ドラマ (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドラマ
イエススタジオ・アルバム
リリース
録音 1980年
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル アトランティック・レコード
プロデュース イエス
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 2位(イギリス)[1]
  • 18位(アメリカ)[2]
  • 78位(日本)[3]
  • イエス アルバム 年表
    トーマト
    (1978)
    ドラマ
    (1980)
    ロンリー・ハート
    (1983)
    イエスショウズ
    (1980)
    ミュージックビデオ
    「Into The Lens」 - YouTube
    「Tempus Fugit」 - YouTube
    テンプレートを表示

    ドラマ』(Drama)は、イギリスプログレッシブ・ロックバンドイエスが1980年に発表したアルバム。新作のスタジオ・アルバムとしては通算10作目で、ライブ・アルバムと編集アルバムを含めると通算12作目にあたる。20世紀に発表されたイエス名義のアルバムの中で、ジョン・アンダーソンがボーカルを担当していない唯一の作品である。

    解説[編集]

    イエスは1978年に発表された前作『トーマト』の制作段階から、音楽もメンバーの関係も不調に陥り、1979年12月にアンダーソンとリック・ウェイクマンが脱退した[4]。残されたクリス・スクワイアアラン・ホワイトスティーヴ・ハウは、マネージャーのブライアン・レーンがマネージしていたバグルストレヴァー・ホーンジェフ・ダウンズを迎えて[注釈 1][5]、本作を制作して1980年8月に発表した。

    彼らは引き続いてツアーを行なったが、アンダーソンの脱退で生まれた穴をホーンが埋めるのは困難であった[6]。結局、彼らは1981年に活動を停止してホーンとダウンズはバグルスの活動を再開した[7]ので、本作はこの5人が制作した唯一のアルバムとなった。

    ホーンは翌1981年に、本作に収録された「レンズの中へ」を改作した「アイ・アム・ア・カメラ」をバグルス名義で発表し、1982年に発表したアルバム『モダン・レコーディングの冒険』に収録した。また、スクワイアとホワイトは1983年に活動を再開したイエス[注釈 2]のライブで、本作の「光陰矢の如し」をフィーチャーした「ホワイトフィッシュ」というソロを演奏した。

    本作の収録曲の候補だったハウ作の「ゴー・スルー・ディス」とダウンズとホーンが共作した「ウィー・キャン・フライ・フロム・ヒア」の二曲は制作の段階でお蔵入りとなり本作には収録されなかったが、本作発表後のツアーでは披露された[注釈 3]。また「ウィー・キャン・フライ・フロム・ヒア」は、スクワイア、ホワイト、ハウ、ダウンズ、ベノワ・ディヴィッドからなるイエスがホーンをプロデューサーに迎えて2011年に発表したアルバム『フライ・フロム・ヒア』で、20分を超える大作のタイトル曲となって発表された。

    収録曲[編集]

    全作詞・作曲: Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.「マシーン・メシア
    "Machine Messiah"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    2.「白い車
    "White Car"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    3.「夢の出来事
    "Does It Really Happen?"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    4.「レンズの中へ
    "Into The Lens"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    5.「光を越えて
    "Run Through The Light"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    6.「光陰矢の如し
    "Tempus Fugit"」
    Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan WhiteGeoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White
    合計時間:

    リマスター盤[編集]

    2004年にCDのリマスター盤が発売された。音質の向上が図られている他、以下のボーナス・トラックが追加収録されている。

    #タイトル作詞作曲・編曲備考時間
    7.「レンズの中へ(アイ・アム・ア・カメラ)(シングル・ヴァージョン)
    "Into The Lens (I Am A Camera)" (Single Version)
       
    8.「光を越えて(シングル・ヴァージョン)
    "Run Through The Light" (Single Version)
       
    9.「ゴー・スルー・ディス
    Have We Really Got To Go Through This」
      当時のライブでのみ披露された楽曲のデモで、クリス、スティーヴ、アランの3人による演奏。
    10.「ソング・No.4
    "Song No.4 (Satellite)"」
       
    11.「光陰矢の如し(トラッキング・セッション)
    "Tempus Fugit" (Tracking Session)
       
    12.「白い車(トラッキング・セッション)
    "White Car" (Tracking Session)
       
    13.「ダンシング・スルー・ザ・ライト
    "Dancing Through The Light"」
      1979年にジョン・アンダーソン、スティーヴ・ハウ、クリス・スクワイア、リック・ウェイクマン、アラン・ホワイトの黄金期メンバーで演奏されたパリス・セッションの音源。当楽曲は「光を越えて」の原型となった[8]
    14.「ゴールデン・エイジ
    "Golden Age"」
      同じくパリス・セッションの音源。
    15.「イン・ザ・タワー
    "In The Tower"」
      同じくパリス・セッションの音源。
    16.「フレンド・オブ・ア・フレンド
    "Friend Of A Friend"」
      同じくパリス・セッションの音源。

    レコーディング・メンバー[編集]

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ ChartArchive - Yes
    2. ^ Drama - Yes : Awards : AllMusic
    3. ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.73
    4. ^ Morse (1966), pp. 65–66.
    5. ^ Morse (1996), pp. 66–70.
    6. ^ Morse (1996), pp. 69–70.
    7. ^ Morse (1996), p. 73.
    8. ^ 国内リマスター盤オフィシャル・ブックレットより。

    注釈[編集]

    1. ^ スクワイアは、自分がダウンズとホーンをメンバーに迎えるという考えを思いついた、と述べた。
    2. ^ イエスはアンダーソン、スクワイア、ホワイト、トレヴァー・ラビントニー・ケイの顔ぶれで活動を再開して、ホーンをプロデューサーに迎えて『ロンリー・ハート』を発表した。
    3. ^ 2005年に発表された編集ライブ・アルバム『ライヴ・イヤーズ』に、1980年9月にマジソン・スクウェア・ガーデンで開かれたニューヨーク公演からの音源が収録された。

    参考文献[編集]

    • Morse, Tim (1996), Yesstories: Yes in Their Own Words, St. Martin's Press, ISBN 0-312-14453-9