トーナメント方式
トーナメント方式(トーナメントほうしき)とは、競技会で勝者や順位を決める方式。
ただ一人の勝者を選ぶこと、優劣の順位を決めること、興行として面白いものにすることなどの目的の違いや、期間、場所等の制限に応じて、さまざまな方法が考案されている。
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[編集] 定義
トーナメント(tournament)の言葉のルーツとなったものは中世の騎士が行った「馬上槍試合」で、実際の戦争の代わりに行われ、名誉と時には領土までかけたため死者が出ることもあった。現在の英語で「tournament」は「大会」に近い言葉でリーグ戦を「group tournament」とも呼ぶが、日本で単にトーナメントというと勝ち残り式トーナメントを指しリーグ戦には使用しないことが一般的である。ただしゴルフやテニスでは「トーナメント」が大会の意味で使われている。
リーグ戦の「league」も同様に英語では「競技団体」の意味しかなく、日本独特の用法である。
[編集] 日本語独自の用法
[編集] 決勝トーナメント
FIFAワールドカップで「final tournament」とは予選突破国が一ヶ所に集まって戦う本選を指し、日本で言う「決勝トーナメント」ではない。日本で言う「決勝トーナメント」は「Knockout stage」と呼称されている。なお「グループリーグ」は「group stage」である。
[編集] オープントーナメント
オープントーナメントとは、一般的には申し込みすれば制限なく出場できる大会のことである。従ってトーナメントの方式に関する区分ではなく、ほとんどが勝ち抜け戦であるものの単にその参加条件(運営方法)に関して命名されたものである。また「全米オープン(英語:U.S.Open Championships)」や「ジャパン・オープン・テニス選手権」のように名称にトーナメントを含む必要も無い。
実際には、それが本当の意味であらゆる競技者やチームが出場可能な場合と、プロ・アマ問はわないが競技団体に登録済みの場合に限るなど、何らかの条件が付帯する場合に分かれている。なんらかの条件が加わる場合(あるいは主催側がなんらかの特徴や傾向を強調したい場合)は、「××オープン」などのようにタイトルに条件を明示的に付ける場合が多い。例として、「国際オープン」の場合、海外選手には出場資格を設けないが自国選手には一定の条件を課すことがある。これは、海外選手の参加にはある程度高額な旅費・滞在費等の出費が必要な関係上、必然的にレベルの低い競技者が参加する可能性が低くなるためである。他に「国内オープン」などもある。
[編集] 勝ち残り式トーナメント
勝ち残り式トーナメント方式は、1対1の戦いによる勝ち抜き戦である。勝負に負けたチーム(または選手)はその時点で脱落し、勝者同士で対戦を繰り返しながら勝者を決定する。ノックアウトトーナメント(knockout tournament)、シングルエリミネーショントーナメント(single elimination tournament)などとも呼ばれる。日本語で単にトーナメントといえばこの方式を指すことが多い。英語では「knockout system」などでも通用する。陸上競技の短距離、競泳など一度の予選に複数人が参加し、上位が上のステージに進出する形式もこれに類する。
図の下の段から順に第n回戦と呼ぶ。しかし、最後の3回戦は第n回戦ではなくて準々決勝(クォーター・ファイナル、quarterfinal)→準決勝(セミ・ファイナルsemifinal)→決勝戦(ファイナル、final)と呼ぶ。また、準決勝の敗者同士の試合が行われる場合がある。これを3位決定戦(third-place play off)と呼ぶ。
なお、陸上競技のトラック種目、競泳、スキークロスのように、1ゲームに複数人ずつ参加する形態のスポーツ競技の場合、準決勝2ゲーム(1組と2組)を行い、各組の上位半数の者が決勝へと進み、下位半数の者が下位の順位決定戦に回ることになる[注釈 1]。この場合に、上位者の参加する通常の決勝戦を「A決勝」または「ビッグ・ファイナル(big final)」、下位者の参加する順位決定戦(上の例では5~8位決定戦)を「B決勝」または「スモール・ファイナル(small final)」と呼ぶ。
特殊な方式としてHBCカップジャンプ競技会では16人をペアで競わせて8人、続いて4人に絞込み、決勝戦はその4人全員で一度に競技を行い優勝者を決めている。
対戦表は、勝ち抜いたときの試合数が同数となるようにバランスをとって構成する。ただし、参加者数が2nとならない場合、試合数が1試合少なくなるチーム(選手)ができてしまう。その場合は、
などの処理をする。
Tチーム(選手)でノックアウトトーナメントを行うと、全試合数は(T-1)試合になる(引き分け再試合、3位決定戦などがないとして)。これは試合数が敗者数と一致し、1敗もしないチーム(選手)が1チーム(1人)だけ残って優勝者となるからである。例えば、20チーム(選手)なら、トーナメントの組み方にかかわらず、全試合数は常に19試合となる。
[編集] シード
強豪チーム(選手)同士がトーナメントの序盤で対戦しないように、トーナメント表上にばら撒くように配置することをシードと呼ぶ。シード(seed)=種まきが語源である。また、シードはしばしば大会の対戦取り組み上での面白さを増す目的でも導入・実施される。厳密には対戦表上で配置をばら撒くという大意に含まれるが、大会そのものがフルオープンエントリー制(=参加申し込みすれば必ず出場できる)ではない場合、トーナメント戦に限らず、出場枠を特別に設けたり、予選・本戦に分かれている場合に予選を免除することも「シード」と呼ぶ。トーナメントの構成上、試合数が少なくなる参加者が出る場合、シード対象者の試合数が減らされることが多い。本来の意味とは逆に、「試合数が少なくなること」が「シード」と誤用されることが多々見受けられる。
- 「試合数が少なくなること」=「シード」と誤用する例:出場チーム(選手)が10のトーナメントの場合、内6枠分の初戦が2回戦からとなるが、「試合数が少ないからシード」であるという解釈は正しくなく、それらの6枠が全てシードであるとは限らない。トーナメントで試合数が少ないこととシードチーム(選手)であるという事は本来は直接には無関係である。この様な例で試合数が少ない枠が生じるのは、あくまで出場チーム(選手)数の関係から発生するトーナメント表の構成上の都合であり、その試合数が少ない利点がある枠にどの出場チーム(選手)を当てるかは運営側の基準に因る。
- 全て(1回戦枠を含む)を抽選によって決定する。
- 2回戦枠の幾つか(場合によってはその全て)をシードチーム(選手)に無条件に与え、1回戦枠を含めた残りを抽選によって決定する。
- などが挙げられる。シードがある場合は後者の方法が多く採られる。
- また、予選がある場合で第2代表を「逆シード」として本戦での1回戦枠を無条件に当てる方法もある。
機械的にシードを設定する、次のようなアルゴリズムが知られている。
- 最初に過去の成績などから仮の順位を決め、トーナメント表の片方の端に1位の参加者を、もう片方の端に2位の参加者を配置する。
- 3位以下を順に、トーナメント表の頂上から以下のルールに従ってたどることによって配置する。
- 先に配置されている参加者の数が少ない山を選ぶ。
- 同数の場合は、山の最下位の順位が低いほうを選ぶ。
例えば6人の参加者をこれに従って配置すると、{1-(5-4)}-{(3-6)-2} という組み合わせが得られる。8人だと {(1-8)-(5-4)}-{(3-6)-(7-2)} となる。上位になるほど強い相手と早く当たる可能性が低く、また試合数も少なくなって多少は有利である。
[編集] 特徴
[編集] 利点
- 事前に組合せが決定されるので予想や興趣がわきやすい。
- 優勝者を決定するだけでよいため、総試合数が必要最小限に抑えられ、準備や運営が他の方法に比べて容易である。
- 特に参加人数やチームが多数にわたる場合、できるだけ試合数を少なくするためにトーナメント形式が多用される。
- 対戦チーム(選手)が欠場、棄権しても、残った側を勝ち進めればよい。
- 勝ち残ったチーム(選手)同士が戦うという単純明快さがある。
- 組み合わせや運次第で、弱者が強者に勝つ可能性もあるので、面白みが増す。
[編集] 欠点
- 結果が組合せの運に左右される(直接対戦しない者同士が存在する)。
- 組み合わせが完全抽選方式だと、強豪同士が早い段階でぶつかってしまう可能性がある。
- 組み合わせが主催者任せだと、贔屓チーム(選手)に優位な組み合わせにされてしまう。
- 敗者は基本的には敗戦後は一切試合をすることができない(試合数にばらつきが生じる)。
- 強豪チーム(選手)は多数回の試合に参加する機会を得て力量が更に向上するが、弱小チーム(選手)は早々に敗退して実戦の機会が少なく力量が向上しない。
- チームによる試合の場合、出場人数の関係などから試合に出場することなく大会を去る選手が発生する可能性が、他の方式に比べて大きい。
- 格下チーム(選手)がたまたま勝ってしまうこと(番狂わせ)もあるため、総合的に安定した実力のある者が優勝者となるとは限らない。安定した順位を評価するには本来適さないため、準々決勝を勝ち抜いた4人により決勝リーグを行う場合やトーナメント出場者を選抜する一次リーグを実施する場合がある。
- 例えば、1回戦で優勝者に負けた者と、決勝戦で負けた者などのような、直接に対決していない同士の実力の度合いを量るには適さない。したがって主催側の思惑(意思や思想)により、それらを補うためにコンソレーション (consolation) と呼ばれる敗者復活戦、慰安試合を含む場合がある。
- トーナメントで敗者同士が戦うケースとして3位決定戦があるが、敗者に肉体的ダメージが大きい格闘技等の競技では、敗者同士を戦わせることに危険が伴うケースがある。このような競技の場合は、3位以下を表彰しない、3位決定戦を行わず同位表彰される。3位入賞者が2選手、2チーム(選手)出ることになる。
- 終盤(決勝戦)に近づくと、勝者にとって連戦となるため負担が大きくなる。終盤になるにつれ怪我の危険や疲労の蓄積が多くなるが、実際は終盤になるにつれて時間や日程の間隔が狭まることが多く矛盾してしまう。試合日程を空ければ身体的負担は減るが、全体の日程が延びるので大会運営に要するコスト(会場費、選手や関係者の滞在費など)が増える。
- トーナメント本選で勝利したが、負傷等の為次の試合に出場できないケースがある。この場合は次の試合は不戦敗扱いになるが、リザーバーと呼ばれる予備の出場者が代理出場することもある。リザーバーはノーダメージ、ノーリスクで勝ち上がる不公平が生じるが、それを解消するために本戦とは別にリザーバー決定戦が行われる。あくまでリザーブ(保留)を決める試合なので、本戦に欠場が出ないとリザーバー決定戦に勝利しても本戦に出場できないリスクも生じるので、不公平感を打ち消す効果もある。
詳細は「リザーブマッチ」を参照
[編集] 適用例
各種形式(方式)のなかでは最も即決性が高く、各種競技(スポーツ、アトラクション、ゲームなど)における、決勝トーナメント・本選などのように、参加チーム(選手)が多い競技大会では最も多用される。また、シンプル性においても同様で、たとえプレーヤーがさほど多く無い場合でも比較的容易に運営できること、観戦者側に視覚的にも感覚的にも状況把握・理解が得られやすいため、アトラクションやバラエティ番組企画での競技や選抜などにも用いられやすい。
- スポーツ
- その他
[編集] グループトーナメント(総当たり戦)
日本でいう総当り戦・リーグ戦を、英語では「Group tournament」(グループトーナメント)または「Round robin tournament」(ラウンドロビントーナメント)と呼ぶが、日本でそう呼ばれることはまずない。また、総当たりより少ない場合もそう呼ぶことがあり、その場合は後述のスイス式と重なる。総当り戦についての詳細はリーグ戦を参照。
[編集] スイス式トーナメント
スイス式トーナメント方式(Swiss style tournament)は、意図的に同レベルあるいは近いレベルと判断される強さの者同士を対戦させることにより、総当たり戦に比べて少ない試合数においてもある程度の順位の正当性を持たせたり、実力に差がある場合に生じやすい「観戦側にとって興ざめな試合」を少なくさせることが期待できるトーナメント方式。無論、事前のデータとして各チーム(選手)のレイティングあるいはそれに準じたデータがあることが前提である。但し、トーナメント後半になると(トーナメント自体の上位への)勝ち残りの可能性の無いプレイヤーによる消化試合が生じるため、自主的なトーナメントからの棄権による退場(ドロップ)を認めていることも多い。
具体的には以下のような手順で行われる。
- 1回戦はランダムな組合せで対戦する。
- 2回戦は、勝者同士と敗者同士が対戦するように組み合わせる。
- 3回戦は、2戦全勝・1勝1敗・2戦全敗のそれぞれが、同じ成績同士で対戦する。
- 4回戦以降も同様にできるだけ同じ成績同士で今まで当たっていない相手との対戦を繰り返す。
規定の試合数をこなした時点で最も成績の良い参加者が勝者となる。成績の算定方法は基本的に
の順序で決定される。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 勝利数 | 敗北数 | ソロコフ | SB | 順位 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Anna | ○(J2) | ○(F2) | ●(H3) | ○(C2) | 3 | 1 | 9 | 6 | 2 |
| Bill | ●(I2) | ●(E1) | ●(J2) | ●(D2) | 0 | 4 | 7 | 0 | 10 |
| Charlie | ●(H3) | ○(I2) | ○(D2) | ●(A3) | 2 | 2 | 10 | 4 | 4 |
| Davis | ○(G3) | ●(H3) | ●(C2) | ○(B0) | 2 | 2 | 8 | 3 | 5 |
| Emmy | ●(F2) | ○(B0) | ●(G3) | ●(I2) | 1 | 3 | 7 | 0 | 9 |
| Frank | ○(E1) | ●(A3) | ○(I2) | ●(J2) | 2 | 2 | 8 | 3 | 5 |
| Gill | ●(D2) | ○(J2) | ○(E1) | ○(H3) | 3 | 1 | 8 | 6 | 3 |
| Hance | ○(C2) | ○(D2) | ○(A3) | ●(G3) | 3 | 1 | 10 | 7 | 1 |
| Ichiro | ○(B0) | ●(C2) | ●(F2) | ○(E1) | 2 | 2 | 5 | 1 | 8 |
| Jan | ●(A3) | ●(G3) | ○(B0) | ○(F2) | 2 | 2 | 8 | 2 | 7 |
勝敗の算定方法や組合せ方法にはいくつかの亜種が存在する。例えば、
- 勝利した相手の勝ち星のうち、最大のものと最小のものを除いた合計数(ミディアム、MD)
- 直接対決での勝敗(DH)
- 自分が負けた相手がどれだけの勝ち星をあげているか
を評価する方法や、負け星(引き分けがある場合)にも注目する方法がある。
スイストーナメント(Swiss tournament)、スイスドロー(Swiss draw)とも呼ばれる。この方式は、参加者の実力が伯仲しているが、リーグ戦方式にするには参加者が多すぎる場合に適している。
また、試合が終わらないと次の対戦相手がわからないというデメリットを減らす目的で考案された変形スイス式トーナメントを以下に示す。
- 1回戦をランダムな組合せで対戦する(通常のスイス式トーナメントと同様。)。
- 2回戦の対戦相手は、「1回戦はレイティングの上位者が勝った」と仮定した上での勝者同士と敗者同士を組み合わせる。(1回戦での結果待ちをせずに予め組み合わせをできるメリットがある。)
- 3回戦以降は、最終戦を除いて2戦前までの結果(3回戦の組み合わせなら1回戦の実際の結果)に基づいて(通常のスイス式トーナメントの3回戦以降と同じ手法でその時点での同じ勝率同士で)組み合わせる。
[編集] 利点と欠点
ノックアウトトーナメントに比べ順位がより厳密に算定され、また、すべてのプレイヤーが一定回数の対戦を行うことが期待できる。レイティングとの相性も良い。一方、次の対戦相手が、前のラウンドのすべての試合が終了するまでわからないこと、判定、組み合わせ決定に時間と手間がかかる欠点がある。
[編集] 適用例
思考型のゲームで使われることが多く、海外のチェスやチェッカーの競技会の多くはこの形式を利用している。日本でも将棋や囲碁のアマチュア大会では積極的に採用されている。マジック:ザ・ギャザリングをはじめとするトレーディングカードゲームでも使用例は多い。
以下にスポーツ競技での使用例を幾つか紹介する。
- 関東大学ラグビー対抗戦グループ
- 長年これに準じた方式(関連解説で「スイス式トーナメントを用いている」という記述が見られるが、試合数や対戦相手の決定方法などの面で本来の当方式の主旨とは決定的に異なる。詳細は当該記事の説明を参照)が採用されていたが、参加チーム間で試合数が揃わないことの影響などが問題視され1997年から実力別2階級=各クラス8チームずつの総当りリーグに変更された。
- 大相撲
- Xリーグ
- 完全なスイス式ではないが、4位以下による順位決定戦のうち、東日本を本拠とする「イーストディビジョン」・「セントラルディビジョン」では、それぞれ互いの3チームのうちの2チームと対戦する方式が採用されている。
- Vプレミアリーグ
- 一時期準決勝リーグで上位4チームのうちで順位が接近しているチーム同士(1位と2位、3位と4位)の対戦を組まない方式を採用していたが、これも完全なスイス式ではない
- バレーボール世界選手権
- 2010年の女子大会の2次ラウンドでこの方式に沿ったものが行われる。これも完全なスイス式ではない。
- 1次ラウンドのA組とB組、C組とD組にそれぞれわかれ、前者はE組、後者はF組とする形でそれぞれ同じ組に属したチームとは対戦しない(互いの組に属するチームとの総当り)とする。なお、同じ組で対戦しない国の成績は1次予選の成績をそのまま引き継ぐため事実上は2次予選参加国総当りとなる。これは、1991年ワールドカップバレーボールでも採用された。
- この方式はバスケットボールの一部国際大会でも用いられている。
- インターリーグ
- ワールド・リーグ戦(日本プロレス)
- 日本人選手と外国人選手の間で対戦を組む形式となっているが、これも完全なスイス式ではない。
[編集] パラマストーナメント(ステップラダー)
まずある組み合わせの対戦を行い、次にその勝者と新たなプレイヤー、次にまた、と行っていき、最終的な勝者が優勝となる組み合わせ方式。極端に山の偏った、シードばかりのノックアウトトーナメントと同義である。一般には事前に決定している弱いプレイヤーから強いプレイヤーへと組み合わせる。
これは公平な組み合わせ方法ではない。しかし興趣などのため、強いプレーヤーになんらかの優先権を与える必要がある場合に用いられる。
最終的な勝利者だけでなく、勝ち星総数が多いものにもなんらかの権利を与えたり、敗者復活戦を組み合わせる複雑な方法も存在する。
例えば、4人(組)で行う場合は
- 1位選手は自動的に決勝戦、2位選手は準決勝(3位決定戦)に進出
- まず3位と4位の選手で準々決勝(4位決定戦)を行う
- 2.の勝者と2位選手が準決勝を行う
- 更に3.の勝者と1位選手で優勝をかけて決勝戦を行う
[編集] 適用例
- 日本プロ野球のクライマックスシリーズ、ラグビーの日本選手権で適用されている。日本プロバスケットボールbjリーグでは、2007-08シーズンのプレーオフとワイルドカードゲームを組み合わせて適用していた。
- 社会人野球や大学野球の地区代表決定戦(本大会への出場チーム決定戦、予選など)において、第二代表以下を決定する際の敗者復活戦に用いられている。
- 将棋の銀河戦や囲碁の竜星戦で用いられ、各トーナメントブロックの優勝者と優勝者以外の最多勝ち抜き者が、その先の決勝トーナメントに出場する。将棋の名人戦でA級順位戦に3人以上の同率者が出た場合は、挑戦者決定戦をパラマストーナメントで行う。
- ボウリング競技や、韓国プロ野球・韓国プロバスケットボールの決勝トーナメントなどで用いられている。かつてはイングランドラグビー・プレミアシップでも採用されていた。
- また、かつてはクイズ番組でこれと似たようなシステムを採用することもあった(ベルトクイズQ&Qなど)。時間の許す限り次々に挑戦者が現れる形式で、勝ち続ける限り次に進めるシステムであるが、優勝を目指すのではなく、勝ち抜き数に応じたプライズを得る事を目的とする点でトーナメントと異なる。なお、規定数の勝ち抜き(またはプライズ合計が規定上限額に達すること)で、最高プライズが与えられ勝者ではあるがゲームから排除されるシステムとなっている。番組終了の際は最終勝者への補償として成績に関係なく最高プライズが与えられることが多い。
[編集] ページシステム方式
パラマストーナメント(ステップラダー)にダブル・エリミネートを組み合わせており、敗者復活でも優勝できる可能性を持つ、変則的な方式である。
以下の手順で行われる。
- ラウンドロビンなどによる予選リーグを行い、1位から4位の順位を決定する。
- プレイオフ1(準決勝1):予選の1位Aと2位のBが対戦し、勝者は決勝戦へ進出、敗者は準決勝へ回る。
- プレイオフ2(準決勝2):予選の3位Cと4位のDが対戦し、勝者は準決勝へ進出、敗者は4位が確定する。
- 3位決定戦(準決勝3):2.の敗者と3.の勝者が対戦し、勝者は決勝戦へ進出、敗者は3位が確定する。
- 決勝:2.の勝者と4.の勝者が優勝をかけて対戦する。
予選で2位以内に入ればその時点で3位以内が確定し、たとえトーナメント初戦で負けてもまだ優勝の可能性が残る。逆に予選3位以下が優勝するためには、1度も負けずに3連勝する必要がある。予選2位以内に入ることで非常に有利な条件を得ることができるシステムである。
[編集] 適用例
ソフトボールで用いられている。Vリーグの2005-2006年シーズンのファイナルラウンド、都市対抗野球大会と社会人野球日本選手権大会の四国地区代表決定戦で2006年より、この方式が採用された。オーストラリアサッカー・Aリーグのファイナルシリーズでも採用されている。
カーリングの日本選手権や世界選手権でもこの方式が採用されているが、日本選手権では(2)の敗者と(3)の敗者の間であらためて3位決定戦を行うという、変則的な方式で行われている。また2008年の世界カーリング選手権も、同様の変則的な方式が採用された[注釈 2]。しかしオリンピックでは通常のトーナメント方式である。
[編集] ダブルエリミネーション方式
1度負けたら敗退するノックアウト方式と違い、2敗した時点でトーナメントから排除される方式。なお、実際のeliminationの発音に近いイリミネーション方式と表記する場合も多い。特に日本のビリヤード競技においてはダブルイリミネーションと表現されるのが普通である。また、日本のプロボウリング競技においてはダブルイルミネーションと表現される。これは日本のボウリング界がエリミネーションを電飾の意味の「イルミネーション」(illumination)と混同したことによる。
[編集] 方式
通常の勝ち上がり方式でトーナメントを行い決勝進出者を決め(勝者サイド)、それと同時に1敗した者どうしの間でもトーナメントを行い決勝進出者を決める(敗者サイド)。この2者で決勝戦を行い優勝者を決定する。完全ダブルエリミネーションの場合、決勝戦で敗者サイドを勝ち上がった者が勝った場合、決勝の再戦を行う。将棋の棋王戦が「挑戦者決定戦で勝者側は1勝でよいが敗者側は2勝必要」という方式を採用している。
予選等で勝者サイド・敗者サイド共に次ラウンドに進める場合、決勝戦で敗者サイドを勝ち上がった者が勝った場合でもそのまま優勝者とみなされる場合や、決勝戦は行わずに勝者サイドを勝ち上がった者を1位、敗者サイドを勝ち上がった者を2位とする場合もある。
- 例図では優勝は「G」、準優勝は「E」、3位は「A」、4位は「H」となる。もし決勝試合(8)で勝者サイドの「G」が敗者サイドの「E」に負けたときは双方とも1敗ということになり、再試合を行うと規定する場合がある。たとえば前記の将棋の棋王戦は当初決勝戦の勝者が挑戦となっていたが、「勝者側の決勝戦進出者に敗者復活が認められないのは不当」との声が上がり「挑戦者決定戦で勝者側は1勝でよいが敗者側は2勝必要」という方式に変更された。
[編集] 利点と欠点
組合せによる有利不利を軽減することができるが、試合数が倍になる。また、同じ対戦カードが複数回起こりやすい。
[編集] 適用例
- ボウリング競技(例:第31回ABSジャパンオープンボウリング選手権ただしダブルイルミネーションと表示し誤っている)やビーチバレーで用いられている。また、2009 ワールド・ベースボール・クラシックの1次・2次ラウンドでも採用されたが、日本と韓国が決勝までに5回対戦するなど、同じ対戦カードが複数回起きる方式の欠点も露呈した。
- 解説例の様な参加全チームに同様な権利(2敗するまで残れる)が与えられてはいないが、全日本大学野球選手権大会第25回大会(1976年)で勝者側トーナメントのベスト4進出チームにのみ対象の変則ダブルエリミネーション方式が採用された。結果は、敗者サイド進出チーム(勝者サイドでの準々決勝敗退チーム)が優勝を決めた(対戦としては1度目)が、大会終了後に不評の意見が多く出て、同方式の採用はこの年限りで消滅した。これと同じように全国中等学校優勝野球大会の第2・3回大会でもこれとほぼ同じ形の敗者復活式トーナメントがあったが、敗者復活チームが優勝したことによる異論から廃止された経緯もある(全国高等学校野球選手権大会に関するエピソード#敗者復活制度参照)
- 柔道では決勝進出者は勝ち残り式で決められるが、決勝以外で敗退した選手のうち準決勝進出者に敗退した選手のみでステップラダー方式で敗者復活戦を行い、最後に準決勝敗退者と決定戦を行い3位を決定するという変則的なダブルエリミネーション方式をとっている。
[編集] 注釈
- ^ 例えば1ゲームに4人ずつ参加する形態の場合、8人が準々決勝から準決勝へと進むことになり、まず、1組4人ずつで準決勝2ゲームを行い、その結果に従って準決勝各組の1着と2着の者は決勝へ、準決勝各組の3着と4着の者は5~8位決定戦に回ることになる
- ^ 同大会において日本チームは予選を4位で通過し、初戦のプレイオフ(2)で予選3位のスイスに勝ち、準決勝でカナダに負けた。前年までの通常のページシステムであれば銅メダルが決定であるが、あらためて行われた3位決定戦でスイスに負けたために4位となった