モーリス・スミス

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モーリス・スミス
基本情報
本名 モーリス・L・スミス
(Maurice L. Smith)
通称 モー (Mo)
黒い爆撃機
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生年月日 (1961-12-13) 1961年12月13日(62歳)
出身地 ワシントン州シアトル
所属 AMCキックボクシングジム
モーリス・スミス・キックボクシングセンター
→ジ・アライアンス
身長 188cm
体重 107kg
階級 ヘビー級
ライトヘビー級
バックボーン キックボクシング
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モーリス・スミスMaurice Smith1961年12月13日 - )は、アメリカ合衆国男性キックボクサー総合格闘家ワシントン州シアトル出身。ジ・アライアンス所属。元WKAヘビー級王者。元UFC世界ヘビー級王者。元ISKA世界ヘビー級王者。

1992年ピーター・アーツに敗れるまで、8年間キックボクシング界で無敗を誇り、ヘビー級の頂点に立ち続けた。フランシスコ・フィリォボブ・サップのトレーナーも務めたことがあり、現在ではモーリス・スミス キックボクシングセンターというジムを経営している。

来歴

元々フットボールの選手を夢見ていた少年だったが、ブルース・リーの映画を観て格闘技に目覚め、テコンドーに入門する。テコンドー以外にも松濤館空手や詠春拳の経験もあった。

18歳の時、当時ようやく軌道に乗り出したアメリカのフルコンタクト空手の試合をテレビで見たことから、それまでの伝統的な武道を止めてキックボクサーとしてのキャリアを開始した。

初来日は1983年5月21日、後楽園ホールにて全日本マーシャルアーツ連盟の興行で、ドン・星野・ウィルソンの持つ、WKA世界クルーザー級王座に挑戦し、11Rまでもつれこんだが、判定負けを喫した。この試合の少し前にハワイでWKC(世界空手評議会)というマイナーな団体のヘビー級王座を獲得していた。

日本での試合後、オランダの興行に参加。当地で目にしたムエタイスタイルに強く惹かれ、オランダ目白ジム[1]ヤン・プラスの元でムエタイを学ぶ。やがてWKA世界ヘビー級王座とISKA世界ヘビー級王座を獲得した。

1989年11月29日、第2次UWFの東京ドーム大会「U-COSMOS」に参戦し、異種格闘技ルールで鈴木みのるに右ストレートでKO勝ちした。勝利直後にリング上でヘビー級の体格にもかかわらず後方宙返りを見せた。

1990年、WKAスーパーヘビー級王者のケビン・ローズイヤーと後楽園ホールで対戦。1Rにムエタイ並みのしなやかな右ハイキックをローズイヤーの左顎に決め、KO勝ちを収めた。

高田延彦が「対戦したい」と発言したことを受けて、全日本キックボクシング連盟が高田に事前に何の交渉もしないままスミスとのカードを発表。試合当日、高田が来なかったことで、リング上でテンカウントを鳴らし、高田の試合放棄という形でスミスの勝利と主催者が宣言した。

1992年4月9日、フランスにてピーター・アーツに判定で破れ、8年間無敗の記録に終止符が打たれた。

1993年4月30日、第1回K-1グランプリに参戦。1回戦は負傷により欠場したスタン・ザ・マンの代役正道会館後川聡之に判定勝ちしたが、準決勝では当時日本では無名だったアーネスト・ホーストの左ハイキックで失神KO負けを喫した。

その後パンクラス参戦、第2次UWF時代に因縁の生まれた鈴木みのる船木誠勝らの挑戦を受け、総合格闘技をメインに活動することになるが、スミスは30代を越え、全盛期より力も落ちていたことと、バス・ルッテンケン・シャムロックなどトップどころとの対戦が主だったせいか、パンクラスでの戦績はあまり芳しくはなかった。

1996年1月24日にリングス初参戦。高阪剛に敗退するが、彼の技術に惚れ込んだスミスはアメリカに招いて指導を受けるようになる。その成果が発揮されたのは同年10月、アメリカで開催されたExtreme Fighting 3である。スミスはマーカス・コナンの持つヘビー級王座に挑戦、3RにTKO勝ちを収め王座獲得に成功した。かつてアメリカの格闘技雑誌上にて挑発された経験があるホイス・グレイシーへの挑戦を表明する。後にK-1で実現との噂が流れたが、結局実現はしなかった。

1997年1月22日、リングス前田日明と対戦し、ネックロックで一本負け。

1997年2月1日、フランスパリジェロム・レ・バンナの持つISKAムエタイ世界スーパーヘビー級王座に挑戦するも判定負け、ISKA2階級制覇を逃す。

同年3月28日にはExtreme Fighting 4において村上一成を相手に初防衛に成功するものの、同大会を最後にエクストリーム・ファイティング・チャンピオンシップが消滅。同年7月17日にはUFCに参戦、マーク・コールマンのヘビー級王座に挑戦し、判定勝ちを収め王座獲得に成功した。10月17日にはタンク・アボットを下し初防衛に成功するも、12月21日のUFC Japanではランディ・クートゥアに判定負けで王座陥落。しかし、世界レベルのレスラーであるクートゥアをグラウンドコントロールするなど、総合格闘技への適応能力を見せた。

1998年にはK-1に復帰。戦績は芳しくなかったものの、名前に傷がつくことを恐れるよりも試合を選んだ姿勢は高く評価される。以後、K-1には2003年まで断続的に参戦。2001年には北米地区予選トーナメントで優勝。

また、同時進行して継続して総合格闘技も続行。UFC、リングス、WEFで活躍。レナート・ババルブランコ・シカティックヘンゾ・グレイシーペドロ・ヒーゾなどのビッグネームと対戦した。

2007年5月19日、IFLマルコ・ファスと対戦し、TKO勝ち。

2008年6月8日、戦極初参戦となった戦極 〜第三陣〜吉田秀彦と対戦し、袈裟固めで一本負け。

戦績

総合格闘技

総合格闘技 戦績
27 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
13 7 3 3 0 0 0
14 0 8 4 2
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
× マット・コバチ 5分3R終了 判定0-3 Cage Warrior Combat 9 2013年11月2日
ホルヘ・コルドバ 3R 2:05 KO(ハイキック) RFA 2: Yvel vs. Alexander 2012年3月30日
× 吉田秀彦 1R 2:43 袈裟固め 戦極 〜第三陣〜 2008年6月8日
リック・ルーファス 1R 1:53 ストレートアームバー Strikeforce: At The Dome 2008年2月23日
マルコ・ファス 4R 3:43 TKO(タオル投入) IFL: Chicago 2007年5月19日
× レナート・ババル 5分3R終了 判定0-2 UFC 28: High Stakes 2000年11月17日
ボビー・ホフマン 5分3R終了 判定2-0 UFC 27: Ultimate Bad Boyz 2000年9月22日
× ヘンゾ・グレイシー 1R 0:50 アームロック リングス KING OF KINGS 予選Bブロック
【2回戦】
1999年12月22日
ブランドン・リー・ヒンクル 5分2R終了 判定1-0 リングス KING OF KINGS 予選Bブロック
【1回戦】
1999年12月22日
× マーカス・コナン 1R 7:33 肩固め WEF 7: Stomp in the Swamp 1999年10月9日
ブランコ・シカティック 1R 7:33 前腕チョーク PRIDE.7 1999年9月12日
マルコ・ファス 1R終了時 TKO(タオル投入) UFC 21: Return of the Champions 1999年7月16日
× ケビン・ランデルマン 15分1R+延長R終了 判定0-3 UFC 19: Ultimate Young Guns 1999年3月5日
× ランディ・クートゥア 15分1R+延長2R終了 判定1-2 UFC Japan: Ultimate Japan
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
1997年12月21日
タンク・アボット 8:08 ギブアップ(ローキック) UFC 15: Collision Course
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
1997年10月17日
マーク・コールマン 15分1R+延長2R終了 判定3-0 UFC 14: Showdown
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
1997年7月17日
村上一成 1R 4:23 KO(パンチ) Extreme Fighting 4
【Extreme Fightingヘビー級タイトルマッチ】
1997年3月28日
× 前田日明 5:35 ネックロック リングス MEGA BATTLE TOURNAMENT 1996 Grand Final 1997年1月22日
マーカス・コナン 3R 1:36 TKO(ハイキック) Extreme Fighting 3
【Extreme Fightingヘビー級タイトルマッチ】
1996年10月18日
× 田村潔司 10:58 腕ひしぎ十字固め リングス MAELSTROM 6th 〜旗揚げ5周年記念大会〜 1996年8月24日
× バス・ルッテン 1R 4:34 チョークスリーパー パンクラス 1995 EYES OF BEAST 1995年11月4日
× バス・ルッテン 1R 2:10 膝十字固め パンクラス 1995 EYES OF BEAST 1995年5月13日
× ケン・シャムロック 1R 4:23 チョークスリーパー パンクラス 1994 ROAD TO THE CHAMPIONSHIP
【KING OF PANCRASE TOURNAMENT 2回戦】
1994年12月16日
冨宅祐輔 1R 2:48 KO(膝蹴り) パンクラス 1994 ROAD TO THE CHAMPIONSHIP
【KING OF PANCRASE TOURNAMENT 1回戦】
1994年12月16日

キックボクシング

キックボクシング 戦績
75 試合 (T)KO 判定 その他 引き分け 無効試合
62 45 4 0
13
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
TSUYOSHI 3R終了 判定2-0 K-1 BEAST 2003 〜山形初上陸〜 2003年4月6日
× ピーター・アーツ 3R+延長R終了 判定0-3 K-1 WORLD GP 2001 in LAS VEGAS
【準決勝】
2001年8月11日
ユルゲン・クルト 3R終了 判定3-0 K-1 WORLD GP 2001 in LAS VEGAS
【1回戦】
2001年8月11日
マイケル・マクドナルド 延長R終了 判定2-1 K-1 WORLD GP 2001 USA大会
【決勝】
2001年5月5日
ギュンター・シンガー 2R 0:24 KO K-1 WORLD GP 2001 USA大会
【準決勝】
2001年5月5日
ペドロ・フェルナンデス 3R終了 判定3-0 K-1 WORLD GP 2001 USA大会
【1回戦】
2001年5月5日
× アンディ・フグ 5R終了 判定0-3 K-1 SPIRITS '99 〜魂の戦い〜 1999年8月22日
× ピーター・アーツ 3R 2:44 TKO(右ストレート) K-1 SURVIVAL '99 1999年6月6日
× マイク・ベルナルド 5R終了 判定0-3 K-1 GRAND PRIX '98 開幕戦
【1回戦】
1998年9月27日
× アーネスト・ホースト 5R終了 判定0-3 K-1 THE NEW FIGHTING SPIRIT '98 1998年8月7日
佐竹雅昭 5R終了 判定0-0 K-1 KINGS '98 1998年4月9日
× ジェロム・レ・バンナ 5R終了 判定 サミー・ケプシー・ル・ショック・デ・モンド
【ISKAムエタイ世界スーパーヘビー級タイトルマッチ】
1997年2月1日
フランスの旗 ジェフ・ルーファス 8R KO LA NUIT DES CHAMPIONS III 1996年11月23日
山田学 2R 2:14 KO パンクラス 1995 EYES OF BEAST
【キックボクシングルール】
1995年9月1日
オランダの旗 フランク・ロブマン KO(ハイキック) DESTINY-VII 1994年7月30日
ベネズエラの旗 アレックス・デジール 10R KO(パンチ) ラスベガス
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】
1993年12月4日
鈴木みのる 3R 0:52 TKO パンクラス 1993 YES, WE ARE HYBRID WRESTLERS
【キックボクシングルール】
1993年11月8日
× アーネスト・ホースト 3R 1:18 KO(左ハイキック) K-1 GRAND PRIX '93
【準決勝】
1993年4月30日
後川聡之 3R終了 判定3-0 K-1 GRAND PRIX '93
【準々決勝】
1993年4月30日
× ピーター・アーツ 4R KO(左ハイキック) THE NIGHT OF THE SHOCK 1993年3月7日
× ピーター・アーツ 2分9R終了 判定 フランス 1992年4月9日
アメリカ合衆国の旗 スティーブン・クローウェル 2R 1:41 TKO(ローキック) World Martial Arts Challenge 1992年3月16日
オーストラリアの旗 スタン・ザ・マン 12R終了 判定 シドニー
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】 
1991年
オランダの旗 アンドレ・マナート 2R KO Thriller from Paris I 1991年6月29日
オランダの旗 ピーター・スミット 3R KO "Soar Into Space" Chapter III 1991年5月26日
オランダの旗 キース・ベーゼムス 1R KO "Soar Into Space" Chapter II 1991年3月30日
オランダの旗 キース・ベーゼムス 2R KO Sammi Kebchi Promotion 1990年12月9日
イングランドの旗 フロイド・ブラウン 5R終了 判定 "Inspiring Wars Heat-928" 1990年9月9日
アメリカ合衆国の旗 ケビン・ローズイヤー 2R KO "Inspiring Wars" 1
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】
1990年1月20日
カナダの旗 スティーブ・トンプレイ 5R KO 全日本キックボクシング連盟「スーパーファイト2」
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】
1987年9月5日
アメリカ合衆国の旗 ディーノ・ホームズ 【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】 1987年
アメリカ合衆国の旗 ビル・モリソン 8R 0:55 TKO(ローキック) ラスベガス
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】
1987年
アメリカ合衆国の旗 レイモンド・ホーシー KO(ローキック) アトランタ
【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】
1986年
オランダの旗 マルセル・シュヴァンク 1R KO オランダ 1984年
オーストラリアの旗 ダナ・グッドソン 【WKA世界ヘビー級タイトルマッチ】 1984年
メキシコの旗 トラビス・エバレット KO(ローキック) メキシコ
【WKA世界ヘビー級王座獲得】
1984年
対戦相手不明 1983年
× アメリカ合衆国の旗 ドン・星野・ウィルソン 11R終了 判定 “初来日”
【WKA世界クルーザー級タイトルマッチ】
1983年5月21日
対戦相手不明 1983年
カナダの旗 トニー・モレリ 7R KO ハワイ
【WKC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
1983年
アメリカ合衆国の旗 ドン・中矢・ニールセン 7R終了 判定 ラスベガス 1983年
× カナダの旗 トニー・モレリ 7R終了 判定 カナダサリー州
1983年
アメリカ合衆国の旗 Marcus Ector KO エバレット (ワシントン州) 1981年
カナダの旗 Pat Peters KO カナダサリー州 1981年
アメリカ合衆国の旗 Scott Rohr KO ポートランド (オレゴン州) 1981年
アメリカ合衆国の旗 Ken Orr KO エバレット (ワシントン州) 1981年
アメリカ合衆国の旗 Milt Bennet 判定 エバレット (ワシントン州) 1981年
アメリカ合衆国の旗 Rich Mason KO エバレット (ワシントン州) 1981年1月17日
アメリカ合衆国の旗 Kelly Worden KO タコマ (ワシントン州)
デビュー戦
1980年9月20日

ミックス(空手&キック)ルール

勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
佐竹雅昭 4R終了 判定なし 硬派er 〜格闘技オリンピックI〜 1992年3月26日

異種格闘技戦

勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
× 日本の旗 鈴木みのる 3R 0:36 腕ひしぎ逆十字固め 1994 RODO TO THE CHAMPIONSHIP 1994年5月31日
× 日本の旗 船木誠勝 1R 1:50 チョークスリーパー 全日本キック EVOLUTION STEP-8 1993年11月27日
日本の旗 船木誠勝 5R終了 引き分け 藤原組 STACK OF ARMS 1992年10月4日
日本の旗 高田延彦 無効試合 全日本キック INSPIRING WARS “HEAT630” 1990年6月30日
日本の旗 鈴木みのる 4R 1:29 KO(右ストレート) U-COSMOS 1989年11月29日

 

獲得タイトル

  • キックボクシング
    • WKCフルコンタクト空手ヘビー級王座(1983年)
    • WKA世界キックボクシングヘビー級王座(1983年)
    • WKA世界ムエタイヘビー級王座(1996年)
    • ISKA世界キックボクシングヘビー級王座(1996年)
    • K-1 WORLD GP 2001 北中南米地区予選トーナメント 優勝(2001年)
  • 総合格闘技
    • 第2代Extreme Fightingヘビー級王座(1996年)
    • 第2代UFC世界ヘビー級王座(1997年)

脚注

  1. ^ 目白ジムで修行したオランダ人ヤン・プラスオランダへ帰国後、1978年に設立したジム。

関連項目

外部リンク

前王者
マーク・コールマン
第2代UFC世界ヘビー級王者

1997年7月27日 - 1997年12月21日

次王者
ランディ・クートゥア