90-II式戦車
| 性能諸元 | |
|---|---|
| 全長 | 10.7 m |
| 車体長 | 7.00 m |
| 全幅 | 3.50 m |
| 全高 | 2.40 m |
| 重量 | 48.0 t |
| 懸架方式 | トーションバー方式 |
| 速度 | 69 km/h(整地) 45 km/h(不整地) |
| 行動距離 | 450 km(最大550km) |
| 主砲 | 2A46 125mm滑腔砲 |
| 副武装 | 85式12.7mm機関銃 86式7.62 mm機関銃 9M119レフレクス対戦車ミサイル |
| 装甲 | 複合装甲及び コンタークト5(爆発反応装甲) |
| エンジン | パーキンス・コンドー CV12-1200TCA 水冷4ストローク V型12気筒ディーゼルエンジン 1200hp |
| 乗員 | 3 名 |
90-II式戦車(MBT-2000/AL-Khalid)は、中華人民共和国とパキスタンが共同開発を行った戦車である。中国は以前からパキスタンに戦車を輸出しており戦車開発に関しても両国の連携は密なものであった。パキスタンの戦車生産能力に合わせて開発された90-II式戦車はパキスタンへの輸出には成功するも行動距離の短さなどを理由に国内の採用は見送られた。輸出モデルのM型は別名MBT-2000ともよばれ、パキスタン国内でのモデルにはアル・ハリド (AL-Khalid) の名称が付けられている。
目次 |
歴史 [編集]
80式戦車を元に88A/B式戦車の開発に成功した中国であったがソ連との緊迫化を背景に更なる研究が進められた。一方パキスタンも同じくソ連のアフガニスタン侵攻に伴う脅威と隣国インドの軍拡競争により自国の軍備増強が進められた。パキスタンは以前から中国の戦車を大量に輸入していたが、自国でもライセンス生産の形で技術力を蓄えていった。90-II式戦車はこうした両国の利害の一致の元1988年10月に共同開発を決定、1990年1月にMBT-2000開発計画として本格始動した。
90-II式戦車は全く新規からの開発でなく、既存のコンポーネントを数多く盛り込んで開発された戦車だった。第1世代の59式戦車から10%、69/79式戦車から15%、第2世代の85-C式戦車から20%と既存のコンポーネント45%使用し、残り55%を新開発コンポーネント開発された。
新コンポーネントにはソ連製のT-72戦車(ルーマニア、またはイラン・イラク戦争時に捕獲された物がイランから輸入されたと言われている)から多く取り入れられており車体の大きさやデザインで多くの類似点が見られる。
車体と砲塔は溶接鋼版ではあるが前部は複合装甲を採用。またこの車体には中国製戦車初の本格的コンポジット方式を導入、以前の溶接方式と異なり被弾した装甲の交換や更に防御性の高い装甲が開発されても簡単に取り付ける事ができるようになった。パキスタン仕様と中国仕様でそれぞれ独自のERA(爆発反応装甲)を取り付けている。ロシア製の爆発反応装甲コンタクト5をフル装備した時で48 t と比較的軽量である。
西側の技術も積極的に採用し、エンジンはイギリスのチャレンジャーシリーズで採用されているパーキンス・コンドー水冷ディーゼルエンジンの1200hp版を搭載。トランスミッションにはフランスのルクレール戦車にも採用されたSESME社製SM-500オートマチックミッションを採用し、FCS(射撃統制システム)は85-IIAP式戦車戦車で使われたイスラエル製ISFCS-212の改良型など実績のあるコンポーネントを数多く取り入れた。
90-II式戦車は中国では正式採用されなかったものの、後にこの車体をベースに再設計された98式戦車や99式戦車が現在中国陸軍の主力戦車として正式採用されている。
装備・スペック [編集]
主砲 [編集]
旧ソ連系の2A46 125mm滑腔砲とカセトカ自動装填装置を搭載。砲自体は中国製でオリジナルより砲身の寿命が長いとされている。自動装弾装置は1分間に10〜12発の射撃が可能。APFSDS弾、HEAT弾・HEAT-FRAG弾の各種砲弾と後にインド軍のT-90戦車に対抗出来るよう、9M119レフレクス対戦車ミサイルの発射機能も追加された。具体的にはタングステン合金製弾芯の125-I APFSDS-T弾は弾芯のL/D比は20:1で、砲口初速1,730m/秒、最大射程2,500~3,000m(夜間有効射程は850–1,300m)、射距離2,000mで460mm厚の均質圧延鋼板 (RHA) を貫徹できる。劣化ウラン製弾芯の125-II APFSDS-T弾(中パ共同で開発したものでソ連/ロシア製APFSDS-T弾よりも弾芯のL/D比が長いものになっている)は、2,500mにおいて命中角60度で厚さ350–400mmの均質圧延鋼板を貫徹し、2,000mで600mmの均質圧延鋼板を貫徹する能力を有するとのこと。射撃統制装置は、スタビライズされたレーザー測遠機の組み込まれた砲手用サイトや、弾道コンピューター等から成っている。
1998年には、パキスタンの砂漠地帯で試作車の評価試験が行われており、この試験の公式発表によると、アル・ハリド戦車は2,000m離れた動目標に対して、40km/hの速度で移動しながら射撃を行い、85%の命中率を発揮したという。
エンジン [編集]
当初は中国でライセンス生産したMTU396 1200hpディーゼルエンジンを搭載していたが、後にイギリス製パーキンス・コンドーCV12-1200TCA、ウクライナ製6TD/6TD-II 1200hpディーゼルエンジン、ドイツ製MTU-871/TCM AVDS-1790 1200hpディーゼルエンジンなど試作を重ねる毎に変更が行われた。
パキスタンモデルであるアル・ハリドにおいては一時期フランス製1500hpディーゼルエンジンも検討されたが1998年のパキスタン核実験の影響でこの案は中止された。後にウクライナからT-84を320輌購入した経緯もあって安価で互換性のウクライナ製6TD-II 1200hpディーゼルエンジンを採用した。90-II式戦車は0–32km/hまで約10秒で加速できる。加えて、全自動変速装置を搭載し、中国製戦車としては初めて超信地旋回が可能となった。
バリエーション [編集]
- 90-I式(試製1型)
- 最初の試作車輌。中国で生産した125mm滑腔砲と射撃統制システムを搭載。西側の戦車を意識した砲塔デザイン。中国で製造されたMTU396 1200hpディーゼルとドイツのレンクス社の自動変速機を搭載。
- 90-II式(試製2型)
- 西側の射撃統制システムや索敵装置を搭載エンジンはパーキンス・コンドーCV12-1200TCA(1200hp)、トランスミッションにフランス製SM-500自動変速機を搭載。
- 試製3型
- エンジンをウクライナ製6TD/6TF-IIディーゼルエンジンに変更(1200hp)。
- 90-IIA式(試製4型)
- エンジンをドイツ製MTU-871/TCM AVDS-1790ディーゼルエンジンに変更(1200hp)。パキスタンが核実験を実施したためドイツが供与を拒否。開発が中止される。
- 90-IIM式(MBT-2000)
- ドイツ製1200hpエンジンやフランス製1500hpエンジンが調達出来なかったためウクライナ製1200hpエンジンを正式に採用。2000年11月に正式発表。のちにパキスタンでライセンス生産されアル・ハリドと命名。今日では中国とパキスタン両国が独自の改修を施し輸出仕様として各国に売り込みを図っている。
外部リンク [編集]
- パキスタンの公式報道 - YouTube 90-II式戦車(アル・ハリド)の映像
- 日本周辺国の軍事兵器
- アル・ハリード戦車
- Type 90 / MBT-2000 Main Battle Tank - SinoDefence.com
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