イエス/ライブ 1975

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イエス/ライブ 1975Yes: Live - 1975 at Q.P.R.)は、イギリスプログレッシブ・ロック・バンドであるイエスの1975年のライブ映像を収録したビデオ・ソフトである。

概要[編集]

イエスは1974年にアルバム『リレイヤー』を発表し、翌1975年4月15日からイギリス・ツアーを催行した。本作は、そのツアーの一環[1]として5月10日イングランドのクイーンズ・パーク・レンジャーズ[注釈 1]で約25000人[1]の観客を集めて開催されたライブ・コンサートの模様を収録した。映像はカラー。音声はモノラル。

メンバーは『リレイヤー』を制作したジョン・アンダーソンクリス・スクワイアスティーブ・ハウアラン・ホワイトパトリック・モラーツである。1曲目[注釈 2]に「サウンド・チェイサー」が演奏されるのを初め、「トゥ・ビー・オーヴァー」「錯乱の扉」と『リレイヤー』の収録曲が全て披露されている。本作はモラーツが在籍しているイエスのライブ演奏を捉えた唯一の公式映像である[注釈 3]

収録時の機材のトラブルの為に、前半の音声のバランスが極めて悪い。この為、本作の一般発売計画はしばらく中止になっていた。

収録時間は約150分。日本では1993年レーザーディスク(2枚組)/ビデオテープで株式会社ビデオアーツジャパンからリリース。その後2枚のディスクをVol.1/Vol.2に分割したバージョンがリリースされ、さらに1998年コロムビアミュージックエンタテインメントから分割バージョンのDVD盤がリリースされている。

収録曲[編集]

ディスク1
サイド1

1. イントロダクション(火の鳥より)~サウンド・チェイサー (9:57)
2. 危機 (19:22)

i 着実な変革
ii 全体保持(トータル・マス・リテイン)
iii 盛衰
iv 人の四季

3. トゥ・ビー・オーヴァー (9:26)

サイド2

4. 錯乱の扉 (22:06)
5. アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル~ムード・フォー・ア・デイ (4:55)
6. 遥かなる想い出[注釈 4] (5:10)
7. クラップ (3:08)

ディスク2
サイド1

1. 同志 (9:30)

i 人生の絆
ii 失墜
iii 牧師と教師
iv 黙示

2. 儀式 (24:30)

サイド2

3. ラウンドアバウト (7:57)
4. スウィート・ドリームス (5:48)
5. ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス (12:15)

備考

ディスク/サイドの類別、演奏時間は2枚組レーザーディスクのもの。

エピソード[編集]

  • モラーツがかなりのミスタッチをしているのがわかる。彼が「ライヴでの状況判断が鈍い」と評価されるのは、本作の影響が大きいといわれている。但し、彼がライヴでミスを連発するのは他の公演を収録したブートレッグでも時折聞かれる。
  • 「遥かなる想い出」「クラップ」「同志」「儀式」「スウィート・ドリームス」が、1976年6月20日にNHK総合テレビジョンの洋楽番組『ヤング・ミュージック・ショー』で放映された[注釈 5][2][3]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 本作国内盤LDのライナーノーツより。
  2. ^ nhk.or.jp”. 2023年11月4日閲覧。
  3. ^ 城山 (2005), pp. 366–371.

注釈[編集]

  1. ^ 同名のサッカークラブの競技場。クイーンズ・パーク・レンジャーズFC(Queens Park Rangers F.C.)を参照。
  2. ^ イントロダクションとしてテープで再生されたストラヴィンスキー作曲『火の鳥』を1曲目とした場合には2曲目になる。
  3. ^ 公式音声としては『イエスショウズ』がある。
  4. ^ アンダーソン、スクワイア、ハウがアコースティック・ギターを弾きながら唄う。その後、モラーツのピアノ独奏となり、彼はイエスに加入する前に在籍していたレフュジーで発表した「パピヨン」を含むソロを披露する。
  5. ^ 番組は「ムード・フォー・ア・デイ」の最後の部分から始まった。テロップによる曲名紹介で、「クラップ」は「ラム」と記されていた。

参考文献[編集]

  • 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年。ISBN 978-4795843622