スピルリナ

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スピルリナ
Spirul3.jpg
Spirulina sp.
分類
ドメ
イン
: 真正細菌 Bacteria
: 藍色細菌門 Cyanobacteria
: ユレモ目 Oscillatoriales
: :Microcoleaceae
: アルスロスピラ(オルソスピラ)属 Arthrospira
Stitzenberger ex Gomont, 1892
和名
スピルリナ
英名
Spirulina
タブレット状のスピルリナ

スピルリナ(Spirulina)は、自然には淡水域に生息する藍藻ユレモ目アルスロスピラ属の藻類の通称である。

スピルリナという名前は、ラテン語の“ねじれた”“らせん形の”を意味する “Spira”(英語ではSpiral)に由来する。本属は元来アルスロスピラ属として記載されていたが、1932年に近縁のスピルリナ属(Spirulina)に統合され[1]、長年通行して来たことにより、スピルリナという通称が定着した。しかし本属の藻は細胞隔壁を有する点においてスピルリナ属と異なる点が注目され、現在では元来のアルスロスピラ属とするのが定説となっている。[2]

生息環境[編集]

幅 5-8μm、長さ 300-500μm ほどのらせん形であり、水温30-35℃の無機塩類濃度の高いアルカリ性(pH9-11)の淡水に自生し、陸上植物と同じように酸素発生型光合成を行い増殖する[3]熱帯地方の強アルカリ性淡水湖に自生し、しばしばアオコをなしている。

フラミンゴ大地溝帯に点在する強いアルカリ性の湖に育つ種のものを主食としている。

スピルリナは、古来より農耕や牧畜に適さない地での住民の貴重な食糧源となった。現在は消滅寸前のチャド湖に自生していたA. platensisは、カネム・ボルヌ帝国などサハラ南縁の文明を支え、現在は消滅したテスココ湖に自生していたA. maximaはアステカ文明の揺籃となった。

食経験及び人への害[編集]

フランスの P. Dangard らが、アフリカ中央部のチャド湖の東約50kmにある村の市場で、チャド湖で収穫されたスピルリナの乾燥物が「ダイエ」という名前で売られていることを、1940年に紹介し、世界の注目を集めた。1967年11月には、エチオピアで開かれた国際応用微生物会議で、「スピルリナはタンパク質が豊富であり、将来の食糧源として注目されるべきである」と報告された[3]

リスク(以下 英文WIKI から:引用番号は英文を参照)

スピルリナは、処方薬、特に免疫系および血液凝固に影響を与える薬を服用すると、有害な相互作用を有する可能性がある。[1]

安全性と毒性

スピルリナはシアノバクテリウムの一種であり、ミクロシスチンなどの毒素を産生することが知られている。[47] またオレゴン州保健局によって市販のいくつかのスピルリナサプリメントには、設定された制限をやや下回るレベルではあるが、マイクロシスチンで汚染されていることがわかった.マイクロシスチンは、下痢、鼓腸、頭痛、筋肉痛、顔面紅潮、発汗などの胃腸不調を引き起こす可能性がある。[1][47]慢性的に使用すると、肝障害が発生する可能性がある。慢性的なマイクロシスチンの低レベル曝露が及ぼす影響は、いくつかの内蔵器官系に対する毒性のリスクが懸念される。[1][48]

これらの毒性化合物はスピルリナ自体によって生成されるものではないと推測されているが、[49]、混生する他の青緑色藻類あるいは環境バクテリアによる毒素とスピルリナの採取乾燥粉砕バッチ工程での汚染の結果として発生する可能性があるとされる。スピルリナは米国では栄養補助食品として販売されているため、生産に関する積極的な業界全体の規制が無く、その生産または純度に対する強制力のある安全基準は存在しない。米国国立食品衛生研究所は、スピルリナサプリメントを「おそらく安全」と表現し、マイクロシスチン汚染が含まれている場合には、人体に危険である可能性が高い」(特に子供の場合) と説明している。[1]米国の規制基準の欠如を考えると、一部の公衆衛生研究者は、スピルリナおよび他の青緑色藻類のサプリメントに汚染がないことを確信できないという懸念を提起している。1999年、カナダ保健省は、市販スピルリナの10サンプルのうち9にミクロシスチンが含まれており1つのサンプルだけがミクロシスチンフリーであったと発表している。[50]

またスピルリナサプリメントの重金属汚染も懸念を提起している。.中国国家食品医薬品局は、中国海南島で生産販売されているスピルリナサプリメントから鉛、水銀、ヒ素などの重金属汚染が検証されたと報告した。[51] 市販のサプリメントのスピルリナ一日用量 10? 19 グラムから鉛の存在を 5.1 ppm. [4]検出されたと報告している。[1]

症状は造血系症状(鉛貧血),消化器系症状(鉛縁,鉛疝痛,便秘)に加えて,神経症状として末梢神経および中枢神経症状がある.末梢神経症状は成人の慢性中毒でみられ,運動神経が選択的に侵され,筋肉痛,筋力低下・筋萎縮を生じる.感覚神経の障害は少ない.左右非対称的に筋力低下を生じ,橈骨神経支配の上肢末梢伸筋群の運動麻痺による下垂手(鉛麻痺)が特徴的である.下肢の伸筋が侵されると下垂足もみられる.鉛中毒による脳症状(鉛脳症)は主として小児の急性中毒でみられ,脳圧亢進症状(激しい頭痛,嘔吐),不眠,不安・興奮,全身痙攣,昏睡などを呈し,数日で死亡する例もある.小児は成人よりも鉛を経口摂取した場合の消化管からの鉛の吸収率が良く、成人では経口摂取しても10%程度の吸収率であるのに対し、小児が経口摂取すると約50%が吸収される。このようなこともあり、小児には少量でも知能指数低下や神経障害の原因となる場合がある。また、胎児においては子宮内鉛曝露量が多いほど出生時の体重が低いとする研究がある。

特定のターゲットグループの安全上の問題

すべてのタンパク質が豊富な食品と同様に、スピルリナには必須アミノ酸フェニルアラニン(2.6-4.1 g/100 g)が含まれており、[5]はフェニルケトン尿症を持つ人々が避けるべきであり、身体がフェニルアラニンを代謝するのを妨げる稀な遺伝性疾患であり、その後脳内に蓄積し、損傷を引き起こす。[52]

ミクロシスチンで汚染されたスピルリナは、特に子供や妊婦に対して、肝臓の損傷、ショック、および死亡を含む様々な潜在的な毒性を有する[53]。[1]

国立医薬品食品衛生所は、「ヒトへの安全性について満足なデータが見当たらない」としている。下痢や鼓腸、胃のむかつき、浮腫などが起こることがある。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため摂取は避けたほうがよい。スピルリナ類は細菌や重金属 (水銀、カドミウム、鉛、ヒ素)、および放射性の2価または3価のイオンを他の藻類より多く含むことがある。またミクロシスチンを含むものは肝毒性があり過剰摂取は危険である。[4] スピルリナ含有製品の健康被害として光過敏症や細胞壁炎症を起こす報告が多数存在する[5]。スピルリナを含むサプリメントに対して重篤なアレルギー症状例がフランス食品環境労働衛生安全庁から報告され厚生労働省は注意文書として警告[6]を出している。実際の国内症例報告として日本臨床神経学会誌に「スピルリナ(サプリメント含有成分)の摂取後に発症した広範な皮膚症状をともなった炎症性筋疾患」[7]など複数事例の報告がある。

生産[編集]

食品としての工業的生産は、それまでメキシコから商社経由で飼料用スピルリナ粉を販売していた大日本インキ化学工業(現DIC)が1978年にタイのバンコク郊外の野外プールで試験生産を始めた[8]。海南島生産では土地による鉛毒が発生し現在は米国カリフォルニア州カリパトリア刑務所の隣接地に44エイカー(東京ドーム4個分)の用地を確保し 内3/4に露天の循環式培養池を建設し生産している。同社のホームページによると現在の収穫量は湿量で年約500トン(乾量で60トン)と記載している。密封タンク内で培養するユーグレナと異なり野外露天循環プールでの粗放培養が特徴である。培養液からの分離・濃縮工程では、スピルリナの大きさが0.3 - 0.5mmと大きいため簡単な網でボウフラやゲンゴロウなど水棲昆虫 小動物、小魚、甲殻類などを除去した後スクリーンフイルターを用いて脱水し、スラッジを乾燥させた後、機械で砕いて粉末にする。粉末状で袋詰め、また打錠機により錠剤として販売する。また粉末を温水で再溶解し凍結乾燥処理すると原粉末との重量比で70%の粗製青色色素粉末(DIC商品名 リナブルー)が得られる。冷菓やソーダ水等の色つけ用の天然物由来青色色素として用いられる。ガリガリ君ソーダーの着色料として知られている。[9]

国内生産では旭ガラスの関連会社である静岡県掛川のビューテックがある。本業は自動車や新幹線の曲線フロントガラス製造及びタンクローリー運輸事業であるが同市内西大渕の掛川営業所に併設した[10]ガラス温室と簡易ビニールハウス内に循環型栽培プールを有し小規模な生産を行っている。

応用[編集]

乾燥したスピルリナは、タンパク質を約60%含み、ビタミン、ミネラル、多糖類(食物繊維)、フィコシアニンなどを含む。中でもカロテノイド系色素のβ-カロテンゼアキサンチンを多く含み、その抗酸化作用が注目されており、スーパーフードとして商業的に販売されている[11][12]クロレラと比較し、β-カロテン前駆体含量が多く、消化吸収性が良いのが特徴である。なお、これを主食とするフラミンゴの体色が赤いのは鳥の体内で代謝されβ-カロテン化したものが羽根に沈着するためと言われている。飼料に混ぜて観賞用錦鯉などの出荷時の一時的体色の改良用飼料に使われたこともある。DIC社の安全性データーが公的医療機関の評価がなく発表資料はすべて飼料安全性としての試験結果であるのには注意が必要である。

橙黄色のカロテノイドのほか、緑色の葉緑素(クロロフィルa)、青色のフィコシアニンの3種の色素を含む。フィコシアニンは藍藻類の名前の由来ともなっている鮮やかな青色を呈するため、天然の青色食用色素であるが高価なクチナシや紅花の代用として冷菓[13]・乳製品[14]・粉末ジュース・飲料・グミ[15] などに利用されている。自然な青色と言うよりはかなり派手な青色となる特徴があり使用が容易にわかる。国内初、スピルリナ由来“フィコシアニン”を関与成分とする製品が機能性表示食品として消費者庁に届出受理された機能性表示食品 『フィコナ スキン モイストリフティング タブレット』がある。[16]

粉末状またはタブレット以外では、株式会社タベルモが独自に開発した、生食品質を担保する培養技術急速冷凍技術の二つを用いて、生食ができるタイプの商品を開発し日本で唯一の販売している[17]。生産地はホームページによるとボルネオ王国であるが住所はゴルフ場を併設する王立のリゾートホテル内であり培養池などは不明である。

2017年に米国ワシントン州シアトルに創立されたルーメン・バイオサイエンス社(Lumen Bioscience Inc.)は遺伝子組み換え技術を応用した独自のスピルリナベースのタンパク質発現プラットフォームを用いた超低コストの経口投与化型マラリアワクチンを生成するとして60万ドルの基金を集めようとするバイオベンチャーである。生産拠点の確保のため2021年6月に事務所の通りの向かい側の廃業した製パン工場(Buchanan Bakery Inc.,)を買収すると発表している[18]

スピルリナの栄養価
スピルリナ(dried)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,213 kJ (290 kcal)
23.9 g
糖類 3.1 g
食物繊維 3.6 g
7.72 g
飽和脂肪酸 2.65 g
一価不飽和 0.675 g
多価不飽和 2.08 g
57.47 g
トリプトファン 0.929 g
トレオニン 2.97 g
イソロイシン 3.209 g
ロイシン 4.947 g
リシン 3.025 g
メチオニン 1.149 g
シスチン 0.662 g
フェニルアラニン 2.777 g
チロシン 2.584 g
バリン 3.512 g
アルギニン 4.147 g
ヒスチジン 1.085 g
アラニン 4.515 g
アスパラギン酸 5.793 g
グルタミン酸 8.386 g
グリシン 3.099 g
プロリン 2.382 g
セリン 2.998 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(4%)
29 µg
(3%)
342 µg
0 µg
チアミン (B1)
(207%)
2.38 mg
リボフラビン (B2)
(306%)
3.67 mg
ナイアシン (B3)
(85%)
12.82 mg
パントテン酸 (B5)
(70%)
3.48 mg
ビタミンB6
(28%)
0.364 mg
葉酸 (B9)
(24%)
94 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(13%)
66 mg
ビタミンC
(12%)
10.1 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(33%)
5 mg
ビタミンK
(24%)
25.5 µg
ミネラル
ナトリウム
(70%)
1048 mg
カリウム
(29%)
1363 mg
カルシウム
(12%)
120 mg
マグネシウム
(55%)
195 mg
リン
(17%)
118 mg
鉄分
(219%)
28.5 mg
亜鉛
(21%)
2 mg
マンガン
(90%)
1.9 mg
セレン
(10%)
7.2 µg
他の成分
水分 4.68 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
スピルリナ(100g中)の主な脂肪酸の種類[19]
項目 分量(g)
脂肪 7.72
飽和脂肪酸 2.65
14:0(ミリスチン酸 0.075
16:0(パルミチン酸 2.496
18:0(ステアリン酸 0.077
一価不飽和脂肪酸 0.675
16:1(パルミトレイン酸 0.328
18:1(オレイン酸 0.347
多価不飽和脂肪酸 2.08
18:2(リノール酸 1.254
18:3(α-リノレン酸 0.823

脚注[編集]

  1. ^ Siva Kiran, RR; Madhu GM; Satyanarayana SV (2016). “Spirulina in combating Protein Energy Malnutrition (PEM) and Protein Energy Wasting (PEW) - A review”. Journal of Nutrition Research. オリジナルの2016年3月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160302154130/jnutres.com/index.php/jnr/article/view/JNR315/pdf 2016年2月20日閲覧。. 
  2. ^ Takatomo Fujisawa; Rei Narikawa; Shinobu Okamoto; Shigeki Ehira; Hidehisa Yoshimura; Iwane Suzuki; Tatsuru Masuda; Mari Mochimaru et al. (2010-03-04). “Genomic Structure of an Economically Important Cyanobacterium, Arthrospira (Spirulina) platensis NIES-39”. DNA Res. 17 (2): 85-103. doi:10.1093/dnares/dsq004. PMC 2853384. PMID 20203057. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2853384/.  In its turn, it references: Castenholz R.W.; Rippka R.; Herdman M.; Wilmotte A. (2007). Boone D.R.. ed. Bergey's Manual of Systematic Bacteriology (2nd ed.). Springer: Berlin. pp. 542-3 
  3. ^ a b 世界各所で生産されている「藻類」スピルリナ” (日本語). DICライフテック株式会社. 2020年2月29日閲覧。
  4. ^ 食品安全情報(化学物質)No. 25/ 2017”. 2017. 12. 06閲覧。
  5. ^ 肝毒性があるミクロシスチン (藍藻毒の一種) を含むものは避けること。”. 国立健康栄養研究所. 1995 10 21閲覧。
  6. ^ 内閣府食品安全委員会”. 内閣府. 2017年11月30日閲覧。
  7. ^ 今野卓哉、梅田能生、梅田麻衣子、河内泉、小宅睦郎、藤田信也「スピルリナ (サプリメント含有成分) の摂取後に発症した広範な皮膚症状をともなった炎症性筋疾患の1例」『臨床神経学』第51巻第5号、日本神経学会、2011年5月、 330-333頁、 doi:10.5692/clinicalneurol.51.330ISSN 0009918XNAID 10031164014
  8. ^ DICライフテック株式会社” (日本語). DICライフテック株式会社. 2021年7月7日閲覧。
  9. ^ お客様相談室|赤城乳業株式会社”. www.akagi.com. 2021年7月7日閲覧。
  10. ^ 事業所一覧|ビューテック株式会社” (日本語). ビューテック株式会社. 2021年7月16日閲覧。
  11. ^ 粗悪品には注意が必要! 今年流行るスーパーフード9選は? | 女性自身” (日本語). WEB女性自身. 2020年3月11日閲覧。
  12. ^ スピルリナ&クロレラ タブレット - スーパーフード|サンフード スーパーフーズ公式オンラインストア” (日本語). スピルリナ&クロレラ タブレット - スーパーフード|サンフード スーパーフーズ公式オンラインストア. 2020年3月11日閲覧。
  13. ^ ガリガリ君ソーダー | よくある質問|赤城乳業株式会社
  14. ^ 角10棒アイス | 株式会社 明治
  15. ^ ハリボー商品一覧|菓子|三菱食品”. www.mitsubishi-shokuhin.com. 2021年7月11日閲覧。
  16. ^ 機能性表示食品 『フィコナ スキン モイストリフティング タブレット』”. DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:猪野薫). 2020年7月7日閲覧。
  17. ^ 会社概要 - COMPANY - | タベルモ公式サイト スピルリナ” (日本語). タベルモ公式サイト (2020年3月11日). 2021年7月16日閲覧。
  18. ^ Lumen Bioscience Expands Biologics Manufacturing Capacity with Lease of Historic Seattle Bakery | Lumen Bioscience”. www.lumen.bio. 2021年7月16日閲覧。
  19. ^ Link to USDA Database entry
リンク切れ

外部リンク[編集]