メジャーリーグサッカー

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メジャーリーグサッカー
加盟国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カナダの旗 カナダ
大陸連盟 CONCACAF
創立 1993年
ディビジョン イースタンウェスタン
参加クラブ 19クラブ
リーグレベル 第1部
国内大会 MLSカップ
(リーグ戦上位クラブによる決勝トーナメント)
USオープンカップ
カナディアン・チャンピオンシップ
国際大会 CONCACAFチャンピオンズリーグ
パンパシフィックチャンピオンシップ
スーパーリーガ
最新MLSカップ優勝 ロサンゼルス・ギャラクシー
最新MLS首位 ロサンゼルス・ギャラクシー
最多MLSカップ優勝 D.C. ユナイテッド(4回)
最多MLS首位 D.C. ユナイテッド
ロサンゼルス・ギャラクシー(4回)
テレビ局 ESPN, ESPN2, ESPNESPNデポルテス
FOXサッカーチャンネル
FOXスポーツエスパニョール
テレフーツラCBC
ロジャース・スポーツネット
GolTV Canada
公式サイト MLSnet.com
2011年シーズン

メジャーリーグサッカー(Major League Soccer, MLS) は、アメリカ合衆国およびカナダのプロサッカーリーグである。

歴史

アメリカ合衆国のプロサッカーリーグは19世紀から数多く興っては解散してきた。その中で最も有名なものは1967年から1984年まで存在した「北米サッカーリーグ(NASL)」で、ペレヨハン・クライフフランツ・ベッケンバウアーといったヨーロッパや南米の主力選手を擁して人気獲得を図った。しかし球団間の実力、財政力の不均衡などの理由から興行としては失敗し、NASLは解体した。

しかし、1994年のFIFAワールドカップ開催国がアメリカに決定したことを起爆剤に、再度「一部リーグ」としてのプロサッカーリーグを開催する機運が発生し、ワールドカップ開催の2年後の1996年に10クラブによるメジャーリーグサッカー(MLS)が発足。当初は1995年発足の予定であったが、資金難のために開幕が1年遅れた。1998年から12クラブとなるが予算難から2002年に10クラブに戻す。2005年からエクスパンションが始まり、2009年は15クラブで争われる。2010年には16クラブへ、2012年には最終的な19クラブまでの拡大が決定しており、参入するチームも確定しており、2013年にニューヨークに20クラブ目の設立を目指していることをメジャーリーグサッカー・コミッショナーが公言している。現在下部リーグとの入れ替え制度は行われていない。

まだ開幕して20年弱と言うこともあり、中米南米系移民などの間では人気が徐々に出始めてきているものの、それ以外の層での知名度は四大スポーツリーグ(NFL、NBA、MLB、NHL)と比較して未だ高いとはいえない。しかし、近年では、凋落傾向にあるNHLに対し、成長を続けるMLSの地位がとってかわりつつあるともされる[独自研究?]。また一部のチームはアメフトとの兼用の関係で、人工芝の競技場を本拠地としているチームもある。(他にロシアサッカー・プレミアリーグの例もある)。

日本人では木村光佑コロラド・ラピッズに2007年から在籍し、2010年には日本人として初となるMLSカップ選手となった。

特色

ドラフト会議

選手契約金の高騰を避けるため、新人選手は他のメジャースポーツと同様にドラフト会議で獲得する。現在では各クラブが独自にスカウティング活動を行っている。2004年にワシントン・DCユナイテッドに入団したフレディー・アドゥーは同リーグの史上最年少出場選手記録(1989年生まれ・14歳 アメリカのプロスポーツマンを通してもこの100年で史上最年少)だけでなく、MLSの史上最高年俸・推定約5200万円、並びに史上最年少ゴールを達成して話題になった。

特別指定選手制度

選手の給与は、現在は費用対効果の観点から、リーグから支払われるシステムになっているが、そのため欧州に比べると水準が低く、著名選手を獲得できない理由のひとつとされていた。このリーグ運営方法を「シングル・エンテティ・システム」と呼び、他のプロスポーツリーグもこの制度を導入している。ただ、2007年よりリーグからの給与とは別に、各チームが二人まで(この枠をトレードして最高で三枠まで獲得できる)予算を独自に決定しても良い特別指定選手制度(Designated Player Rule)と言う制度が導入された。これによってデビッド・ベッカムなどの著名選手がMLSに移籍してきた。5年契約で、ベッカムの総収入額は2億5000万ドル(約300億円)に達すると言われ、2009年シーズンには元スウェーデン代表主将のフレドリック・ユングベリや、2010年シーズン後半からは、元フランス代表主将のティエリ・アンリや、メキシコ代表主将のラファエル・マルケスなど大型スター選手たちが続々とメジャーリーグサッカーに移籍してきている。

一般の選手の給料はサラリーキャップ制を採用しており、平均年俸約1000万円となっている。

マーケティング

2002年、自前のサッカー専門のマーケティング会社、サッカーユナイテッドマーケティング社を設立し、アディダス社との総額1.2億ドルなどの大型契約を締結するなど、近年著しくビジネスの側面が急速に成長してきている。富豪のオーナーによってインフラ整備は進み、各クラブ、自前のサッカー専用スタジアムを保有することで経営の安定と成長を図っている。経済誌フォーブスの調べでは、ロサンゼルス・ギャラクシーのクラブ価値は約1億ドルと発表された。

ヨーロッパのビッグクラブがシーズンオフにアメリカへ渡ってMLSのチームと試合をするツアーも近年は多く組まれ、記録的な観客数を集めている。

参加クラブ

イースタン・カンファレンス
クラブ名 ホームタウン クラブカラー 加入年
ニューヨーク・レッドブルズ ニューヨーク 赤・白 オリジナル
D.C. ユナイテッド ワシントンD.C. 黒・赤・白 オリジナル
シカゴ・ファイアー シカゴ 赤・白 1998年
ニューイングランド・レボリューション ボストンプロビデンス 青・白 オリジナル
コロンバス・クルー コロンバス 黒・黄 オリジナル
スポルティング・カンザスシティ カンザスシティ 青・白 オリジナル
トロントFC トロントカナダ 2007年
フィラデルフィア・ユニオン フィラデルフィア 紺・金 2010年
ヒューストン・ダイナモ ヒューストン 2006年
モントリオール・インパクト モントリオール(カナダ) 2012年
ウェスタン・カンファレンス
クラブ名 ホームタウン クラブカラー 加入年
ロサンゼルス・ギャラクシー ロサンゼルス 青・黄 オリジナル
クラブ・デポルティボ・チーヴァス・USA ロサンゼルス 赤・青 2005年
FCダラス ダラス 赤・白・灰・青 オリジナル
コロラド・ラピッズ デンバー えんじ オリジナル
レアル・ソルトレイク ソルトレイクシティ 赤・紺 2005年
サンノゼ・アースクエイクス サンノゼ 青・白 オリジナル
シアトル・サウンダーズFC シアトル 青・緑 2009年
バンクーバー・ホワイトキャップス バンクーバーカナダ 2011年
ポートランド・ティンバーズ ポートランド 水色 2011年

参加予定クラブ

クラブ名 ホームタウン クラブカラー 加入予定年
ニューヨーク・コスモス ニューヨーク 2013年

撤退したクラブ

クラブ名 ホームタウン クラブカラー 所属期間
マイアミ・フュージョン フォートローダーデール 1998年 - 2001年
タンパベイ・ミューティニー タンパ 1995年 - 2002年

歴代優勝クラブ

詳細はMLSカップを参照

サポーターズ・シールド(レギュラーシーズン最上位)

歴代得点王

シーズン 選手名 所属クラブ 得点数
1997 ボリビアの旗 ハイメ・モレノ D.C. ユナイテッド 16
1998 トリニダード・トバゴの旗 スターン・ジョン コロンバス・クルー 26
1999 アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・クレイス ダラス・バーン 18
2000 セネガルの旗 ママドゥ・ディアロ タンパベイ・ミューティニー 26
2001 ホンジュラスの旗 アレックス・ピネダ・チャコン マイアミ・フュージョン 19
2002 グアテマラの旗 カルロス・ルイス ロサンゼルス・ギャラクシー 24
2003 グアテマラの旗 カルロス・ルイス ロサンゼルス・ギャラクシー 15
2004 アメリカ合衆国の旗 ブライアン・チン サンノゼ・アースクエイクス 12
2005 アメリカ合衆国の旗 テイラー・トウェルマン ニューイングランド・レボリューション 17
2006 アメリカ合衆国の旗 ジェフ・カニンガム レアル・ソルトレイク 16
2007 ブラジルの旗 ルシアーノ・エミリオ D.C. ユナイテッド 20
2008 アメリカ合衆国の旗 ランドン・ドノバン ロサンゼルス・ギャラクシー 20
2009 アメリカ合衆国の旗 ジェフ・カニンガム FCダラス 17
2010 アメリカ合衆国の旗 クリス・ウォンドロウスキ サンノゼ・アースクエイクス 18
2011 カナダの旗 ドウェイン・デ・ロサリオ D.C. ユナイテッド 16

試合方式

年間の試合形態

  • レギュラーシーズン
19チームを東10・西9チームの東西2ディビジョンに分けて、ホーム・アンド・アウェー方式で全チームと2試合ずつの計36試合を行い、両ディビジョンの上位3チームずつ6チームと、残りのチームからディビジョンに無関係に勝ち点上位の4チーム(ワイルドカード)の10チームが決勝トーナメントにあたる「MLSカップ」にコマを進める。このレギュラーシーズンで最も優秀な成績をおさめたクラブには「サポーターズ・シールド」という表彰が行われ、CONCACAFチャンピオンズリーグへの出場権が与えられる。
シーズンは3月開幕、11月終了の春秋制である。そのため、オフシーズンにヨーロッパのクラブに期限付き移籍したり、練習参加する選手もいる。
  • MLSカップ
10チームによるトーナメント戦
ワイルドカードプレーオフは勝ち点の上位2クラブの本拠地でのワンマッチで行い、その勝者が準々決勝を戦う。
準々決勝と準決勝については、ホーム&アウェーの2試合で対戦し、1勝1敗の場合は2試合の総得点→その後PK合戦を行う体裁となった(以前は1勝1敗や2引き分けの場合は第3戦を実施していた)。決勝戦に限り中立地での1試合決着となっている。

MLSならではの過去のルール制度

  • カウントダウン方式:かつてのMLSではアメリカンフットボールやバスケットボールなどと同じ要領でロスタイム相当分をカウントしないできっちり45分ずつで試合が終了できるようにした「カウントダウンシステム」を採用したことがあった。現在は採用しておらずFIFAのシステムをそのまま利用している。
  • シュートアウト合戦:同じくかつてのMLSでは同点の場合は引き分けにしないでサドンデス方式のシュートアウト合戦を行っていた。これはPK合戦と同じくGKと攻撃者の1:1の対戦であるが、攻撃者はゴールから35メートルの地点からドリブルをし、一定の時間内にシュートを放ってもらうというもの(アイスホッケーのトーナメントで使われる「ゲームウィニングショット合戦(GWS)」と酷似している)である。これも現在は採用しておらず、予選リーグではFIFAルールと同じ90分引き分け制併用のスタイルとなっている。

放送について

2007年現在、MLSは以下の放送局に放映権を与えている。FIFA主催の国際大会や、米国代表戦などとセットで販売される場合が多い。

日本での放送

日本ではかつてJリーグでも活躍した洪明甫ロサンゼルス・ギャラクシーに在籍していた当時、旧スポーツ・アイESPNで中継を行っていた。その後、日本でMLS中継は行われなくなったが、日本でも知名度の高いベッカムの加入に伴いESPNと提携しているJ SPORTSにて2007年夏より中継を再開した。しかし、2011年現在では放送していない。

下部リーグ相当のリーグ戦

これらはMLSは直接関与しておらず、日本で言うJリーグとJFL以下の諸リーグの関係に相当する。そのため、現段階ではこれら下位リーグとの成績上の自動昇・降格や入れ替え戦は実施されておらず、当面これを導入するめども立っていない。

以下は主にアメリカ国内のリーグを記載するが、カナダやカリブ海各国のクラブもこれらのリーグに参加し、様々な国にとってのサッカーピラミッドを複合的に形成している。

MLSの実質的な下部リーグのうち最大のものは、2009年まで2部から4部に相当するリーグを運営していたユナイテッドサッカーリーグ(USL)であったが、2009年に同リーグの株式を保有していたナイキがこれを売却したことに対してUSL1部と2部の複数のクラブが反発し、NASL(かつて存在した北米サッカーリーグと同名の新リーグ)の結成と、2010年度からのUSL脱退を宣言した。しかし、USL、NASLともにチーム数が不足することから、2010年は米国サッカー連盟(USSF)の仲介により暫定的に両者が共同し、USSFディビジョン2プロリーグを組織して2部相当のリーグとした。
2011年からは、NASLとUSLがそれぞれ独立し、NASLが2部相当のリーグとなっている。
2009年までのUSL1部2部の各クラブのうち、MLSに昇格したクラブとNASLに参加したクラブを除く、USLに残ったクラブと新設されたクラブによって新たに1部構成で組織したリーグ。USLとしては1部リーグ相当。
カナダの国内リーグとしては最上位。これより上はMLS、NASLとなる。
USLの下部リーグ。独自の年齢制限を設けて若年層を育成するリーグとしている。

関連項目

外部リンク