アジアハイウェイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
東京日本橋の1号線の起点に立つAH1の標識
タイ王国・ラチャブリ近郊にある2号線の標識(青地にA2)

アジアハイウェイ英語: Asian Highway Network)とは、アジア32カ国を横断する全長14.1万キロメートル(km)[1]にわたる高速道路。主に既存の道路網を活用し、現代のシルクロードを目指して計画されているものである。トルコからは欧州自動車道路に接続する。英語での略称はAH国際連合アジア太平洋経済社会委員会が運営事務局をつとめている。

日本国内には唯一1号線(AH1)が通過しており、全長は1,108 kmである。

経緯[編集]

  • 1959年:国際連合アジア極東委員会(ECAFE)により提唱された。
  • 1968年:国際連合アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)に「AHP事務局」が設立される。
  • 1969年:4月、第一回アジアハイウェイモーターラリーがビエンチャン - シンガポール間3400kmで開催された。
  • 1970年:11月、第2回アジアハイウェイモーターラリーがテヘラン - ダッカ間で開催、9か国からの62台の車が6800kmを走る[2][3]
  • 1988年:中華人民共和国の旗 中国が参加。
  • 1992年:1993年までの2年間、日本の旗 日本が資金援助(日本ESCAP協力基金、JECF)を行い、道路網の見直し、設計基準の改訂、国際道路交通の促進のための方策の検討など道路網整備の調査を実施[4]
  • 2003年11月:AH政府間協定に関する政府間会合にて日本も路線参加を表明。
  • 2003年11月18日:バンコクにて「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定」が採択される[5]
  • 2004年4月26日:国際連合アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)にて関係23ヶ国が調印。日本も確定的署名を行う[5]
  • 2005年7月4日:カンボジアの旗 カンボジア中華人民共和国の旗 中国日本の旗 日本ミャンマーの旗 ミャンマー大韓民国の旗 韓国スリランカの旗 スリランカウズベキスタンの旗 ウズベキスタン ベトナムロシアの旗 ロシアにて協定が発効[5][6]
  • 2005年9月5日:アルメニアの旗 アルメニアにて協定が発効[7]
  • 2005年11月16日: ブータンにて協定が発効[8]
  • 2006年1月17日:パキスタンの旗 パキスタンにて協定が発効[9]
  • 2006年3月9日:ジョージア (国)の旗 ジョージアにて協定が発効[10]
  • 2006年4月8日:アフガニスタンの旗 アフガニスタンにて協定が発効[11]
  • 2006年5月17日:インドの旗 インドにて協定が発効[12]
  • 2006年6月11日:タイ王国の旗 タイにて協定が発効[13]
  • 2006年7月8日:タジキスタンの旗 タジキスタンにて協定が発効[14]
  • 2006年11月3日:AH-7、AH-48、AH-63、AH-65の経路の一部が改定される[15]
  • 2006年11月28日:キルギスの旗 キルギスにて協定が発効[16]
  • 2008年1月30日:カザフスタンの旗 カザフスタンにて協定が発効[17]
  • 2008年3月17日:フィリピンの旗 フィリピンにて協定が発効[18]
  • 2008年7月9日:ラオスの旗 ラオスにて協定が発効[19]

ルート[編集]

主要幹線ルートとして、以下のような8本のルートがある。

アジアハイウェイのルート図
AH-1(延長:20,710km)
東京(Tokyo・起点)、福岡(Fukuoka)、釜山(Busan)、ソウル(Seoul)、平壌(Pyongyang)、北京(Beijing)、武漢(Wuhan)、長沙(Changsha)、広州(Guangzhou)、南寧(Nanning)、ハノイ(Hanoi)、ホーチミン(Ho Chi Minh City)、プノンペン(Phnom Penh)、バンコク(Bangkok)、ヤンゴン(Yangon)、インパール(Imphal)、ダッカ(Dhaka)、コルカタ(Calcutta)、ニューデリー(New Delhi)、イスラマバード(Islamabad)、カーブル(Kabul)、テヘラン(Tehran)、アンカラ(Ankara)、イスタンブール(Istanbul)、カプクレトルコブルガリア国境・終点)
AH-2(延長:10,711km)
デンパサール(Denpasar インドネシア・起点)、スラバヤ(Surabaya)、ジャカルタ(Jakarta)、シンガポール(Singapore)、クアラルンプール(Kuala Lumpur)、バンコク(Bangkok)、チェンライ(Chiang Rai)、マンダレー(Mandalay)、インパール(Imphal)、ダッカ(Dhaka)、ヘタウダ(Hetauda)、ニューデリー(New Delhi)、ラホール(Lahore)、クエッタ(Quetta)、テヘラン(Tehran)、コスラヴィイラン・終点)
AH-3(延長:6,286km)
ウランウデ(Ulan-ude ロシア連邦・起点)、ウランバートル(Ulan Bator)、北京(Beijing)、天津(Tianjin)、上海(Shanghai)、長沙(Changsha)、昆明(Kunming)、チェンライ(Chiang Rai)・チャイントンタイミャンマー・終点)
AH-4(延長:4,811km)
ノボシビルスク(Novosibirsk ロシア連邦・起点)、ホブド(Hovd)、ウルムチ(Urumqi)、カシュガル(Kashi)、イスラマバード(Islamabad)、ラホール(Lahore)、カラチ(Karachi パキスタン・終点)
AH-5(延長:9,842km)
上海(起点)、南京(Nanjing)、西安(Xian)、蘭州(Lanzhou)、ウルムチ(Urumqi)、アルマトイ(Almaty)、ビシュケク(Biskek)、タシケント(Tashkent)、アシガバート(Ashkhabad)、トルクメンバシ(Turkmenbasi)、バクー(Baku)、トビリシ(Tbilisi)、イスタンブール(Istanbul)、カプクレ(トルコ、ブルガリア国境・終点)
AH-6(延長:10,407km)
釜山(Busan・起点)、平壌(Pyongyang)、ウラジオストク(Vladivostok)、ハルビン(Harbin)、イルクーツク(Irkutsk)、ノボシビルスク(Novosibirsk)、オムスク(Omsk)、チェリャビンスク(Chelyabinsk)、モスクワ(Moscow)、クラスノエ(ロシア連邦、ベラルーシ国境・終点)
AH-7(延長:4,776km)
エカテリンブルク(ロシア連邦、起点)、チェリャビンスク(Chelyabinsk)、ヌルスルタン(Nur-Sultan)、オシ(Osh)、タシケント(Tashkend)、ドゥシャンベ(Dushanbe)、カーブル(Kabul)、ヘラート(Herat)、クエッタ(Quetta)、カラチ(Karachi パキスタン・終点)
AH-8(延長:4,435km)
トルピュノブカ(ロシア連邦、フィンランド国境・起点)、サンクトペテルブルク(Sankt-Peterburg)、モスクワ(Moscow)、アストラハン(Astrakhan)、マハチカラ(Makhachikara)、バクー(Baku)、テヘラン(Tehran)、バンダレ・エマーム(イラン・終点)

路線番号[編集]

路線番号の付与方法は以下のとおり[20]

道路網と各国の整備[編集]

関係国[編集]

※アルファベット順。なお( )内は各国におけるハイウェイの延長距離(単位km、総延長141,714km)

アフガニスタンの旗 アフガニスタン(4,247)、アルメニアの旗 アルメニア(958)、アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン(1,442)、バングラデシュの旗 バングラデシュ(1,806)、 ブータン(1)、カンボジアの旗 カンボジア(1,340)、中華人民共和国の旗 中国(26,699)、朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮(1,320)、ジョージア (国)の旗 ジョージア(1,154)、インドの旗 インド(11,432)、 インドネシア(4,115)、イランの旗 イラン(11,218)、日本の旗 日本(1,108)、カザフスタンの旗 カザフスタン(13,189)、キルギスの旗 キルギス (1,695)、ラオスの旗 ラオス (2,318)、マレーシアの旗 マレーシア(1,595)、モンゴルの旗 モンゴル(4,286)、ミャンマーの旗 ミャンマー(3,003)、ネパールの旗 ネパール(1,321)、パキスタンの旗 パキスタン(5,377)、フィリピンの旗 フィリピン(3,517)、大韓民国の旗 韓国(907)、ロシアの旗 ロシア(16,869)、シンガポールの旗 シンガポール(19)、スリランカの旗 スリランカ(650)、タイ王国の旗 タイ(5,101)、タジキスタンの旗 タジキスタン(1,925)、トルコの旗 トルコ(5,254)、トルクメニスタンの旗 トルクメニスタン(2,204)、ウズベキスタンの旗 ウズベキスタン(2,966)、 ベトナム(2,678)

日本[編集]

国土交通省は、2005年「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定」が発効したことを受け、協定に規定されたアジアハイウェイに係る標識を、順次設置することを発表している[21]

日本橋を起点[22]とし、東京-福岡間の首都高速道路東名高速道路名神高速道路中国自動車道山陽自動車道広島岩国道路関門自動車道九州自動車道福岡都市高速道路の高速道路がAH-1に編入された。

中国[編集]

中国は1988年にアジアハイウェイ・プロジェクトに参加[23]。1993年に中国国内に初めて路線が設定された[23]

中国国内の路線は中国側からの提案に基づきESCAPで検討され、1993年に開催された専門家会議で基本的に合意されたが、最終承認段階でAH3号の北京 - 長沙間及びAH82号の長沙 - 深框間については承認するが、その他の区間については検討中であるとESCAPに回答があった[23]。そのためESCAPは正式承認された区間以外を候補路線(Possible Route)として扱う対応をとった[23]

参考文献[編集]

  • 山内洋隆著「遥かなるアジアハイウェイ」JETROレポート、2004年。
文献内で引用されているUNESCAPのデータ。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Asian Highway Route Map [1]
  2. ^ JAFスポーツ. JAF出版社. (1970.8.1) 
  3. ^ Lwin, UN Photo/Saw (1970年11月1日). “Second Asian Highway Motor Rally” (英語). www.unmultimedia.org. 2020年1月16日閲覧。
  4. ^ アジアハイウェイ・プロジェクトの概要 [2]
  5. ^ a b c 2005年(平成17年)6月21日外務省告示第464号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定の効力発生に関する件」
  6. ^ 2006年(平成18年)3月1日外務省告示第110号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のロシア連邦による確定的署名に関する件」
  7. ^ 2005年(平成17年)8月15日外務省告示第778号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のアルメニア共和国による批准に関する件」
  8. ^ 2005年(平成17年)9月28日外務省告示第975号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のブータン王国による批准に関する件」
  9. ^ 2005年(平成17年)12月7日外務省告示第1136号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のパキスタン・イスラム共和国による批准に関する件」
  10. ^ 2006年(平成18年)3月1日外務省告示第109号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のグルジアによる承認に関する件」
  11. ^ 2006年(平成18年)3月1日外務省告示第111号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のアフガニスタン・イスラム共和国による批准に関する件」
  12. ^ 2006年(平成18年)4月24日外務省告示第251号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のインドによる批准に関する件」
  13. ^ 2006年(平成18年)4月24日外務省告示第252号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のタイ王国による批准に関する件」
  14. ^ 2006年(平成18年)6月13日外務省告示第319号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のタジキスタン共和国による批准に関する件」
  15. ^ 2006年(平成18年)9月27日外務省告示第557号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定の附属書の改正に関する件」
  16. ^ 2006年(平成18年)10月17日外務省告示第582号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のキルギス共和国による批准に関する件」
  17. ^ 2008年(平成20年)1月18日外務省告示第41号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のカザフスタン共和国による承認に関する件」
  18. ^ 2008年(平成20年)2月7日外務省告示第86号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のフィリピン共和国による批准に関する件」
  19. ^ 2008年(平成20年)5月27日外務省告示第298号「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定のラオス人民民主共和国による批准に関する件」
  20. ^ アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定 付属書Ⅰ
  21. ^ アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定に基づく標識の設置について 国土交通省 2010年6月22日
  22. ^ アジアハイウェイの標識について 国土交通省
  23. ^ a b c d 中国 (China)アジアハイウェイ路線とその現状”. 国土交通省. 2021年7月31日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]