カリフラワー

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カリフラワー
Growing Cauliflower.jpg
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: アブラナ属 Brassica
: ヤセイカンラン B. oleracea
変種 : カリフラワー var. botrytis
学名
Brassica oleracea var. botrytis
和名
ハナヤサイ、ハナカンラン
英名
Cauliflower
花蕾の断面
収穫するため葉を開いたところ

カリフラワー(花椰菜[1]: Cauliflower学名: Brassica oleracea var. botrytis)はアブラナ科アブラナ属一年生植物。頂花蕾を食用にする淡色野菜として栽培されるほか、観賞用途でも利用される。

名前の由来はキャベツ類の花を意味する、kale flower もしくは cole flower から。和名ハナヤサイ(花椰菜、花野菜)、ハナキャベツ(花キャベツ)、ハナカンラン(花甘藍)。木立花葉牡丹(キダチハナハボタン)と呼ぶこともある。

白くこんもりとした花蕾と太い茎が特徴。

よく似たブロッコリーB. oleracea var. italica)は別変種。

概要[編集]

カリフラワーの原産地については未だ明白になっていない。地中海沿岸原産のケールなど栽培されていた野菜から、突然変異によって生まれた、あるいは近東を原産地とするものが、ローマ帝国の衰退後にアラブ人の手によってヨーロッパに伝えられた等と言われている。

茎の肥大化と花蕾(からい)が発育しない性質により、花梗(かこう)は低い位置で球状の塊となる。収穫せず生育させても、他のアブラナ属のようには伸長しない。日本でも最近認識されてきた緑色のロマネスコ(Romanesco、品種名「カリブロ」)等も仲間である。

太い茎がミネラルビタミンを貯蔵する器官としての役割を果たすため、良質な花や実がつき、他のアブラナ科植物より栄養価が高い。

日本では白(クリーム色)の花蕾以外ほとんど生産されていないが、オレンジ色や紫色などの花蕾を付ける品種もあり、カラフルである。

歴史[編集]

2000年前の古代ローマでは「シマ」という名で記録されている[2]。ケールなどで開花前の蕾を食用にすることは古代から行われ、紀元前540年頃の記録にも残っている。これは現在の食用菜の花(はなな)やカイランと同様で、今日見られるようなカリフラワーは、この用途に適した変異種が選抜されたものと考えられる。

15世紀イタリアフランスで栽培され始め、16世紀になるとヨーロッパ全体に広まり、品種改良も進んだとみられる。18世紀頃にはインド熱帯でも栽培できる品種が開発された。

しかし改良されて現在のようなカリフラワーとなるのは19世紀初頭のことである[2]

日本には明治初期に渡来した。花梛菜(はなはぼたん)、英名カウリフラワーと紹介され試作されたものの、食用としても観賞用としても普及しなかった。第二次世界大戦後に進駐軍向けに栽培が行われ、日本での洋食文化の広まりと、改良種の輸入、栽培技術の進歩により昭和30年頃から広く普及した。

ブロッコリーとの違い[編集]

ブロッコリーとカリフラワーはいずれもが密集して頭状花を形成するキャベツの変種である[3]。カリフラワーはが一つの塊のように堅く結びついているのに対して、ブロッコリーは結球がカリフラワーほど密集しておらず、伸びた茎の先端に密集した蕾を作る。側花蕾であるブロッコリーと違い、カリフラワーは側花蕾は出ないので収穫はひと株で一度きりになる。[4]また、カリフラワーは花蕾が一箇所に集中した形状が白雪を連想させる美しさを醸成するため、ブロッコリーよりも珍重された。

名称[編集]

英名のカリフラワー(cauliflower)はイタリア語cavoli fiori に由来する[5]cavolifiori はそれぞれ cavoloキャベツ)、fiore)の複数形であり、cavoli fiori で「開花したキャベツ」といった意味になる[5]

和名のハナヤサイ(花椰菜)は、キャベツの古い漢名である椰菜(ヤサイ)[6]に花を組み合わせた言葉である[注 1]。別名のハナキャベツ、ハナカンラン(甘藍=キャベツ)も同様に花とキャベツを組み合わた名称である。

漢名を花椰菜(カヤサイ)というが、これは和名ハナヤサイの漢字表記が中国逆輸入されたものである[7][出典無効]

カタカナ語としては、現在のカリフラワーという表記が定着する以前はコーリフラワー、コーリーフラワーなどの表記が見られた[8][9]。また、漢字表記として和名または漢名由来の花椰菜が当てられた[1]

生産[編集]

日本のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1973-2012年)
世界のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1961-2012年)
世界のカリフラワーとブロッコリーの生産地域(2005年)

低温に弱く暖かい地方や夏にしか栽培できなかったが、耐寒性の強いキャベツなどとの交配により越冬も可能な品種も誕生した。現在では温暖、冷涼いずれにも向く野菜として、各国で栽培されている。夏に育てられる「サマーカリフラワー」に対し、後者を「ウインターカリフラワー」もしくは「ブロッコリー」と呼んだ。

統計によると、日本における1964年の収穫高は約1万t だったのが、12年後の1976年には7万5千t に拡大した。しかし、1980年代以降に急増したブロッコリーに押されて作付け面積や出荷量は減少しつつある。これは、日本では外観が重視されるため、特に蕾の白味を強くするために葉をまとめて蕾を隠し、日射を遮る手間が掛かること。一つしか育たない頂花蕾を食用にすることから、ブロッコリーのように側枝の収穫をすることができず、面積あたりの収穫量が劣ること。国内の冷蔵設備の普及により、常温では変色しやすいブロッコリーの保存を行えるようになったこと等が影響している。日本において収穫量が最も多い都道府県は徳島県(2012年収穫量:2,560t、栽培面積:101ha)[10]、最も多い市町村は徳島市である[11][12]

日本における収穫量上位10都道府県(2012年)[10]

収穫量順位 都道府県 収穫量(t)
1 徳島県 2,560
2 茨城県 2,440
3 愛知県 2,140
4 長野県 1,800
5 熊本県 1,270
6 埼玉県 1,260
7 福岡県 1,250
8 新潟県 1,240
9 千葉県 853
10 静岡県 715
全国計 21,800

世界のカリフラワーとブロッコリーの収穫量上位10か国(2012年)[13]

収穫量順位 収穫量(t)
1 中華人民共和国の旗 中国 9,500,000
2 インドの旗 インド 7,000,000
3 イタリアの旗 イタリア 414,142
4 メキシコの旗 メキシコ 397,408
5 フランスの旗 フランス 344,414
6 ポーランドの旗 ポーランド 306,776
7 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 303,450
8 パキスタンの旗 パキスタン 224,000
9 ドイツの旗 ドイツ 176,692
10  エジプト 171,088
世界計 21,266,789

日本は14位で154,000tを生産する[13]

食材[編集]

カリフラワー栄養価の代表値

実際の栄養価は、栽培条件、生育環境、収穫時期、品種などで異なるため、記載されている値は代表値である。

カリフラワー、生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 104 kJ (25 kcal)
4.97 g
糖類 1.91 g
食物繊維 2 g
0.28 g
飽和脂肪酸 0.064 g
トランス脂肪酸 0 g
一価不飽和 0.017 g
多価不飽和 0.015 g
0.007 g
0.006 g
1.92 g
トリプトファン 0.02 g
トレオニン 0.076 g
イソロイシン 0.071 g
ロイシン 0.106 g
リシン 0.217 g
メチオニン 0.02 g
シスチン 0.02 g
フェニルアラニン 0.065 g
チロシン 0.051 g
バリン 0.125 g
アルギニン 0.086 g
ヒスチジン 0.056 g
アラニン 0.116 g
アスパラギン酸 0.177 g
グルタミン酸 0.257 g
グリシン 0.071 g
プロリン 0.071 g
セリン 0.086 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
0 µg
(0%)
0 µg
1 µg
チアミン (B1)
(4%)
0.05 mg
リボフラビン (B2)
(5%)
0.06 mg
ナイアシン (B3)
(3%)
0.507 mg
パントテン酸 (B5)
(13%)
0.667 mg
ビタミンB6
(14%)
0.184 mg
葉酸 (B9)
(14%)
57 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(9%)
44.3 mg
ビタミンC
(58%)
48.2 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(1%)
0.08 mg
ビタミンK
(15%)
15.5 µg
ミネラル
ナトリウム
(2%)
30 mg
カリウム
(6%)
299 mg
カルシウム
(2%)
22 mg
マグネシウム
(4%)
15 mg
リン
(6%)
44 mg
鉄分
(3%)
0.42 mg
亜鉛
(3%)
0.27 mg
マンガン
(7%)
0.155 mg
セレン
(1%)
0.6 µg
他の成分
水分 92.07 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

花頭の部分を食用にする。花蕾のさっくりとした歯ざわりが特徴。味にはわずかな苦みを感じる人もいる。葉も食用となるが青っぽさと苦みが強い。これはケール同様、原種に近いためと考えられている。アクがあるため調理時には一般的に下茹でを行う[2]

カリフラワーに含まれるビタミンCの量はブロッコリーに比べ若干少ないが、加熱による損失に強く成分が失われにくいため、調理後の含有量は同程度となる。

カリフラワーに含まれるイソチオシアネートは発がん性物質の活性を阻害する働きがあるとして注目されている[2]

茹でるだけでなく、焼く蒸す揚げる煮るといった幅広い調理が可能である。サラダの素材として生のまま食することも多い。酢漬け(ピクルス)にも向く。グラタンポロネーズの素材としても人気が高い[14]

低炭水化物ダイエット(低糖質ダイエット、あるいは糖質制限ダイエット)を行っている人はジャガイモの代用として食べる場合がある。また砕いて状に加工した「カリフラワーライス」も日本の外食中食メニューや家庭料理として食されるようになっている[15]

文化[編集]

ルイ15世 (フランス王)の愛人として知られるデュ・バリー伯爵夫人は、いくつものカールを積み重ねたかつらを頭につけていた。それがカリフラワーの花蕾を連想させるものであったことから、カリフラワーを使った料理の多くにデュ・バリーの名がつけられることとなった。

その他[編集]

  • 耳介血腫 - の病気の一種で、耳介付近の内出血によるもので[注 2]、耳を何かの拍子で強くぶつけてしまったり、耳を負傷しやすいスポーツ[注 3]を行っている選手にしばしば見られる。これを繰り返していくうちに腫れが硬くなり、いずれはカリフラワーの形をした外耳の形状(カリフラワー耳)になる[16]

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈

  1. ^ 「花野菜」とも表記されるが、語源を考えると本来は誤りである。
  2. ^ 耳の軟骨が硬い人に発生しやすい。
  3. ^ 柔道相撲レスリングラグビーボクシング等。

出典

  1. ^ a b 三省堂百科辞書編輯部編 「カリフラワー」『新修百科辞典』 三省堂、1934年、523頁。
  2. ^ a b c d 武 鈴子『からだに効く 和の薬膳便利帳』家の光協会、2012年、134頁。
  3. ^ 世界の食用植物文化図鑑・173ページ
  4. ^ 【家庭菜園のプロ監修】3月に種まき・苗を植える野菜とは?おすすめ品目10選 | AGRI PICK”. 農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]. 2021年3月25日閲覧。
  5. ^ a b Harper, Douglas. “cauliflower”. Online Etymology Dictionary. 2021年8月12日閲覧。
  6. ^ 跡見群芳譜(農産譜 キャベツ)”. 2021年8月12日閲覧。
  7. ^ 跡見群芳譜(農産譜 ブロッコリー)”. 2021年8月12日閲覧。
  8. ^ 蔬菜の栽培』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  9. ^ 野菜自給十坪菜園』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ a b 作物統計調査>作況調査(野菜)>確報>平成24年産野菜生産出荷統計>年次>2012年”. e-Stat. 総務省統計局. 2014年11月6日閲覧。
  11. ^ JA徳島市 カリフラワー”. 徳島市農業協同組合. 2014年11月6日閲覧。
  12. ^ 第3問 正解”. 中国四国農政局. 2014年11月6日閲覧。
  13. ^ a b FAOSTAT>DOWNLOAD DATA” (英語). FAOSTAT. FAO. 2014年11月6日閲覧。
  14. ^ 世界の食用植物文化図鑑・170ページ
  15. ^ 「ご飯の代わりにカリフラワー/低糖質・低カロリー 健康志向の定番へ/オイシックス:カット済み通販 ローソン:キーマカレー改良」『日経MJ』2018年9月3日(コンビニ・フード面)。
  16. ^ 耳介血腫 - 日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会、愛媛県耳鼻咽喉科医会HP

参考文献[編集]

  • バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント編、山本紀夫訳『世界の食用植物文化図鑑』(柊風舎ISBN 978-4-903530-35-2