エビヅル

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エビヅル
Vitis ficifolia 1.JPG
エビヅルの果実と葉
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: クロウメモドキ目 Rhamnales
: ブドウ科 Vitaceae
: ブドウ属 Vitis
: エビヅル V. ficifolia
学名
Vitis ficifolia Bunge var. lobata (Rgel) Nakai[1]
シノニム
  • Vitis thunbergii Siebold et Zucc.
和名
エビヅル(蝦蔓)

エビヅル(蝦蔓[2][3]、蘡薁[2][3]、学名:Vitis ficifolia var. lobata)は、ブドウ科ブドウ属つる性落葉木本である。雌雄異株。古名はヤマブドウとともに「エビカズラ」(葡萄蔓)[2]。ただし、中国では「蘡薁」はVitis adstricta Hanceという別の野生ブドウを指す。

特徴[編集]

つる性の木本で他の木本などに巻きひげによって上昇する。巻きひげはに対して葉と対生するが、3節目ごとに消失していく。には葉柄があり、形は扁卵形で長さ5-8cm、3-5浅~深裂し、葉裏にはクモ毛がある。[要出典]

花期は6-8月で、花序は総状円錐花穂で長さ6-12cmになる。雄花、雌花ともに黄緑色。秋には直径5-6mmの果実がブドウの房状に黒く熟し、食すると甘酸っぱい味がする。しかし、果汁にエビヅル臭という青臭いにおいを有するため、果実品質の評価は一般に低い。花は、新梢が伸長すれば何度も着花するため、同一樹に、様々なステージの果実が着生する。[要出典][4]

エビヅルの未熟な果実
エビヅルの新芽
エビヅルの新芽。出たばかりで赤みがかっている。
エビヅルの吸い上げた水が出てきている様子
エビヅルの葉と蕾。

学名にVitis ficifoliaを使われることが多いが、Vitis ficifoliaのタイプ標本は中国の桑葉葡萄につけられたもので、桑葉葡萄とエビヅルでは形態的な違いも大きい。

分布と生育環境[編集]

北海道西南部、本州、四国、九州、朝鮮に分布し、山地や丘陵地にふつうにみられる。

変種[編集]

  • シチトウエビヅル Vitis ficifolia Bunge var. izu-insularis (Tuyama) H.Hara - 葉が大型になり、3浅裂し先端がとがる。伊豆七島に分布する。
  • キクバエビヅル Vitis ficifolia Bunge var. sinuata Hara- 本州南部、四国、九州に分布する。葉の裂刻が深い。
  • リュウキュウガネブ Vitis ficifolia Bunge var. ganebu Hatus. - 八重山、琉球、奄美諸島、トカラ列島に自生する。葉は無裂刻。
リュウキュウガネブは、エビヅルと同一種とする記述もいくつか見られる。さらに、シチトウエビヅルと葉の形態が似ているため、リュウキュウガネブとシチトウエビヅルを同一種とすべきだとの意見もあるが、リュウキュウガネブは他のエビヅル近縁種と異なり、芽が無休眠性を示すなどの生態的な差異が大きい。また、最近ではリュウキュウガネブ果皮に含まれるアントシアニンの種類と量が多いことから、その機能性が注目されている。ちなみに「ガネブ」とは九州地方の方言で、ブドウの意味である。

対馬に分布するケナシエビヅルは「エビヅル」という名前が付いているが、 Vitis austrokoreana Hatusimaの学名が付けられていて、エビヅルとは別種となっている。しかし、詳しいことはよくわかっていない。

利用[編集]

果実は生食、加工に利用できる。また、葉を乾燥し、葉の裏のクモ毛をモグサ代わりに利用する。 最近では、リュウキュウガネブの葉から抽出したエキスを含有した化粧水が市販されている。葉エキスの主成分はレスベラトロールである。またエビヅルの実を入浴剤として利用する地域がある[5]

レファレンス[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c 三省堂編修所 『何でも読める難読漢字辞典』 三省堂1995年9月10日、初版、8頁。ISBN 4385135916
  3. ^ a b 三省堂編修所 『三省堂 難読漢字辞典』 三省堂2009年6月20日、初版、333頁。ISBN 9784385135922
  4. ^ 松井弘之 (1989年). “日本原産野生ブドウの生理・生態学的特性”. 醸協 84: 687-693. 
  5. ^ 『信州の民間薬』全212頁中79頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本 II 』、1989年、平凡社
  • 中川昌一・堀内昭作・松井弘之・湯田英二・山田省吾・村井泰広・小松春喜『日本原産野生ブドウの分布ならびに葉の形態学的特性』、1991年、園芸学会雑誌第60巻第1号:31-39