情報検定

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情報検定
略称 J検
実施国 日本の旗 日本
資格種類 民間資格[注 1]
分野 コンピュータ・情報処理
試験形式 筆記
認定団体 職業教育・キャリア教育財団
後援 文部科学省
認定開始年月日 2006年(平成18年)
公式サイト https://jken.sgec.or.jp/
特記事項 情報処理活用能力検定の後継
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情報検定(じょうほうけんてい・J検)とは、一般財団法人職業教育・キャリア教育財団(旧・専修学校教育振興会)が主催する検定試験である。文部科学省後援。

概説

1994年平成6年)6月から2006年(平成18年)6月の試験まで、文部科学省認定「情報処理活用能力検定試験」(旧J検)として開催されていたものの後継の試験として、2006年(平成18年)12月から文部科学省後援の検定試験として実施されている。J検の名称は引き続き使われている。文科省が後援する情報処理の検定としては、最も有名なものの一つである。

現在では、情報システム試験情報活用試験情報デザイン試験の3科目に区分されている。団体向けに情報活用基礎の試験も実施されるが、これは情報活用試験3級と同等の内容になっている。

情報システム試験は旧J検の1級および2級の、情報活用試験は旧J検の準2級および3級の後継の試験である[1]

J検の合格者は合格した級や科目に応じて、他の国家試験検定試験の科目免除を利用できるなどの特典がある。また、一部の学校ではJ検の受験を積極的に推奨していたり、J検の合格者に対して優遇措置を実施しているところもある(後述)。

ただし、就職試験履歴書においてJ検の合格者を積極的に評価する民間企業および公共機関は少ないため、この検定資格を保有するだけでなく基本情報技術者(FE)やITパスポート(iパス)・ベンダー資格等とあわせて保有していることが望ましい。

試験日には前期と後期の日程がある。前期日程は情報活用試験が6月第3日曜日に、その他の試験が9月第2日曜日に実施されている。後期日程は情報活用試験が12月第3日曜日に、その他の試験が2月第2日曜日に実施されている。

全ての科目において、多岐選択式マークシートが採用されている。

情報検定

情報活用試験

情報検定 情報活用試験
略称 J検活用
実施国 日本の旗 日本
資格種類 民間資格[注 1]
分野 コンピュータ・情報処理
試験形式 筆記マークシート
認定団体 職業教育・キャリア教育財団
後援 文部科学省
認定開始年月日 2006年(平成18年)
等級・称号 1級 - 3級
公式サイト https://jken.sgec.or.jp/
特記事項 情報処理活用能力検定(3級および準2級)の後継[1]
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この試験のコンセプトは、使うである。この試験には3級 - 1級がある。一般利用者向けの試験であり、パソコンを操作すると言った基礎的なことから情報セキュリティに関する事まで、主に情報リテラシーの内容となっているが、2009年度試験以降は具体的なアプリケーション表計算ソフト等)の活用法や、企業経営戦略に関する問題などが追加された。

また、3級 - 1級の実施時間が異なり、併願が可能である。つまり、3級と2級・2級と1級などの複数の級を一度に受験できる。
試験時間は3級が40分、2級と1級は60分である。合格基準は3級が(100点満点中)70点以上、2級と1級は(100点満点中)65点以上である。

出題範囲に類似性がある国家試験のITパスポート試験(iパス)へのステップアップとしても利用できる[2][注 2]他、情報活用試験の合格者は合格した級に応じて、日商PC検定試験の一部の級の知識科目が免除される特典が付く(後述)。

出題範囲
  • 3級
情報表現と処理手順・パソコンの基礎・インターネットの基礎・インターネットの利用・情報機器の基本操作・情報社会とコンピュータ・情報モラル
  • 2級
経営戦略システム戦略企業活動プロジェクトマネジメントサービスマネジメントデータ構造と情報表現・問題解決処理手順・パソコンの基礎・データベースインターネットの基礎・アプリケーションソフトウェアの利用(表計算ソフトプレゼンテーションソフトウェア
  • 1級
情報と情報の利用・パソコンを利用したシステムネットワークの利用・情報ネットワーク社会への対応・情報セキュリティ・表計算ソフトやデータベース等を利用した問題解決
受験料
  • 3級(旧・情報処理検定4級)
2,500円(2009年4月1日改定)
  • 2級(旧・情報処理活用能力検定3級)
3,500円(受験料は、据え置き)
  • 1級(旧・情報処理活用能力検定準2級)
4,000円(受験料は、据え置き)

情報システム試験

情報検定 情報システム試験
略称 J検システム
実施国 日本の旗 日本
資格種類 民間資格[注 1]
分野 コンピュータ・情報処理
試験形式 筆記マークシート
認定団体 職業教育・キャリア教育財団
後援 文部科学省
認定開始年月日 2006年(平成18年)
等級・称号 プログラマ認定・システムエンジニア認定
公式サイト https://jken.sgec.or.jp/
特記事項 情報処理活用能力検定(2級および1級)の後継[1]
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この試験のコンセプトは、創るである。この試験には、基本スキル・プログラミングスキル・システムデザインスキルがあり、プログラミングからパソコンを支える技術までが出題され、開発者向けの試験である。出題範囲に類似性がある国家試験の基本情報技術者試験(FE)へのステップアップとしても利用できる[2]

科目単位で受験できるため、出題範囲自体は情報活用試験より狭いが、開発者向けの試験であるため、難易度は情報活用試験1級よりやや高い。しかし、基本情報技術者試験(FE)よりは難易度がやや低い。

プログラミングスキルでは基本情報技術者試験と同様に、擬似言語を用いたアルゴリズムの問題や、ソフトウェア開発の問題も出題される。ソフトウェア開発ではC言語CASL(アセンブラ)・表計算ソフトのいずれかを選択して解答する。

この試験においても、実施時間が異なり、併願が可能である。しかし、同日に行われる情報デザイン試験とは時間が重なる。
試験時間はプログラミングスキルとシステムデザインスキルが90分、基本スキルは60分である。合格基準は各科目とも(100点満点中)65点以上である。

合格した科目によって、認定が変わるのが特徴である。1科目合格の場合は合格した各スキルの合格証である。ただし、2科目の場合は、基本スキルとプログラミングスキルでプログラマ認定証、基本スキルとシステムデザインスキルでシステムエンジニア認定証が交付される。また、3科目合格すると、両認定証が交付されることとなる。実施時間も基本スキルが各スキルにはさまれる形の実施時間になっている。

合格した科目は次期試験時まで受験が免除される。しかし、それ以降は認定証を持っていても免除されない。

旧・情報処理活用能力検定の2級および1級の後継の試験とされている。

各科目の出題範囲
  • 基本スキル
プロジェクトマネジメント・情報表現・データ構造集合論理CPUアーキテクチャ補助記憶装置システム構成ソフトウェア
  • システムデザインスキル
経営戦略システム戦略企業活動システム開発ソフトウェア開発管理技術ネットワーク技術・データベース技術(SQLを含む)・セキュリティ標準化
  • プログラミングスキル
データ構造アルゴリズム擬似言語プログラミング技術を利用した問題解決
※「プログラミング技術を利用した問題解決」は、C言語アセンブラCASL)・表計算ソフトマクロを含む)のいずれかから1つ選択する。
受験料(全スキル、2009年4月1日より受験料改定)
  • 基本スキル
3,000円(旧料金2,500円)
  • プログラミングスキル
2,500円(旧料金2,000円)
  • システムデザインスキル
2,500円(旧料金2,000円)

情報デザイン試験

この試験のコンセプトは、伝えるである。この試験には、共通科目・ビジュアルデザイン分野・インタラクティブメディアデザイン分野・プレゼンテーションデザイン分野がある。デザイン・表現に関する問題が出題され、デザイナ向けの試験である。

この試験においても、実施時間が異なり、併願が可能である。ただし、共通科目は必須受験科目である。共通科目を合格しないと、合格認定されない。

試験時間は60分。合格基準は(100点満点中)60点以上である。

受験料(2009年4月1日以降、変更なし)
  • 共通科目
2,000円
  • ビジュアルデザイン
1,500円
  • インタラクティブメディアデザイン
1,500円
  • プレゼンテーションデザイン
1,500円

合格発表

  • 試験実施後1か月以内に発表。発表後、合格証書及び合格証明書の申請可能。

合格者の特典

国家試験の免除

基本情報技術者試験
情報システム試験の基本スキルに合格し、差分講習を受講した後、修了試験に合格することで、基本情報技術者試験(FE)の午前科目が免除される。
初級システムアドミニストレータ試験(廃止)
かつて存在した初級シスアドでは、情報活用試験1級(旧情報処理活用検定準2級)に合格し、差分講習を受講後に修了試験を合格することで、午前科目が免除された。初級シスアドは2009年の情報処理技術者試験の改定で廃止された。

情報処理活用能力検定

情報処理活用能力検定
略称 J検
実施国 日本の旗 日本
資格種類 公的資格
分野 コンピュータ・情報処理
試験形式 筆記
認定団体 専修学校教育振興会
文部科学省
認定開始年月日 1994年(平成6年)
認定終了年月日 2006年(平成18年)
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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情報検定の前身であり、J検と言う呼称が情報検定に名前が変わっても残っている。1994年6月~2006年6月まで実施された。試験区分が現在とは異なる。また、文部科学省認定の公的資格だった(現在の情報検定は文部科学省後援)。

区分

3級
主な出題内容:情報リテラシー
現在の情報活用試験2級に相当する。
準2級
主な出題内容:情報リテラシー応用・コミュニケーション
現在の情報活用試験1級に相当する。
難易度は国家試験の初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)よりやや低い。
2級
主な出題内容:コンピュータシステム・アプリケーションシステム
現在の情報システム試験に相当する。
難易度は基本情報技術者試験(旧名称・第二種情報処理技術者試験)よりやや低い。
1級
主な出題内容:ソフトウェア開発・システム構築
難易度は基本情報技術者試験第二種情報処理技術者試験より高く、ソフトウェア開発技術者試験(旧名称・第一種情報処理技術者試験)よりはやや低い。
受験者が少ないことや、2005年情報処理技術者試験ソフトウェア開発技術者試験(現・応用情報技術者試験の前身)が年2回になり、かつ基本情報技術者試験の合格率上昇に伴ったことなどを理由に、範囲的差別化をはかるといった理由で廃止。1級は第二種情報処理技術者試験よりアルゴリズムの出題が強化されており、第二種情報処理技術者試験から第一種情報処理技術者試験へのステップアップを目的とする受験者が多くいた。1級は難関である。
なお、1級合格者のうち、成績優秀者には文部科学大臣奨励賞などの表彰があった。

参考

旧情報検定
2005年度までのおおよそ累積平均合格率と年間実施数
  • 情報処理活用能力検定3級 71.4% 年2回 併願可能
  • 情報処理活用能力検定準2級 40.3% 年2回 併願可能
  • 情報処理活用能力検定2級 28.8% 年2回 併願可能
  • 情報処理活用能力検定1級 9.8% 年1回 併願可能

脚注

注釈 

  1. ^ a b c かつては文部科学省認定だったため、公的資格として扱われていた。
  2. ^ ちなみに情報活用試験1級がITパスポートとほぼ同等の難易度と言われている。

出典 

関連項目

外部リンク