高橋啓

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高橋 啓(たかはし けい、1953年 - )は、北海道帯広市出身の日本翻訳家早稲田大学第一文学部卒業。主としてフランス語英語の翻訳を行う。 パスカル・キニャールの訳者として知られる[1]

来歴[編集]

北海道帯広柏葉高等学校を卒業後、1972年早稲田大学第一文学部に入学し、仏文を専攻する[2]1978年に卒業後、教科書出版社に入社するも、2年後に退社。1982年から1984年にかけてアルジェリアに渡り、現場通訳の仕事をこなす[2]

帰国後に翻訳会社で一時的に勤務した後、30代半ばで独立[2][1]。当初は産業翻訳を手がけていたが、1988年の「FDG 社長学入門」を切っ掛けに本の翻訳を行うようになる。その後高橋はパスカル・キニャールの「めぐり逢う朝」の原著に出会い、パリへ飛びキニャールに面会。以降文学の翻訳が増えるようになる。

キニャールの他にはフィリップ・クローデルニコラ・ブーヴィエらの翻訳も手がけており、2009年10月には、初監督作品「ずっとあなたを愛してる」の日本公開に際して来日したクローデルと東京日仏学院で対談を行っている [3]。 2009年3月からは東京から帯広に居を移し[4]、翻訳業を続ける傍ら帯広大谷短期大学でフランス語講師の仕事も行っている[1]

翻訳を担当したローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』が、2014年本屋大賞翻訳小説部門で第1位。

翻訳[編集]

パスカル・キニャール[編集]

  • 『めぐり逢う朝』(パスカル・キニャール早川書房) 1992.11
  • 『ヴュルテンベルクのサロン』(パスカル・キニャール、早川書房) 1993.11
  • 『シャンボールの階段』(パスカル・キニャール、早川書房) 1994.4
  • 『アルブキウス』(キニャール、青土社) 1995.10
  • 『アメリカの贈りもの』(パスカル・キニャール、早川文庫) 1996.5
  • 『音楽への憎しみ』(パスカル・キニャール、青土社) 1997.8
  • 『舌の先まで出かかった名前』(パスカル・キニャール、青土社) 1998.1
  • 『辺境の館』(パスカル・キニャール、青土社) 1999.6
  • 『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』(パスカル・キニャール、青土社) 2000.9
  • 『ローマのテラス』(パスカル・キニャール、青土社) 2001.8
  • 『さまよえる影』(パスカル・キニャール、青土社) 2003.9

フィリップ・クローデル[編集]

  • 『灰色の魂 』(フィリップ・クローデルみすず書房) 2004.10
  • 『リンさんの小さな子』(フィリップ・クローデル、みすず書房) 2005.9
  • 『子どもたちのいない世界』(フィリップ・クローデル、みすず書房) 2006.11
  • 『ブロデックの報告書』(フィリップ・クローデル、みすず書房) 2009.1

脚注[編集]

  1. ^ a b c 十勝毎日新聞 (2010年4月2日). “翻訳家の高橋啓さん 帰郷し1年 活動順調”. 2010年9月24日閲覧。
  2. ^ a b c 高橋啓公式サイト. “About Me”. 2010年9月24日閲覧。
  3. ^ OUTSIDE IN TOKYO (2009年10月6日). “対談:フィリップ・クローデル×高橋啓(翻訳家)”. 2010年9月24日閲覧。
  4. ^ 高橋啓公式ブログ (2009年4月9日). “ブログ開設のご挨拶”. 2010年9月24日閲覧。

外部リンク[編集]