飛び出したため空腹になった飛鴻は、無銭飲食目的で入店した食堂で騒動を起こし、その場に居たみすぼらしい老人と共闘して乱闘騒ぎを起こし、店から逃げた先で一段落して安堵した飛鴻はこれから自分の身に起きるであろう不幸を老人に明かすも、その老人が「自分がその蘇」と身分を明かす。蘇に抵抗するものの軽くあしらった蘇は飛鴻を捕縛し懲らしめ観念させる。飛鴻は指導を超えた蘇の厳しい特訓に早々に音を上げ、事故を装い蘇の元から脱走。這々の体で軒先に休んでいたところ“殺し屋 閻鉄心”[※ 4]に一方的に叩きのめされ己の未熟さを思い知った黄飛鴻は、体裁が悪いまま蘇の元に戻り修行に励む。
やがて機は熟し、イカサマ賭博を開帳する不逞の輩を喧嘩で伸すが、飛鴻の粗相が原因で蘇が手酷い敗走を蒙り、連戦連勝だった経歴に傷が付き立腹。辛い特訓の日々に不平を漏らした飛鴻に蘇は呆れ返り、蘇が体得している門外不出の奥義【酔八仙】を飛鴻に伝授。「酔っぱらいの拳法」と腐していた飛鴻であったが、特訓の甲斐もあって腕も上達し、技も会得。格段に成長した飛鴻に買い物を頼んだ後、蘇は行方も告げぬまま再び流浪の旅へと出立する。
時を同じくして、父麒英はライバルの道場主と土地買収を巡るトラブルになっており、土地売買に耳を貸さぬ麒英を恨んだ道場主が、商売の邪魔になる麒英を消すべく閻鉄心に暗殺を依頼する。
鉄心の策でおびき出されてしまった麒英、暗殺を生業とする閻鉄心の拳法から繰り出される巧みな足技の前に従来の拳法は歯が立たず窮地に陥るも、間一髪のところで飛鴻が到着し、鉄心と因縁の対決が始まろうとするが、そこへ蘇が飛鴻との別れ前の約束通り、上等の酒を持って対決の場に現れた。
飛鴻は、蘇の持ってきた「三鞭酒」で最高のパワーを発揮し鉄心の拳法に肉薄するも、飛鴻は常日頃からの怠け癖で酔八仙の形の一つ「何仙姑」をちゃんと履修しておらず手詰まりとなり、鉄心は酔拳に対抗できる「鬼魅無影手[※ 5]」を駆使した戦法に変え、形勢逆転に陥る。更には酔拳の動きまで知悉されているため通用しなくなってしまう。鬼魅無影手の連打を浴びて追い込まれた飛鴻は師の提案から一計を案じ、鉄心も知らない自分だけの「何仙姑」を即興で編み出し、鬼魅無影手を打ち破り勝利した。満面の笑みで満身創痍の飛鴻に駆け寄る蘇と麒英のカットで「劇終」となる。
キャスト[編集]
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
---|---|---|---|
フジテレビ版 | テレビ東京版 | ||
黄飛鴻[※ 6] | ジャッキー・チェン(成龍) | 石丸博也 | |
蘇化子[※ 7] | ユエン・シャオティエン(袁小田) | 小松方正 | 青野武 |
閣鉄心[※ 8] | ウォン・チェン・リー(黄正利) | 津嘉山正種 | 磯部勉 |
師範代[※ 9] | ディーン・セキ(石天) | 清川元夢 | 水島裕 |
黄麒英[※ 10] | ラム・カウ(林蛟) | 島宇志夫 | 池田勝 |
若先生[※ 11] | ワン・チェン(王将) | 納谷六朗 | 中田和宏 |
棒術の王(ワン)[※ 12] | チョイ・ハー(徐蝦) | 仲木隆司 | 谷口節 |
飛鴻の叔母 | リンダ・リン・イン(林瑛) | 市川千恵子 | 弥永和子 |
チャン・コーワイ | ユエン・シェンイー(袁信義) | 牛山茂 | |
李 | フォン・ギンマン(憑敬文) | 杉田俊也 | 青森伸 |
頭突きのタイガー[※ 13] | サン・クワイ(山怪) | 加藤正之 | 長島雄一 |
食堂の店主 | ウォン・ハン・チェン | 石森達幸 | 宝亀克寿 |
食堂の店主の息子 | Tieh-Cheng Lin | 若本規夫 | 中村大樹 |
ゴリラ | チュン・フア・リー | たてかべ和也 | 茶風林 |
監督のユエン・ウーピンが、鳥籠を持ちながらゴロ巻いている他道場のドラ息子に殴られる物売り役でカメオ出演している。
スタッフ[編集]
- 製作:ウー・スーユエン(呉思遠)
- 監督:ユエン・ウーピン(袁和平)
- 脚本:ウー・スーユエン(呉思遠)、蕭龍、奚華安
- 武術指導:スー・シア(徐蝦)、ユエン・ウーピン(袁和平)
- 武術副指導:ユン・ケイ(元奎)、ユエン・シュンイー(袁信義)、ユエン・ジャンヤン(袁振洋)
日本語吹き替え版スタッフ[編集]
役職 | スタッフ | |
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フジテレビ版 | テレビ東京版 | |
演出 | 春日正伸 | 高橋剛 |
翻訳 | 山田実 | 徐賀世子 フェルヴァント |
調整 | 金谷和美 | 長井利親 |
効果 | 赤塚不二夫 | リレーション |
担当 | 柴川謙一 | |
監修 | 辻真先 | |
プロデューサー | 久保一郎 渡邊一仁 寺原洋平 | |
配給 | ブロードメディア・スタジオ | |
制作 | コスモプロモーション | テレビ東京 ブロードメディア・スタジオ |
初回放送 | 1981年1月16日 『ゴールデン洋画劇場』[※ 14] |
2005年3月10日 『木曜洋画劇場』[※ 15] |
- フジテレビ版:CM込みの2時間枠に編集してストーリーの辻褄を合わせるため、俳優の台詞を独自に作り替えて制作されている。
音楽[編集]
劇中内で他作品から流用されている音楽一覧。※順不同
曲名 | アーティスト | オリジナルサウンドトラック | 制作年 |
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将軍令[1] | Unknown | 鸡公仔 (The Little Red Rooster)
Label: 21st Century Record Ltd (21世纪唱片公司) – TFLP202 |
197x |
O Coração Do Rei (The King's Heart) | Sérgio Mendes | From Pelé (Original Motion Picture Soundtrack) | 1977 |
The Delivery | Jerry Fielding | ガントレット/The Gauntlet (Original Soundtrack) | 1977 |
Torching The Tent | Bill Conti | フィスト/F.I.S.T. (Original Motion Picture Soundtrack) | 1978 |
The Pyramids | Marvin Hamlisch | 007/私を愛したスパイ/The Spy Who Loved Me (Original Motion Picture Score) | 1977 |
Flanders Field、Flanders Field (Reprise) | Rod McKuen | ミス・ブロディの青春/The Prime Of Miss Jean Brodie: Original Motion Picture Soundtrack | 1969 |
Lloyd's Room | |||
Outside With The Brodie | |||
L'isola Maledetta | Riz Ortolani & Nino Oliviero | 世界残酷物語/Mondo Cane (Original Motion Picture Soundtrack) | 1962 |
River Ride | John Barry | Four In The Morning | 1965 |
Western Generique (Orchestra) | Francis Lai | あの愛をふたたび/Un Tipo Che Mi Piace (Original Soundtrack) | 1970 |
Hotel Sleez / Lord Of The Winos | John Morris | メル・ブルックスのサイレント・ムービー/Silent Movie (Original Motion Picture Score) | 1976 |
Marcel Marceau | |||
Coat Routine & Engulf And Devour Mens Room | |||
A Darkness At Collinwood | The Robert Cobert Orchestra | The Original Music From ABC-TV's Dark Shadows | 1969 |
The Swinging Greek | Johnny Harris | ストライカー/愛と栄光のフィールド/Bloomfield - Original Motion Picture Soundtrack | 1971 |
制作[編集]
台湾での蛇拳は300万香港ドル近くを集める大ヒットなった。台湾での配給権を買った会社の人らとの祝賀パーティーに参加した呉思遠はお酒を飲みながら踊る台湾人の姿を微笑ましく見ていたときに「酔っ払いとカンフーをミックスできないか」と思いつき、一緒にいた監督の袁和平に相談したところ、このアイディアにくらいついた。
酔拳制作のため再度羅維にジャッキーのレンタルを打診したところ交渉は難航した。羅維の映画製作会社が傾きかけていた状態のなかで大ヒット作を放った自社の専属俳優を貸し出すはずがない。羅維との関係が良好だった袁和平に交渉を協力してもらったものの一向に首を縦にふらない羅維にしびれを切らした呉思遠はジャッキーと共にアポなしで彼の家を訪ねた。その場であらゆる好条件を提示したにもかかわらずOKを出さない羅維に、夜一緒に外食に誘うことにする。その場でダメなら諦める決心だったという。 夜の外食の際に一緒に連れてきたのは「蛇拳」の台湾での配給権を購入したディーラー「林栄峰」で、彼が羅維にある条件を提示した。羅維の会社で制作した他作品の台湾での配給権を買い取るので、ジャッキーのレンタルにOKをだしてほしいと。買い取り手のない作品をいくつも抱えていた羅維にとってはとても好都合で、かつ台湾は最重要市場のため、台湾の映画配給関係者らを敵に回すことはできなかったため、貸出しに合意した。羅維からの条件は自社の作品を優先的に制作することだった。
「酔拳」の撮影は『拳精』の撮影中に始まり、その後『龍拳』、『鬼手十八翻』(撮影中止)とも同時に行われていた。1978年9月23日に台湾で先行公開、その後1978年10月5日に香港で公開。香港と台湾で700万香港ドルを超える興行収入を記録し、東南アジアでも大ヒット、韓国では現地での興行記録を塗り替えた。 南米でも大ヒットとなり、コロンビアでは『007ジェームズ・ボンド』よりも売れたという。
後の酔拳の海外でのプロモーションでは、ずっとジャッキーにつきまという人らがいた。のちに電撃移籍するゴールデンハーベスト社の人たちであった。[2]
作品解説[編集]
無銭飲食メニュー[編集]
燒鵝腿“左足”(鶏のモモ/鴨腿焼き左脚)、油鸡兼鹵味(焼き豚/鶏の煮込み)、蒸條老鼠斑(魚の丸揚げ/蒸しサラサハタ)、翡翠蝦球窩麵(エビそば/車海老のヒスイそば)、油爆鮮魷(アワビのシチュー/イカ炒め)、半片孖蒸(酒/酒2合)
日本語吹き替えでは魚の丸揚げとアワビを頼んでいることになっているが、実際には丸揚げではなく蒸しハタ、アワビではなくイカ炒めをオーダーしている[3]
削除シーン[編集]
本作のポスター等で使用されている、ジャッキーが酒瓶と杯を持って演舞するスチルのシーンは、撮影はされたが本編から削除されている。このシーンは、スーが酔八仙の「形」の号令をかけ、それに合わせてフェイフォンが酒瓶を持って演舞するというもの。本編で見られる酔八仙の形の演舞とは完全に違う内容だった。 この削除シーンについては、2006年9月現在、ジェネオン・エンタテインメントから発売されているDVD『死闘伝説 ベスト・オブ・アクション』などに収録されている。
本削除シーンは1979年の酔拳リバイバル上映時に酔八仙の型入門編として本編と同時上映されているらしい。当時のリバイバル時の新聞広告には”同場映 醉八仙形見歩法入門由成龍親自示範”と記載されている。
また、上記とは別の本編に存在しない訓練シーンのスチール写真が存在する。ユエン・シャオティエンが茣蓙をしいて寝そべり、ジャッキーが手足を紐で工具(または農具)に縛りつけられ苦しんでいる状態のもの。[4]
映画評論家のリックメイヤーズはオープニングシーケンスの鉄心vs袁信義とのファイトシーンはもっと長かったとの述べているが、他の評論家からは「蛇拳」の冒頭シーケンスと混同しているとも言われている。
日本公開[編集]
経緯[編集]
当時洋画宣伝部所属だった野村正昭いわく、東映本社営業部だった鈴木常承が東映教育映像の社員に『香港で酔っ払ったら強くなるという映画が当たってる』という話を聞きつけ、香港の東映営業所経由で新興の思遠影業公司(シーゾナル・フィルム社)の呉思遠にコンタクトをとり、すぐに香港に出向き作品を観ずに25万HKドル(約1億円)で即契約。同時期、東宝東和もエージェント経由で契約手続きを進めていたが東映に遅れを取った。1978年12月13日の香港新聞「工商日報」には日本が買い付けした記事が掲載されている。東映は洋画は1本立て、邦画は2本立てが常で「酔拳」の買い付けは東映洋画部が行ったものの、邦画系の2本立てで公開することになった。併映のため、興行上1時間50分は長すぎるとのことで、東映本社営業部の判断で冒頭の鉄心vs袁信義のシーンはカットされて公開された。試写会版、初回ロードショー版でも同様にカットされているかどうかは不明。
広告・宣伝[編集]
宣伝費用として1億4千万が投入された。当時のジャッキーは日本ではまったく無名だったため、写真宣材がロクになく、粒子の荒いスチール写真を使うよりイラストで行こうと考えた東映宣伝部。「ドランク・モンキー」というタイトルにかけて『ルパン三世』の作者であるモンキー・パンチに依頼。モンキー・パンチは試写を観て作品を気に入り快諾した。名前は「ジャッキー・チェン」がいいか「成龍」がいいかで悩み、響きのいい「ジャッキー・チェン」で売り出すことに決定。宣伝用の惹句(キャッチコピー)は
「むかしドラゴン、いまドランク! 酔えば酔うほど強くなる、世にも不思議な酔八拳」
惹句は関根忠郎によるもの(2本立て用チラシ、新聞広告も担当)。
試写[編集]
1979年7月17日、新橋ヤクルトホールにて18:00開場、18:30上映開催。
※映画雑誌の本作の試写会応募(ペア100組200名)記事では1979年7月11日(水)18:30とある。
特別先行ロードショー公開[編集]
東映と同じ東急グループの東急レクリエーション「新宿東急」、「渋谷東急レックス」、「丸の内東映パラス」の3館の番組編成に空きができたことで、本来は8月4日から公開予定だった本作を急遽1979年7月21日より1979年8月3日まで洋画系にて単独先行ロードショー公開。
各館とも「11:20/13:20/15:20/17:20/19:20」のスケジュールで連日上映。初日企画として先着400名にモンキー・パンチ作のハンカチ、キーホルダー、ステッカー、特製下敷きのいずれかをプレゼント、また特別鑑賞券を劇場窓口にて購入した場合は「豪華オリジナル・イラスト・ポスター(モンキー・パンチ作)」がプレゼントされた。週末のオールナイト上映(新宿東急は毎土曜、丸の内東映パラスは初日21日(土)のみ)も含め多くの観客を集めた。
全国公開[編集]
1979年8月4日から全国東映邦画系の『トラック野郎・熱風5000キロ』と併映上映。東映洋画部が買い付けた作品との併映は「ジャッキーが東洋人だからトラック野郎と並べて貼っても違和感がない」程度の認識で決定した。
公開バージョン[編集]
80年代初頭、11月21日~30日、長野県伊那旭座での「ジャッキーチェン大会」(酔拳、蛇拳、笑拳)の当時の割引券の劇場時間割によると酔拳の上映時間が「11:00~12:40」であることから、1時間40分(100分)であったことがわかる。[5]
日本公開に際し、配給元となった東映は、日本オリジナルの主題歌「拳法混乱(カンフージョン) 唄:四人囃子」、オリジナルBGMを製作して本編に挿入している。冒頭のクレジットシーンは、香港公開版の仇役の鉄心が標的の武芸者を襲うシーンではなく、ジャッキー扮するフェイフォンの演舞場面に変更された。TV初放送となったフジテレビがこの公開バージョンを使用しており、現在でもごく稀に再放送されることもある[※ 16]。2005年にテレビ東京で放映された際には、20年振りに新アフレコを実施。元になったバージョンは香港公開版で、上記の冒頭クレジットシーン、及び音源共に日本公開版とは異なる。その放映バージョンの吹き替えはカット部分を追加収録の上DVD化、以降主にTV放映されている。公開プリントでのソフトウエア化は未だに実現していない。(2023年現在)
TV放送[編集]
- 1981年1月16日(金) ゴールデン洋画劇場にて初放映。(日本語/広東語 2か国語音声)前週は『ゲッタウェイ』、翌週は『翔べイカロスの翼』を放映。[6]
- 1982年10月23日(土) ゴールデン洋画劇場にて放映。前週は『レイズ・ザ・タイタニック』、翌週は『プライベイトレッスン』を放映。
- 1983年8月1日(月) 月曜ロードショーにて放映。前週は『ブルージーンズメモリー』、翌週は『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』を放映。
- 1984年12月26日(水) 水曜ロードショーにて放映。前週は『激突!』、翌週は『刑事物語2 りんごの詩』を放映。
- 1989年6月9日(金) 金曜ロードショーにて放映。前週は『バタリアン2』、翌週は『天山回廊ザ・シルクロード』を放映。
再放送では初回放送版にくらべ1分程度、以下のシーンがカットされている。
- 食堂シーン
- 食堂から逃げ出した後蘇化子に捕まるシーン
- 土地を売るようにヒコウ父が迫られるシーン
ジャッキーチェン大会[編集]
1981年10月24日(土)より東映系にて「酔拳」、「蛇拳」、「笑拳」の3本リバイバル上映。
ロケ地[編集]
- 七聖古廟(香港)
- 盧廉若公園(マカオ)
- 鄧松嶺祠堂(香港)
続編[編集]
南北酔拳
ジャッキー以外同じキャスト、スタッフで翌年に『南北酔拳』を制作している。蘇我爺の息子が主演で演じているのは監督の兄弟で、『酔拳』の冒頭でイム・ティッサムに殺される役を演じている。蘇我爺の嫁には本作ではウォン・ケンインの妹役の女優。北派酔拳の達人には本作ではイム・ティッサム役のウォン・チュンリー、その弟子にコリー・ユエン、師匠役には『笑拳』の鉄の爪で有名なヤム・サイクン。内容は本作の後、自宅に帰ったが、佛山に北派酔拳の達人が挑みに来る。返り打ちにするはずが親子揃って敗れてしまい、屈辱に燃える息子がとある病弱な達人に弟子入りをし、リベンジするくだりである。テレビ東京でもオンエアされている。興行収入も翌年の10位に上がっている。
酔拳II
本作製作16年後の1994年、ジャッキーは香港映画の大御所ラウ・カーリョンを監督に招聘して(ただし、途中で降板)、続編である『酔拳2』を製作している。なお、内容や時代設定は本作とは大きく離れ、「2」を名乗っているがほぼ単体の作品となっている。
DVD[編集]
- 【KSS版】(廃盤)
- 時間:112分
- サイズ:4:3(スタンダード)
- 字幕:日本語字幕スーパー
- 音声:オリジナル音声(広東語)
- モノラル(ドルビーデジタル)
- 【ソニーピクチャーズ版】
- 時間:111分
- サイズ:2.35:1(アナモフィック)
- 字幕:日本語字幕スーパー、英語字幕スーパー
- 音声:オリジナル音声(広東語)※一部広東語欠落部分は英語音声、英語吹き替え音声
- モノラル(ドルビーデジタル)
- 【ソニーピクチャーズ 日本語吹替収録版】
- 時間:111分
- サイズ:2.35:1(アナモフィック)
- 字幕:日本語字幕スーパー、英語字幕スーパー
- 音声:広東語モノラル)※一部広東語欠落部分は英語音声、北京語モノラル、英語モノラル、日本語モノラル
特記[編集]
・撮影時、右瞼の怪我で病院に運ばれた際にジャッキーはひたすら「注射だけは打たないでくれ」と叫んでいたらしい。
・蘇化子は日本での役名で、原語では蘇乞兒[7](別名:蘇燦)である。洪家拳の黄麒英や鐵線拳の梁坤らとともに、酔拳の達人として、清朝末期の廣東十虎の一人に数えられているが、実在の人物とは言い難く、民間伝承の伝説の人物の域は出ないとされている[8]。
・香港映画『少林寺vs忍者』の撮影現場を訪問した袁和平は、本作の監督であり、蘇師父役で客演もしている劉家良の酔拳を目の当たりにする。現場を後にした袁和平は早速、酔拳を題材にした企画を考え、本作より早く製作して公開したのが『ドランクモンキー 酔拳』だった。[9]
・撮影中、現場近くでは日本ドラマ『Gメン75』の “香港カラテシリーズ” の撮影が進められており、草野刑事こと主演の倉田保昭は、新人の成龍と監督の袁和平に会うために撮影現場を出入りしていたらしい。[10]
・成龍は、劇中のアクションを全て自分で行なっているわけではなく、一部の吹替は副武術指導の袁振洋が担当している。彼は成龍に劇中での酔拳の動きを指導した人物でもある。[11]
注釈[編集]
- ^ 1位は『Mr.Boo!インベーダー作戦』。
- ^ 当初は「続編」として企画されていた。当時、他社で続編らしき作品が多発したため。そこで、オリジナルの企画として本作が制作された。その結果、またも二番煎じが横行する結果となった。
- ^ スー・フアチー、または“赤鼻のソウ”。
- ^ イェン・ティエシン、またはイム・ティッサム。
- ^ 日本語訳では「無影拳」。
- ^ ソニー版・テレビ東京版:ウォン・フェイフォン、フジテレビ版:コウ・ヒコウ
- ^ ソニー版:ソウ・ハッイー、フジテレビ版:ソ・カシ、テレビ東京版:ソウ
- ^ ソニー版:イン・ティッサム、フジテレビ版:テッシン、テレビ東京版:イム・ティッサム
- ^ ソニー版:ゴイチョイ、フジテレビ版:師範代、テレビ東京版:コイシン
- ^ ソニー版・テレビ東京版:ウォン・ケイイン、フジテレビ版:コウ・キエイ
- ^ ソニー版:若先生、フジテレビ版:不明、テレビ東京版:大将
- ^ ソニー版:チョイ・ギッティン、フジテレビ版:棒術のワン、テレビ東京版:棒使いのチョイ
- ^ ソニー版:鉄頭のラオ・シュウ、フジテレビ版:頭突きのタイガー、テレビ東京版:石頭のチュウ
- ^ Blu-ray(『ドランクモンキー 酔拳』 『スネーキーモンキー 蛇拳』製作35周年記念 HDデジタル・リマスター版 ブルーレイBOX)に特典ディスクとして収録
- ^ DVD収録
- ^ ただし、東映の三角マークはカットされているのでOPは前奏無しの「拳法混乱」が流れる。
出典[編集]
- ^ (日本語) 1970年代 中国民间音乐 - 「鸡公仔 (The Little Red Rooster)」专辑(9首) 2023年1月8日閲覧。
- ^ “从《蛇形刁手》到《醉拳》,成龙爆红背后的故事” (中国語). twgreatdaily.com (2019年12月28日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ 『ジャッキー・チェン DVDコレクション2号』デアゴスティーニ、4.15、5頁。
- ^ “Drunken Master UK Blu-ray Announced - Page 3 - Blu-ray Forum”. forum.blu-ray.com. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/a_kata/status/899168406355681280”. Twitter. 2023年1月21日閲覧。
- ^ “ゴールデン洋画劇場の『ドランクモンキー 酔拳』”. シュリぼんのblog. 2023年1月21日閲覧。
- ^ “醉拳 (1978)”. 香港影庫. 2014年9月18日閲覧。
- ^ “苏灿(民间传说中的两广拳师)”. 百度百科. 2014年9月18日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/sp8r7wkinvitc2h/status/1480671153010405378”. Twitter. 2023年1月20日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/sp8r7wkinvitc2h/status/1475791862514724870”. Twitter. 2023年1月20日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/sp8r7wkinvitc2h/status/1476711676267614211”. Twitter. 2023年1月20日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- ドランクモンキー 酔拳 - allcinema
- ドランクモンキー 酔拳 - KINENOTE
- Zuì Quán - オールムービー(英語)
- Zuì Quán - IMDb(英語)