酪酸
酪酸 | |
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IUPAC名 | ブタン酸(系統名) 酪酸(許容慣用名) |
別名 | ブチル酸 |
分子式 | C4H8O2 |
分子量 | 88.11 |
CAS登録番号 | 107-92-6 |
形状 | 無色油状液体 |
密度と相 | 0.96 g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 | 3(空気 = 1) |
融点 | −7.9 °C |
沸点 | 164 °C |
出典 | 国際化学物質安全性カード |
酪酸(らくさん、butyric acid)、IUPAC名ブタン酸 (butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでは 10 ppm まで嗅ぎ分けることができる。
性質
融点 −7.9 °C、沸点 164 °C の無色の油状液体で、特有の不快臭を有する。pKa 4.82 の弱酸である。水とはよく混和するが、食塩水には溶けにくいことから、酪酸水溶液に多量の食塩を加えると分離することができる。
揮発性が低いため、建物の壁や柱に染み付くとリフォームを施してもなかなか臭いが取れない。
存在
バターから得られたのでこの名で呼ばれるようになった。銀杏の異臭の原因でもあり、足の悪臭の原因でもある。
脂肪酸の分解過程で生合成されるほか、バターやチーズ、皮脂に含まれている。哺乳類の大腸や反芻胃では細菌が食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気発酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。酪酸は、β酸化により酢酸に相当するアセチルCoAに分解され、クエン酸回路によりエネルギー源として利用される。
合成
工業的にはブタノールやブチルアルデヒドの酸化によって作られている。また、酪酸エチル、酪酸イソアミルなどのエステルはパイナップルの香気成分(香料)として知られる。
危険性
皮膚や粘膜に対する腐食性があり、水生生物に有害。ICSCでは「漏洩物処理」項目で、環境中への放出を禁じている。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[1]。
C3: プロピオン酸 |
飽和脂肪酸 | C5: 吉草酸 |