台湾の経済

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台湾
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歴史
先史時代
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鄭氏政権
清朝統治時代
台湾民主国
日本統治時代
中華民国時代
カテゴリ
政府機構 - 社会 - 文化
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スポーツ - 原住民 - 古跡
行政区分 - メディア - 交通
食文化 - 教育 - 経済
組織 - 言語 - 地理
歴史 - 政治

台湾の経済(たいわんのけいざい)では、台湾経済の発展と現状を概略的に説明する。

台湾の経済は国家資本と外国投資により形成された資本主義経済システムを採用している。しかし政府の経済に対する役割は縮小傾向にあり、多くの国有銀行や国有企業が漸次民営化され、過去30年間の経済成長率は8%に達し、輸出工業による外貨獲得により台湾は世界第3位の外貨準備高を達成した。

国内総生産 (GDP)に占める農業の比重は減少傾向にあり、1952年には35%であったものが現在では僅か2%となっている。また伝統的な労働集約型の工業はハイテク産業に転換されている。台湾の電子工業は世界経済に大きな比重を占め、多くのコンピューター部品が台湾で生産されその影響力は極めて大きい。貿易相手国としてはアメリカ日本が長期にわたり大きな比重を占めてきたが、近年は中国との貿易額が飛躍的に増大し、そのほかEU東南アジアへ転換を図りタイインドネシアフィリピンマレーシアベトナムへの国外投資も盛んに行われている。また特記すべき内容として中国への積極的な投資の結果、現在5万社を超える台湾企業が中国に進出しており、100万人以上が長期にわたり中国に駐在し大きな経済勢力となっている。

1997年に発生したアジア通貨危機で台湾は深刻な影響を受けなかったが、2001年に世界規模の不景気に加え、両岸関係の悪化もあり台湾経済は深刻な影響を受け、銀行の不良債権が増加、財政赤字に転落、1947年以来プラス成長を続けていた台湾経済は2001年に初めてマイナス成長を記録し失業率も過去最高となった。しかし世界経済の回復と金融重建基金(RTC)の創設などによる経済政策が効果を表し、台湾経済は2003年下期より緩やかな回復基調にある。

経済発展の歩み

ここでは太平洋戦争終戦後の台湾経済の歩みを紹介する。それ以前の台湾の経済については台湾の経済史を参照。

経済再建期

  • 期間:1945年 - 1953年
  • 概要:日本の敗戦と国民政府の接収があり、台湾社会は不安定政治の下、経済危機に瀕していた
  • 経済危機の主要な原因:
    • 太平洋戦争末期のアメリカ空軍による空襲を受け戦災による生産能力の低下
    • 戦後の台湾工業資源の括弧
    • 国民政府の財政破綻と資本不足
    • 戦争により物資が括弧し、戦後の台湾の資源が枯渇
    • 戦後のインフレーションによる貨幣の濫発と物価上昇
    • 国民党が遷台した際に100万人以上の移民があり急激な人口増加が発生
    • 中国との軍事対立による軍事費支出の増大
  • 政策:台湾経済の再建
    • 日本人を送還し人口負担の減少を図る
    • 国民党の遷台時に中国の外貨及び金(5-10億USD)を台湾に導入[1][2]
    • 1949年より金融改革に着手。5月中国の貨幣と切り離し、6月新台湾ドルを発行
    • 1949年 - 1953年に土地改革を実施。農業生産の向上を図る
    • 日本の投資遺産に大陸から移入した技術を組み合わせた技術政策
    • 朝鮮戦争を契機に共産主義国家への対抗を目指すアメリカによる資金援助(1950年-1965年までに14.8億USD)
  • 結果:台湾経済の安定化に成功。インフレも沈静化し市民生活も安定化に向かう

輸出産業育成期

  • 期間:1953年 - 1959年
  • 背景:軍事予算比率が高く、また人口の急激な成長。輸出額における農産物の占める割合が80%以上となり農業国の様相を呈していた
  • 政策:
    • 農業の発展を目指すと共に肥料交換政策を実施し、農業所得を工業への投資に転換
    • 1953年に第1期経済建設計画を立案し、労働力集中型工業の育成による輸出振興を図る
    • 保護関税政策による輸入制限、外貨持ち出し制限や紡績業を中心とする民間企業への補助
  • 結果:1959年ころまでに市民生活の改善と、毎年10%の工業成長率を記録

輸出拡大期

  • 期間:1959年 - 1973年
  • 背景:アメリカ等の先進国が労働力集約型産業の国外移転を模索。尹仲容厳家淦技術官僚による外資導入が決定され、輸出産業振興政策が決定される。
  • 政策:
    • 1959年末に「19点財経改革措施」を策定し自由貿易政策に転換。関税の引き下げなどによる輸入規制を緩和
    • 1960年に「奨励投資條例」を制定し免税方式による外資導入を促進
    • 1966年に加工輸出区を高雄市楠梓区台中市に設置
  • 結果:
    • 台湾を日米の加工基地とすることに成功。両国からの投資が全投資額の60%以上を占めた。貿易では日本に対しては大幅な輸入超過、アメリカに対しては大幅な輸出超過となる。
    • 1963年 - 1972年の平均経済成長率は10%を越え「黄金の10年」と称された
    • 1963年に台湾の貿易収支が初めて輸出超過となり、外貨準備高の増加が始まる
    • 台湾が農業社会から工業社会となり、電、紡織、プラスチック等の軽工業で急速な成長を実現

第二次輸出産業育成期

  • 期間:1973年 - 1979年
  • 背景:1973年及び1975年オイルショックが発生し、世界規模の不景気となった。台湾経済は生産コストの増大と、輸出の低迷、更に国際連合からの脱退による外国投資の低迷があり厳しい局面を迎えることとなった。
  • 政策:
  • 結果:
    • 台湾の所得成長は持続、石油化学工業の基礎を築く
    • 台湾がアジア四小龍の一つと称されるようになる

経済のグローバル化

  • 期間:1979年から現在
  • 背景:1979年のオイルショックの影響を受けた台湾はエネルギー効率の高い、低汚染、高付加価値の産業へと転換を迫られる
  • 政策:
    • 1979年に「十年経済建設計画」を策定し、機械、電子、電機、輸送機械を戦略工業とする
    • 1980年新竹科学園区を設置しハイテク産業育成を推進。1997年には台南科学園区が完成
    • 1984年の「十四項建設」及び1990年の「国家建設六年計画」により公共投資促進による産業発展を目指す
    • 1990年に「産業昇級条例」を制定し、通信関連等の十大新興産業の育成を推進
    • 自由化とグローバル化の推進。1983年に輸出及び投資規制を緩和、1987年にが外貨制限を事実上撤廃、1989年に民間に対し銀行設立を認可し、公営事業の民営化が進む
  • 結果:台湾の経済成長が続き、アジアにおける経済大国としての地位を確立する

国内総生産額

  • 国内総生産額(GDP)購買力平価説(PPP)-8,760億USD(2011年);外貨準備高-4,670億USD(2011年)
  • 一人あたりGDP:購買力平価説(PPP)-37,700USD(2011年);外貨準備高-20,100USD(2011年)
  • 国内総生産額成長率:4.38%(2006年)
  • 国民総生産額(GNP): 6,683億USD(2006年)
  • 国内総生産額内訳:(2005年)
    • 農業:1.6%
    • 工業:29.3%
    • サービス業:69%

その他経済指数

投資率:(固定資産)

  • GDPの 18% (2004年)

生活困窮者人口比

  • 0.9%(2005年)

一般家庭収入分布

  • 最低10%:6.7%
  • 最高10%:41.1%(2002年)

インフレ率

  • 0.6%(2006年)

国家予算

  • 歳入:1,384,582百万元
  • 歳出:1,599,560百万元(2005年)

公債占有率:

  • GDPの 32.4%(2004年)

外貨及び金準備高:

  • 2,660.52億USD(2007年2月)

外債:555億USD(2004年)

労働力

労働人口

  • 1,060万人(2005年)

労働人口比率:(2005年)

  • 農業:6%
  • 工業:35.8%
  • サービス業:58.2%

失業率

  • 3.87%(2006年)

エネルギー

総発電量:1,585億Kw(2002年)

発電比率:(1998年)

  • 火力発電:65.91%
  • 水力発電:7.84%
  • 原子力発電:26.25%

電力消費量

  • 1,474億Kw(2002年)

石油生産量:

  • 500 bbl/日(2004年)

石油消費量:

  • 988,000 bbl/日(2001年)

埋蔵石油量:

  • 290万 bbl (2004年)

天然ガス生産量:

  • 75,000万 立方メートル(2001年)

天然ガス消費量:

  • 66.4億立方メートル(2001年)

天然ガス輸出量:

  • 41000万 立方メートル(2001年)

天然ガス輸入量:

  • 63億立方メートル(2001年)

埋蔵天然ガス量:

  • 382.3億立方メートル(2004年)

貿易

輸出

  • 2,240億1,727万米ドル (2006年)

輸出相手国

輸入

  • 2,026億9,814万米ドル (2006年)

輸入相手国

  • 日本26%,アメリカ13%,中国(香港を含む)11%,韓国6.9%(2003年)

貨幣

流通貨幣:

貨幣コード:

  • TWD


注釈

外部リンク